通信越しの会話分を「」から『』に変更いたしました。
「あっ」
「えっ」
どうにか爆弾を取り外したところ、ハルカちゃんが来ました。
「......こ、こんにちは。」
「あ...どうも....」
......
「......」
「......」
グッ
ヤッバ────
―――――――――――――――
「前方、半径10km内にて爆発を検知!正確な位置は...柴関ラーメン!?柴関ラーメンが跡形もなく消えてしまいました!」
「はぁ!?どういうこと?なんであの店が狙われるのよ!」
「戦略拠点でもなく、重要な交通網でもないのに、一体誰が...」
「ま、まさか私を狙って...!?」
「憶測は後でも遅くない。まずは何か手を打たないと!」
「ホシノ先輩とシルベさんには私から連絡します!出動を!」
―――――――――――――――
「ゴホッ、ゴホッ...うわぁ...建物がなくなっちゃったよ?」
「ケホッ...これは一体...?」
「(グルグル)」
轟音と熱。ああ、そういえば...銃では何回か撃たれたことあったけど、爆発を受けたことはなかったか...何個か普通に抱えてたし...
ジンジンと全身に広がる痛みと痺れで、そのまま地面に倒れ伏す。
初っ端から失敗した。ハルカちゃんを甘く見過ぎていたと言わざるを得ない...きっとどこか、彼女しか分からない変化を辿ってここに来たんだ。
爆弾の解除なんて素人が踏み入れるべきではなかったかな...でも、お店が壊れたら...便利屋とアビドスが衝突を...
「ケホッ...これは、もしかしてC4爆弾...?」
「うわぁ...アルちゃんやっちゃったの?...いや、なんで今?どゆこと?」
「わ」
「わ?」
「私はまだ何も言ってないわよおおおおおおお!!!」
霞がかった思考にアルちゃんの慟哭がこだまする。もしかして、「友達なんかじゃないわよ!」って言う前に爆発しちゃったかな。ごめんアルちゃん...
「ハルカは...確か裏手に...ん?」
「ハルカちゃんと...あれ?誰かいる...誰だっけ?アビドスにいた...確かシャーレの人?」
「う...」
あ、頭がくらくらする...ヘイローが震える...
「だ、大丈夫かしら?」
「社長、一応その人敵だと思うけど。」
「優しいなぁアルちゃんは。」
アルちゃんに抱き起こしてもらう。すみません...
「あ、ありがと...けほっ...」
「どうする?このまま人質とかにする?」
「人質...!?で、でも...」
そこに、聞き馴染みのある声がこだまする。
「見つけたわ!あんた達だったのね!」
『大将の無事を確認しました!幸い軽傷だったので近くのシェルターに...って、シルベさん...!?』
この声...セリカちゃん達だ...!
「...!シルベ!」
「シルベちゃん...!?シルベちゃんを離してください!」
「あ、アビドス...!?」
「はぁ...仕方がない。どうせいつかは白黒つけるつもりだったから。待機させていた傭兵を呼んで。」
だ、ダメだ。このままでは原作通り...アビドスと便利屋が戦うことになる。せ、戦力が...!
「ま、待って...!けほっ...違うの!」
「シルベ...?」
「これは、事故っていうか...誤解だからさ、ちょっと戦うのは待って!」
「誤解って...傷だらけじゃない!何言って...!」
それはそうなんだけど...!どうにか、どうにか衝突するのだけはやめて...!
「...どうする?社長。このまま人質として連れていけば、かなり優勢になるよ。」
「......」
ひ、人質...最悪だ。そうなれば完全に裏目。アビドスが一方的に消耗する。自分の無能さにはほとほと呆れ返るばかりだ。でも、アルちゃんは...
両者に間に、緊迫した空気が流れる。一触即発...誰かが少しでも銃を動かせば、たちまち戦闘の始まるであろう雰囲気。
そんな中、アルちゃんは...私を、解放した。
「...!社長!?」
「カヨコ。私達は人質なんて取らないわ。あくまでハードボイルドに...華麗に戦って勝利する。これが私達便利屋68のモットーよ!」
「...はぁ。」
「あ、ありがとう。アルさん。」
「ふん、早く行きなさい。」
ああ、アルちゃんはカッコいい時は本当にカッコいい。痛む足を引きずってアビドスの元へ走る。
「シルベちゃん!大丈夫ですか...!?」
「うん..っ...それより、戦うのはちょっと待って!他の勢力がこっちに来てるの!」
「他の?どういうこと...?」
『...!確認できました、3kmの位置に多数の擲弾兵がいます!みなさん回避してください!』
掠れ声であらんかぎり叫ぶ。
「便利屋のみんなも避けて!」
「えっ...?えっ...!?」
「アルちゃん!こっち!」
その瞬間、さっきまで私たちが睨み合っていた地点が大爆発を起こす。砲弾...!来たっ!風紀委員会だ!
――――
「ターゲットに回避されたようです。」
「ちっ...まあいい。砲撃を継続しつつ、歩兵の第二小隊まではゆっくり前進だ。」
「イオリ、あの方たちはどうしますか?」
「ん?ああ、向こう側の生徒?なんだっけ、アビドス?そんなの当然、公務を妨害する輩は全員敵だ。」
――――
「社長!ムツキ!ハルカ!奴らが来た!」
「奴らって?」
「うちの風紀の連中だよ!ここまで追ってくるなんて...!?」
「何...!?風紀委員会が便利屋を捕まえに来たってこと?」
『まだ分かりません...しかし私たちにとって友好的だとは判断しかねます!』
「確かに、攻撃範囲内には私たちもいた。」
「でも、ゲヘナの風紀委員会は、他校の公認武力集団や、便利屋のような部活とは性質が異なります!一歩間違えば、政治的な紛争の火種になるかもしれません!アヤネちゃん、ホシノ先輩は?」
『まだ連絡がつきません...!いつもならここまで連絡が取れないことはないのに..!』
ホシノちゃんは...黒服と面会中だろう。今すぐ駆けつけたいのは山々だが...戦力の問題以外はなるべく原作通りにしなければならない。私の作戦がボロボロになった時こそ、先生の大まかな道筋を辿るべきだ。
「歩兵第一小隊、発砲準備。」
風紀委員会が足並みを揃え、こちらに侵攻してくる。ヒナを抜けば大したことないとか言われちゃう風紀委員会だが、問題児ばかりのゲヘナ学園の治安を守る部隊なのだ。並の軍隊ではないだろう。
「...どうする?」
「このまま便利屋を引き渡す手もありますが...」
「学校のことを考えたら、戦う以外の選択肢はない。でも今は...」
『...そうです。アビドス内でゲヘナの風紀委員会が戦闘行為を行なうということは、既にアビドスの権利を侵害している状態だと言えます。ですがシルベさんが負傷をしている状態で...』
「私のことは、気にしないで。」
原作でも、キヴォトスでも1、2を争う軍隊を前にして、便利屋を引き渡すことなくたった五人で立ち向かう決断をした対策委員会。
彼女達は学んだのだ。学校を守るということが、ただ外敵を退けるとか借金を返すだけでなく...自分たちの思う『学校』としての形を取れることが一番大事なのだと。
きっとホシノちゃんはその信念を持っていたから、銀行から奪った一億円やノノミちゃんのゴールドカードを使うことを拒否した。そしてその精神は...他の対策委員会のメンバーにも伝わっている。
ここで私が撤退できない理由は、風紀委員会の協力を取り付けるため。だけどそれとは別に、この子達の理想への邪魔だけは...先生代理として、しちゃいけないと思う。
「戦おう、みんな。学校を守るんでしょ?私は大丈夫だから...」
「シルベちゃん...」
「...分かった。シルベ、無理はしないで。」
「よし、ちゃっちゃと風紀委員会を追い出してやろう!」
皆が戦闘態勢に入る。
「便利屋のみんな!私たちと協力して!」
「え?...だってさアルちゃん、どうする?」
「そ、それは...敵に手を借りるなんて、でも...」
事前にポケットに入れていた書類を渡す。端っこ焦げてるけどまだ読めるはず...
「これ契約書!」
「じゅ、準備がいいな...えっと...うーん、普段より相場は落ちるけど...」
「やるわよ!」
思ったより早い契約成立だ。ありがたいけど...
「金さえ貰えれば何でもする、それが私たちのモットーでしょ?」
「どうせ一緒に戦う理由を探してたんでしょアルちゃん。」
「違うわよ!」
そういうことか。さすがアル社長検定一級ムツキ博士、何でもご存じだ。
『...っ!三秒後砲撃来ます!』
「回避!」
こうしているうちにも便利屋目掛けて砲撃が飛んでくる。当然近くにいる私たちも危険だ。
大きく土煙が舞い、私たちの姿が隠れる。
「カヨコさん。みんなはこっそり包囲網を抜けて裏から強襲してくれる?」
「分かった。こちらとしてもそっちの方がやりやすいけど...そんなに信用していいの?そのまま逃げ出すかもしれないよ。」
「大丈夫、信じてるから。」
「そう...分かった。信頼には応えるのがうちのモットー...だった気がするからね。」
なんだったら原作でも、便利屋のみんなは依頼なしで助けてくれた。心配はいらないのだ。
「みんな...!便利屋と協力して風紀委員会と戦おう!」
「あいつらと...?まぁしょうがないわね、一時休戦よ!」
「ん...今は戦力が欲しい。」
「アビドスの生徒、戦闘態勢に入りました。」
「面倒だな...だが売られた喧嘩を買わないなんてことはしない。まとめて処理するぞ。」
風紀委員の第一小隊も戦闘態勢に入り...そしてついに、本格的な衝突が始まった。
―――――――――――――――
ひっきりなしに銃声と砲撃音が鳴り響く。
『二発です!着弾まで3...2...』
「よっ...と!まだまだ...!」
「お仕置きですよ〜!」
衝突が始まって数十分、今のところは...均衡状態といったところか。
原作では結構圧勝だったが...事前の戦闘をスキップしたことや、補給を万全にしたことによって、どうにか五分五分に持ち込めていると思う。
「...帰ってきた!ドローン!」
「うわあああ!?」
「なんだ!?」
ちょうど任務を終えて帰ってきたドローンを、そのまま風紀委員の列に突っ込ませる。こうも敵が多いと、大雑把な操作でも充分効果を発揮してくれるみたいだ。
「チッ...思ったよりしぶとい。面倒だな...」
「...?あのドローン、どこかで...」
「チナツ?どうした?」
「...!あの生徒は、サンクトゥムタワーの時の...!確かシャーレの所属になったと聞いていますが...」
砲撃が途切れる。それと同時に双方体制を立て直すため、もう一度睨み合いの姿勢に戻った。
「...シルベさん。」
「...久しぶり、チナツさん。この間はありがとね。」
チナツさんが申し訳なさそうな表情をしている。そんな顔しないで...悪いのは横乳行政官だから...
『アビドス対策委員会の奥空アヤネです。所属をお願いします!』
「そ、それは...」
『それは私から答えさせていただきます。』
睨み合いの中で、新たな声が響き渡る。この声は...
『通信...?』
『こんにちは、アビドスの皆様。私はゲヘナ学園所属の行政官、アコと申します。』
この作戦の元凶、アコちゃんのお出ましだ。
ただ今150連目。ナギちゃんどこ...?ここ...?(溜まったモモトークを消化しながら)