先生の居ないアーカイブ   作:ヒオルカ

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ヒャア我慢できねぇ番外編投稿だ




幕間
シャーレの噂


 

 

「そういえば、ご存知ですか?この学園に、『シャーレ』という部活に所属している生徒がおられるみたいでして。」

 

「『シャーレ』...ですか?」

「はい!私、知っております。連邦生徒会関連の組織らしくて...しかも、その生徒は一年生だとか!」

 

少女たちは落ち着いたテラスで紅茶を飲みながら、噂話に花を咲かせる。

この学園の、一般的な放課後の過ごし方だ。

 

「まぁ...それでは、一年で連邦生徒会に?優秀な方ですのね。」

「...しかし、『シャーレ』というのは、一体何をする部活動なのでしょうか?」

 

「えっと、私が聞いた話では...勉強を教えているとか、虐められていた生徒を助けた、というものでした。」

「ええ、私も聞いたものもほとんどがそう言った内容です。そのお方が一年生ということもあって、ティーパーティーや正義実現委員会に頼ることを躊躇う新入生等が、悩みを相談しやすいのだとか。」

「本当にそうであれば、良いことですね。しかし、一年生で連邦生徒会に所属とは...何か事情でもあるのでしょうか?」

 

このトリニティという混沌とした学園で起こる様々な噂は、彼女たちを飽きさせることがない。

 

「...一つ、悪い噂が。覆面姿の邪悪なる悪の親分を崇拝していて、その親分にトリニティ総合学園を献上するため潜入しているというものが...!」

 

「......」

「......」

 

「うふふ。いくらなんでもそれはありませんよ。」

「ふふふ、そうですわよねぇ。まさかそんな。」

 

噂の真偽に大した意味はない。お茶菓子の代わりになるのであれば、ちょっと突飛な噂もスパイスの一つだ。

 

「その方はどこの派閥なのでしょう?やはり対外業務に積極的な──

「いえ、ここは優秀な生徒が多く集まる──

 

紅茶の進む彼女たちのお茶会は、隣を冷や汗かきながら通り過ぎる一年生を尻目に、楽しく開催されていたのでした。

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

「きえええええええっ!」

「っ...!」

 

トリニティ総合学園の放課後は、ゲヘナ学園のよりかは比較的穏やかである。

もっとも、火種さえあれば...普段穏やかな部活も一変して大騒ぎを起こすこともあるが。

 

「くひひひっ...!ぎゃああああっ!」

「ぐうっ...!?うおっ...!」

 

そんなある日の放課後。トリニティが所有するとんでもなく大きなグラウンドの片隅では、土煙と共に...何かがぶつかり合う大きな音を、ここ数週間ほど響き渡らせていた。

 

「お疲れ様です、ハスミ先輩...あ、今日もいらしてたんですね、シルベさん。」

「お疲れ様です、マシロ。ええ、ただ今記録更新です...あ。」

 

一際大きな音が響き渡り、そして静寂が訪れる。

 

「どのくらいでしたか?」

「十一秒です。前回より二秒も長く持ち堪えられましたね。」

 

土煙が晴れると、そこから銃を突きつけられた彼女が姿を現す。

 

「凄いですよね。ツルギ先輩との戦闘訓練を、ここのところほぼ毎日だなんて...先輩は、確か以前シルベさんにお会いしたことがあるとか?」

「ええ、D.U.で発生した事件の際に少しだけ。しかし戦闘に意欲的な方には見えませんでしたので、正義実現委員会の訓練に参加したいと頼まれた時は驚きました。」

 

「くひゃぁぁぁ...きひひ...」

「ありがとうございました!ツルギさん!」

 

先程まで銃を突きつけられていた彼女は、にこやかな表情で頭を下げている。

 

「私はドローンを使用した戦闘には詳しくありませんが、彼女の戦闘技術は向上しているように見えます。本気ではないとはいえ、ツルギの攻撃を十一秒も防いでいるのですから。」

「おお...私も正義実現委員会のメンバーとして、負けていられませんね。」

 

彼女はもう一度礼を言った後、駆け足で去っていく。

 

「おかえりなさい、ツルギ。今日の彼女はどうでしたか?」

「くひ...ちゃんと強く、なってる。弾をドローンで防ぐ角度も、考え始めた...」

 

...ツルギの攻撃を何発受けても傷一つ付かないあのドローンも、とんでもない技術のように思える。少なくとも、トリニティ総合学園の壁より何十倍も硬い。

 

「それに、あの子...私のこと、怖がらない。優しい...ぎひひひひ!」

「そうですね。この間もいじめ事件の解決に協力してくださいましたし。」

「ええ。素晴らしい生徒であることは間違いないでしょう...そろそろミーティングを始めましょうか。」

 

こうして放課後の、正義実現委員会の活動が始まる。

 

銃器や爆弾に溢れかえる、このキヴォトスに存在するマンモス校の平和は...正義を胸に生きる彼女たちの活動によって、かろうじて維持されるのであった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

.........

 

 

「...うわ。」

「またサボりかい?」

 

校舎裏。どこで聞きつけたのか、またアイツが現れた。私のサボりスポットは減少の一途を辿るばかりだ。

 

「そうだよ。先生だって、私なんかに構うのは時間の無駄だと思わない?サボってるのと一緒。」

「...大事なことだよ。」

 

何が大事だというのか。授業なんて、あんなもの将来の役になんて一ミリも立つ気がしない。

 

「授業なんて出たって意味ないでしょ。何に使うのさ。」

「...君が今、他にやりたいことがあるならいいんだ。学生のうちは、あるんだったらそれをするべきだと思うよ。」

 

「......」

「授業は、将来のための練習なんだ。君が将来、自分の選択肢を狭めてしまわないためのもの。意味がないと感じるような世界にも、一度だけでも手を伸ばせるように。」

 

「...意味分かんない。」

 

飲んでた缶ジュースを放り投げる。

 

...ゴミ箱に入ってしまった。入れるつもりなんて、なかったのに。

 

「どこに?」

「...授業、出ればいいんでしょ。サボるの飽きてきただけだけど。」

 

「よかった、ありがとう。」

「うるさい。」

 

本当にうるさい人。頭の中で反響して、止まない。

 

......

 

――――――――

 

 

「──さん。シルベさん。」

「ふぁ!?」

 

あまりにもキュートなボイスで目が覚める。

いつの間にやら図書館で寝てしまっていたようだ...

 

「そろそろ閉館時間なので...」

「あ、ごめんなさいシミコちゃん。すぐに出るね!」

 

最近ちょっと根を詰めすぎただろうか。でも、いつ必要になるかわからない。早めに始めておくに越したことはないだろう。

 

「あの、大丈夫ですか?ここのところ毎日、図書館で閉館時間まで勉強されてますけど...」

「え?う、うん。平気平気。次のテストでは一位でも目指そうかなってね。」

 

教科書を片付けて鞄にしまう。

 

「じゃあね、シミコちゃん。起こしてくれてありがとう!」

「はい。気をつけてお帰りください。」

 

すっかり暗くなった帰路に着く。

 

そういえば...なんだか懐かしい夢を見ていた気がする。

 

先生、今何してんのかな。あれだけ私につきまとっておいて、転任するときに挨拶の一つもないんだから...勝手な人だ。

 

...もし、私が何かの拍子で元の世界に戻るようなことがあったら。

きっと今の私の経験を一番に話したくなるのは、先生だ。

 

 

ね、先生。まだ教員免許は取ってないけど、なんか先生代理とかやってるよ。

分からないことだらけだし、上手くいかないことも多いけど...いろんな人に支えられて、今ここに立ってます。

 

私、絶対立派な先生になってみせるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ元の世界とか戻る気ないんですけどね!ブルアカ世界最高!

 

 

 





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Vo.2 時計じかけのパヴァーヌ編は...

  • やるべき。
  • やらなくてもいい。
  • あっち向いてホイをやるべき。
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