先生の居ないアーカイブ   作:ヒオルカ

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22(エデン条約編1話)、23、27話(前回)の対ミカ感情を上方修正しました(?)




迫り来る

 

 

 

「あ、シルベちゃん!」

「ごめんね、ちょっと遅くなっちゃった。」

 

 

どうにか校舎に戻ってこれた。お腹は痛むが、抱えてたC4爆弾が大爆発した時に比べたらまだマシかも。

 

とりあえず、バレないようにしよう。

 

「いえいえ...!あ、ところで見てください!こちら、ちょうど先ほど受けた模試の結果です!」

「お、見せて見せて〜。」

 

 

 

第二次補習授業部模試、結果――

 

ハナコ―8点

アズサ―57点

コハル―54点

ヒフミ―62点

シルベ―98点

 

「...紙一重の差だった。」

「はい!今回は本当に紙一重でした!アズサちゃん、すっごく惜しかったです...!」

「み、見た!?シルベ、私も結構上がったよ!?」

「さっすが!前回から急成長だね。」

 

画面の前でもみんなの成長に感涙したものだが、実際に勉強を共に頑張った身としては...もう涙で溺れそうなほどだ。

 

 

「そして、えっと...は、ハナコちゃんは...」

「あら?ヒフミちゃん、どうしてそんな声量が下がってしまうのですか?」

 

何はともあれ、みんな頑張ってくれた。ハナコちゃんだって、他の子に教える時はちゃんと真面目に教えてくれる。

 

こっちは、大丈夫かな...補習授業部は、原作通りに進んでくれると良いんだけど...

 

 

 

 

 

 

「...シルベさん?そのお怪我は...どうされたんですか?」

 

 

 

!?ば、バレた...っ!

 

 

「あ、えっと...!さっきそこで派手にすっ転んじゃって...はは...」

 

見た目的にはそれほどではなく、ちょっと擦り傷が見えるくらいなんだけど...ハナコちゃんの観察眼には参るね...

 

「お怪我を...?だ、大丈夫ですか!?」

「救急箱、持ってきたわ!」

「もしかして襲撃にあったのか?大丈夫、準備はしてある。」

「いやぁ、その、ほんと擦りむいただけだから...!」

 

こ、この良い子ちゃんズめ...平気!平気だから!

 

 

とにかく、どうにか彼女らの追及をかわして、勉強に入る。ただでさえ先生がいないんだから、みんなの勉強の邪魔になるような...余計な心配はかけられない。

 

 

 

 

ふぅ、今朝はちょっと...色々ありすぎて、疲れたな。

 

 

 

 

「......」

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

合宿4日目の夜。

 

今日もヒフミちゃんとの夜の密会だ。

と見せかけて、実は水着姿のハナコちゃんが来るんだったっけ。

 

...あれから、ミカちゃんとは連絡が取れない。

 

今だって何をするべきだったのか分からないけれど、私は最大のチャンスを逃したのか...?

 

.......

 

 

「...ああ、もう...っ!」

 

パシンと頬を叩く。

 

いつまでもウジウジしてるな!私の行動に、みんなの未来がかかってるんだ!

いくらでも後悔はある。でもそれを引きずっていたって何にもできはしない!

 

ここから取れる一番いい選択肢を考えろ...!大きな未来は変えず、ほんの少しでも、彼女の心を守れるような手は...!

 

 

 

コンコン

 

 

 

...!あ、これは...ハナコちゃんが来たのかな?

 

...切り替え!します!

このシーンも補習授業部の今後を左右する重要な場面なんだ。今連絡が取れない以上、きっとミカちゃんには二章最後にしかもう会えない。なら、今やるべきことに全力を尽くすべきだ!

 

「どうぞ...!」

「...失礼します。」

 

無理矢理にでも気持ちを切り替えドアを開け───

 

 

 

「こんばんは、シルベちゃん」

 

「うお...!こここんばんは!」

 

 

 

っていくらなんでも切り替わりすぎ!

この心理状況からの水着ハナコちゃんとのタイマンは風邪引くって!

 

 

「ああ、これについてはお気になさらず。パジャマなので。」

「き、気にしない訳には...!」

 

目線が下に行ったり上に行ったり...

 

「...ねえ、シルベちゃん?」

「...?」

 

「水着姿になるのって、自分の殻を破るような...とても開放的な気分になって気持ちがいいんですよ?」

「は、はぁ....」

 

さいですか。

 

「新しい景色を体験する...それもまた、補習授業部に課せられた使命の一つと言えるのではないでしょうか。」

「えーっと....?」

 

そう言って彼女は私の服を掴む。

 

 

 

......?

 

 

 

「という訳でシルベちゃん?一度未知の世界を冒険してみましょうか♡」

「!?....ちょっ!?」

 

え、何この展開!?知らない!私知らないよ!?

 

「うふふ、恥ずかしがらなくても良いんですよ?ここには私と二人だけなのですから...♡」

「ま、待って!いやその!だ、だめ...!」

 

そのまんま優しく押し倒されてしまう。

そして眼前に広がる母なる海のようにおおらかなBust。

もうこのまま全てを委ねてしまってもいいか...

 

って良くない!見られる!乙女の恥ずかしいところが!あと意外と残ってる傷跡とか!うおおおっ───!

 

「し、失礼します...シルベちゃん、いらっしゃいますか?」

 

 

あ。

 

 

「...え。」

「...あら。」

 

ヒフミちゃんの目には、ベッドの上で絡み合う二人。

 

「......」

「......」

「............」

 

水着姿のハナコちゃんと...服を乱した私。

しかも揉み合う内に私がハナコちゃんの上に覆いかぶさって――

 

 

 

「本当に失礼しましたぁ!?ご、ごめんなさい!私、そんなこととは知らずに...!ぜ、全然知らなかったんです本当です!?え、シルベちゃんってそういう...!?」

 

 

 

もー!私女の子だからこの展開は回避できると思ったのに!なんでぇ!?

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

「なるほど、ヒフミちゃんもシルベちゃんに相談を...」

「はい、ハナコちゃんも...で、でもどうしてあんな状況に...!?」

 

どうにかヒフミちゃんを落ち着かせて、話をする。ハナコちゃんはちゃんと着替えさせました。

 

「それは...」

「...その!私がまた転んじゃって!それでハナコちゃんの上に...!ははは...」

 

とりあえず...理由はよく分からないが、ハナコちゃんは何もなしにこんなことをする子ではない。......ないかな?

でも一章冒頭ではコハルちゃんにじっとりと迫ってたような...

 

「で、ですがどうして水着で来るんですか!?パジャマが水着ってどういうことですか..!?」

「心が落ち着くんですよね。ですので私は、礼拝堂での授業にも水着で参加しましたよ?一度もっと、色々と柔らかく考えてみましょう♪」

 

柔らかすぎです、ハナコちゃん。色んなのが。

 

「そ、それでハナコちゃん。相談っていうのは...?」

「...はい。アズサちゃんの件なんですが。」

 

とりあえず、ハナコちゃんにはこの話をしてもらわなければならない。今後のためにも、これは必須イベントだ。

 

 

―――――――――――――――

 

 

ここでのハナコちゃんの相談というのはこうだ。

 

毎晩アズサちゃんが夜に抜け出してどこかへ行っている。彼女が夜にちゃんと寝ているところを見たことがないし、何か不安を抱えているように見えると...

 

「このままですと、いつか倒れてしまいます。確かに試験も大切ですが、ただ落第というだけです。身体の健康と比べられるようなものではないと思いませんか?」

 

「...普通だったらそうかもしれません、でも...」

「ヒフミちゃん...?」

 

「ただ落第で済む話ではないんです...!あと二回、どちらも試験に不合格だったら、一年間特別校舎でずっと暮らすことになるんです!」

 

一年間。退学よりはマシかもしれないが...それでも、私たちの青春にとっては、あまりにも大きな犠牲と言える。

 

「一年間特別校舎に...?そんなこと...いえ、トリニティの校則では...かなり強引な解釈になります。どうしてそこまで...?」

「それはね――」

 

ハナコちゃんに、ヒフミちゃんがナギちゃんに聞いたことを全て伝える。

 

 

.........

 

 

「なるほど、そうだったのですね。この強引な手は、別の目的のため...」

「...そ、そういえば、ハナコちゃん、本当は成績良いんですよね!?一年生の頃に、三年生の難しい試験まで全部満点でしたよね...!?どうして今はあんな点数を...?」

「...ごめんなさい、知らなかったんです。失敗したら、落第だけではないなんて...」

 

彼女は悲しげな表情を見せる。

ハナコちゃんが入学してからどのような気持ちで過ごしてきたのか。私には...断片的にしか分からない。

 

「ごめんなさい、ヒフミちゃん、シルベちゃん。ヒフミちゃんの言った通り、私の点数はわざとです。」

「や、やっぱり...!?ハナコちゃん、どうしてそんなことを...?」

「...ごめんなさい、言えません。」

 

彼女の苦しみを解することは、きっとできないだろう。でも、それを打ち明けて...手をとってくれる人が彼女には必要だ。その友達は、もう揃っている。

 

「ですが、それでみなさんが被害を受けてしまうのは望むところではありません。最低限皆さんが落第にならないよう、今後は頑張りますので。」

「...ありがとう、ハナコちゃん。」

 

とりあえず、これで彼女の点数は問題ないはずだ。後はアズサちゃんとコハルちゃんの点数を上げれば...

 

「...とにかくアズサちゃんとは、後でもう少しお話しをしてみた方がいいかもしれません。その他についても幾つか、私の方でも確認してみます。」

 

その後は彼女の推理によって、この部活がエデン条約を壊そうとする裏切り者を見つけるためのものであることや、ナギサちゃんが主犯であること、各々の疑われた理由などがバッチリ明かされた。

 

「はい、何か分かりましたら、教えてもらえると嬉しいです。」

「分かりました。ということは私も深夜の密会に参加させていただけるということでよろしいですか?うふふ、嬉しいです♡」

「そ、その言い方はちょっと...」

 

こうして流れが原作通りになったのを確認したところで、今夜の密会は解散となった。

 

 

 

 

 

いや、結局なんで私脱がされかけたの!?

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

今朝。

 

シルベちゃんが顔に擦り傷を付けてきました。

そのことに気づいて声をかけると、分かりやすく狼狽えながら...そこで滑って転んで、ほっぺたを擦りむいただけだと。

 

しかし、背中と腹部に擦ったような汚れがついています。

 

お腹と背中...二回転んだ?しかし、転んでお腹に汚れが付くものでしょうか?

 

良く見てみると、少し足取りも変です。息を切らしているのは......遅れそうになったからだと思いますが、少しふらついています。

 

 

何か隠しているのでしょうか。例えば...いじめられている、とか。

彼女がいじめを解決した、みたいな話はよく聞くので、その線は薄いでしょうけれど...

 

とにかく彼女の怪我は、見た目だけではないように思えます。

 

...そういえば、着替えの時も、水着になった時も...彼女は決して肌を見せようとしませんでした。

 

夜に眠れていない、アズサちゃんのこともあります。補習授業も大切ですが、このまま継続していいものなのか...少し、確かめる必要があるかもしれません。

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

シルベちゃんとヒフミちゃんとの密会を終える。

 

補習授業部は、思ったよりも複雑な事情のもと作られた部活動でした。

裏切り者...容疑者....エデン条約...

これは、私の個人的な事情を押し付けていい場面ではありません。明日からはしっかり60点以上を取らなければ。

 

それと...結局、シルベちゃんの怪我については聞くことができませんでした。

 

手遅れになる前に強引に確認しようと、彼女に迫ってみましたが、ヒフミちゃんが来てしまい...

流石に彼女の前でというのは、隠しているシルベちゃんにとって良くないことでしょう。しかし、このまま放っておく訳にも...

 

...それにナギサさんが、きっとこのまま私たちを解放してくれるとは思えません。

 

なにか...出来ることはあるでしょうか?

 

 

 

 





私事ですがTwitterを始めました。
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しばらくは様子見で弄る感じですが、フォローやメッセージ等いただけると大変嬉しいです!

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