「では記念すべき第一回、補習授業部の水着パーティーを始めます♡」
「あうう...」
「......」
「なんで、どうしてこんなことに...」
翌日。私は四人の水着集団に囲まれていました。
私も水着です。
....この出だし多くない!?
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「.........」
別館にあるパソコン室で、トリニティのデータベースを漁る。
欲しい情報は...昨日の朝ミカちゃんに起きた異変について。
『ヘイロー』 『異常』 『色』.....うーん...
残念ながら、ここからアクセスできる場所には、それらしいものはなさそう。
うーん、古書とかだったらどこかに手がかりあったりしないかな...
でもウイちゃんの連絡先は持ってない。案外彼女と会うのは難易度が高くって...
...あの現象に関する情報はあまりにも少ないけど、あの行動が彼女の自発的なものではないということだけは分かる。
じゃあなんだ...?精神干渉...洗脳...催眠...サツキちゃん?
冗談は置いておいて。やっぱアレか、ゲマトリアかな。
エデン条約編で主に行動したゲマトリアは二人。『ベアトリーチェ』と『ゴルコンダ』だ。
やるとしたら、『ベアトリーチェ』か。あの悪辣で卑劣な大人ならば、何をやったとしても不思議じゃない。新しい『秘儀』でも手に入れたんだろうか...
もしくは...やっぱり、この世界に私がいる、ということ自体が...何か問題を引き起こしている可能性はあるかも...
「た、大変ですシルベちゃん!」
思案していると、突然ヒフミちゃんが部屋に入ってくる。
「...!ど、どうしたの...!?」
ま、まさか...ミカちゃんに起きたあの現象が、みんなにも!?
アレが私以外にも働く可能性は十分にある...!とにかく止めないと...!
「せ...洗濯物が!」
「......あー。」
あ、水着パーティーか...忘れてた。
ということはこの後停電かな。じゃあ調べものは一旦切り上げて、みんなと合流しようか...
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「こうとなっては、パジャマパーティーならぬ水着パーティーくらいしかすることはありません♡」
「あうぅ...な、何か他にもありそうな気はしますが...」
洗濯物を事前に取り込んでおく選択肢もあったけど、やめておいた。
「っていうか待って!流されないわよ!?水着パーティーってなんなの!卑猥!」
「あら、ですがこういう時間こそ合宿の花だと思いませんか?」
全くもってその通り。水着パーティーも青春の1ページだもんね。
「みんなで寄り添って、お互いの深い部分をさらけ出し合う...雨も降ってる上に停電で何も見えませんし、雰囲気は最高です!」
「あはは...た、確かに合宿の定番という感じはしますね。」
「なるほど、それがこの水着パーティーか。」
真っ暗なので、みんなの姿はほとんど見えない。だからこうして水着に囲まれても問題ないというわけですね。
...いや、なんだろう。見えないのに、水着のみんなが周りにいるという情報だけでドキドキしてきた。ダメじゃん!
「ふふっ♡私こういうこと、すっごくしてみたかったんですよね。なので、ちょっとテンションが上がっていると言いますか...」
「ハナコちゃん、楽しそうだね。」
「気持ちは分かる。私も何なら、補習授業部に入って以来ずっとそういう気持ちだ。」
その才能ゆえに、普通の学生生活を欲したハナコちゃん。
その境遇ゆえに、普通の学生生活を知らずに生きてきたアズサちゃん。
この補習授業部は、彼女たちの人生にとって必要なものを、与えてくれる。
「あら、そうなんですか?」
「うん。何かを学ぶということも、みんなでご飯を食べることも、洗濯も掃除も、その一つ一つが楽しい。」
「あら...♡」
...ミカちゃん。どんな想いがあったとしても、あなたが手を引いてきたアズサちゃんは、こんなにも楽しそうに過ごしているよ。
「コハルと一緒に勉強するのも楽しい。」
「急に、何でそんな恥ずかしいことを!?ま...まぁ、私みたいなエリートと一緒に勉強して、タメになることは多いと思うけど?」
「アズサちゃん...最初はあまり表情の変化も読み取れなくて心配でしたが...良かったです。」
「うん...うん...よがっだねぇ...」
「...あれ?シルベちゃん?」
最近涙腺が弱くてねぇ!
「勿論ヒフミも、シルベもだ。本当にいつも世話になってる。ありがとう。」
「あ、アズサちゃん...!うわーん!」
追撃を受け、二人して号泣した後も...補習授業部は、話に花を咲かせる。
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「そういえば、今トリニティのアクアリウムで、『ゴールドマグロ』という希少なお魚が展示されているらしいですね。」
「あ、それ私この間見に行ったよ。強奪される前に」
「そうなんですか...?どんな感じでした?」
「めっちゃ光ってたよ。光を反射させて、それで獲物を怯ませて捕食するんだって。それで入場前にサングラス配ってて...あんなのが海にいるんだね。」
「海か...そういえば一度も行ったことないな。」
「そうなんですか!?一回も...!?」
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「それで、とっくに潰れたアミューズメントパークなのにも関わらず、夜になると何やら騒がしい音が聞こえてきて...」
「そ、そんなわけないじゃん!聞き間違えよ!」
「ふふ、コハルちゃん...?赤いトランプが舞うのを見たら、気をつけてね...?」
「な、何!?具体的なアイテム出さないでよ!?」
「あはは...暗いですし、雰囲気はバッチリですね...」
―――――――
「水着で街や学校の中を歩くのは別に、そこまで変なことではないですよ?」
「そんなわけないでしょ!?勝手に常識改変しないで!」
「ですが、これはシスターから聞いた話ですが...どうやらキヴォトスの無法地帯では、水着姿で覆面を被っている犯罪集団があるらしいですよ?」
「み、水着に覆面...!?ど変態じゃん!何それ!?」
「............」
「............」
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「...とにかく、もっとしっかりと寝たほうがいいです。深夜の見張りは減らしていただいて。」
「見張り...?何それ?」
「...ごめん。実は見張りは言い訳で...ブービートラップとかを設置していたんだ。」
「ブービートラップ...?」
「なるほど...ですが、それならそれで教えてくれると嬉しいです。どうしても、心配しちゃいますから。」
「...そうか。うん、これからは気を付ける。私のせいで、みんなが被害を受けるのは望むところじゃないから。」
「アズサちゃんは優しいね...ずび...」
「...シルベ...な、泣かないで。私は別に、そんなのじゃない。」
「だって、この世界は、全てが無意味で、虚しいものだ。だから、もしかしたら...私はいつか、裏切ってしまうかもしれない。みんなのことを、その信頼を、その心を。」
「......?」
「........」
電気がつく。うわぁ水着!!!
「うん。じゃあ第一回水着パーティーはここで閉幕か。二回目も楽しみにしてる。」
「二回戦とかないから!こんなの最初で最後だから!」
是非ともまた、やろうね。今度は水着耐性をもうちょっと付けてから...
――――――
こうして、思わぬトラブルに見舞われた合宿四日目は終わ...
りません!
ハナコちゃんの鶴の一声により夜のお散歩が決定。
我々はまたもや、無断での合宿所脱出を敢行したのであった。
「うふふ...♡どうですか、もうすでに楽しくないですか?禁じられた行為をしているという背徳感、そしてみんなで一緒にやっているという安心感...!」
ハナコちゃん、楽しそうだ。
私も、グレて深夜に出かけるようになった当初はちょっとワクワクした気がする。
それに今は、友達が一緒だ。
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「襲撃...ゲヘナの風紀委員会ですか!?それとも万魔殿がついに本性を...!?」
その後は原作通り、夜の街をお話しながら歩いて...ダイエットの誓いを破戒中のハスミちゃんと遭遇。
この展開を避ける...のはできません。ごめんハスミちゃん!
大丈夫だよ高校生なんだから深夜パフェくらい...!
いや、三つはどうかな...
『落ち着いてほしいっす先輩。とりあえずゲヘナの風紀委員会ではなく...あ、今情報が入ってきたっすね。えーっと...どうやら正体はゲヘナのテロリスト集団『美食研究会』らしいっす。」
美食研究会。
彼女達のモットーは...
普段はいい子達なのだが、食に関することではちょっと...はっちゃけてしまう、ゲヘナ随一のデンジャラス部活動だ。
「ところで先輩、今どちらです?早くご命令頂かないと、このままだとツルギ先輩が発射...飛び出しちゃいそうっすけど。」
「つ、ツルギはとりあえず止めてください。私はその、私用で少々外に...」
ここでエデン条約編初めての戦闘が始まる。
多分、ここは大丈夫だと思う。苦戦している描写もなかったし、何より正義実現委員会...もっといえばツルギちゃんが居るのだ。
遠くから...トリニティの壁が粉々になる、頼もしい音が聞こえる。
「...みなさん、突然のことですみませんが、力を貸していただけないでしょうか?」
さて、久しぶりの実戦だ。訓練はしてたけど...少しでもカンを取り戻そう。