感想、評価めちゃくちゃ嬉しいです。どのくらい嬉しいかというと、ドロップ率三倍期間に持ってない星三キャラの神名が三回ドロップした時より嬉しいです。
無様に横たわるドアくんを踏みつけ、煙の中からワカモちゃんが部屋へと入ってくる。
「あなた。こんなところに逃げ込むなんて……やはり連邦生徒会の犬でしたか?」
「ひぃ!私は……その、違くて……!」
後ずさるも逃げ場はないし、逃げ切れもしない。頼みの綱であるシッテムの箱は無機質な文字列を示すばかり。
万事休すとはこのことか。立ち向かったとしても一捻りだろう。
「あなたが犬なのでしたら、手に持ってるソレが…連邦生徒会にとっての大事なもの、ということですね?」
「っ……!こ、これはっ」
ま、まずい!確か原作では、どこから壊したらよいかを彼女は悩んでいたはずだ!私のせいで悪化してしまうかも……!
「み、見逃してくれない?」
「無様にそれを置いて逃げるというのであれば、考えて差し上げます。」
今度こそ逃れる術のない銃口がこちらを向く。も、もうダメか...?
と、考えたその瞬間。
クラフトチェンバーが音を立てて駆動し始めた。
「なんです……?」
クラフトチェンバーが何かを作っている……!?
「っ!」
全力でクラフトチェンバーへと駆け寄り、即座に排出されたそれを起動させる。これは……
ドローンだ!
ぱっと見でどこ製っぽいとかは分からないが……アロナちゃんが作ってくれたのだろうか?今クラフトチェンバーを動かす事ができるのは彼女だけだけだろう。
きっと今はこれだけが頼りだ。
「チッ……!」
クラフトチェンバーから発進したドローンは縦横無尽の軌道で銃弾から私を守ってくれる。彼女の隙をついては体当たりをし、ワカモちゃんの銃口がこちらを向くと共に私の前に割って入る。
「厄介なものを……」
「あ、諦めてくれない!?ワカモさん!これ本当に大事なものなの!」
「では……こうしましょうか」
彼女の銃がこちらに向き、ソレを防ぐためドローンが私との間に入った時、彼女は銃口を逸らし……
クラフトチェンバーに向けた。
「……!?まずっ───!」
「それが出てきたこの装置も、大事そうですわね?」
その引き金がクラフトチェンバーに向けて引かれるその瞬間。
彼女が大きく回避行動を取った。
「災厄の狐を発見しました!」
「追い詰めたわよ!もう逃さないんだから!」
「……!一般生徒がいるようです。彼女の安全を確保を。」
「そこの方、お怪我はありませんか?」
ドアが吹き飛んで既に全開となっている入口から、さっきまでワカモちゃんが立っていた場所に銃弾が飛び込み……その数秒後、四人の少女達がこの部屋に突入してくる!
彼女達は……!
「……はぁ、まあここまでにしておきましょうか。十分暴れましたし、そろそろお暇します」
そう言うとワカモちゃんは銃剣を真上に向け、天井に大きな穴を開ける。撤退してくれるのかな……?
彼女は開けた穴へと大きく跳躍、そのまま姿を眩ませた。
「あ、ちょっと!はぁ、また逃げられちゃったじゃない……」
「撤退するようですし、深追いする必要はないでしょう。目標であるシャーレの奪還には成功しました」
彼女達は……ユウカちゃん、ハスミちゃん、チナツちゃん、スズミちゃん!
この四人が来たということは、やはりこれはプロローグで。
何故か遅れていたが、ようやく先生が来てくれたということだ。
「トリニティの一般生徒……?大丈夫ですか?正義実現委員会、副委員長のハスミです」
「あ……」
何とかなった……もう何度ダメだと思ったことか。
これで原作と合流だ。あとは先生に任せれば、万事うまくいく───
「あう……」
「大丈夫ですか!?しっかり!」
安心感からか、体から力が抜ける。もうなんか全身痛いし。そのまま床ペロロ……するところを、柔らかいものに抱き止められる。
……!?
「チナツさん、彼女を見てあげてください!」
「はい!……大きな傷はないようですね。まずは安静に……」
「まあ仕方ないわよね、七囚人と相対したんだから。代行、この子は連邦生徒会の?」
『……いいえ、うちの所属ではないようですが』
そのまま流れるように膝の上に頭を乗せてもらう。
ま、前が全然見えない!これはまさかハスミちゃんの膝枕!?何かが視界を完全に塞ぎ全く彼女の顔を全く拝むことができない!
ああ...絶......景..........
私はそのまま、あっけなく意識を手放した。遅刻なされた先生よ、あとはよろしく。
―――――――――――――――
「……あ」
目が覚める。実際気絶から目覚めて「知らない天井だ……」って呟けるほど頭は働かないものだ。
「お目覚めですか」
「あ!り、リンちゃん……!?」
だがお目覚め一発目に美少女が現れれば脳はフル稼働する。人間とはそういうものです。うわーっリンちゃんだー!
一見キツイ感じのお姉さんだが最終章では随分な苦労人であることが分かった連邦生徒会長代行の彼女。今日もメガネがとってもお似合いです!
「……リンちゃん?」
「ああいや、すみません。えっと、ここは……?あの後どうなりました?」
このまま一生リンちゃんを眺めていたいけど、今の状況も気になる。
「ここはシャーレの休憩室です。あの後倒れたアナタをこちらに運び、ユウカさん達とともに残存した不良生徒の撃退をしました。現在はサンクトゥムタワーの復旧作業を行なっています」
大きく息を吐く。
とりあえずシッテムの箱とクラフトチェンバーは守り切れたみたいだ。良かった……
「ところで、アナタは?」
「わ、私はトリニティ総合学園一年生の一色シルベです。ありがとうございます、助けてもらっちゃって」
「いえ。ただ、どうしてここに?それに……シッテムの箱を持っていたようですが?」
……やべ。
どうしようかな。未来を知ってますなんてことは言えないし……
「れ、連邦生徒会長に聞いたんです!ここに大切なものがあるって!」
「生徒会長に?」
苦しい言い訳かもしれないが、連邦生徒会長は行方不明だし……何とかなるよね?
「そうですか。ではこれは?」
彼女がこちらに見せてくれたのは、シッテムの箱。その画面には無機質な文字が表示されていた。
『仮認証モード起動中』
仮認証?なんだろう、先生じゃない私が使ったからかな……
「サンクトゥムタワーの制御を取り戻すには、これを使うのが一番早いのですが」
「それも生徒会長にパスワード教えてもらってて……せ、先生に見せれば大丈夫だと思います。先生が正式な使用者なので」
なんか私のせいで連邦生徒会長のセキュリティ意識が爆下がりしている気がする。ごめんなさい。
そういえばサンクトゥムタワーの制御権奪還もアロナちゃんがやってくれたんだったか。その辺も頼めばささっとやってくれるはずだ。
「先生?トリニティの教員ですか?」
「え?いや、シャーレの先生ですよ。大人の……」
「…-?そのような方はおりませんが」
…-え?
「……え?先生、居ないんですか?先生がここまで連れてきてくれたんじゃ?」
「いえ、ここには我々だけです」
先生が居ない?そんなはずはない。『ブルーアーカイブ』のプレイヤーが。
だって、先生が居なかったら、誰がこの世界を救うんだ?
「起きられましたか。体調は大丈夫ですか?」
「ち、チナツさん!あの、先生は!?」
「先生……ですか?すみません、存じ上げませんけれど……」
……嘘だ。
先生が来ない。連邦生徒会長も居ない?
そんなこと、あっちゃいけない。
「代行ー?サンクトゥムタワーの制御権だけど、ちょっと難しいかもしれないわ。うちのヴェリタスに頼んでもできるかどうか分からないレベルよ?」
「そうですか、困りましたね……」
そうだ、先生はキヴォトスに来るのが遅れているんだ。キヴォトスの外には先生がいるはずで、そのうちきっと来てくれる。
じゃあその間、アビドスは?アリスは?スクワッドは?
誰が守るんだ?
「とりあえずシルベさん。体調が大丈夫のようでしたら、お家に戻られた方が良いかと。スズミさん、彼女をトリニティに……」
「あ、あのっ!リンさん!」
誰が───
「私が、シャーレの先生……やりますっ!」
「……はい?」
―――――――――――――――
「はぁ……」
「昨日は何があったの?喧嘩でもした?」
ため息を吐く。シャーレから自警団のスズミさんに寮まで送ってもらった次の日。
勢いであんなことを言ってしまったが、当然私がシャーレの先生なんて務まるわけがない。でも、せめて先生が来るまでは誰かが繋ぎをやらなければ...失うものが多すぎる。
「いや、ちょっと不良の抗争に巻き込まれちゃって」
「そっか、なんかあったら私を呼びなよ。私その……結構強いから」
知ってます。トリニティの不良達を震え上がらせる元スケバン、キャスパリーグさん。
とりあえず昨日は、トラブルで限定のお菓子は買えなかったと言っておいた。もちろん責められることなんてなかったし、心配もしてもらって申し訳ない気持ちだ。
……携帯が鳴った。画面を見ると、リンちゃんからの着信だ。
「ごめん、ちょっと電話出てくるね」
「うん」
廊下に出て電話を繋ぐ。十中八九、昨日の件だろう。
「もしもし、一色です」
『連邦生徒会の七神リンです。先日のシャーレの件でお電話させていただきました』
「は、はい!」
シャーレ……どうなるんだろう?そもそも先生の来歴がさっぱり分かってないので、予想もできない。
『結論から申し上げますと、あなたをシャーレの先生とすることはできませんでした』
「あ……やっぱりそうですよね……」
やっぱり無理か……
『やはり在校中の生徒が先生になるということは、規則的にできないようですので』
じゃあどうしたらいい?
他の大人……あのロボっぽい教員や、ワンちゃんネコちゃん達にパスワードを教えてやってもらうとか?あんまり現実的ではなさそうだけど。
『ですが』
「?」
『あなたをシャーレ所属の生徒とすることは可能です』
シャーレの生徒?
『はい。シャーレはどの学校に所属している生徒でも加入させることのできる、超法規的な権限を持つ部活動です。その扱いであれば、権利は制限されますが連邦捜査部シャーレとしての活動を行うことは可能です』
そういえばシャーレは一応部活だったか。キヴォトスの部活動は大抵顧問とかいないし、一応先生が居なくても活動することはできる?
『そういった扱いにはなりますが……どうされますか?』
「や、やります!やらせてください!」
権利が制限されるというのが少し気になるが、背に腹はかえられない。なるべく早くシャーレとして動いておかなければ、いつアビドスがカイザーコーポレーションに支配されてしまうか分からない!
『そうですか。連邦生徒会としては常に人手不足ですので助かりますが……本当に大丈夫ですか?』
「はい!えっと、ずっと連邦生徒会で働きたいなーなんて思ってたんですよー!」
ふう……一応これでシャーレを動かすことはできるのかな?後はとにかく耐えて、大遅刻している先生を待とう。
『そうですか。では、明日シャーレの部室にお越しください。諸々の手続きはその際に』
「はい、ありがとうございます!」
通話が終了する。
あれ?私、明日からシャーレの所属か。
なんだか急すぎて実感が湧かない。
正直先生が絡んでくるシーンにはあんまり関わる気がなかったけど、放置しておくなんてできないし。
それに、どう回避しようとも最終編では否応にも危機に直面することになる。
「うぅ……」
頑張ろう、先生が来るまで。どうにか持ち堪えて、そして私の平穏なキヴォトス生活を取り戻すんだ。