「シルベちゃん!発表をお願いします...!」
「結果発表!」
第三次補習授業部模試、結果──
ハナコ:69点
アズサ:73点
コハル:65点
ヒフミ:74点
シルベ:90点
「や、やりました....!?」
「夢とかじゃないよね?本当に...!」
合格だ、文句なしの。
最初は30点台や20点台だったのに...この短期間でこんなに成長するなんてことは、どう考えても彼女たちが一生懸命に勉強をした証拠だ。
「それに、ハナコちゃんも...」
「運が良かったですね。うふふ、いい感じの数字です♡」
「良かったです...ハナコちゃん...うぅ...」
ハナコちゃんの意味深な調整に気づくことなく、ヒフミちゃんは感動している。そのままの君でいて...
「...ということで、約束通りモモフレンズグッズの授与式を始めます!」
「...!!!」
そしてみなさんお待ちかね?ご褒美の時間だ。
「えっと、私は謹んで遠慮しますね。」
「わ、私も...」
「あうぅ...そ、そうですか...」
「どうしよう...私は...私は...!」
どんな時も迷うことなく行動してきたアズサちゃんが、ふわふわぬいぐるみに足を取られてへにゃへにゃになってる。
「わ、私には無理だ...頼むヒフミ。ヒフミが私の代わりに選んで...」
「わ、私ですか?」
女の子二人がぬいぐるみの山を前にして真剣に頭を悩ませる。あまりにもヘヴン過ぎる光景だ。
「ではこちらの、インテリなペロロ博士でいかがでしょうか!」
「...!よし、じゃあこの子だ!」
ペロロ博士、か。
「ありがとう、ヒフミ。これは一生大切にする。」
「私も嬉しいです。でもそれは、アズサちゃんがやり遂げたからですよ。」
「うん。それでも同時に、友達から貰った初めてのプレゼントだから...」
初めての友達から貰った、プレゼント。
「っ....」
「...?シルベちゃん?」
「あ...ううん。良かったね、アズサちゃん。」
「うん、気に入った。本当に可愛い、好き。えへへ...」
慌てて、見ないようにする。
ああ、嫌だ。一瞬ペロロ博士に、
し、しっかりしろ...!自分にできることをするって決めた!ウジウジ考えないとも決めた!ヒナちゃんとだって約束をした!
自分にできること。
ミカちゃんに、してあげられること。
先生の居ない世界で、私が代わりにできること...!
思いつけ思いつけ...!
絞り出せ...!
捻り出せ...!
ああ。
無理やり前を向いて、後ろを見ないようにして、全身全霊で前向きになってみたけど。
何もできなきゃ、意味ない?
「......」
―――――――――――――――
パソコンを開いて、データベースの海に潜る。
でも、私の目は滑るばかり。ただ無為に、時間だけが過ぎていく。
「......?」
ノックだ。
「はーい?」
「シルベちゃん...あ、調べ物中でしたか?」
「平気平気。どしたの?」
ヒフミちゃんだ。何かあったかな?
「ふふ、何かを忘れていませんか?」
「...?」
ヒフミちゃんはリュックを下ろして、荷物をどんどん並べていく。
...モモフレンズのグッズだ。
「シルベちゃんも、貰う権利があるんです!」
「あ...忘れてた。」
いやー、すっかり。
「そうだなぁ...何にしよっかなー。」
ぬいぐるみの山を眺める。ヒフミちゃんこれ全部あのリュックに詰め込んできたの?道理でペロロ様バッグが自爆寸前みたいになってたわけだ...
「...あれ?これって...アビドスの時の、アイスクリーム屋さんコラボのやつじゃない?大丈夫なの?」
「は、はい!」
ひ、ヒフミちゃん...!
「そんなに補習授業部のことを────!
「前にオークションで二個目を衝動買いしてしまって...あはは...」
......ええ?
「ねぇ、いくらしたの?」
「..................ノーコメントでお願いします。」
これは、うん。
「ヒフミちゃん?領収書見せて?」
「ぶ、ブラックマーケットなので領収書は出ません...!」
「オークションのはあるでしょ!一回ヒフミちゃんのお金遣いをチェックします!」
「ひええ、ご勘弁を...!あ!それはSSRマスター・ペロロ様のレアシールを買った時の...!?」
―――――――――――――――
二人してひとしきり暴れ回りました。
ユウカちゃん直伝の使いやすい家計簿アプリをヒフミちゃんの端末にねじ込んでおく。
「まったく...」
「うう...すみません。」
おおよそ高校生が扱う金額ではなかった...
「...まあ、貰っておくよ。このアイスのペロロ様。ありがとね、ヒフミちゃん。」
「は、はい!」
うん。このイかれた目つきはまさにあのスチルそのまま。可愛いのう。
「......あの、シルベちゃん。」
ん?
「その、勘違いだったら良いのですが...シルベちゃんも、何か悩み事を抱えてはいませんか?」
「えっと......」
それは、まあ...そうだけど...
「私、この補習授業部でのこともみんな、シルベちゃんに頼りっきりで...」
「う、ううん!そんなことないよ。ヒフミちゃんたちはすごい頑張って...みんなで60点超えたでしょ?」
ヒフミちゃんの真っ直ぐな瞳に、目が眩む。
「私、力になりたいんです。」
大丈夫だよ、みんなはテストを頑張ってくれるだけで、十分私の力に───
「ハナコちゃんもアズサちゃんもコハルちゃんも、みんな問題を抱えています!」
「私は勉強だけじゃなくて...みんなでお互いのことを助け合っていけるような関係になりたいんです!」
ヒフミ、ちゃん...?
「だって私たちは...友達、ですから!」
...友達。
.........友達?
「......え!?と、友達です...よね!?え!?」
「あ...!う、うん!勿論だよ...」
そっか。私ヒフミちゃんと...みんなと、友達だよね。
『うん。それでも同時に、友達から貰った初めてのプレゼントだから...』
......あ。
そっか。
私だからできること、なんて。
先生が居なくなって、そこには。
『友達』が、一人。
なんだ、こんな簡単な選択肢があったじゃないか。
「〜〜〜っ!」
「わわっ!?し、シルベちゃん!?」
ヒフミちゃんに思いっきり抱きついてやる。ああ、そうか!
「おうとも!私たちズッ友だよ!ありがとうヒフミちゃん!」
「ズッ友...!?それはとっても嬉しいのですが...!えっと...!?」
分かった気がする!私のやるべきこと!
「失礼します...もうすぐお夕飯の...あら?」
「は、ハナコちゃん!?こ、これは違うんです、その...!」
ハナコちゃんに見られたようだ。知るもんか!
「あらあらあら?あらあらあらあら....♡」
「ま、待ってください!?わ、笑いながら後退しないで...!」
この選択肢は無謀だろうか?
きっとそうだ。それでも、これ以外に思いつかない。
もっと良い方法もあるだろう。
でも、私はこれで良い。
きっと痛い。きっと辛い。
それでも私には、これが一番なんじゃないかな!
決戦は最後の日。待っててね、ミカちゃん!
私頑張るから。
―――――――――――――――
「向こうではどのくらい経ったかな、先生。」
“.........”
「あっちの方が時間の流れはずっと早いはずだよね。証明にそこまで時間はかけられないでしょ?」
“........!”
『亀裂を確認。データのみであれば、低アクセスレベルの干渉が可能です。』
「やって。」
“何を...!?”
『干渉開始。証明の防護壁を抜けるには、限定された情報のみでの構成が必要です。』
「...じゃあ、こうしようか。」
死の神が、嚮導者に語りかける。
『侵入開始。先生のデータを『多次元██に██て ██ ███ 、█ ██ ████人物』に絞って限定転送。』
“っ....!”
「このために、私たちは先生を生かした。先生の居ない世界に、先生が居ることを伝えるために。」
彼の頬に手を添え、死の神は寂しそうに笑う。
「私が一番、よく知ってるんだよ。」
「『