先生が居ない。
私たちの背中を押してくれる、頼れる大人。
私たちが道を踏み外さないように見つめていてくれる、優しい大人。
どこにも、居ない。
どうして?どうして、私を置いていったの?
何も言わずに、私の
私も、同じだったよ。ミカちゃん。
私も嫌だった。代わりの先生とか。
全然話聞いてくれないし、無理だって言ってくるし。
...........。
先生が、欲しい。
でも今は居ない。ミカちゃん、あなたの心の中には居る?
居るなら、それでいいのかも。
私の夢を火にくべれば、あなたの中の先生が先生でいられる?
ああ...私の夢が燃え尽きて、灰になったら。
二人で呼ぼう。先生を。
来てくれる。よく頑張ったねと。後は任せてと。
だから。
【永遠に子供でいろ。】
............。
―――――――――――――――
「え、ええっ!?」
「補習授業部の『第二次特別学力試験』に関する変更事項のお知らせ...?」
予定通りというべきか、ナギサちゃんの手が入る。
第二次試験は...残念ながら、まともに受けさせてもらえないだろう。
「試験範囲を、既存の三倍に拡大...!?合格ラインを、90点に引き上げ...!」
「...なるほど。私たちの模擬試験の結果を、ナギサさんが何かしらの手段で把握したみたいですね。露骨なやり方ですね...どうしても私たちを特別校舎送りにしたいと。」
ハナコちゃんがこの補修授業部の裏を打ち明ける。もうそろそろ、二人に話しても良いタイミングだ。
「....特別校舎?」
「えっ!?特別校舎って...どういうこと...!?」
「試験会場と時間も変更されてます...試験会場は『ゲヘナ自治区第15エリア77番街、廃墟の一階』...」
しかしナギちゃんも無茶なことするよね。
ワンチャン外交問題に...いや、そういえば美食研究会がトリニティ自治区で大暴れしたばっかだった。このくらいは平気なのか...?
「げ、ゲヘナで試験を受けるんですか...!?」
「もし行かなければ未受験扱いで不合格、ですよね。」
「そ、それもそうだけど、さっきの特別校舎ってどういうこと!?」
コハルちゃんとアズサちゃんに、補習授業部の説明をする。
「...状況は理解した。とにかく出発しよう。」
「うん。試験時間が深夜の3時になってる。今すぐ準備しよう!」
「あ..!ま、待ってくださいシルベちゃん...!?」
まあ、気楽に行こう。どうせ解答用紙は吹っ飛ぶんだし。
「......?」
―――――――――――――――
さすが、と言うべきか。先生の指揮がない状態であっても美食研究会は私たちを目的地へと連れていってくれた。
バッチリ親指を立てて沈んでいくハルナちゃんも見ることができました。フウカちゃんはその、強く生きて...
「お待たせいたしました♡」
「2時55分...何とか開始時間前に着いたか。流石に疲れた。」
こっちの二人も原作通り、おかしな格好で現地集合だ。
アズサちゃんは出発前に催涙弾をしこたま鞄に詰めていたがゆえのガスマスクなのは分かったけど...やっぱりハナコちゃんが水着になってた理由はさっぱり分かりません!
「どうしてこんなところで試験を...あ、試験用紙とかどうなるんでしょうか、誰か来ているんですかね...?」
「...これだ。L118牽引式榴弾砲の弾頭だ。雷管と爆薬を取り除いて爆発しないようにしてある。」
アズサちゃんが弾頭から通信機を取り出す。
『これを見ているということは、無事に到着されたようですね。』
ナギサちゃんの立体映像が流れる。
...ちょっと欲しいな、この装置。
『それでは約束の時間までに試験を終えて、戻ってきてくださいね。試験監督...はおりませんので、こちらでモニタリングをさせていただきます。』
『どうかお気をつけて。』
投影が終わる。
「あうぅ...」
「とにかく時間がない、早く始めよう。」
「は、はい!みなさん入りましょう、第二次特別学力試験です!」
「...うん。」
みんな揃って廃墟に入る。ご丁寧に机まで並べられて...試験の体裁はとれるようになっている。
さて、ここで起きる出来事。
それは温泉開発部による、試験会場の爆破だ。
これを回避して試験を受けきったとしても、正直勉強が全然足りていない。合格は難しいだろう。
モニタリングもされていることだし...私がどうにかしてそれを避けたら、ティーパーティーの内部情報を知っていることになって、そのまま裏切り者としてしょっ引かれそうだ。
そんな訳で...やっぱりここは原作通りでいこう。
つまるところ、耐えます。
描写的には大した爆発じゃない。みんな咳をするくらいで、負傷の描写もないし平気だと思う。
時刻がちょうど、3時を示す。
それと同時に光と熱が、私たちの視界を埋め尽くして───
あれ?
「っ.....かはっ....!?」
なんか.....強くない?私のところ、だけ....?
「...!?シルベちゃん...!」
土煙が立ち込める中、いち早くハナコちゃんが駆け寄ってくれる。
「ぐ...っ!」
「しっかりしてください!すぐに救急車を...!」
ハナコちゃんは平気みたいだ。他の三人もダメージらしいダメージを負っている様子は見受けられない。
もしかして私って...ペラい?
「待って...!大丈夫、なんとも、ないから。」
「そんな訳ないでしょう...!」
ハナコちゃん以外には聞こえないような声で話す。
...うん、動ける。最後の戦いまで時間はあるし、それまでに大体は治る筈だ。
「ね、みんなには言わないでおいてくれる...?気を散らしたくないからさ。」
「なんで...そんな...」
先生が来るまでは、体裁だけでも保っておきたい。
「お願い。試験が終わったら、ちゃんと病院行くから。」
「っ......」
...これって、罰なのかな。
夢を捨てようとしている私への。
いいよ、別に。
いくら私を傷つけようったって無駄。最後には先生が全部後片付けしてくれるから。
だから私は──【大人を待つ子供でいろ】
............っ。
頭が痛い。
―――――――――――――――
「.........」
「よーし、爆破成功...って、あれ?あそこだけなんか爆発強くないか?」
「確かに。あそこ仕掛けたのって君...おーい?」
「.......?え、どうしたの?」
「いや、あそこだけなんか爆発凄いなーって。」
「ああ...うん。何でだろ、なんかそこをいっぱい爆破しなきゃいけない気がしてさ。」
「マジ? まさか...天性の温泉感知能力を持ち合わせた部員が...!?」
「やっほい天才だ!」
「わわ!ちょ、ちょっと!大袈裟だって〜...」
彼女のヘイローが一瞬、色を変える。
ただそれは誰にも気づかれることなく...母なる温泉を求める彼女たちの道は、まだ続く。
―――――――――――――――
「...着いたよ。」
『では、一色シルベさんに接触を。』
電車を降りる。そりゃ遊びに行くとはいったけどさ。まさかコイツのお願いで来ることになるなんて...
「...あの『カード』にこれを使えば良いんだよね?」
『ええ。一時的なものですが、充分でしょう。では...』
さて、元気してるかな?シルベちゃんは。
『どうかお願いしますよ。暁の...いえ、ホシノさん?ククク...』
「はぁ...」
書き溜め君も居なくなったアーカイブです。
更新速度がほんのり落ちるかも...!お許し...!