お待たせして申し訳ございません。リアルの事情が拠点防衛のロボット並みに押し寄せてきたので、ちょっとお時間いただきました。
今後もちらっと間が空くかも知れませんが、お許しただけると嬉しバニートキは何がなんでも引きます。
「なんだかんだで戻ってくることになっちゃいましたね。」
「もうお別れだと思って出たのに、すぐこうなるなんて。やっぱり人生は分からないものだ。」
「そんなこと言ってる場合...!?ほんとうにティーパーティーの偉い方たちが邪魔してくるんだったら、どうしようもないじゃん...!」
「...あの、シルベちゃんは...?」」
「シルベちゃんは今...ティーパーティーと連絡を取ろうとしているみたいなので、ここで待っていましょう。」
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ゲヘナからどうにか戻ってきて、すぐベッドに身を投げ出す。
この数ヶ月で、ダメージを隠すのも上手くなったものだ。
「けほっ...」
あーもう、全身が痛い。動きたくない。
Vol.3の一章と二章は戦闘少ないから、ちょっとは怪我も減ると思ってたんだけど...
コンコン
扉がノックされ...返事をする間も無く、開かれる。
「シルベちゃん。」
「あ...ハナコちゃん。」
ベッドから起き上がって彼女を迎えた。
「.........」
「...えっとぉ......」
彼女の手には、救急箱が。
やっぱりハナコちゃん相手に、隠し事は厳しそうだ。
「...服を、脱いでください。」
「あー、私にはそんな趣味はないから......って、その...ごめん、違うよね。」
観念して、服を脱ぐ。
「...とりあえず、今日の火傷の部分に薬を塗っちゃいますね。」
「うん...ごめん、ありがとう...いてて...」
うぉ...しみるぅ...
「はい、終わりです。」
「...ありがとう。」
服を着直して、ベッドに腰掛ける。
「.........」
「...それで、シルベちゃん。」
これではまるでイタズラがバレた子供のようだ。
「おそらく数ヶ月も経っていない、治りかけの火傷の跡と...お腹のアザ。これは一体何があったのですか?」
「火傷は、前にアビドスに行った時、ちょっと不良の抗争に巻き込まれちゃって。アザは、えっと......」
後者は...どうしよう。あんまりにも新しい。
「...どうしても、私たちに言えないことなのですか...?」
「.........私は────」
言って、どうするのだろうか。
もうすぐ。もうすぐ先生が来てくれるというのに。
でもわた█ █【考えるな】──【大人に任せろ】─。
「......」
「ごめん、言えない。でもね...もう平気なの。もうすぐ全部解決するから。」
「...シルベ、ちゃん?」
立ち上がり、部屋を出る。みんなのところに戻ろう。
「ま、待ってください...!」
「ハナコちゃん。」
「っ....!?」
「最後の試験、みんなで合格しようね。私は、それだけでいいから。」
ハナコちゃんも、わざわざみんなの前でこの話を続けたりはしないだろう。
こうやって誤魔化して...あとは、その時を待つだけだ。
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今のところ、計画通り。
「......」
アリウスの生徒は、着々とトリニティの内部に侵入経路を構築している。
後はナギちゃんを捕らえて...私がホストの座に着く。
そして...ゲヘナを潰す。
これが私のやるべきこと。いや、やりたいこと? やらなきゃいけないこと?
なんでもいいか。どうせ、引き返す道なんてないんだから。
【先生が居ないせいだ】
「っ...!」
頭が痛い。
【アレが居るせいだ】
...シルベちゃん。
意識する必要はない。計画の邪魔になんてならない。
でも消したい。その存在を。未来を。夢を。
「っ....はぁ、はぁ......」
なんで、こんなこと思うんだろう?一回人を殺したから、頭がおかしくなったのかもね。
「あの〜。」
「......!?」
急に背後から声をかけられる。頭痛のせいで全然警戒してなかった...
「あ、ごめんごめん。ちょっと人を探しててさ〜。一色シルベって子、知らない?一年生なんだけど...」
知らない制服の生徒…シルベちゃんを、訪ねて?
「......シルベちゃんなら、今補習授業受けてて別校舎だよ。」
「おお、ありがとう。って補習...?シルベちゃん、大丈夫かなぁ...」
その少女は、背中を向けて補習授業部の居る校舎に向かって歩いていく。
ああ、もしかして...シルベちゃんが呼んだ増援かもしれない。
唐突に攻撃をした私を恨んで...それで...
まあ、でも。
この狂った頭ごと私を殺してくれるのなら、それも良いかもね。
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異常な試験範囲に合格ライン。解決の手立てのないこの状況で、しかし時間を無為に過ごすことはできずに猛勉強の日々は続く。
これは学生の本分だ。学生なんてそれだけやってれば良い。
点数は上がっている。最初はあれだけ点数の低かった二人も、必死になって90点へと手を伸ばしている。
余計な邪魔さえ入らなければ、きっとみんなは90点は取ることができるだろう。
「シルベ?お客さん来てるみたいで...とりあえず正門で待ってるって。」
「お客さん...?」
コハルちゃんに声をかけられる。
誰だろう。このタイミングで誰か接触してきたっけ?
駆け足で校舎を出る。そこには...
「.......!?ホシノちゃん...!?」
「....!シルベちゃん、久しぶり〜。」
なんと、アビドス廃校対策委員会、委員長の小鳥遊ホシノちゃんが...会いに来てくれたみたいです。
なんだろう…観光?
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「いやぁ〜、まさかシルベちゃんが補習授業だなんて...勉強得意だった気がするんだけど?」
「成績は平気なんだけどさ、アビドスに行ってたら出席日数足りなくなっちゃって。ははは....」
そういえば、トリニティにも遊びに来るみたいなこと言ってたけど...まさか、こんなタイミングでとは。
原作にはなかったよね。なんの影響だろう?
「...ね、今すっご〜く、大変そうだね?」
「あー、その...分かる?」
そんなに分かりやすいだろうか、私...
「私にはどうしようもないことが多くってね。もうクタクタ。」
「そっかぁ...おじさんに何か手伝えることはあるかい?」
手伝えることか…うーん、別に、戦力が必要ってわけじゃないし。
だからといってトリニティの政治内紛に他校の生徒が関わっちゃうと拗れそうだし...
「ううん、大丈夫。なんとかなるから。」
「そうなの?」
なんとかなる。私が【子供でいれば】。
.........。
「私が先生にならなくても、大丈夫だから。」
「...シルベちゃん?」
夢を捨てれば。【大人になるのを放棄すれば】。
「私が...わた、し...が...」
「......!」
きっとミカちゃんの異常は、治るはずだ。彼女の見ている『先生』を邪魔するものが居なくなるのだから。
後は簡単。そもそもミカちゃんは、セイアちゃんのことを伝えれば止まってくれて...
「...よっと。」
「......?」
ふと見やると、視界からホシノちゃんが消える。
と思えば、すぐ真下に...ピンク色のまん丸な頭。
つまりホシノちゃんが、私のお腹に手を回して...ギュッとしていた。
......?
「うへ〜。」
「!?!?!?!?!?!?!?」
あばばばば!?何ィ!?かわいいいいいい!!
私の頭がオーバーフローしている間に、ホシノちゃんが離れる。あっ....
「どう?元気出た?」
「ででで出たよ!?でもなんで!?いくら払えばいい!?!?」
やっぱ九億か!?九億なのか!?!?こ、コユキちゃん...ちょっとお願いが...!
「ほら、落ち着いて〜?」
「はひー、はふー....」
無理です。
なんか全身を襲っていた倦怠感のようなものがさっぱりと吹き飛び...それどころか気力がどんどん湧いてくる。
ホシノリラクゼーションを始めないか?きっと九億なんて余裕で回収できるっ!
「ねぇ、シルベちゃん。」
「はぁ...はぁ...?」
打って変わって...彼女の目がすこし、まじめな物になる。
「大変なことやってるんだよね。シルベちゃんのことだから、きっと誰かのために。でもさ?」
「......」
「前にシルベちゃん、言ってくれたよね?学生のうちは、自分のやりたいことやろうって。それで...自分を殺して進もうとした私を止めに来てくれた。」
「それは...」
「欲張りなくらいがいいんじゃないかなって、おじさん思うな〜。シルベちゃんが今抱えてる問題も、先生になりたいって気持ちも...両方。」
両方...?確かにそれは、私が一番欲しいもの。
「そりゃ大変かもしれないけど。でも、全部を諦めなかったシルベちゃんの背中を見て...私たちは救われたんだよ。」
彼女が、私の手を握る。
「だからさ。手を伸ばしてみて。そしたらきっと...誰かがシルベちゃんの手を取ってくれるよ。」
「できるよ。私たちの
「......そ、っか。」
涙が溢れる。
何度も悩んだ。何度も道を決めて、何度も道を逸れた。
いいのかな。両方。
諦めなくても、いいのかな。
だったら。
だったら最後は、『一色シルベ』の赴くままに。
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彼女と別れて、対策委員会のみんなにお土産を買ってから...駅へと向かう。
『彼女の様子は、如何でしたか?』
鬱陶しいやつから連絡が入った...
「...確かに言われたとおり、酷い顔してたよ。前にも...見た気がする顔。」
『ククク...やはりそうでしたか。それで、カードの方は?』
コイツから貰った小さな機械のようなものは...抱きついた時に触ったカードへと吸い込まれて、もうこの手にはない。
「ちゃんとやったよ。で、アレはなんなの?アレがシルベちゃんをあんな風にした元凶なんでしょ?」
『はい。アレは...そうですね、ここは便宜上、[子供のカード]と呼称しましょうか。』
子供のカード...?
『子供のカードは、所有者の弱った心に[子供であろうとする]意識を植え付けます。私と最初に相対した時にも影響を受けていたようですが...ともかく今、あのカードは[先生になる]という彼女の夢を破壊しかけていた。』
「...!そんな危険なもの、持たせておいたままにしない方が良かったんじゃないの?」
相変わらずコイツは、重要なことを言わない...!
『クク...いえ、このままの方がよろしいかと。そもそもアレは子供のカード。つまりあなたであっても、使えるのですよ?』
「え...?」
私が持っていても、影響が出るってことか。だからといってコイツに渡すのはちょっとあれだし...
『あのテクスチャは元々[大人のカード]、それの上書きです。大人になりうる可能性の高いシャーレに所属する彼女に持たせておくのが、一番危険性の低い選択肢なのです。これは一体誰の采配でしょうかね?』
「シルベちゃんが、あのカードを持つように...誰かが?」
もしかして...シルベちゃんの言う、『先生』って人?
『あるいは逆かもしれませんが。ともかく、彼女に持たせておく理由はそれだけではありません。世界が割れるという非常に大きな代償はありますが...それに見合った
「あのカード、まだ使えるんだ。」
私がカードにした細工は、発動を止めたりはしないのだろうか。
『ええ。私があなたに渡した遺産は、ただ精神干渉を防ぐためのコーティングです。あの干渉は、カードの使用へ誘導するための副次効果に過ぎません。使おうと思えば使えるでしょう。』
「...何が起こるの?アレを使ったら。」
電車が来る。
アビドスにかかりきりだった私にはあまりにも広い、世界の謎。
『クク...子供が困難に、苦難に直面して、どうにもならなくなった時。やることは一つでしょう?』
あの子が背負っているのは、それなの?
『呼ぶのですよ。
お気に入り数が2000を超えました。すっごいありがとうございます。
お気に入り。素晴らしい響きです。ふふふ...