お待たせしました...無事デカグラマトンの一柱『クソデカ口内炎』を討伐できたので投稿再開します。
もう二度開催しないでくれこんな総力戦!
「マシロ!被害状況はどうなっていますか!?」
調印式。まさにエデン条約が結ばれようとしているその瞬間。
閃光と共に、爆発がありました。
「正義実現委員会で行動可能なのは約半数です!」
「分かりました、行動可能なメンバーを半分に分けて救助と警備に当たってください!」
半数、ですか...被害は甚大です。早急に立て直しを図らなくては...
「...ツルギ?」
「......」
ツルギが何か持っています。あれは、手紙?
「シルベに、貰った手紙。ティーパーティー名義で...有事の際に、開ける...」
「...確かに、ナギサさんの押印がされてありますね。」
ティーパーティーからの指令...?こういったことも想定済みということでしょうか。
この状況はどう考えても有事と言えるでしょう。封を開いて、中身を確認しなければ...
「風紀委員会との交戦は避け、正義実現委員会の立て直しが完了次第、委員長をカタコンベに...?」
――――――――――――
ヒナちゃんの瞳は、私を逃すことなく捉える。
「シルベの目指すものが彼なのだとしたら、きっとこれからも大変な目に遭うわ。これまで何度も死にかけたでしょう?それでもあなたは、まだ立ち上がるの...!?」
彼女が心配するのも当然だ。なんてったって一回死んだみたいだし。
安心...させてあげたいのは山々なんだけど。
「ヒナちゃん。私はあの人を目指してる訳じゃないよ。」
「え...?」
まあ、最初はそうだったかな?
「最初のうちは...先生のようにならなきゃとか、先生ならどうしたかとか考えたけどさ。」
「......」
でも、みんなに教えてもらった。
『ね。自信持って、シルベ先生。』
不安に呑まれた私を引き戻してくれた彼女。
『もう一人の...私の、先生...!』
欲張りな私の理想をもって伸ばした手を、取ってくれた彼女。
「みんな、あなたのなりたい先生を目指しても良いんだって。叫んだ私の背中を押したり、引っ張ったりしてくれた。」
「...じゃあ、シルベが目指しているものは何?彼を追うことが目標じゃないのなら、貴方は何をしようとしているの...?」
...うん、もう言っちゃっていいかな?
「私は、未来を見たの。先生と一緒に... 酸いも甘いも乗り越えて、みんながハッピーエンドに向かう、
「え...!?」
そう、私はずっと見てきた。画面越しに...あの素晴らしい世界を。
彼女たちの青春は、その一挙手一投足が美しく...かけがえのない物語だった。
「私はそれを取り戻す。そのためだったら何でもするよ。どう?これが私の目標!」
全部言っちゃった。でもヒナちゃんなら悪いことにはならないだろう。
「...ふふっ」
「...!?や、やっぱりちょっと恥ずかしいこと言ったかな...?」
わ、笑われた!それは予想外なんですけど...?
「...ごめんなさい。でも、あまりにスケールが大きなことを言うものだから。」
「う...そりゃ、自分でも無茶苦茶言ってるのは分かってるけど...」
実際のところ全部がハッピーエンドなんてのは無理だ。先生だって出来ているわけじゃない。
でも、目指すことを諦めるのは違う。
「...納得したわ、今までのあなたの行動。あなたは他人に頼れない人じゃない。それでも局所的にしか私に頼らなかったのは、あなたの見た未来で...私に別の役割があったからなのね。」
「...!」
今の私のふわふわした説明で分かったの?ヤバない?
「本当は、もうあなたをずっと手元に置いておこうかと思っていたんだけど...止めておくわ。」
そう言って、ヒナちゃんは銃を担ぐ。
え?ずっとヒナちゃんの元に...?それはそれで、全部が解決したらお願いしてもいいかも...
「...?ど、どこ行くの!?」
「病院で渡された手紙の座標。有事の際にそこに集まって欲しいのでしょう?風紀委員会はアコがいるから大丈夫よ。」
そ、それはそうなんだけど...でもすっごい大怪我してるじゃん!
「一回死んだあなたに言われたくないわ。」
「それは...そのぉ...」
彼女は立ち上がって、こちらに背を向けた。
「シルベ。私はあなたのことを大切に思っている。その荒唐無稽な夢を叶えてほしいと思っている。でも...わかっていると思うけど、それはあまりにも困難な道よ。」
「......」
解答も、採点者も居ない問題。
私の前に立ちはだかる壁が、どこまで続いているのかさえ見えない。
「それでも、きっとみんながあなたに手を貸すわ。あなたはそういう人。だから、私も含めて...遠慮なんかせずに全部使いなさい。」
「ヒナ、ちゃん...!」
彼女が救急車の扉を開ける。
縁に手を掛け、こちらを振り返った彼女は、とっても優しく...笑いかけてくれた。
「そしたらきっと、あなたの夢は叶うわ。」
そう言い残して...彼女は走行中の車を降り、来た方向へと走り去っていく。
...全身が痛い。頭痛もするし、体力も全然残ってない。
でも何だろう。あんなに...あんなに言ってくれる人がいるんだ。
心の底から湧き出てくる勇気は、今までの比じゃないくらい。
私の全身に、立ち上がる力を与えてくれる。
―――――――――――――――
「チェックメイトだ、アズサ。」
「くっ...」
アリウススクワッドがアジトにしていた場所に急襲をかけたが...後一歩、サオリには届かない。
倒れ込み、起きあがろうとした私の額に...銃が突きつけられる。
「最初から無駄な抵抗だったんだよ。」
「いつから...?」
アリウスがここまでの事態を引き起こせるとは思ってもいなかった。
巡航ミサイルに、聖徒会の
「いつの間に、あんな不思議な力を操れるようになったんだ...?」
「...何が人を人殺しにすると思う?」
話を逸らされる。やはり、アリウスのみんなはこの話に答えようとしない。
「それは殺意の有無。そう習ったし、お前にもそう教えた。そうだったな?」
「...?」
確かに、そう習った。
あの学校はそういったことだけは熱心に教育をしていたから。
「...あの時私は、殺意を持っていた。酷く澄んだ...殺意を。」
彼女がこちらに向ける銃口が微かに震えている。
サオリが、照準をブレさせている...?
「それを成した今、私には一切あの者に対する殺意がなくなった。だが...人を殺したという事実が、私の全てにのしかかってきているんだ。」
「サオリ、何を...!?」
彼女の様子がおかしい。
「殺意は人を人殺しにするが、人殺しに殺意はもう関係ないんだ...!」
「...!ま、まさかサオリ...人を...!?」
彼女の銃口は震え、もはやこちらを向いていない。サオリに一体何が───
「一色シルベを殺した。」
──────?
え...?
嘘だ。
『信じて、みんなを』
嘘だ。
『大切な友達と過ごした日々を、忘れないで。』
シルベが。
死んだ?
「うあああああああああああッ!」
―――――――――――――――
「よっと。救急車の上から見てみたけど、敵はこの近くには居ないみたい。ゲヘナの風紀委員長、飛び出して行ったみたいだけど?」
「あ、ミカさん。ヒナさんなら...その、私のお願いで戦いに行って貰ったよ。」
ミカちゃんが見張りから降りてくる。もうそろそろトリニティに着く頃だろう。
「...ねぇ、シルベちゃん。」
「...?」
彼女はベッドの脇に腰を下ろした。
「伝えたいこと、いっぱいあるんだ。いいかな?」
「...うん。」
そういえば、あの夜からミカちゃんは眠ったままだった。その時の記憶はあるのかな。
「まず、ごめんなさい。私...あなたに沢山酷いことしたよね。騙したり、撃ったり、酷い言葉を投げかけたりした。」
「それは...あの洗脳のせい、でしょ?」
1個目はともかく、他は彼女のせいではない。裂け目の向こうの...何かが引き起こした現象。
「それでも...きっと私がやろうとした、色んなことがあなたを苦しめた。だから、ごめんなさい。」
「...うん。」
やっぱりミカちゃんは良い子だ。謝るという行為には沢山の勇気がいる。彼女は今、勇気を振り絞っているんだ。
「それから、私のことを信じて...手を伸ばし続けてくれて、ありがとう。私、あなたの手を掴めてよかった。」
彼女が私の手をぎゅっと握った。
暖かな体温が伝わってくる。
補習授業を受けている間...何度も悩んだ。
この状況を打開するにはどうしたら良いか、何が彼女にとって良い選択肢になるのか。
ミカちゃんが眠り続けている間、ずっと不安で...毎日、彼女の顔を見に行った。
でも、よかった。他ならぬ彼女がそういってくれるのであれば...きっと、それで良い。
「こちらこそ、私の手を掴んでくれてありがとう。私、ミカさんを信じてよかった!」
強くその手を握り返す。ようやく...実感が持てる。私の声が、ミカちゃんにしっかり届いていたってこと。
―――――――――――――――
「負傷者を搬送中です。道を開けてください。」
...?
車が止まる。
どうしたんだろうと外を見ると、救急車の周りにトリニティの生徒が集まっていた。
「どうしてゲヘナの車両が...?」
「冗談じゃない!今の状況分かってんの?」
彼女らは進路を塞ぎ、何やら騒いでいる。
はぁ...全く、シルベちゃんが乗っているっていうのに邪魔するなんて...
「退いてくれる?大怪我した人が乗ってるんだから!」
「!?み、聖園ミカ...!?」
救急車を降りて、強引に人だかりを退かす。
「行って!」
「あ、ちょっと...!」
「はい、ありがとうございます。」
隙間を縫って救急車が通り過ぎていく。
さて、シルベちゃんも送り届けたし...古聖堂に行こうかな。ゲヘナの風紀委員長を向かわせたんだから、きっと戦力が足りないんだよね。
戦場行くまでは電波も通じるだろうし、道中で詳しい目的地はシルベちゃんにモモトークで聞いて───
「痛っ...」
背後から飛んできた何かがぶつかる。
「ゲヘナの車両で来るなんて、やっぱり裏切り者じゃないか!」
「裏切り者には罰を!私たちを騙した代償を!」
...石?
「この魔女め!よくもおめおめとトリニティに戻って来れたな!」
...まあ、そうだよね。
シルベちゃんが特別優しかっただけで、私のやったことは...こう言われて当然のこと。
「......」
あの洗脳がなくたって、私は元からアリウスをトリニティに招き入れようとした。
セイアちゃんを襲って、ホストになろうと...
だから、これは私にとって当然の罰で───
「だ、ダメ!」
...!?
集った生徒と私の間に、一人の女の子が割って入ってくる。
「い、いじめはダメっ!どうして、こんな大勢で寄ってたかって...!」
コハル、ちゃん...?
「こんなの、私が許さないんだから...!」
「...!」
確か...この子に大した戦闘能力はなかったはず。
彼女だって、私がアリウスを招き入れたことを知っているはずなのに...?
「どけっ!」
あいつらが再び石を投げようと構える。
こ、コハルちゃんに当たる───!
「やれやれ...そこの生徒、やめたまえ。」
...!
「...!?あ、あなたは...!」
聞き覚えのある声。
その声を聞くと、嫌なことばかり思い出させる。小言とか、呆れた言葉とか...
それでも、今の私が求めて止まなかった、声。
「ティーパーティーの名において、それ以上の暴力行為は許容できない。」
セイアちゃん...!目が覚めたの...!?