UA12000、お気に入り500突破いたしました。
まだまだ序盤の方ですが頑張って続けていきたいと思いますサンキュー!
「はぁ......」
結局。vol.1において最初に立ち塞がってきたのは、単純明快な問題だった。
戦力が足りない......!!
正直ホシノちゃんが本気を出せばどうにかなるみたいな局面は多いだろう。実際先日のVS便利屋でも、ホシノちゃんの活躍によってことなきを得た。
だが今後、ホシノちゃんのいない戦闘がある。その時私たちだけでどう戦い抜くかが問題で——
うう、知恵熱が出そう。
『ここからブラックマーケットに入りますので、注意して進むようにしてください』
けどどれだけ考えても答えの出ないまま、気がつけば銀行強盗の季節となりました。風流ですね。
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ガチャン
受話器を置くと同時にため息を吐く。
言っちゃった......
「え?アルちゃんもっかいアビドス高校襲うの?」
「しょ、しょうがないじゃない!あのクライアント、私もよく知らないけどかなりの大物みたいなのよ......!」
私が目指すのはどんなクライアントだろうと余裕の態度を崩さないアウトロー......なんだけど。
今はその、ちょっと財政状況がアレなので休止中。
「こないだの傭兵で全財産使っちゃったじゃん。どうすんの?」
「わ、私がバイトでもしてきましょうか......?」
「この稼ぎで傭兵を雇うには、後一年はみんなで働かないと......はぁ、ますます惜しかった。アビドスの副委員長の戦力分析を見誤らなければ......」
「か、勝てそうなの!?」
か、カヨコがなんだか希望のありそうな話をしているわ!
「まあそうだね......この間と同等レベルの戦力と言わずとも、今度は相手の陣地じゃなくてこっちのフィールドに誘い込めさえすれば、十分に勝算はある」
な、なるほど。じゃあ最低限の戦力を確保するお金さえあれば......
「......融資を受けるわ」
「アルちゃんはブラックリスト入りしてるでしょ?」
「違うわよ!私は指名手配されて口座が凍結されただけ!」
「風紀委員にやられたんだよね」
風紀委員会め......ここまで痛めつけられるなんて。
「とにかく、私についてきなさい!見てなさいよアビドス......!このままじゃ終わらせないんだから!」
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「ここがブラックマーケット......」
「すっごい賑わってますね⭐︎」
私たちは、セリカちゃんを襲ったヘルメット団の兵器や、便利屋の足跡を辿ってブラックマーケットへとやってきた。
ここがブラックマーケットか......キヴォトスの犯罪が集約された町。一見普通の町とそう変わりのない風景だが、歩いている人々はちょっとイカついスケバンたちが多い。
アビドスの市街地よりも人が多いのが悲しいところだ。
「連邦生徒会の手の及ばない区域がここまで巨大化してるなんて」
「う......ごめんなさい」
「いや、シルベを責めてるわけじゃない」
「そうだよ〜。ブラックマーケットはアビドスからも近いし、私たちの責任も——ん?」
「銃声!?」
突然の音に身体が跳ねる。
や、 やっぱりビビってしまう。こう、なんの変哲もない町で急に銃撃戦が始まりうる世界観は、なかなか慣れない。
「待て!」
「うわあ!まずっ、まずいですー!!つ、ついてこないでくださいー!」
おや。この世紀末的な世界観に一輪に花の如く響き渡る、ペロロ様を崇拝してそうなキュートボイスは......?
『あ、あれ......あの制服は、シルベさんと同じトリニティ総合学園の?』
やっぱりヒフミちゃんだ。そして彼女を追うスケバンの姿も見える。
最初に彼女を追ってるこのスケバンちゃんの服装を見た時はびっくりしたもんだ。
立ち絵で前屈みになるのやめなさい!み、見え......
「わわっ、ど、どいてくださいー!」
前に出て受け入れ態勢をとる。バッチこい!
「いたた......ごめんなさい......!ってあれ、シルベちゃん!?」
「大丈夫?ヒフミちゃん」
ああ、柔らかいっ......!可愛い......っ!
合法的にヒフミちゃんをぎゅっとできるチャンス。ここを逃すわけにはいかないぜ。こればっかりは先生もやってないでしょ?羨ましい?
「なんだお前らは。どけ!アタシたちはそこのトリニティの生徒に用がある」
「あうう......わ、私の方は特に用はないのですけど......」
まあこんなふわふわお嬢様がブラックマーケットなんかうろついていたら、何かしらのトラブルに巻き込まれてしまうのは必至。しかしそれが彼女の足を止める理由にはならない。
「キヴォトスで一番金を持ってる学校のトリニティの生徒を拉致って身代金をたんまり貰う!なかなかの財テクだろう?」
「お前らも一枚噛むか?身代金の分け前は——」
もちろん、彼女たちの完璧な計画が完遂されることはない。
「うぎゃあ!?」
「悪人は懲らしめないとです⭐︎」
「うん」
なぜならここに、悪人を懲らしめる副業をするグループ(後述)がいるのだから。
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「あ、ありがとうございました。みなさんがいなかったら、学園に迷惑をかけちゃう所でした。それにこっそり抜け出してきたので...」
ヒフミちゃんが安堵した様子でお礼を言う。
でもヒフミちゃん、残念ながらバレてます。ティーパーティーに。
「えっと、ヒフミちゃんだっけ?シルベちゃんとはお知り合い?」
「うん、お友達だよ」
「はい!シルベちゃんはシャーレのお仕事ですか?その......できれば他の方には、私がここにきたことは内密にしていただけますと......!」
「うん。それはいいけど......私言ってたっけ?シャーレに入ったこと」
「えっと、ちょっと噂を聞いて調べてみたんです。一年で生徒会に入った優秀な生徒だって。シルベちゃん、すごいです!」
な、なんだか恥ずかしいな。別にシャーレ所属になったのは成り行きというか、別に試験とかも受けたわけではないのに。
「そういえばヒフミちゃんはどうしてここに?」
「あ、あはは......それはですね、実は探し物がありまして......」
「もしかして、戦車?」
「もしくは違法な火器?」
「化学武器とかですか?」
「えっ?い、いいえ......えっとですね、ペロロ様の限定グッズなんです」
そう言って彼女はカバンからぬいぐるみを取り出す。
そう。彼女はペロロ様のためなら火の中水の中。ブラックマーケットだろうがなんだろうが、そこにペロロ様がいれば突き進む立派なキヴォトス人だ。
「限定グッズ......?」
「はい!これです。ペロロ様とアイス屋さんがコラボした、限定のぬいぐるみ!」
モモフレンズを履修した今ならその価値がわかる。
限定生産100体。鍛え抜かれたペロロ様ファンたちによる血で血を争う大抗争が起こり、いつの間にか行方知らずとなってしまったらしいぬいぐるみ。
そんなバックグラウンドを知ると、このチョコミントアイスをぶち込まれているペロロ様の目にも哀愁が感じられ——るかな?ないかも。
「わあ⭐︎モモフレンズですね!私も大好きです!ペロロちゃん可愛いですよね!私はミスター・ニコライさんが好きなんです!」
「分かります!ニコライさんも哲学的なことがカッコよくて!最近出たニコライさんの本『善悪の彼方』も買いましたよ!それも初版で!モモフレンズ好きな方に沢山会えて嬉しいです!」
「いやぁ......何の話だか。おじさんにはさっぱりだな〜」
『善悪の彼方』はヒフミちゃんに借りて読んだのだけど、本当にガッツリ哲学書だった。教員採用試験の勉強ばかりで、哲学なんて大学の一コマでちょっと齧っただけだったので......中々読むのが大変。
モモフレンズ好きのパワーであれを読める現役JKのヒフミちゃん達はすごいと思います。
『......!皆さん、大変です!四方から武装した人たちが向かってきています!』
先ほど撃退した不良がなかまをよんだのだろう。
モモフレトークに花を咲かせるのも良いが......ここはブラックマーケット。のんびりはしていられない場所だ。
「ん、何度でも相手になる」
「待ってください!これ以上戦ったら、ブラックマーケットの治安管理組織に見つかってしまうかも......!ここから離れた方がいいと思います!」
「ふむ、ここにはヒフミちゃんの方が詳しそうだし、従おうか」
「ちぇっ、運のいいやつらめ!」
私たちはヒフミちゃんの誘導に従い、その場から離れる。
ブラックマーケットの戦力は上から下までピンキリだ。大した力のないチンピラから、一対多数だったとはいえサオリちゃんがボロボロになるくらいの犬猫ヤクザまでいる。戦わないに越したことはない。
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その後なんやかんやでヒフミちゃんにブラックマーケットの案内を依頼し、一緒に行動することなった。この辺の先生あんま喋んないから何してるのか分からないな......?
「なるほど。ではシルベちゃんはシャーレとして、アビドス高校の廃校を止めるために動いているんですね。すごいです!」
「あ、ありがとう......まあ役に立てているかは分かんないけどね」
たい焼きを頬張りながらしばしのブレイクタイム。原作通りノノミちゃんの奢りだ。一応こんな色してるけどちゃんとクレカとして使えるよ?この『大人のカード』も。
「とっても助かってる。アビドスを積極的に助けようとしてくれる外の人は、ほとんどいなかったから」
「まあそうね、私も危ないところを助けてもらったし......感謝してるわ!」
「うへ〜、シルベちゃんが来てくれたおかげでおじさんの睡眠時間が一時間は伸びた気がするよ。ありがとね〜」
「ホシノ先輩はもうちょっと働いて!」
皆の優しさが心に染みる......でも何だがお姉さんたちに可愛がられる末っ子みたいだ。
先生代理としてはよろしくない気がするし、なんか同じ学校の人にそんな場面を見られるの結構恥ずかしい......
『......!接近する集団を確認!』
皆で物陰にサッと隠れる。視界に一台のトラックとそれを護衛するロボットたちの集団が入ってくる。
「あ、あれはマーケットガード!一体どこへ行くんでしょう?」
「車の護衛をしているみたいですね。闇銀行に入っていくみたいですが......」
「あれ?何で!?あいつは毎月うちに来て利息を受け取っているあの銀行員?」
「どういうこと?」
『ほ、本当だ......車もカイザーローンのものです!』
闇銀行の銀行員から書類を受け取ってサインをしているのは、数時間前にアビドス高校前で出会った銀行員だった。
カイザーローン。アビドスが借金をしている相手。
こいつらカイザーグループの厄介なところはトカゲの尻尾切りが得意なことと、一応正式な契約をするようにしている点だ。
この世界で一度した契約というのは、私の世界の何倍も厳しく履行させられる。
原作でセイアちゃんが言っていた通り、『契約』の重さというのはこの世界の特異点の一つだろう。
「カイザーローンですか......!?」
「ヒフミちゃん、知ってるの?」
「その、カイザーグループは犯罪こそ犯していないもの、合法と違法のグレーゾーンでうまく立ち回っている多角化企業で......生徒への影響を考慮し、『ティーパーティー』も目を光らせている企業です」
とはいえカイザーにも突かれれば弱い部分はある。原作では連邦生徒会によってどうにか利子の正常化は行われたが......この時点でどこまで手を出していいやら。なんなら連邦生徒会が依頼するヴァルキューレ警察学校とカイザーの癒着もあったもんでねぇ......
「私たちの支払った利子が、闇銀行に流れていた......?」
『ま、まだはっきりとは......証拠も足りませんし』
「あ!さっきサインしていた集金確認の書類、それは証拠になりませんか?」
「さすが」
ヒフミちゃんの鶴の一声。これを言ったことにより彼女は大きくその未来を変えることになる。
多分良い方向だから......多分。
「でも、その書類はもう銀行の中ですし無理ですよね......」
「先輩、あの方法しか」
「あ〜、それしかないか」
「え......?なんですか?」
シロコちゃんが鞄からあるものを取り出す。青くて、暖かそうなニット生地のソレは——
「銀行を襲う」
脳内で聞こえます。例のBGMが。
ちなみに結構興奮してる。なんだかんだ名シーンだよね!