「ふぉーふぃふぅふぅふぅふぇ」
「いやちょっと待て」
白が何事もないように話を進めようとしたので止める。何か口の辺りををモゴモゴさせているので全く聞き取れない。というかここって何か食べられる物があるのか?
「ふぁふぃ?」
「せめて食べるか話すかどっちかにしろ」
「………」
「食べる方を優先するのか…」
こうして見ると子供っぽいのだが、見た目が本当に現代日本と離れている。ジッと見て観察をしても何も言われないのでそのまま続けることにした。
白い髪は色が抜けたように真っ白で、着ている着物も真っ白だ。その下に黒いヒラヒラした着物を穿いている。そしてまた白い靴下みたいなものをしていて草履?も履いている。極めつけに「死神」と書かれた紙は隙間なく顔を覆い隠している…
「昔の人の服装だな。色と紙以外」
「…んぐ。こっちからしたらそっちが変な服だと思うけどね。袴とか穿かないの?後はいこれ」
「…花?」
食べ終わったようで白が不服そうに言ってきた後に花を渡してきた。あの黒い着物袴って言うのか。後は花…花だから匂いを嗅いだらいいのだろうか?
「何してんの?」
「え、匂いを嗅ぐのかなーって」
「違う違う、食べるんだよ見てたでしょ?」
白は下に生えてた花を取るとそのまま口の辺りに突っ込んで食べ始めた。…紙を貫通してるように見えたけどそこは一旦置いておく。
「食べる…食べるの?」
「…んぐ。そうだよ。食べないと今使った魄回復出来ないし。あ、お勧めは鼓草と菊だよ」
「また知らないし…生の植物は食べる気しないんだけど…」
まるでこっちが可笑しいと言わんように白がこっちを見て首を傾げている。生の植物なんて苦味が多くて食べられる訳ないのに…
「食べないと匠悟消えちゃうよ?崖から落ちてたし」
「消えるの!?」
「魄は活力って話したでしょ?こうやって考えて行動してるのに何にも消費してない訳ないでしょ。崖から落ちたときから回復するのにも魄使っただろうし」
…魄のことが理解出来そうだったけど、また理解から遠退いた気がする。エネルギー的なものなのは多分合っているとは思うけど。
「いやでも生で食べる必要はないと思うんだけど」
「ここにあるもの全部魄だから焼いたり切ったりしようとしたら消えるよ?…だから生で消える前に取り込むしかないんだ…」
「…」
話し終えた白はどこか諦めたように花を食べている。その様子からして生で食べる以外には方法がないんだろうなと思って、思い切って花を齧れば苦味が口の中で広がったが何とか食べられた。涙は出なかった。