「それで、俺達の目的は穴を塞ぐってことで良いのか?」
「大体そんな感じ。後は穢れを払ったり妖怪退治したりかな?」
地獄のような食事を終えて白に連れられて歩いている。今でも口の中に苦味が残って気持ち悪い。微妙に吐き気もするがそんなことお構い無しに白は進む。
「いやー、一人だと捗らない仕事も二人だと直ぐに済んじゃったね」
「一人?」
「死神って僕だけなんだよねー、そしてその死神の仕事は雑用なんだよね…ハハハ…」
乾いた笑いをした白の後ろ姿はどこか悲しそうだった。…優しくしてやろう。
「それはさておき、次の穴のある場所まではそこそこ遠いんだよねー」
「そうなのか?」
「そうなんだよ、だから変なのを見掛けてもちょっかいかけないようにね?あれとか」
スッと白が指した方にはデカイ魚がピチピチと跳ね回っていた。土の上で。しかも何匹か一緒に。
「…なんだあれ」
「別に魚だからって水辺に出る訳じゃないんだよねここ。ほっとけば消えるから」
ビチビチとのたうち回っている魚の目は光っている。それだけに今の光景があまりにシュール過ぎる…
「てな訳であんなのがわんさかあるから気をつけてね。主に足元」
「…たまに気づかないで踏むと危ないからとか?」
「正解!…て言いたいけど不正解なんだよなーこれが」
白はヤレヤレと肩を落として残念がっている。多分煽りだと思うが今は優しくしてやろうと決めたばかりなので余裕を持って聞くことにする。
「死んだら魄は根の国に来る訳じゃん?」
「…そうだろうな」
「でさ来るときってどんな感じだと思う?」
質問をされて少し考える。俺が来たときは眠りから覚めるような感じだった。だから自然とやって来るイメージだったが違うのだろうか?
「正解はー…上から降ってくるんだよ」
「は?」
上から降ってくると言われても上は根っこが張ってて
降ってくるような隙間もない。確認の為に見上げても根っこと苔が生えていて空の一つも見えない。どう考えてもからかわれている気がする。
「嘘だろって顔してるね、そこを見てると良いよ」
「そこ…?」
白が指差したのは若干前で上の方。草むらだけで今から何か降ってくるとは思えない。
「いやホントホント。見てなって」
「えぇ…ぅえ!?」
疑いながら見てたが本当に犬が降ってきた。空気からヌルっと出てきて、そのまま草むらに落下していったのがあまりにも不気味で変な声が出た。
「ほらー言ったじゃん。降ってくるって。」
「いや信じられないから普通…大丈夫かあのワンコ」
「心配なら見に行こっか。別にどうってことないだろうけど」
そのまま草むらに分け入った白の後ろを追いかけると、動かないで止まっている白が居た。
「どうしたんだ?」
「…いやー何でまだ居るのかなぁ?」
白の視線の先には寝転んだまま動かない犬を撫でている子供が居た。見た目は白よりもずっと子供で、赤と水玉の着物を着た女の子。
「………お?」
その子は俺達に気づいてじっと見つめてきた。