「…こっち見てる…よな?」
「おー」
「見てるね…」
今も犬を撫でてる黒髪の赤と水玉の着物を着た子供はじっとこっちを見ている。不思議そうに首を傾げてこっちの存在を認識してる様子だ。白の様子を見れば頭を抱えて溜め息を吐いてた。
「なぁんで未だ召されてないというか、浄化されてないのかなぁ…」
「あー…う?」
子供はまたコテンと首を傾げている。認識してるけど内容は理解してないというか…分かってない?という感じだ。
「さっきからこの子を知ってるっぽいが…何かしたのか?」
「それはそのぅ…ちょっと言いがたいと言いますか何と言いますか…」
凄い言い淀む白、子供はじっと瞬きもしないでずっと白を見続けている。最初は何ともない白だったが視線を浴び続けて根負けしたようで話し始めた。
「…う、仕方ない話すか。実はその子と初めて会ったの百年前ぐらいなんだよね。多分」
「多分?」
「ここ時間の流れ曖昧だから地上の時間よりも早く流れてたり逆にゆっくりだったりするからよく分からなくなるんだよ。だから多分」
また知らない情報が出てきた。もういっそ全部話して貰った方が良い気がしてきたが、言われても理解出来ないので止めた。
「んでこの子なんだけど…さっき匠悟の魂握って口から出そうとしたじゃん?」
「知らないんだが?」
「で、百年前にも匠悟と一緒のことしたんだよね」
「だから魂握るって何?」
「そのとき力加減間違えて魂握り潰しちゃったんだよね」
「は?」
は?何言ってるんだこいつ。魂ってそもそも握り潰せるようなものなのか?というか俺の魂を握ったって…
「うん。言いたいことは分かる。でも仕方ないじゃんそんとき初めてやったんだから。僕も反省してるよ」
そういう問題じゃない。…ここで俺が怒るのは違う、それは分かっている。でも、何か違う気がする。白と俺とで人に対する考え方が。
「ほら、撫でても反応ない犬より僕に撫でられたらー?おーよしよし」
「おー」
白が子供を撫でる。自分が魂を潰した相手なのに何事もなかったように。いや違うのか?もう終わったからいいと思っているのか…
「でも何でまだ居るのかなぁ穢れは感じないし…匠悟?」
「あ、いや何でもない」
「…?ならいいけど」
白は俺を怪しむような視線を送った後にズブ、と撫でてた手を子供の頭に沈める。何かを探るように頭の中で手を動かしている。端から見たらだいぶ…大分…
「…」
「…あー握り潰された魂と魄が合体してるのか。そりゃ消えない訳だわ」
「う?」
何か理解したようで腕を出してまた子供を撫で始める。その光景を俺は黙って見ていた。