モンハン勢がダンまち世界に迷い込むのは間違っているだろうか   作:H-13

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ヤマトの身長は185前後で体重が100あるか無いか位のがっちりした男です。見た目年齢は20代後半です。

久しぶりにPSPを引きずり出しました。アマツアルバ討伐行ってます。普通に楽しい。



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「…あー、ヤマトだ。よろしく頼みたい。」

 

「ニャーが食い逃げしかけたヒューマンにぁ?」

 

「こら、アーニャ。初対面にそんな失礼な。」

 

「事実ニャー」

 

「ヤマトさん似合ってますよ。私はシルです。よろしくお願いしますね?」

 

「─────」

 

ヒューマンと言われても、いや、猫耳?エルフ耳?コスプレじゃ無いだろうし…いや、考えるのは止そう。

 

メイド服みたいな統一された制服を着たヤマトは一人一人挨拶に回っていた。横の繋がりが大切なハンター故にこうした挨拶回りは比較的に慣れているものであった。

 

ミア母さん改めミア・グランド

 

友好的に最初から笑顔を浮かべてくれたシル・フローヴァ

 

ずっと鋭い目を向けながら無口なのか分からないエルフ(?)のリュー・リオン。

 

にゃーにゃーとお供のように鳴くアーニャ・フローメル。

 

他にもルノア・ファウストやクロエ・ロロ。メイ、ベリル、フェイ、ロシィ。

 

一通り挨拶回りが済めば次は完全に仕事の説明であった。

 

ぽっと出の自分を厨房には入れないと事前に知らされ、当たり前だと素直に頷いた。

 

やることと言えばウェイターである。

 

席の番号、メニューの略称。それに今日のおすすめやちょっと安く提供している日替わりの賄い料理。昼はもう過ぎているためか酒の銘柄まで次々と教われば…嫌でもここが未知の場所だと突き付けられた。

 

まだ武器コンプ出来てないのに…。こんだけ貯めたゼニーが…..。

 

orzの格好をする要因はこの位である。他はまぁあんまり。心配なのはプーギーとオトモのご飯問題くらいであった。

 

そんな心の心配は忙しさからか直ぐに吹き飛んだ。

 

休む暇?そんなものはありはしない。時たま水が飲める程度でずっと駆け足である。

 

然しこの程度で疲れるようではハンターは務まらないのだ。アルバトリオンが居る場所と比べてしまえば全然楽である。危なくもなく死なないのだから当たり前であるが。

 

最初こそ戸惑いが勝っていた足取りも後半になってしまえば慣れたかのようにするすると進み、他のウェイトレスと同じ程度の働きが出来たのではないかと自負しているのだが。

 

 

 

「ふ~…。ただまぁそれにしても慣れない事やると肩こるな。」

 

「お疲れ様でした、ヤマトさん」

 

「ンあ゛、リオンさんか。お疲れ様。疲れては無いけど緊張はするね。初めてやったから。」

 

「…ヤマトさんは恩恵を持たないとミア母さんから聞いています。ですが明らかに体捌きは戦いを知ってる者のソレだ。」

 

「俺からしてみりゃ神だの恩恵だのの方が眉唾だけどなぁ?まぁ、一応は伝説のハンターとか呼ばれてたんだぜ?この頃はもっぱら龍とかよりもコレクション集めに精を出てたけどな」

 

「恩恵も無しに…龍を…?」

 

「慣れだ慣れ。あの防具はリオレウス希少種っていう飛竜の素材使ってるし、武器は…そうだな、アルバトリオン。「黒き太陽」とか呼ばれてる奴を狩って角折って作った太刀だな。コレばっか使ってるくらいには最強って言えるな。」

 

「神ヘルメスは胡散臭いですがそれでも神です。…信じましょう。貴方は埒外の冒険者の様だ。」

 

「その冒険者?とかすら分からないんだなこれが。…良かったら俺のことも話すからオラリオの事や恩恵とかについて教えてくれ。」

 

「…分かりました。常識的なことが大半ですがそれでも宜しいですか?…それに、細かく知りたい場合はギルドに足を運ぶのも一つですが。」

 

「あんまり言いふらさない様にってヘルメス様?から言われてるしな。リオンさんが良ければこのまま教えて欲しいな?」

 

 

 

こうして、ヤマトはリュー・リオンから常識を学んだ。『リュー・リオンとの関係値が一定以上に上がった。』

 

「不思議だ。ヤマトとの会話は嫌悪感の欠けらも感じない。私の様なエルフやアーニャの様な猫人も知らないようであったし…。それにしても彼の話は心が踊る様だ。…楽しかった。」

 

一人、リュー・リオンが意識的に興味を持った人物が増えた様だ。

 

 

 

二日後。なんだかんだ衣食住をしっかりと貰ってしまったから働いても働いても返せないと思っていたがミア母さんからはあっさりと出て行きなと勧告が出てしまった。

 

漸く馴染んできたのにというのはあれか。

 

2日ぶりにシルソル装備を身に纏い、【終焉】を背負った。向かう先は決めてある。ギルド。そこでまずは情報収集をする。

 

「世話になった。感謝している。ここに来なければ充実した2日間は得られなかっただろうな。」

 

差し出すのは「秘薬」。2つしかないその1つ。拒絶されたがリオンさんの手を取って握らせれば諦めたようにそっぽを向いてしまった。

 

「死んでいなければ全快してくれる薬だ。スタミナはどうにもならないが…俺からの礼だ。何かあったら使ってくれ。」

 

説明をする前からリオンさんが驚いた目で手元を見ていた。ん?あぁ、ごめんね。いきなりびっくりしたよね。

 

「ありがとう、ございます。豊穣の女主人でしっかり保管しておきます。」

 

「やばい時には使ってくれよ?それじゃなきゃ渡した意味が無い。」

 

「秘薬」という名前で貴重品という認識があったようだが素材があれば作れる消耗品でしか無い。ユクモの自室に行けば幾らでも合成出来るのだから大丈夫、大丈夫。

 

 

「じゃ、改めて。世話になった。今度はちゃんと客として来たいと思う。忙しかったら言ってくれ。暇だったら手伝える筈だ。」

 

 

こうして、ヤマトの豊穣の女主人での生活は幕を下ろしたのであった。

 

 

朝9時前後。段々とお店が開いて行く時間でもあり、冒険者達がダンジョンへと潜る為に活動する時間でもある。

 

教わった道を進めば通称「冒険者通り」が真っ直ぐに続いていた。

 

「ギルド」。簡易な地図を頼りに行けばその建物が見えた。

 

先程から突き刺さる視線が凄いことになっているがヤマトは意図的に無視していた。

 

普通だろシルソル装備くらい!と叫びたいが周りから見れば未知の素材で造られた白銀に輝く全身鎧である。全身鎧自体が少ない冒険者にとって、中身を知らなくともそもそもヤマトは見た目から異端であった。

 

「はい、次の方…ッ!?どの様な、御用でしょうか。」

 

「あー、すまない。これで良いか?俺はヤマト。先日オラリオに来たばかりでな。ファミリアにも入っていないのだ。…一通り、オラリオについての知識は入っている。こんな装備をしてはいるが冒険者では無くてね。ダンジョンの情報と…恩恵を貰えそうな神様の情報があったら教えて欲しいと思って尋ねた次第だ。」

 

完全に顔が隠れていればまたびっくりさせてしまったと、目の前のエルフに頭を下げながら、顔を晒した。

 

ファミリアに入ってない?その格好で?とびっくりされたものの、神ヘルメスや豊穣の女主人の名前を出して色々と説明したら納得して貰えた。良かった。

 

「承知しました。私はエイナ・チュール。ヤマト氏が必要としている情報の片方は恩恵が無ければ渡せないものとなっています。先に所属するファミリアを決めて頂いてからの方がスムーズかと思います。」

 

「理解した。神様やファミリアの規模の希望…か。そうだな、身軽になれる場所が良い。どちらかと言えば眷属の居ない神の方が私には合っている様に感じるな。」

 

「それでしたら…此方になります。ギルドが把握している神様に限りますがこの紙に書かれている神様は眷属を持たない神になります。」

 

「ああ、感謝する。では所属したらまた足を運ぶとしよう。それと…良い武具が売っている場所は何処か分かるか?」

 

「ヘファイストス・ファミリアがおすすめ出来ると思います。ちょうどヘファイストス・ファミリアには神ヘスティアもおいでのようですので、所属を検討をしてみてはどうでしょうか。」

 

「ああ、そうしよう。」

 

簡単な道を教えて貰い、ギルドから出たヤマトであった。うん、広すぎるのも考えものだ。ユクモ村ならちょいちょいと出来た事がこれでは時間がかかりすぎてしまうのでは無いか。

 

まぁ、嫌いでは無い。未知に溢れたこの世界をまだまだ堪能したい。その第一歩として…新しいコレクションの開拓である。

 

ヘファイストス・ファミリア。鍛治神ヘファイストスのファミリア。それだけで心が踊る。バベルと呼ばれる巨塔。その中に入っているらしいヘファイストス・ファミリアのテナント。

 

神の居住地の様な位置づけでもあるその塔の上の方から────隠す気も無い不躾な視線がこの身に注いでいることを暫く前から察知していた。誰か知らない者なのは確定しているが…10分以上も途切れる事の無いソレにそろそろ我慢も限界であった。

 

イメージするのはアカムか、アルバか。烈火の如き怒りを一点に集め咆哮の如き殺意を視線の主に向かって解き放つ。

 

途端に気持ち悪い視線が途切れてくれた。いやいや、ほんと。やめて欲しいものだよね盗撮みたいなやつは。許可ちゃんと取って欲しいよ。

 

!おお!おお!これだこれ!モンスターの素材より鉱石の作品が多いな。と思いながらはしゃぐ様にじっくり展示品を観察している。

 

こうして不躾な視線はヤマトの目の前に広がる武具の数々を前に思考の外側に押し出されて行った。

 

 

 

「───────!?!かハッ゛…!ぁ゛!…あ゛!」

 

「!?フレイヤ様!?」

 

 

「は、…はっ……。──大丈夫よオッタル。ちょっと、ちょっかいを出したら噛み付かれた様なものよ。」

 

 

彼処まで力強い魂に初めてフレイヤは出会った。輝きが強い訳では無い。それでもなおオッタルよりも強く芯を持ったモノを見た事がなかった。

 

漆黒の魂に浮かぶのは星の如き光。ヒトの身で乗り越えた偉業を偉業とも感じさせぬソレ。

 

自分に靡かないとも本能で分かってしまったけれど。欲しい。彼が欲しい。

 

「オッタル」

 

「…は。」

 

「頼み事、お願いしてもいい?」

 

「はい。」

 

『最強』が動き出す。全ては我が女神の意の儘に。


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