青年と少女たちの日常   作:柊真夜

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7 風紀なんてなかった

 昼休み、それは学校の日常生活においての休息の時間だ。いつもは誰もいない教室で一人で昼食を食べて、まったりとするところだが、今日は違った。

 

「山崎さん、あなたはまた課題を忘れましたね?あれだけちゃんと出してくださいと言ったじゃないですか」

 

 怒られていた。いや叱られていた。どっちも同じなのだろうか。

 目の前の女子は氷川紗夜。1年生の頃から同じクラスで、その頃から彼女には叱られていた。課題やら髪型やら服装やらでどんなことでも食ってかかってきた。いつも一人でいる僕をなぜか探し当て、そこでいつも僕を怒るのだった。あまり人と関わりたくない僕からしてみれば、いい迷惑だった。関わりたくないからこそ場所を移しているのに、怒る声で人に見つけられてしまう。

 

「ごめん、でも僕ちゃんと先生に忘れたって言ったはずだけど」

 

「あなたはいつも反省しないじゃないですか。定期的に忘れるのはダメです。今度こそは忘れ物しないようにしてもらわないと」

 

「どうして僕にそんな忘れ物して欲しくないのさ。別に氷川の成績には関係ないはずだが。それに風紀を乱すようなことでもないだろう」

 

「それは……」

 

「それは?」

 

 

 

 

 

「っ//なんでもありません///とにかくちゃんと課題を出すように!」

 

 そういうと氷川は顔を赤くして、急いで去っていってしまった。

 なんだったんだ、一体。

 こうして氷川が絡んでくることがこれまでも結構あった。僕が何をしたっていうんだ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 昼食を食べて、暇つぶしに本でも読もうと思い、図書室に行った。今日は何を読もうかな。まだ時間は結構あるので、読める本もあるはずだ。

 図書筆に入ると、

 

「あっ、山崎さん……」

 

 またもや同じクラスの人がいた。

 彼女は白金燐子。彼女も1年の頃から同じクラスだった。図書室に行くと大体いる。1年生の頃から同じ読書好きとして仲はよかったほうだ。

 図書室では静かにしないといけないので、手だけあげて答えた。白金も笑顔で答えてくれた。

 今日は何を読もうかな。太宰もいいが、もう大半読んだ。2周目を読む人もいるが、僕はあまりしなかった。川端か。いや今日は谷崎だ。この短い時間じゃ全部は読めないが、暇つぶしにはなるだろう。

 座る場所を目で探すが、椅子はどこにも空いてなかった。集まるのに図書室を使う生徒もいるため、いつも図書室は満席だった。しかし、一つだけ空いている席を見つけた。僕はカウンターに近寄って、本を読んでいる白金に小さい声で話しかける。

 

「白金」

 

「?、はい」

 

「そこ使わせてくれないか?」

 

 僕がカウンターの中を指差した。そこには使われていないパイプ椅子があった。白金が状況を把握すると

 

「はい、どうぞ」

 

微笑んで開けてくれた。

 

 

 読書中はどんなことでも忘れられる。その中の登場人物は文字を超えて、脳内で動き出していた。心理小説だったら、その心の中が手に取るようにわかる。しかし現実世界ではそんなことはない。人の心は常に移り変わり、どんどん拠り所を変えていく。そんな寄生を繰り返しながら、人間は生きていく。

 寄生というのは、簡単なことではない。その寄生先によって、自分を変えていく必要がある。それならば寄生先なんぞいらん、そう言ってきたのが偉人と呼ばれた人たちだった。偉人になれなかった人が愚者になり、世間へと堕ちていくのだ。

 

 

 昼休みが終わるチャイムがなった。図書室には白金と自分以外誰もいなかった。みんな授業の準備をするために帰ったのだろう。白金は机に突っ伏して寝ていた。このままでは授業に遅れてしまう。

 

「おーい、白金。起きろ。昼休み終わったぞ」

 

「ふわぁ。うーん。あ、そ、そんな時間でしたか////」

 

起きたら、顔を赤くしていた。暑かったのだろうか。

 

「じゃあ鍵閉めていくぞ」

 

「はい……。先に行ってください。私は鍵を返さないといけないので」

 

「わかった。ああ、そうだ」

 

 僕が行こうとした直前に止まった。

 

「氷川に言っといてくれ。また理由を聞かせてくれって」

 

「?わかりました……」

 

 そうして僕は教室に戻った。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

(山崎さんに寝顔を見られたかも////恥ずかしい////)

 

 Roseliaの練習にいてもまだ恥ずかしさは残っていた。

 

 休憩中に氷川さんに聞いた。

 

「さ、氷川さん……」

 

「なんですか白金さん?」

 

「山崎くんが、また理由を聞かせてくれって言ってました。どういうことなんでしょうか?」

 

「な//全く。あの人は人の気持ちもわからないのかしら///」

 

 氷川さんが顔を赤く染めてた。もしかして氷川さんもあの人のことを?

 

「氷川さん、一緒に頑張りましょうね……!」

 

「え?ええ(バンドのことかしら?)」

 

 日常はまたも過ぎていく。




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