青年と少女たちの日常   作:柊真夜

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八島雪見様 ☆10評価ありがとうございます!


8 文化祭が盛り上がらないのはデフォルト

 妙に周りの人が浮かれているなと思ったら、来月文化祭があるらしい。そしてそれを知ったのは出し物を決める時だった。他の人は随分前から知っていたらしく、出し物の案も考えていた。僕もあることは知っていたが、そこまで興味はなく考えもしなかった。

 クラスの実行委員の女子がみんなの前に立って意見を募っている。

 ちなみに、このクラスの男女の割合は1:2だ。なんで平等にしてくれないのだろうか。

 

「じゃあ今から多数決をとります」

 

 どうやら出切ったらしい。無難なものに入れよう。まあ、準備が大変でないものが最適だが、多数決なので面倒臭いものも当たる可能性は十分にあるということだ。

 候補はお化け屋敷、カジノ、焼きそば屋、そしてメイド喫茶だ。はっきりいうと全部面倒臭い。メイド喫茶なんか特にだ。絶対に引きたくないものだ。

 

「じゃあお化け屋敷がいい人ー?」

 

 僕は手を挙げた。この中で一番無難なものと言えばお化け屋敷だ。準備も楽そうだ。周りを見渡してみると、白金も挙げていた。目が合うと伏せてしまったが。そんなに僕の目を見たくないのだろうか。結果的に僕らを含めた4人だった。

 

「カジノがいい人ー?」

 

 提案者の男子が意気揚々と挙げていたが、その一人だけだった。周りからはからかわれている。

 

「焼きそば屋がいい人ー?」

 

 これもそこまでいない。なぜだろうか、すでに嫌な予感がする。ここまで数人しか手をあげていない。だとすれば残りの人たちは、

 

「じゃあメイド喫茶がいい人ー?」

 

 ほとんど全員が手をあげた。男子ならともかく女子までもが賛成するのはいくらなんでもおかしい。

 

「計画通り……」

 

 実行委員が犯人だこれ。ほとんど全員を買収していたのか。くそ、仕事が増えるじゃないか。なんでこんなことをしたんだ。

 

「これで可愛い女子のメイド服姿が見れる……。うふふふふ」

 

 実行委員の人選ミスだ。完全にそうだ。変なやつって一人にするのは危ないけど、集団にしても危ない。これを今回の件で学んだ。

 

「じゃあメイド喫茶に決定!役割を決めまーす!」

 

 完全にノリノリになった実行委員の人が仕切っていた。役割次第でなんとかなるはず。多分。

 

「メイドやりたい人は私に行ってきてね。男子は飲食物の用意とか内装とかやるよ。協力してね」

 

 男子が少数なのでやらざるを得ない。少数派は辛い。

 でも準備だけだったらまだ早く終わるはず。

 

「あっ、男子のリーダーは山崎くんね。一番信頼できるから」

 

 なぜだ。僕が何をしたっていうんだ。成績なんか底辺だぞ、僕。

 他の男子を見てると、下世話な話をしているやつばかりだった。なぜこの時期の男はこんなに下半身に素直なんだ。おかげで一番信頼されてしまったじゃないか。実行委員の人と一度も話したことないのに。

 そうして文化祭の出し物が決まった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 ある日、バイトがない日に放課後、文化祭の準備をしていた。僕は普段誰とも話さないので、男子とも会話することなく内装の飾り付けをしていた。

 

「山崎くん、ちょっと来てくんないかな?」

 

 僕が何かをしたのだろうか。実行委員の女子に呼ばれた。周囲の男子は僕の方を見たが、気にせずにその女子についていく。教室を出て、ついたのは使っていない準備室だった。

 

「男子の感想が聞きたいんだよね。他の男子だと私たちが危ないから山崎くんにしたんだ。ほら、山崎くんって氷川さんとか燐子ちゃんとかと仲いいじゃん?」

 

 そんなに仲良く見えてたのか。実際そんなに仲良くはないんじゃないか。むしろ氷川からは嫌われている気がする。

 

「じゃあいくね。氷川さん、出てきて」

 

 準備室の扉があいた。

 

 

 

 

 

 

「なんで私がこんなものを………///って山崎さん//!?どうしてここに///」

 

 顔を真っ赤にしながら、出てきた氷川はとても様になっていた。

 

「感想が欲しいらしい。可愛いと思うよ、氷川」

 

「っ///セクハラです//!」

 

「ごめん。訴えないで。でも本当に似合ってるよ」

 

「///………ありがとうございます//(恥ずかしいけれど、嬉しい//)」

 

「ふむ、想像通りですな……」

 

 実行委員の人も気に入ったらしい。

 

「じゃあもう着替えていいですよ」

 

「失礼します///」

 

 そうして準備室へ下がっていった。普段あんなに刺々しい氷川があそこまで柔らかくなるとは思わなかった。

 

「じゃあ燐子ちゃん。出てきて」

 

 

 

 

 

 

 

 ドアが開いたら、知らない人が立っていた。

 

「うう……////恥ずかしい/////」

 

 いいや、よくみると知っている人だ。白金燐子だ。

 

「や、山崎くん///あんまり見ないで……///」

 

「見ないと感想言えないじゃん。で、どうなの山崎くん」

 

「いやすごく可愛い。似合ってるよ、白金」

 

「っ//////あ、ありがとう/////」

 

「じゃあ山崎くんに『おかえりなさいませ、ご主人様』って言ってみて」

 

「っ!?////////」

 

 予想外だった。こんなこと白金に言えるのか。

 

「ほらほら、接客の練習。ここで言えないと当日も言えないから」

 

「わ、わかりました/////」

 

 

 

 

 

 

 

「お、おかえりなさいませ、ご、ご主人様//////////////」

 

 本職みたいだった。多分本当の店でもいけるだろう。

 

「まあ、いいでしょ。じゃあ着替えていいよ」

 

「はう////////恥ずかしい//////////」

 

 急いで下がっていってしまった。

 

「これでこのクラスからのカップリングが実現できる……。ムフフ」

 

 何か下心を、相手の心にも、自分の心にも感じた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 まだ心臓がドキドキするわ……。こんなことになるなんて思わなかった。しかも山崎さんに見られた。この責任は取ってもらいますからね、山崎さん。

 そう言えば、白金さんも呼ばれてましたね。同じ山崎さんに見てもらったのかしら。

 

「うう///山崎くんに見られた//////」

 

 同じことに悶えていた。もしかして白金さんも

 

「白金さん、ちょっといいかしら」

 

「……はい?なんですか氷川さん」

 

「白金さん、山崎くんに対してどう思っているの?」

 

「っ////やっぱり、氷川さんも、そうなんですか////?」

 

「っ///白金さんもなのね////」

 

「いつからそうなったんですか……////?」

 

 日常は今日も過ぎていく。




プレイボーイですね、山崎くんは

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