シャーレ所属顧問、サオリ先生 作:ベレッタM92F
一万文字の名文をぽんぽん出せる人たち何なの?
事の発端は私達が食事を終え、セリカもバイトを終わらせて学校へ帰宅した後、アヤネから大規模な兵力を確認したという報告を聞いた時だった。
私は何か嫌な予感を感じながらも、出動命令を出した。
アヤネは部室でオペレーターを、それ以外の私達は急いで準備し、学校を出たのだが……
校門付近にもうすでに敵性勢力―傭兵が集まっていた。
その中には、数時間前に見た面々が。
ノノミがそれに気づき、声を上げる。
「あれ……ラーメン屋さんの……?」
「ぐ、ぐぐ……」
「誰かと思えばあんた達だったのね!ラーメンも無料で特盛にしてあげたのに、この恩知らず!」
「あははは、その件はありがと。それはそれ、これはこれ。こっちも仕事でさ」
「残念だけど、公私はハッキリ区別しないと。受けた仕事はきっちりこなす」
「そうだぞセリカ。優しくしたことがまるっきり帰ってくるわけでもないし、彼女達も仕事だ。自分の意思だけで動くと、信用が落ちてしまう。バイトをしてると分かるだろう?」
「確かにそうね…って、なんで先生があいつらのことを庇ってるのよ!」
しまったつい口が。
とはいえ、このままでは戦いが終わった後も悪感情がついて回ってしまいそうだからな……
どうにか両者とも矛を収められないだろうか。
「へぇー、シャーレの先生もそういうの理解してるんだ?」
「真っ先に否定すると思ったけど……」
「子どもの考えや行動を否定し、押さえつけるのは嫌いなんだ。それに昔、いろいろあってな」
裏でいろいろするのは大変なのは身に染みている。
だとしても私は物事を知らな過ぎたが。
契約書…銀行…うっ、頭が……
と、突然アルが口を開く。
「ムツキ……い、いま……シャーレの先生……って言った……?」
「えっ?言ったけど……まさかアルちゃん、あの大人がシャーレの先生ってことにも気づいてなかったの!?」
「な、ななな……なんですってぇぇぇ!!!???」
アルは白目を剝き、あんぐりと大きな口を開ける。
……まさかは思うが、「にも」ということは、あのラーメン屋の時も、アビドスということに気づいていなかった……?
「流石にそこまで知らなかったとは私も思わなかったよ!アルちゃん面白すぎでしょー!」
「アル様を騙したんですか……?ゆ、許せません……!」
「えぇ……」
どう考えてもそっちのリーダーのミスじゃないか。
だがらしいと言えばらしい。
気付いていたらまず偽物か疑うからな私は。
と、そんなことを言っている場合ではない。
今はこの戦いを止めなければ。
「誰の差し金?……いや、答えるわけないか。力尽くで口を割らせるしか」
そう言って銃を構えるシロコ。
今更だが攻撃的だな?
よく見れば他のアビドスもやる気満々だ。
「ふふふ、それはもちろん企業秘密よ?総員!攻撃!」
「結局、止められなかったか……しょうがない。アビドス、迎え撃つぞ!」
そう叫び、すぐさま近くの壁に飛び込む。
敵は便利屋メンバーを後方に、日雇いで雇ったであろう戦闘員を突撃させてきている。
「ノノミ、薙ぎ払え!ホシノはそのカバー!シロコとセリカは零れたのを撃て!」
「分かりました!えーい!」
ノノミのガトリングが一斉掃討する。
カバーしようとした者も例外なく、吹き飛ばす。
それを免れた者はノノミに反撃しようと射撃するが、ホシノの盾で防がれる。
そしてそこをシロコとセリカが狙い撃つ。
アヤネは敵の位置情報を教えながらドローンで弾薬を運ぶ。
「な、ななな……」
「おー、どんどん削られていくね」
「人数が少ない分、個人の戦闘力が高い……そこにあの先生のサポート……キツイね」
「こ、このままじゃまずいわ、ムツキ、ハルカ!やっちゃいなさい!」
「はいはーい!」
「分かりました……!撃って、撃って撃って撃って撃って壊しますっ!」
……ムツキとハルカも前線に来たか、面倒だな。
ムツキは火力の高いマシンガンに何故かたまに動いてたまに音が鳴る爆発する爆弾を投げてくる。
中は気になるが、怖くて見たことはない。
ハルカは強靭な精神で銃弾を耐えながらショットガンを乱射してくる。
土壇場の馬鹿力が怖い。
残りの二人は……あそこか。
遠くの方でスナイパーライフルを構えるアルとその隣で立っているカヨコ。
スポッターか。
アルは無くても当てれるだろうと思いながらも、しかしそのおかげで数が実質一減っているのは助かる。
「あっぶない!?」
「……っ」
前言撤回、いますぐ前線に来てくれ。
ただでさえ高い狙撃能力がカヨコのサポートでさらに高くなっている。
流石に『先生』のサポートほどではないが……それでも面倒だ。
シロコとセリカを的確に邪魔をし、こぼれた敵がじりじりと近くなってきている。
「っとと、流石にまずいね……!」
「ホシノ先輩!」
ホシノ達にはムツキとハルカがその他と共に攻撃されている。
援護したいが、下手に顔は出せない、か。
アビドスには狙撃手はいない……セリカのライフルは多少長いがスナイパーには対抗できない。
「ちっ、スナイパーを持ってる子がいればな……」
「呼びましたか?♡」
「ああ、丁度お前みたいな―」
横には狐面の少女がいた。
「―びっくりした……」
「ああ!申し訳ありません、呼ばれたと思ったら、つい……」
「いや、大丈夫だ。私が慣れればいい。……頼んでおいたことは?」
「今日の分はもう済んでおります。それで、いかがしましょう?」
「アル……狙撃手を頼む」
「お任せあれ、ですわ」
「先生!いったい誰と話して―って、災厄の狐!?」
セリカがこちらを向いて、大声を上げる。
その次の瞬間にはシロコがワカモに銃口を向ける。
「先生から離れて」
「安心しろ、仲間だ」
「……」
「シロコ」
シロコはしぶしぶ銃を下げた。
悪いが、説明をしている暇はない。
「ワカモ、やってくれ」
「はい♡」
ワカモは的確にアルとカヨコを狙い撃つ。
……今、二発同時に撃たなかったか?それはダブルバレルどころかボルトアクションだよな?
「愛の力です♡」
平然と心を読んできたが、これも愛の力か。
「あ、あれって……ひゃあぁあ!?」
「……!くっ」
「……申し訳ありません、外してしまいました」
「構わない、シロコ、ドローンを!」
シロコがドローンを展開し、ホシノ達を攻撃していたムツキとハルカを爆破する。
「流石にやば……!」
「うわぁぁぁあああ!」
こちらに気づいていなかったのか、ドローンのミサイルは二人に直撃し、他の雑兵は射撃で倒された。
「ムツキ、ハルカ!」
「ほらほら、そちらに気を取られていても大丈夫なのですか?」
「災厄の狐ぇ!?いつの間にこんな近くに!?」
いつの間にか、倒された子の武器を持ってアル達の方へ向かっていたみたいだ。
怖いな……訓練していた私達よりも強いのはおかしくないか?ヒナしかり、ミカしかり。
ちょっと悲しい。
っと、気を緩めるわけにはいかない、まだ終わってないはずだ。
そう思った次の瞬間、学校のチャイムが鳴った。
「……あ、定時だ」
「今日の日当だとここまでね。あとは自分で何とかして。皆、帰るわよ」
ぞろぞろと便利屋以外が帰っていく。
「ちょ、ちょっと待ってよ!せめて上の狐をひゃああああ!?」
アルがワカモに馬乗りされているが、無視して帰っていく。
災厄の狐と呼ばれるワカモと敵対したくないようだ。
ショットガンを頭に押さえつけられないよう一生懸命に振っているアル。
そういえば、カヨコは……あ、ダウンしている。
しょうがない。
「ワカモ、もういい。大丈夫だ!戻ってきてくれ!」
大声で呼べば、一秒も満たない速さで来た。
そこそこ距離あった気がするんだが……まあいいか。
ワカモの頭を撫でながら、声を掛ける。
「あー……もう勝ち目は無いと思うが、どうする?」
「あ、う……こ、これで終わったと思わない事ね!アビドス!!!」
「あはは、アルちゃん完全に三流悪役のセリフじゃんそれ」
「……あれ、終わった?」
便利屋は止める暇もなく逃げ……退却していった。
「……詳しいことは分かりませんが、敵兵力の退勤……いえ、退却を確認。困りましたね……変な便利屋まで狙われるとは……一体何が……」
「まあ、少しずつ調べるとしよう。まずは社長のアルって子の身元から洗ってみたら。何か出てくるよ、きっと」
「その前に……そいつと先生の関係を聞くのが先」
シロコが険しい表情で私達を見てくる。
さて、どう説明したものか……
「……で、どういう仲なのかな、その災厄の狐とは」
私達は部室に戻り、私とワカモ、アビドスに別れ、椅子に座った状態で向かい合う。
「……ワカモ、どういう仲にする」
「決めてよろしいのですか?では夫婦で」
「らしい」
「絶対違うじゃん!そっちの願望じゃん!」
と言ってもな……まあ普通に生徒でいいか。
「シャーレ所属のワカモだ。大丈夫、私達の仲間だ。安心してくれ、危害は加えない」
「あなた様がそうおっしゃるなら……」
「ほら、こう言っているしな」
「全然安心できませんが……」
「ともかく、今はその話をしている場合じゃな「ん、まだ終わってない」……なんだ?」
「ん、私の頭も撫でるべき」
そう言ってシロコが頭を突き出してきた。
「ええ……別にいいが」
「ん、ぅ……」
「わー!私もやってほしいです☆」
「は?あなた様!わたくしにも、わたくしにも!」
「さっきやったから、後でな。腕は二つしかない」
「部室でイチャイチャすんな!」
何故かわちゃわちゃした後、普通に解散したのだった。
次の日の朝。
学校に向かうべく歩いていると、アヤネと出会った。
「アヤネ、おはよう」
「あ、先生。おはようございます」
「朝早くから、どこへ?私は早めに学校に行くつもりだが……」
「えっと、今日は利息を返済する日でして……色々と準備が必要あるんです。早めに登校して返済の準備もしないとですし、今後の計画も見直さないとなので……」
偉いな、さすが暴走しやすいアビドスメンバーのブレーキ役。
……関係ないか。
そういえば、とアヤネが話を変える。
「昨日の方々の情報が見つかりました。後ほど学校で詳細をご確認いただけますか?ゲヘナ学園の生徒だったのですが……」
「あっ、先生じゃん!おっはよー!」
「ああ、おはよう……ん?」
アビドスにこんな元気な声の持ち主はいたか……?
ノノミか、セリカだろうか、と声の方を見てみると、そこにいたのは、便利屋68のムツキだった。
「な、ななっ!?」
「じゃじゃーん!どもどもー!こんなところで会うなんて、偶然だね!」
ムツキは私に飛び込み、背中に抱き着いてきた。
「そうだな。ムツキはどうしてここを?私達は学校に行くから歩いているんだが……」
「な、なんで抱き着かれて平然と会話してるんですか!あなたも離れてください!」
「おっと、引っ張らないでよー……誰かと思いきや、アビドスのメガネっ娘ちゃんじゃーん?おっはよー、昨日ラーメン屋で会ったよね?」
「その後の学校の襲撃でもお会いしました!どういうことですか?いきなり馴れ馴れしく振舞って……それにメガネっ娘じゃなくて、アヤネです!」
普段温厚なアヤネが怒っている。
出来れば仲良くしてほしいんだが……
それにとアヤネは続ける。
「先生も先生です!どうして何事もなかったかのように……」
「私達、別にメガネっ娘ちゃんたちのことが嫌いなわけじゃないし」
「別に……お互い仕事で敵になっただけだろう?それ以外なら、基本関係ないさ」
「くふふ、先生はいい考えしてるじゃーん」
いえーいとハイタッチする私達。
それでもアヤネは腑に落ちない様子。
「いっ、今更公私を区別しようということですか!?」
「別にいいじゃん。それにシャーレの先生はあんた達だけのもんじゃないでしょ?だよね、先生?」
「別に物でもないが……いいかアヤネ。世の中にはな……」
「世の中には……?」
「自分を撃ってきた奴すら憎まない者もいるんだ。ちなみに殺しかけた」
「仏か何かですか!?」
撃たれたら死にかけるただの先生だぞ。
「……あれ、殺し……」
「まあ、私の考えとしては出来れば仲良くしてほしい」
「あはは、それは無理かなー。こっちも仕事だからね。アルちゃんがモチベ高くてさ、適当にやると怒られちゃうから」
モチベ高いのか……
オブラートに包んで言えば、何かやらかしそうだな。
アルだし。
「ま、いつかうちの便利屋に遊びにおいでよ、先生。アルちゃんも皆も、きっと喜ぶからさ。そんじゃ、バイバ~イ。アヤネちゃんもまた今度ね」
「ああ、またな」
「また今度なんてありません!!今度会ったらその場で撃ちます!」
「はいはーい」
ムツキは笑いながら、どこかへ行ってしまった。
そういえば、なぜこの辺で会ったんだ?……まあいいか。
そんなことがありつつも、無事学校にたどり着き、十数分後。
私はアヤネ達と銀行員のやり取りを見ていた。
……カイザーローン、か。
悪徳なところとは聞いていたが……ふむ。
元の世界でもカイザーという名は碌でもなかったはず。
偶然……ではあるまい。
考え事をしていると、支払いは終わったようだ。
「……」
「はぁ、今月も何とか乗り切ったねー」
「……完済まであとどれぐらい?」
「309年返済なので……今までの分を入れると……」
「言わなくてもいいわよ、正確な数字で言われるとさらにストレス溜まりそう……どうせ死ぬまで完済できないんだし!計算しても無駄でしょ!」
セリカかなり苛立っている。
それもそうだろう、本人の言う通り、気の遠くなるほどの時間を掛けなければ返済できない。
そんなことは想像もしたくないな……だが。
奴らの狙いは金ではない。
勘だが、そんな気がする。
もし
金を欲しがる集団ではない。
「ところで、カイザーローンはなぜ現金でしか受け付けないのでしょうね?わざわざ現金輸送車まで手配して……」
「……」
「シロコ先輩、あの車は襲っちゃだめだよ」
「うん、分かってる」
「計画もしちゃだめ!」
「うん……」
犬の躾か何かか?
ぱん、と音を立ててホシノが注目を集める。
「ま、とりあえず先に解決するべきは、目の前の問題の方でしょ。とにかく教室に戻ろー」
教室に戻った後、アヤネが仕切って会議が始まった。
「全員揃ったようなので始めます。まずは、二つの事案についてお話したいと思います。最初に、昨晩の襲撃の件です。私達を襲ったのは便利屋68という部活です。ゲヘナでは、かなり危険で素行の悪い生徒達として知られています」
そうしてアヤネは便利屋のメンバーの名前と役職を言っていく。
素行の悪い、な……
悪いと言えば悪いが、どうしても善性が見え隠れするからな……特にアルの。
大体悪いことするときは調子に乗りすぎて後に引けなくなった時だ。
……あの時は大変だったな……
元の世界でのやらかしの数々を思い出す。
だが、私の知る中で一番と言っていいほどのリーダーだ。
先生と並ぶぐらい尊敬している。
「いやぁー、本格的だねー」
「社長さんだったんですね☆凄いです!」
「いえ、あくまでも自称なので……それで、今はアビドスのどこかのエリアに入り込んでいるようです。今朝も会いましたし……」
「ゲヘナ学園では、起業が許可されているの?」
「それは無いと思いますが……勝手に起業したのではないでしょうか」
「あら……校則違反ってことですね。悪い子達には見えませんでしたが……」
「いえ、それが今までかなり非行の限りを尽くしたようで、ゲヘナでも問題児扱いされているようです」
アヤネはその言葉を否定し、危険な存在としての説明をする。
……本人が聞けば喜びそうだな。
私から見てみれば、もっと凄いのがゲヘナにはいるが。
美食家とか……温泉集団とか……
後処理大変なんだぞ……先生が。
会議では、次会った時は取っ捕まえて取り調べをすることになって、次の事案に移った。
……なぜか、アヤネが便利屋に対して恨みがましいような……ムツキに抱き着かれた時と同じ雰囲気がする。
「続きまして、セリカちゃんを襲ったヘルメット団の黒幕についてです!先日の戦闘で手に入れた戦略兵器の破片を分析した結果……現在は取引されていない型番だと言うこと判明しました」
「もう生産されていないってこと?」
「それをどうやって手に入れたのかしら」
……なるほど、な。そんなものを手に入れる場所は一つしかない
「生産が中止された型番を手に入れる方法は……キヴォトスでは『ブラックマーケット』しかありません」
「ブラックマーケット……とっても危ない場所じゃないですか」
「そうです。あそこは中退、休学、退学……様々な理由で学校を辞めた生徒達が集団を形成しており、連邦生徒会の許可を得ていない日認可の部活もたくさん活動していると聞きました」
「便利屋68みたいに?」
「はい。それから便利屋68も、ブラックマーケットで何度か騒ぎを起こしていると聞きました」
多分巻き込まれた形なんだろうな……
……この会議中に考えていた事がほとんど便利屋なのはどうなのだろうか。
「では、そこが重要ポイントですね!」
「はい。二つの出来事の関連性を探すのも、一つの方法かもしれません」
よし、それじゃあブラックマーケットを調べてみるとしよう。意外な手掛かりがあるかもしれないしね」
というわけで、ブラックマーケットへ向かうことになったのだった。
……ブラックマーケット、か。
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