Re:2199イスカンダル大航海   作:ヤマト愛好家

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改メ号作戦

  2199年、冥王星沖合……

 

 

 「敵艦隊補足!距離40万宇宙キロ!」

 

 見張り員が激しく叫ぶ。

深緑色の深海魚を模した敵艦が大きくモニターに映る。

 

 「戦艦隊、艦首陽電子砲戦用意!」

 

 北米管区第七艦隊司令長官、ジェラルド・R・フォード大将は、

旗艦タイコンデロガからこの戦いの指揮を執る。

 

 紡錘型のタイコンデロガ級巡洋戦艦8隻が、

横1列に整列し、両翼から巡洋艦、

駆逐艦が一気に追い抜いていく。

 

 「ドレイトン、テリー、パーキンスから通信途絶!」

 

 前衛索敵艦隊の磯風型と同型の

ポールディング級から通信が途絶する。

 

 「流石に敵は素早いらしい」

 

 「司令、射程圏内です!」

 

 「全艦、艦首陽電子衝撃砲発射ッ!」

 

 ドギャギャギャッ、

と8艦8本の青白い光が一直線に伸びてゆく。

殺到する、不気味な二つの目を黄緑色に光らせる悪魔の艦隊。

そのうち6つで大爆発、敵艦を撃沈した。

 

 「敵艦隊なおも近づく!数は100以上!」

 

 タイコンデロガ級は白煙を噴き上げる。

核融合炉に尋常ならざる負荷をかける陽電子衝撃砲。

各艦一気に急速冷却を開始する。

 

 「次発までいくらかかるッ!」

 

 「あと10分程であります!」

 戦術長が答えた後、機関室から悲鳴が上がる。

 

 「機関で火災発生!

パワーキャパシタに負荷が掛かり過ぎた模様!」

 

 「諸刃の剣というわけか……」

 

 歴戦の司令官の額に汗がにじむ。

元よりこんな代物を積む予定などなかった艦である。

これにより戦艦隊は最低でも10分は何もできない。

しかし、陽電子衝撃砲は敵艦に命中すれば、

確実に撃沈を見込むことが出来る。

敵艦隊をこれ以上地球に近づかせるわけにはいかないのだ。

 

 ──巡洋艦8、駆逐艦20、敵艦隊と交戦開始。

 

 フォードは乱戦へ移行した各戦隊に

時間稼ぎの任を与えていた。

しかし、彼らの主兵装である高圧増幅光線砲は敵艦の艦橋、

後部機関部、艦橋直下の垂直部といった弱点を

的確に撃ち抜くことが出来なければ、

容易に弾かれてしまうのである。

 

 「ジュノー爆沈、フレズノ航行不能、

オークランド以下3隻大破ッ!」

 

 無論、そんな曲芸の様な事はほぼ不可能。

唯一、敵艦に対して有効な対艦重徹甲誘導弾のみが、

突入した各艦の有効武力なのである。

 

 ベイブリッジが敵駆逐艦を猛追、徹甲誘導弾を発射すると、

敵艦尾付近で弾頭が突入、後部炸薬が内部へ侵入後、

再度の爆発を起こし、敵艦尾が沸騰したかのように

ボコボコと膨れ上がる。

 

 「艦長、やりました!!」

 

 「アイツはもう戦えないだろう、次だ!」

 

 色白の勇猛果敢な若い艦長の指示の下、

敵艦隊へ再突入していった。

 

 ──同時刻、タイコンデロガ艦橋

 

 「残存艦艇は?」

 

 「巡洋艦5、駆逐艦7です」

 

 フォードは拳を握り締め、ぐっとこらえた。

味方艦の損耗が激しい。

名誉ある北米第七艦隊は、海の時代から世界最強であった。

しかし、宇宙に対して世界一位とは余りにも小さく、矮小であった。

 

 「敵艦直上!!」

 

 「何ッ!?」

 

 横一列の巡洋戦艦隊に、

艦橋上部方向から一斉に赤い矢が伸び、爆発。

3隻が衝撃により下部方向へ押し出され、

重力があるかのように墜落していく。

 

 「何故見つけられなかったのだッ!」

 

 「ワープ直後の重力変化しか検知されませんでした」

 

 フォードは不味い、と歯噛みする。

このままでは"囮"として機能できぬではないか。

 

 「全艦、敵艦隊に艦を立てろッ!」

 

 「りょ、了解」

 

 航海長は一瞬硬直するも、すぐさま艦を敵艦へ立てる。

 

 1隻さらに下方へ墜落、4隻が前部艦底のスラスターを吹かし、

艦尾上部のスラスターで姿勢角度を制御、敵上方艦隊へ艦を立てる。

 

 赤いビームが降り注ぎ、タイコンデロガも激しく揺れる。

一部ビームは湾曲した船体装甲に弾き逸らされ、

攻撃の半分を無効化する。

しかし、垂直部に命中すれば容易に貫徹、

または過貫通してゆくのだ。

 

 敵艦は恐るべき性能を持っていた。

駆逐艦から戦艦に至るまで、全ての敵の主砲はすべての

地球艦の主装甲を貫徹できた。

それを弾く方法は、陽電子の性質上角度をつければ

弾くことが出来るという原理を利用するくらいである。

 

 「司令!カウペンスがッ!!!」

 

 艦橋部に直撃弾、艦橋と一体化した二番主砲塔が、

抉り飛ばされていたのである。

カウペンスは衝撃により押され、

タイコンデロガの艦橋から下方へ姿を消す。

そして、側面を向けたのだろうか、

雷のごとく打ち下ろされたビームが直撃。

大爆発して轟沈した。

 

 悲報は続いた。

突撃した巡洋艦、駆逐艦は残数それぞれ2隻と1隻。

前衛の群れは巡洋戦艦隊を射程に収めるために隊列を整え前進中。

 

 上方の敵艦隊は戦果を譲ってなるモノか、と言わんばかりに

猛火を浴びせ続けている。

 

 一番砲塔に吸い込まれるように敵弾が突入。

タイコンデロガ前部砲塔が弾けるように爆発、

艦橋は激震、フォードは椅子の肘置きに腹部をえぐられた。

 

 「司令!大丈夫ですか!!」

 

 戦術長が立ち上がる。

 

 「そ、それよりも損害情報を収集、報告せよ!」

 

 「は、ハイッ!」

 

 前部が黒煙に包まれ、赤い光が時々煙を照らす。

歯が欠けるのではないか、というぐらいに噛み締めながら、

被害情報の把握に努める。

 

 「前部1番砲塔は消失、両側のミサイル格納筒が大破、

陽電子衝撃砲の機構の一部が損傷を受けています!」

 

 「駆逐艦ベイブリッジ、通信途絶!」

 

 安定翼の残骸が宇宙そらに散った。

 

 「て、敵主力艦隊、射程圏内に入った模様……」

 

 タイコンデロガ艦橋は、悟ったように静かになった。

艦内は消火作業、隔壁閉鎖が行われ、

さながら赤い地球の縮図であった。

 

 遊星爆弾により住む場所を奪われ、

地下都市に這うようにして逃げた人類のように、

タイコンデロガの区画は、宇宙に晒されていく。

 

 「前方至近に超重力源!!」

 

 戦術長、航海長がレーダーを見る船務長を見上げる。

そして船務長はゆっくりとフォードに視線を移した。

 

 「諸君の勇戦感謝する、我々の勝利である」

 

 フォードは狂ったのだろうか、と艦橋乗員一同が顔を見合わせた。

その時である。

 

 

 異次元の漆黒の穴から空間を引き裂くようにして出現した、

灰色と赤のツートンカラーの巨大艦。

全長はタイコンデロガを遥かに上回り、主砲は長く伸びている。

 

 タイコンデロガを庇うように、

一気に敵大艦隊に突入する進路。

 

 「続いて重力波、多数です!」

 

 続々と、青と白の塗装が施された艦がワープアウト。

 

 タイコンデロガ同級、金剛型巡洋戦艦、

 アトランタ級同級、村雨型巡洋艦、

 ポールディング級同級、磯風型突撃駆逐艦

 

 「こ、これは極東管区の艦では……」

 

 「わ、ワープしている……」

 

 戦術長と航海長が顔を見合わせた。

 

 「そうだ、そしてこの艦隊こそが我々の希望なのだ」

 

 第七艦隊の両脇から出現した50を超える99式空間艦上戦闘攻撃機。

その遥か後方には、全長300メートル級の宇宙空母「飛龍」「蒼龍」。

空母を護衛するのは多数の村雨型と、

不相応に大きなレーダーと、主砲塔を4連装パルスレーザー砲塔3基に

置き換えた、村雨改型対空巡洋艦である。

 

 そして、正面切って突入した巨大艦。

 

極東管区第一連合艦隊総旗艦"宇宙戦艦大和"であった。

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