最強のステータスを得て、素晴らしき異世界で転生を! 作:思いツッキー
無一文で異世界に送られて、ギルド登録に手数料が必要なこのすば世界。
右も左も分からない異世界で、転生特典受け取って浮かれた現代日本人転生者には、まず冒険に出るだけでハードルがクッソ高いと思うんです…。
まぁ、困った時には管理する女神様に救ってもらうしか無いかな…って。
光が晴れて目を開けると、そこはRPG風ののどかな中世ヨーロッパ風の街並みが広がった。
…うわぁ。やった。本当に異世界だ。これが夢でも死後の世界でもスゲェ満足!!
辺りをキョロキョロ見回すと、普通の街の人や槍や斧など武器を持った戦士、ローブにとんがり帽子、杖を持った魔法使いなどRPGに出てくる様々な職業の人達がチラホラ見てとれる。…あっ、耳の長い!緑色の髪!エルフだぁ!!すっげぇ!スゲェ!!
「…ヒャッホー!!」
思わず大声出して飛び上がってしまう。…っと、うわ!!すげージャンプ力!軽く家の屋根より高く飛び上がった!本当に身体能力上がってる!これが転生特典の力かぁ…!!
もう感動物だ!感情爆発しすぎて心臓バクバクしてまた死にそう!!そんな興奮冷め止まぬ俺に、背後から突然恐る恐る声が掛けられた。
「…おい、兄ちゃん。この街は初めてかい?というか大丈夫か…?」
振り向くとそこには人の良さそうな中年男性が立っていた。
ヤベッ…。メッチャ引いてる。不審者を見る目ってこんな感じか…?事なかれ主義の俺にはキツイ視線だ。情報集めて退散しよ…。
「え、ええ、今旅してきたばかりで初めてなんです。ちょっと、テンション上がっちゃって…。ここは何と言う街なんですか?」
「あん?おかしな事聞くなぁ?街の名前も知らずアンタ、ここまで旅してきたのかい?…ここは、アクセル。通称始まりの街。初心者冒険者が集まる街だよ。」
「へー、始まりの街アクセルですか……。」
……やっぱり、ここが最初の街なのか。なんか緊張するな。
「実は俺、はるか遠い異国の街から旅してきたばっかで、この辺りの事とか疎くて。魔王軍と闘おうと思って来たんですけど、どうすればいいですか?」
「いっ…!?アンタ、魔王軍と闘う為に来たのかい!?今時、珍しいな。…そうだな、この辺りは魔王城から最も離れた位置にある街だからなぁ。まずは王都目指さなけりゃいけねぇ。その為には冒険者として名を売ってレベル上げて、強くなんなきゃな。この街の冒険者ギルドならこの先だぜ?」
「…冒険者ギルド?」
「…えっ、なんだお前さんその反応!?冒険者ギルド知らねェのか!?各町にあって、冒険者に仕事の斡旋とかやってる、あのギルドだよ!?」
「あっ…えっーと。俺、今までモンスターとかほとんどいない様な地域から旅して来て、冒険者ギルドとかもあんまり無い様な所だったから。その、冒険者ってのもこれから成るんだ…あはは」
俺は内心かなり焦っていた。この世界では常識っぽい事を知らない、多分不審でヤバい男に見えているのでは?見知らぬ土地で、見知らぬ世界。…ヤバイ、何か一気に不安になって来た。
「マジか!?そんな所あんのか!?ギルドもねぇってド田舎か、よっぽど安全な国なのか。…そうか、悪かったな。この街は始まりの街って位だから治安もいい所だから、まぁ焦らずゆっくりやんな。」
「あ、ああ。ありがとうなっオッチャン」
俺は別れを告げ、まずは教えて貰ったギルドを目指す事にした。しかし、ゲームだと当たり前の様に旅してたのに、現実だとこんなに心細いんだなぁ。しばらく歩いてると少し大きな建物が見えて来た。恐らくアレがギルドなのだろう。中から賑わいの声が外にまで響いて来ている、
不安はあるけど…よし、行くか! ゆっくりと、大きな、木製の扉に手をかけ中に入っていく。
中は石畳の床に吹き抜けの2階席が作られた構造で、目の前には大きな机を何十個も並べられた酒場が併設されていた。そこには、街中で見た冒険者達以上に様々な職種であろう人達。鎧姿の戦士や魔法使いっぽい男女、僧侶みたいな人達、あの人はアーチャーかな?薄着の盗賊職っぽい人達もいる。俺がワクワクしながらキョロキョロ辺りを見回して歩いていると、近くにいたチンピラ風の金髪男に声をかけられた。
「よぉ、お前さん!この辺りじゃ見ない顔だなぁ。俺はダストってんだ。この辺りの顔役してるちょっとした有名人なんだぜ。お前新人冒険者か?この辺りじゃ新人冒険者は俺様にみかじめ料払うのが一般てぎぃぃぃっ…!?」
ゴォンッ!
多分何も分からない新人にこうやってよく絡んで金をせしめていたであろう自称・顔役のチンピラは後ろで一緒に飲んでいた現代風の服装の快活そうな少女に魔法使いの杖っぽいので後頭部を思い切り叩かれていた。
「ちょっとやめなさいよ、新しい子に絡むのは!可哀想でしょ!…あー、ごめんね。今後この町で冒険者やるんなら今後なるべくコイツと関わらない様にしないと酷い目見るわよ。覚えておいた方がいいよ。」
「はぁ。ありがとう。助かったよ。あっ、俺まだ冒険者にもなって無いんだけど、どこでそういうの申請したらいい?」
「ああ。本当に新人さんなんだ。それなら、ほらあそこだよ。1番奥のカウンターが窓口。頑張ってね。」
「あぁ、ありがとう。」
教えて貰った通り、窓口に向かう俺。後ろからはさっきのチンピラが復活したのか威勢のよく、女の子に。
「痛ぇーな、リーン何すんだ!
抗議する声が響いて来た。
魔法使いの少女の方はチンピラの扱いに慣れてるのか、ハイハイと言った感じで受け流している。俺はダストを自分の中で要注意人物リストに登録して、受付嬢の前に立った。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。本日はどの様な御用件でしょうか?」
「冒険者になりたいんですけど、どうすればなれますか?」
「はい。新規冒険者登録ですね。それでは冒険者カードを発行し登録致しますので、登録料1000エリス頂きます。」
「……えっ。…お金いるの?」
「はい。ギルド登録料時には皆さん初回に冒険者カード発行料と登録料を頂いています。」
ヤバイ。なんかいっき絶望に叩き落とされた気分。
俺は慌てて自分の服のポケットを探ってみる。仮にも女神から魔王討伐を頼んできたのだから、冒険者になる為のお金もこっそり持たせてくれているのではないかと期待しての事だった。…しかし、探ったポケットは空だった。どうすんだよ!?このまま冒険者にもならずに旅に出ろと!?
「…あの〜、俺金持って無いみたいで。何とかなりませんかね?」
「えっ…!?そう言われましても…。う〜ん、困りましたねぇ…。」
マジか。どうすんだコレ!?その時、目に映ったのはクエストボートに貼られた張り紙。…そうだ!
「あの、最初に受けたクエストの報酬から登録料引いて貰うって事で何とか冒険者登録させて貰えませんか?」
これでどうだ!?他に手は思いつかないぞ!!
「…う〜ん。冒険者という職業上、クエストに出掛けられてそのまま帰ってこられない方とかも多いので…。それに、踏み倒される方とかもいるし、一応規則ですので…。申し訳ないんですが、町でお金を稼がれてからもう一度来て頂く事になります…。」
本当に申し訳なさそうに頭を下げるお姉さん。
…終わった。マジか。初めて異世界の町でアルバイト探しして来いと…。心が押し潰されそう…。そんな事を考えていた時…。
「ギャハハ…!コイツ無一文だってよー!!登録料も払えねーとか!」
先程の金髪。随分ご機嫌だ…。大声でギルド中に聞こえそうな声で絡んで来やがった。…マジ心折れそう。
「…何だよー。笑いに来たのか。…なぁ、顔役。お金貸してくんね?というか貸して下さい!!」
「はぁ!?こっちとら珍しくギャンブル勝ちしたてぇーのに、リーンに奪われて借金の返済に当てられて無一文だっての!!むしろまだ借金残ってんだ!男に貸しやる金なんざ、1エリスも残ってねーよ!!」
…はぁー!?何で借金持ちでジョッキ片手に酔っ払って、文無しの俺のこと笑ってるんだコイツ…!?
「おら、どけどけ!せっかくいい気分で酔ってんのに、ルナの乳が拝めねーだろぉが!!…今日もエロい乳してんなルナ…///」
「…ダストさん、セクハラですよ。あと、新人さんになる方を脅さないで下さい!」
コイツ…!?典型的なクズ野郎か!?俺に絡んできたの、そんな理由!?
「バッカヤロー!この程度で引く奴なんざ、命懸けの冒険者なんて出来ねーだろ!それを俺が教えてやってんだ!!そうだろー、皆んなァ!」
「違ぇーね!ハハハッ!!」
このクズ。手にしたジョッキの裏で俺の頭をゴンゴン叩きながら、それっぽい言い訳しやがって…。
周りで飲んでいた数人の冒険者達も酔っ払ってダストに同調している。中にはこのやりとりに引いてる者や、ダストを嫌な顔や厳しい顔で睨みつけてコッチに向かって来ようとする人達もいるみたいだが、酔っ払ってるダスト達は気が付いてない。
「オラ、いつまでも居んだよ。とっとと出て行って町で金稼いで来いよ!金無し…!」
頭から飲見かけていたビール?をかけられ、そこで俺は今までの不安とあり、そこでキレてダストを(一応力加減はしたが)殴り飛ばしてしまった,
「…がふっ!?!?」
ダストは派手にぶっ倒れ失神してしまう。
…。……やっちまった。ヤバい、死にたい。
俺が突然キレた事で、賑やかだったギルド内が一気にシンと静まり返る。場を諌めようと近づいて来てくれていた冒険者達も、驚いて足を止めて見ている。
俺は、その場から逃げる様にギルドから走り出た。
背後から、呼び止める様な声が聞こえた気がしたが、足を止める事は出来なかった。
ダスト好きな人ゴメンなさい!愚か者にも脚光をシリーズのダストは好きなんですよ…。
アクセルで登録料も払えない人が来たらどうなるかと、考えたら何となく誰かしらがノリで絡んでくるかなーと。でも、明らかやりすぎですね。ダストは新人相手に絡むは絡むけど、ここまで酷い弱い者イジメになると、何だかんだ面倒見の良さそうな彼は逆に諌めてくれそうな気もします。
主人公を一旦ギルドの外に出させる都合上、悪役を買って出てもらいました。一応この日、ダストは天変地異目前の確立でギャンブルでボロ勝ちして、酷い悪酔いをしてしまった…。という設定でなんとか…。
一応、描いていませんがギルド内にはリーンだけでなく、ダクネスやクリスも居て止めに入る寸前で、彼が手を出してしまった、という妄想で描いてます。
そして彼が出て行った後、ダストや周りで笑っていた冒険者達は、リーンやルナ、更にはクリス(エリス様)から手酷い制裁(天罰)を受けていると思います。
というか、冒険者登録まで描ききれなかった…。