最強のステータスを得て、素晴らしき異世界で転生を! 作:思いツッキー
こんなん、俺の知ってるこのすば じゃない!
この回、この回さえ終われば、いつものこのすばストーリーを書けるんだ!
そんな回です。
でも、実際に異世界転生して無一文で放り出された、多かれ少なかれ人間こんな風になります…よね?
でも、原作のアクセルの町はもっとあったかい気がする…。
「あ〜…終わった。マジで詰んでんじゃん…。八方塞がりだよ…」
現在、人通りの少ない路地裏で壁に寄りかかり座り込んで塞ぎ込み真っ最中。
異世界転生の出だしから躓いて、不安に押し潰されそうになり感情をコントロール出来なくなった結果、ダストとか言う金髪チンピラを殴ってしまい、ギルドから逃げ出した。その後、いつまでもこうしてても駄目だ、と何とか気を持ち直した俺は、ギルドのお姉さんの言う通りにまずは町に出て仕事を探す事にした。したのだが…。
「ん〜、働かせてくれって?アンタ、冒険者か?この町じゃ見ない顔だな。服装も変だし…。冒険者カードを見せてくれ…。」
異世界から転生して来た俺の服装は、この世界じゃ、変な格好らしい。さらに町で見ない顔が突然働かせてくれ、となると当然怪しまれる。ちなみにこの世界じゃ、冒険者登録して貰える冒険者カードなる物が身分証代わりにもなるらしい。町に住む一般人ならともかく、クエストだ何だとアチコチを転々とする冒険者稼業は身分証もとい冒険者カードは信用を得るための必須アイテムだそうだ。
「いや、だからその冒険者になる為に金がいるんだよ!頼むよ…」
「悪いが怪しい奴はウチでは働かせられねぇな。他当たってくんな…」
これで十数件目。周りを見回すと、目の合いそうな店の店員達がサッと目をそらされる。
…クッ。どうしろと。もういっその事冒険者にならずに一般人のまま、モンスター討伐に出かけるか。魔王討伐は無理でも、モンスター討伐なら転生特典でステータスの高い俺なら余裕だろ。それに、ゲームみたいにモンスター倒してたら、お宝とか素材とか手に入って少しは金になるかも。せっかくの異世界。少しでもファンタジー感を味わって生きたい!
そう思い、俺は遠くに見える町と外を隔てる城壁を目指して歩き出した。
「はぁ〜!?町の外に出てモンスター討伐したい?…ダメダメ!アンタ一般人だろ?モンスター討伐は遊びじゃないんだ。冒険者だってわずかな油断で命取りになる。それに、悪いが規則で一人で外に出ようとする初めて見る顔は冒険者カードを見せる決まりだし、そもそも一般人は1人では外に出せない。一般人なら護衛の冒険者を雇うか、乗り合いの馬車でしか外には出られない規則だ。」
俺はまたもやウンザリした気分に落ち込む。どうやら冒険者カードは通行書の様な役割も兼ねているらしい。…万能すぎるだろう、冒険者カード。
「ほら分かったら帰った帰った…!」
そうして俺は遂に何も思い付かなくなり、こうして惨めな自分を隠そうと人通りの少ない路地裏で燻っていた。
「クソッ…。何にも出来ねーじゃねぇか。この町に来れた時は死ぬほど嬉しかったのに、ギルドで金無しで拒否られ、絡まれ殴っちまうし…。挙句に町じゃ、仕事がねぇ、外に出られねぇ。…それもこれも、あのクソ女神が悪いんだ!転生特典なんて甘い言葉で無一文で送り出しておいて、実際来たら金が無いと何一つ出来ない。それどころかこのままじゃ、何も出来ないまま飢え死にだ。…ぶっ殺してやる!
そんな危険な思考で満たされ、早3日。この3日間ずっと就職活動と町の外に出る為の交渉で拒否られ、何も状況は変わらなかった。いっそこのまま死んで、本当にあのクソ女神ぶっ殺しに行こうかと悩み始めた頃…。
救いの神は現れた。
「あっー!!やっと見つけたぁ!こんな所に居て、どおりで見つからない筈だよ!」
「.……。」
人間不信に陥りやさぐれた俺は、もうそのハツラツとしたその声に答えるだけの元気もなく、有体に言えば鬱陶しく思ってしまっていた。
「もう、そんなに睨まないで!私はクリス。君を探していたんだ。」
「はぁー?…何で?」
「君が困ってると思ってさ。このクリスさんが君を救ってあげよう!!」
「結構です。」
「…え〜!?何で!?」
「もう疲れた。このまま、死んで女神に喧嘩売りに行く…」
引き攣った顔のクリス。
「…ちょっ、何でよ!?女神様関係ないじゃん!?どうしてそうなっちゃうわけ!?」
「…頭おかしくなったって思われるかも知れないけど。俺は別の世界で一度死んで、女神アクアとか言う奴に転生特典なんて凄い力やるからってんで、転生してこの世界に来たんだ。なのに、いざ来たら無一文で放り出され!冒険者になるにはお金がいります!仕事するには冒険者の資格がいります!モンスター倒す為に外に出る為にも冒険者の資格が必要です!…無一文には八方塞がりじゃねえか!上げられるだけ上げられて、地獄に落とされた気分だよ!!」
つい勢いのままに八つ当たりっぽくクリスに声を荒げぶち撒けてしまう。思えば、俺も女神様に、その気も無いのに無茶な転生特典要求したり、この世界で楽な生活送ろうとしてたり。若干だが、悪い気はしていたが…。だからって転生直後から何もさせて貰えず餓死させる様な状況も酷すぎると思う。そんな風に自分を棚に上げて、不満をクリスにぶち撒けてしまったら止まらなくなってしまった。
そんな俺を、どこか慈愛のある表情で聴いていてくれたクリス。
「…そっか。でも、だからと言って神様相手に喧嘩するのは駄目だよ。ねぇ、お願い。冒険者になってやり直そう?」
「…悪いが構わないでくれ。…ほっといてくれ。」
…クリスの救いの手に心揺れ動かされそうになってるのに、意地を張って突っぱねてしまう情け無い自分。
クリスは寂しそうな顔をしてトボトボと帰ってしまった。
あー。またやってしまった。子どもみたいに喚き散らして、せっかく現れてくれた救いの神を傷つけた…。…もう、最悪だ…。
その日の夜。
疲れた空腹で意識を失う様に眠っていた俺の前に眩しい光が照らされる。
「…なんだ…」
「山田太郎さん…。この度は神々の詰めの甘さが原因で貴方にはご迷惑をお掛けしました。」
照らされた光が小さくなっていき中から現れたのは、まだ微かに体に光を纏わせた銀髪の美少女だった。
「…だれ…?」
「私は女神。女神エリスです。この世界を管理する女神でアクア先輩の後輩女神に当たります。」
「…ッ!?お前が!お前ら神々が…!」
女神と聞いてアクアとは違う神様なのに一気に怒りが込み上げて飛び掛かろうと勢いよく立ち上がる。
…あれ?フラッとしてすぐに前のめりに倒れてしまった。
「…3日も何も食べずに急に怒り動けばそうなりますよね。…この度はアクア先輩が貴方を無一文でこの世界に放り出してしまいすいませんでした。本当ならこの世界に転生者が送られて来た際は、必ず私の信者の誰かしらがギルド内で待機しているのですが。貴方があの日ギルドに来た日は、ちょっとトラブルがあって。…というか、あの冒険者が貴方にあんな絡み方さえしなければ、あの場で救えていたのに…。」
最後の方はかなり小声で聞こえなかった。が、本来ならあそこで救われる手筈が整っていたという事だろうか…?
「…というか、貴方も悪いんですよ?聞けば先輩を調子に乗せて、無茶な特典を受け取った様ですし。貴方が逃げたあの時だって、私の信者が必死に追いかけたのに、速すぎて逃げられるし。」
…おおう。アクアとか言う神様を騙くらかして無茶な要求倒したのバレテーラ。…と言うか、あの時誰か追いかけて来てくれてたのか。そう言えば逃げる時、誰か呼び止めてくれていた気がしないでも無い。
「山田太郎さん。もう一度私の信者が貴方の元を訪れます。もう一度だけ救われてくれませんか?お願いします。」
その声と共に俺の意識はまた、落ちていった。
パチッ
朝の日差しが眩しく感じ、目が開くと見知らぬ天井が目に入る。いつの間にベットに運ばれていた。
「…ここは?」
不意にいい匂いがして、グゥ〜と最近聞き慣れた腹の音が鳴り、横を見ると小さな木製の机の上に一切れのパンとまだ湯気の立つスープが置かれていた。
昨日くらいから死んで神様と喧嘩しに行くと意気込んでいたのに、3日ぶりの食事を見て、齧り付いた。生きたいと思った。そのまま大粒の涙を流しながら、声を上げて3日ぶりの食事に集中した。
食事を終えて暫く泣いてようやく落ち着いたタイミングで、元気よくクリスが入ってきた。
「やぁ!目覚めたかい?おっ、食事も完食したね!」
タイミングちょうど落ち着いたタイミングで入って来たクリスは実は扉の前で、タイミングを見てくれていたのではないだろうか。そしておそらく俺の大泣きを聞かれていた…。…恥ずかしい!!
そんな心配を他所にクリスは続ける。
「実は昨日君と別れたあと、エリス様からお告げがあってね。もう一度君を救ってあげてくれって。そんでまた路地裏に行ってみたら、君が倒れていてビックリしたよ!友達に頼んでここまで運んでもらったってわけさ。」
「…ここって?」
「ここは女神エリスを信仰するエリス教会の部屋の一つだよ。私もエリス教信者で、ここの司祭様とは顔馴染みだからお願いして君を休ませてもらってたんだ。」
…そっか。あの女神エリスとか言うのは本当にもう一度、信者に俺を救わせたんだ。アクアとか言うのとは違うのかな?
「クリス、ありがとな。助けてくれて。」
「うん!ちょーいいよ!エリス様はちょう優しい女神様だからね!何なら君もエリス様、信仰しちゃう?」
「あっ、ゴメン。信者の信仰心自体は否定しないけど、俺はパス。神は人を救わない。人を救うのは人だけって、俺の持論だから。実際に俺を助けてくれたのもクリスだし。…ま、ちょーっとだけその持論にも思う所が出てきたけど…」
最後は聞こえないくらいの声で話してみる。
それでもクリスは満面の笑みで笑いかけてくれた。
「そっか…!じゃ、この話はおしまいにして〜。ねぇ、君?もう一度ギルドに行ってみない。登録費は私が持つからさ。」
「なんでクリスはそこまでしてくれるの?」
「そんなのエリス様が望んでるからさ!ねぇ、行こう!」
クリスが手を差し出してくれる。
それだけで本当に救われた気がした。俺はクリスの手を取り、感謝を込めて大きく頷いた。
「お願いします!」
「うん!それじゃ、行ってみよう!」
主人公にあるまじきやさぐれ…。
そして山田太郎の名前の逆インパクト?
実際、あの世界の転生者達は転生直後どうやって冒険者登録したんですかね?
何となく、やっぱりクリスさんが世界の管理業務の一環で救ってくれていたんじゃないかと。原作で、アクア達にお金をくれた司祭が毎回いるとも思えないし。あとはワンチャン、ダスティネス家というかダクネスが目についた冒険者の費用の肩代わりをしていたとか…。
あと遅くなりましたが、もし本当にいらっしゃったら。山田太郎様。
名前をディスる様な書き方をしてしまい本当に申し訳ありません。
次回、やっとギルド登録。
この話の中の主人公が、これから名乗っていく本当の名前がお披露目になります。…伏線でも何でもないよ?ただ音の響きと漢字で書いた時の字面が好きなだけで、特に名前に意味とか特別な仕込みとか含ませて無いからね?