ゲーム内で負ける敵がいないので、ピンチのプレイヤーを助けるのに徹している   作:みそすうぷ

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第2話

「それでは八秒後にグレネードの効果が切れます。それと同時にこの集団を追い払うので、離れずについてきてくださいね」

「八秒?!」

「また走るのかあ……」

「わかりました!」

 

 3,2,1

 

 0

 

 一斉にAI兵たちが動作を再生する。素早いのが一体、三人めがけて飛び出した。

「ふぎゃあああ!」

 さっきまで地面にうずくまっていた一番気弱そうな子が悲鳴をあげる。私はすかさず小銃をAI兵のヘルメットに突きつけ、最高速度で連射した。ヘルメットごと頭を破壊されたAI兵はわずかに震えて停止する。

「ナギサさん、クリスタルの回収を」

 私はリーダーの子をプロフィールの名で呼び、とどめを刺すよう指示する。

「はい!」

 ナギサさんは腰からバトルナイフの持ち手を取り、刃のスイッチを入れる。刃は放電音と共に鋭く伸びた。彼女は少し後ろに下がってナイフを構え、奇声を上げながら敵の心臓に刃を突き刺す。AI兵のコアにヒビが入るのが、やつの装甲越しにわかった。AI兵は甲高い反響音と共にポリゴン状に放散した。

「やった!」

 パーティーデータ上でナギサさんのクリスタルが加算されるのが、視界の隅のミニウィンドウでわかる。

 次第に動作を正常に戻しつつある兵隊たちがジリジリとこちらへ滲み寄る。

「それじゃあ、行きますよ」

 三人が私にコクコクとうなずく。

 私は小銃のスイッチを切り替えて、低射出、高威力のモードに変える。包囲に素早く目を走らせ、一番脱出しやすい直線を探す。

「あそこかな」

 私は肩に銃のストックを当てて、グリップを握り直す。そしてトリガーを一発ずつ丁寧に引いた。

 銃弾と円型の波動を受けたAI兵は次々と一撃で倒れていく。それを一直線に走りながら続行した。

 三人はひい!だの、ぎゃあ!だの、ぴい!だの色んな声を上げていたが、ついて来れているのはわかっていたので、足は止めなかった。

 一分も走れば、包囲からは離れられた。私たちから五十メートルほど遠い場所にAI兵たちはまとまっている。私は登録してあるモーションで腕をなぞり、武器をロケットランチャーに切り替えた。

「よっと」

 ロケットランチャーの重みで少しだけ膝が沈む。そのまま片膝を地面の砂につけて体勢を安定させ、照準を合わせた。

「ちょっと大きな音なりますよ」

 トリガーを引くと弾が発射され、あたりの空気が勢いよく流動した。砂は巻き上がり、視界が曇る。

 爆音と共に、私のクリスタル容量が一気にマックスまで跳ね上がった。ゲームバランスを守るために本当はしてはいけないことだが、私はそれを三人に均等に配分した。そもそもセントラルにある私のクリスタルバンクにはこれ以上貯める余裕がない。

 標的は全てポリゴンに変わり、兵隊のいた場所はまっさらな砂漠に戻っていた。

 ロケットランチャーに驚いて腰を抜かした子は私が背負い、私たちは砂漠を抜けた。

 

「皆さん、お疲れ様でした。セントラルの正門に到着致しましたので、本日のフォローアップは以上になります」

「あ、ありがとうございました!」

「いいえ」

 私はセントラルタワーを背後に、三人に敬礼する。

「プレイヤー諸君のリリースが安寧と共にありますように」

 三人はへにゃへにゃとした敬礼を慌てて私に返した。

 

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