ノルンとルイジェルドの結婚より二年ほど。

二人の愛の結晶もすくすくと育ったとある昼下がり。

頬を染め、難しい顔をしたルイジェルドがノルンに何事か相談を持ち掛けて……?




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若妻ノルンの悩み事

 

 

 

こんにちは、ノルンです。

 

最近私には悩みがあります。それは……

 

 

 

「ノルン、今日は、その……またアレを」

 

 

 

……これです。私の旦那様、ルイジェルドさんの悪癖についてなんです。

 

 

本当に大好きで、大好きで、今も恋い焦がれている人なんですけど、コレだけはどうにも……。

 

 

はっ、当人の目の前でぼんやりと悩んでしまった。

見れば、ルイジェルドさんは困ったようにもじもじしている。

いつもクレバーなこの人が、こんな顔をするのは週に一度。

どうしても我慢が出来ないようです。

 

 

……まぁ、私も、アレは嫌いじゃないんですけど。

 

 

「……駄目だろうか。いや、しかし、うぅむ」

 

 

私が返事をしないので、しょんぼりしている。なんだか可愛い。

 

 

「うー?」

 

 

あらあら、お昼寝していた娘のルイシェリアまで起きてきちゃいました。

最近はよく歩くし、お喋りもするようになりました。

 

 

「おーしゃ、あーしゃ、う?」

 

 

私たちの雰囲気を察してか、不思議そうな顔でこてんと首を傾げています。

 

ん゛ん゛~~~~~っ!!

 

なんて可愛いらしい子なんでしょう!

 

 

あ、ちなみに「おーしゃ」は父様、「あーしゃ」は母様、と言ってるつもりのようです。

ちなみに自分の事は「うーしぇ(ルーシェ」と言います。

 

 

~~~~っ!!

 

 

うちの子、本当に可愛いでしょう!?

 

 

はぁん!もう!今すぐ抱き上げてそのマシュマロみたいなほっぺにキスをしたい!

 

 

「あぁ、ルイシェリア。起こしてしまったか」

 

 

……残念。先を越されました。

 

 

ルイジェルドさんが先にルイシェリアを抱き上げてしまいました。

そして、二人して綺麗な瞳で私をじっと見てきます。……これ、卑怯ですよね?

 

 

ルイジェルドさんは逞しくも凛々しい、見惚れるほど端正で美しい顔立ち。

ルイシェリアは先述の通り、天使のような可愛さです。

 

あ、ちなみにこの場合の「天使」はミリス様にお仕えしていた12人の少年使徒の事です。

美しくも薄幸の少年たちを、後の世では「天からの御使い」と称しました。

略して「天使」。とても愛らしい赤ちゃんや子供などを表現するのに用います。

 

 

そんな二人の視線に、私は毎日耐えているんです!これ、かなり辛いんですよね。

 

 

毎日、毎日、朝になるとルイジェルドさんの顔を見て「……しゅきぃ」と腰が抜けますし。

毎日、毎日、ルイシェリアを抱いたりご飯を食べさせる度に「……可愛い」とメロメロになりますし。

 

 

あっ……っと、こほん。

 

 

失礼しました。少し、自分の考えに埋没し過ぎたかもしれません。

再び意識をルイジェルドさんに向ければ、捨てられた子犬みたいな目になっていました。

 

 

「お前がどうしても嫌というなら、俺も我慢するのはやぶさかではない」

 

 

あまりにも私が何も言わないので、勝手に譲歩しだしました。

いや、眉間のシワが凄いですよね?

歯も凄い食いしばってますし。どれだけ我慢出来ないんですか。

 

 

「……ふぅ。仕方ないですね。準備します」

 

 

私がそう言うと、彼の顔がぱぁっと輝きました。

凄い喜んでいます。なんというか、何十年来の友人に久々に会う人みたいな?

 

 

「そうか!本当に感謝する!」

 

 

本当に嬉しそう。そんなに我慢していたんですか……。んもぅ。

私が頬を膨らませていると、面映ゆいのか苦笑いをして頬をポリポリ指で掻いています。

 

 

「自分でも恥ずかしいとは思うのだが……どうにも我慢できん。

 

 

 どうしても欲してしまうのだ……

 

  

  ルーデウスの作ってくれたあのTKGを!」

 

 

 

 

……そうです。

 

 

ルイジェルドさんが週に一度、どうしても我慢が出来なくなる事。

それは、卵かけご飯を食べたくなる事なんです。

 

 

病み上がりに兄が食べさせてくれた卵かけご飯が、とても美味しかったんだそうで。

炊き立てのご飯もさることながら、そこにかけた生卵と鬼水のコンビネーション?

香ばしい卵黄と鬼水の匂い、噛み締める程に甘くなるご飯の味を忘れられないのだとか。

確かに美味しいんですよね。私もあの時一緒に食べましたけど。でも、そこまでとは……。

 

 

「ままご?うーしぇもままご、ままご!」

 

 

抱っこされているルイシェリアが大喜びしています。

以前、ルイジェルドさんが戯れに一口食べさせたところ、気に入っちゃったんですよね。

パクっと口に含んだ瞬間「うまい!?」と言葉を発したんです。

初めてまともに喋った言葉が「うまい」なんですよ、うちの子……天才か!?

 

 

「そうかそうか、ルイシェリアも食べたいか!」

 

「ままご!ままご!」

 

「そうだろう、そうだろう!ハッハッハッハッ!」

 

 

二人してキャッキャッと小躍りして喜んでいます。ふふっ、似た者親子ですね。

 

 

「それじゃ、鶏飼いのレイジャードさんの所に行ってきますね。でも、ほどほどにしてくださいな?」

 

 

さすがに野性的なスペルド族でも、生卵を食べるという習慣は無いみたいです。

卵を分けて貰う時にいつも微妙な顔をされるんです。もう慣れましたけど。

そういえば兄と暮らしていた時は、アイシャが新鮮な卵を用意してましたっけ。

 

 

「ままご!ままご!」

 

 

ふふっ。ルイシェリアも大喜びですね。あらあら、可愛いですね。

 

 

「すまん。では、米は俺が炊いておこう」

 

「ままご!」

 

「はいはい……。あ、そっちの箱じゃなくて、白い箱ですよ。こぼさないでくださいね」

 

 

 

 

------

 

 

 

 

やれやれ。私の旦那様の悪癖にも困ったものです。

 

でも、この時ばかりは彼の心からの笑顔を見れるんですからね。

 

兄と、兄の悪食にも、少しくらい感謝しておきましょうか……。

 

 

 

 

          

 

 

                 ー終ー

 

 

 

 





(店`ω´)はい、どうも。てんちょっぷの無職転生二次小説第二弾でした。

これはブログで投稿した過去作であり、夏のむしょ本合同誌に寄稿したものでもあります。

本当はナナホシとオルステッドの話(過去作)を投稿しようと思ってたんですが、なにぶん2015年に書いた物でアニメとの整合性が合わないので加筆修正しているのですが時間がかかってしまい、せっかく読みに来て頂いた無職ファンをがっかりさせるくらいならばと、コレを投稿しました。

二連続でルイノルを投稿するのはちょっとアレだなとは思ったんですが。
そこんところは、まぁ、やらしくご了承ください。

それでは、また。(店`ω´)ノシ

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