闇と光がそなわり最強に見える   作:恒例行事

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第九話 謎が謎を呼ぶ親世代

 

【災禍の獣】。

 太古の時代、原初の闇魔法使いが生み出した最悪の存在。

 山を越える程の巨躯に、無数に生成される頭部から、魔法を放ち続け一面を焦土と化す破壊力をもつ。

 

 記録上見られたのは太古の時代が最後ではあるが、封印は地続きで行われていると噂されている。

 

 突然眉唾な情報になったな。

 正確性はあんまりだけど、異世界ファンタジーならあり得る話だ。

 なんかよくわからん封印の力を持ってる一族が守ってるとかそういうパターンだろ。オタク日本人が「むほほw」と言いながらメガネクイッしてる。

 

 だが師が見ておけと言ったんだから、大事な情報ではあるんだろう。あるか? 本当に? わからん……

 

 とりあえず頭の片隅にでも置いておいて、それよりも。

 精査したい情報はこっちではない。

【闇一揆】。

 これに尽きる。

 父上と師の因縁はここで生まれたに違いない。

 

 15年前の闇一揆について詳しい部分は……お、あった。

 

「首魁、パルス・フォールド……闇魔法を再興させる、という目的を持っており、学園在籍中に複数個の新魔法を開発し名をあげた」

 

 これを見る限り優秀な人って印象なんだけどな。

 闇魔法使いで優秀な人は軒並み危ないってイメージが先行してしまう。

 

 師? 

 師はどう見ても律してるだろ。

 変な思想もあんまり見せないし、あくまで闇=死だよってことを子供に叩きつけるくらいのことしかしていない。おっ、これ聞くと理不尽な人だな。死を子供に教えるってなんだよ。やばいだろ。

 

 でも事実だし。

 

 続きを読む。

 

『カリスマを持っていた同氏に心酔するものは多く、後の反乱で最も被害を出したのも学園で親しかった者たちだった。一部を除いて隣国との争いに加担してしまった者は皆死罪となり、戦いの最中で殺害されるか、捕縛され殺害された。しかし同学園にて卒業を控えていたある生徒が中心となり侵攻を押しとどめ、隣国による被害を最小限に抑えたのも大きく、彼ら彼女らの嘆願により『闇魔法そのもの』に対する弾圧は控えられた』

 

 へぇ……

 父上、あんなこと言っておきながら弾圧はやめさせたのか。

 なんでだ? 

 そう思って次のページに目を通したら、全然そんなことはなかった。

 バリバリ弾圧派だった。

 

『【光の剣聖】と呼ばれることになるレオパルド・レオフォード卿はこの際「徹底的に闇魔法を忘却すべき」と唱えており、共に反乱を抑えた魔法使い達と対立。最終的にレオパルド卿が折れる形となり、また、反乱を抑えた者達の中にも闇魔法使いは混ざっていたことから、そうするべきではないと撤回された』

 

 一枚岩じゃねぇんだなぁ。

 それは異世界でも一緒か。

 技術が悪さをしてるのか、人が悪さをしてるのか。

 現代日本ではこのような格言がある。

 

『数字は悪さをしないが、悪い人間は数字を使う』。

 

 少し内容は違うが、これを見極めるのは本当に難しい話だと思う。少なくとも俺には無理だね。わからん。闇魔法を押さえつけるべきだとも思うけど、それをされたら今の俺はないので勘弁して欲しい。

 

「うへぇ、思ってるより父上に敵が多いじゃん」

 

【光の剣聖】、想像してたよりずっと重いし面倒な肩書きだったんだな……

 

 それなのに俺は横柄な態度取ってるし、光と雷失ったら闇に堕ちるし、住み込みで師事受けてるしでもう滅茶苦茶だね。父上からしたらかなり不安なんじゃないか? 

 でもそれを許したってことは、俺を信頼してるのか、それとも……

 ヴィクトーリヤ師のことを知ってるのか。

 

 同い年でこの戦いに巻き込まれてる可能性はなくはない。反乱を抑える側に闇魔法使いも混ざっていたのなら、それが師である可能性は0じゃあないね。

 

 そこ繋がりか? 

 

「ま、それはなんでもいいか」

 

【深淵覗き】とやらが一番気になる。

 文面から察するに闇魔法使いの集まりで間違いないだろう。

 大手を振って研究できる他の魔法と違って、どこか危険視される闇魔法を集団で研究する組織とか普通に怖い。いつ犯罪行動に移るかわかったもんじゃないけど、15年前のこれは、なんていうか……他の事件とは違う気がする。

 

 集団失踪。

 これがなんとなく引っかかる。

 今気にすることじゃないとは思うんだけどね? もしもここに他者の意識が介入してないのだとしたら、自分達から失踪したとしたら。そこにどんな意図があるのかは、読み解きたいところだ。

 師に聞きたいことが増えていく。

 う〜〜んんん、これ、なぁ……

 なんか嫌な予感する。

 具体的にいうと、親世代の因縁が俺に降りかかってくるっていうか。

 もうすでに来てるんだけど、この程度じゃ済まない気がするよ。

 

 闇魔法使いとして反乱を収めた師。

 その戦いで光の剣聖として名を広めた父上。

 それらの間を取り成した、かつて師を導いたサンセットの爺さん。

 

 何かあるだろ。

 これが偶然で処理出来るとは思えない。

 学園に入るまでになんとかしておきたいことが積み上がっていくぜ〜? 

 

 アッシュくん。

 なんでかわからんが、君は将来苦労する立場だったらしい。一人だけじゃなくてよかったな、オタク日本人も泣いて喜んでるぞ。異世界が俺に厳しいって。

 

「まずはディーからだな……」

 

 問題は一つずつ対処していくに限る。

 エレーナの時みたいに。

 毎回うまく行く保証はないけど、うまくいかないとダメなんだよ。

 ため息を吐いて、外を眺めた。

 

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