赤き覇を超えて   作:h995

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これでプロローグは終了です。

追記
2018.11.11 修正


後編 伝説の後継者

 エクスカリバーの鞘である静謐の聖鞘(サイレント・グレイス)を拾得したのが切っ掛けでエクスカリバーと騎士王(ナイト・オーナー)の称号を継承する事になった、その日の晩。

 僕はベッドの中に入って眠り始めると、新しく仲間に加わったカリスにドライグを紹介する為、夢の中でカリスを伴ってドライグの元へと向かっていた。僕と意識を共有しているドライグの方はカリスの事を見ていたかもしれないけど、カリスの方はドライグの事を知らない筈だから、まずはお互いに顔合わせする必要があると思ったのだ。

 そうしてカリスと談笑しながら歩いて行くと、やがてドライグの姿が見えてきた。それを見て、驚いたのはカリスだ。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ! 何で赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)本人が、しかも肉体を持たずに魂だけの存在としてイッセーに宿っているのさ! てっきり、イッセーもアーサーと同様に赤い龍の因子を持っていて、それがドラゴンの形で具現化したとばかり思っていたのに! オイラが眠っていた間に、一体何が起こっていたんだよ!」

 

 このカリスの反応を見て、僕は一つの仮説を立てた。そもそもエクスカリバーとカリスが切り離されてしまったのは、先代の騎士王であるアーサー王がまだ生きている時。しかも、その後にアーサー王の死と共に湖の貴婦人に返還されたエクスカリバーは三つ巴の大戦で使用されて、最後には自己崩壊してしまっている。そして、ドライグが神器(セイクリッド・ギア)に封印されたのは大戦末期である筈だ。……という事は、カリスが眠りに入った時にはドライグはまだ現役だった事になる。アーサー王が活躍した時代は諸説あるけどだいたい五世紀頃だと言われているし、その説とアリスお姉ちゃんの「千年以上に渡って、世界の全てを恨み続けて来た」という発言から換算したら、ドライグ達二天龍が封印されたのは今から大体千年ほど前になるので、カリスが眠りに入ってからおおよそ五百年後くらいだと思う。因みに、三つ巴の大戦が自然消滅したのは、二天龍を封印した最上級の神器を製作するのに必要な期間を考えると、二天龍の封印から大体数十年から百年ほど後の事だと思う。

 ……確かに、現役時代のドライグの強さを知っているであろうカリスにしてみれば、「どうしてこうなった?」と言いたくもなる。でも、そういつまでもここに留まってはいられないので、僕はカリスに呼び掛けた。

 

「カリス。話は後でするから、まずはドライグの所に向かおうか?」

 

 僕の呼び掛けに対して、カリスはただ頷く事で同意した。そして僕達はその後、お互いに言葉を重ねること無くドライグの所へ向かい、そこへ到着するとドライグから予想外な言葉を聞かされた。

 

『相棒、よく来たな。歓迎するぞ。ところで、ソイツは誰だ? 相棒の精神世界に入り込める時点で、相棒とかなり深く繋がっている事は想像できるんだが』

 

 ……どういう事なんだろう?

 

 

 

『相棒。お前、実はデタラメな奴だったんだな』

 

 ドライグとカリスがお互いの事情を全て話し終えた後、ドライグは呆れた様にそう言ってきた。

 

「解り切っている事を言わないでよ。僕だって、今ならちゃんと自覚しているんだから」

 

 赤龍帝の意味を理解し、またエクスカリバーというおそらく最上位の聖剣を継承した今、自分がどれだけデタラメな存在なのかを嫌でも理解している。だから、本当に今更だった。そんな僕の様子を見て、何故かドライグがクスクスと笑い出した。

 

『まぁいい。そういう事にしておいてやろう。しかし、さっきも言ったが、これは相当にデタラメなことだぞ。様々な偶然、いや、もはや奇跡と言った方がいいかもしれん。それらをその身に纏めたお前は、間違いなく史上最強の赤龍帝だ』

 

 ドライグは笑いを収めた後は雰囲気を真面目なものに変えてそう言ったけど、それは違うと思う。

 

「ううん。僕はむしろ赤龍帝だからこそエクスカリバー、というよりもカリスに選ばれたんだって思うんだ」

 

『ほう』

 

 ドライグは僕の言葉を聞いて、興味深そうに僕を見ている。……あくまで推測だけどそう外れてはいないと思うから、僕は思い至った推測をドライグに話してみた。

 

「一説には、先代は胎児の時に赤い龍の因子を魔法使いに仕込まれたっていうものがある。つまり、アーサー王は赤い龍の加護を何らかの形で持っていたんだって思う。そしてそれは、カリスが探していたのが赤い龍の加護を持つ者だった事で証明されているよ。その意味では、実は全ての赤龍帝にエクスカリバーを継承する資格があったんじゃないかなって思うんだ」

 

 僕の言葉にドライグは納得したみたいだけど、同時にそれとは別の疑問が湧いてきたみたいだった。

 

『成る程な。だが、今まで相棒の様な赤龍帝が現れなかったのは』

 

「カリスと出会わなかったからだと思う。でも、あんな人目のつくようなところに静謐の聖鞘が転がっていたのに、何故誰も気づかなかったんだろう?」

 

 僕はドライグの疑問に対して言葉を続ける形で答えたけど、同時に僕が見つけた時の状況からそれだけが疑問だった。……だけど、その事で逆にドライグに尋ねられてしまった。

 

『……逆に訊くぞ、相棒。お前は何故、静謐の聖鞘を見つけられたのだ? 俺はお前と意識を共有しているが、それについては全く気付かなかったぞ』

 

 ドライグのその言葉に、僕は驚くしかなかった。仮にも神に匹敵すると謳われる二天龍のドライグが、静謐の聖鞘に気付かなかった?

 

「高い隠蔽能力が与えられているとは聞いていたけど、そこまで?」

 

 カリスから静謐の聖鞘の隠蔽能力の事を聞かされていたけど、正直言ってここまでとは思わなかった。そして、ドライグもやや憮然とした様子で僕の問い掛けに答えてきた。

 

『……あぁ。俺の目の前に静謐の聖鞘を置かれたとしても、今でも俺の目にはただの装飾の良い鞘にしか見えん。何も知らずにこの鞘の力を見抜くことは、正直言って俺にも無理だ』

 

 静謐の聖鞘の力を見抜けなかった事が悔しいのか、ドライグは少々機嫌が悪かった。そんなドライグの言葉を聞いた僕は、静謐の聖鞘を見つけられたのは「発見の才」のおかげであることを理解したし、そのお陰で静謐の聖鞘の本質にも気付けた。そして、改めて思う。

 

 伝承の一節にあった「大切にすべきは剣でなく鞘である」という言葉は、どこまでも正しかったんだって。

 

「本当に静かに憩う鞘なんだね。だからこそ、静謐の聖鞘を失った事で聖剣の力を収められなくなっちゃった先代は、加速する運命を抑え切れずにあの末路へと至ってしまったんだ。元々そのつもりだったけど、やっぱり静謐の聖鞘は大切にしないと。先代の二の舞は御免だし、そのせいで使命を果たせなくなったカリスにも申し訳ないからね」

 

 静謐の聖鞘の重要性を改めて感じて、鞘を大切にする事を改めて決意したところで、話はカリスの事へと移っっていった。

 

守護の剣精(セイバー・ガーディアン)といったか、コイツは?』

 

 ドライグが確認の意味で僕に問い掛けてきたので、僕はカリスに関する説明を始めた。

 

「ウン。その通りだよ、ドライグ。カリスはエクスカリバーの担い手の選定、その後は担い手の補佐、そしてエクスカリバーの修復と保護を使命とする守護精霊なんだ。むしろ、エクスカリバーそのものと言ってもいいかもしれない」

 

 ドライグは僕からカリスの正体を聞かされて、驚きを隠せないみたいだ。その口から僕やカリスに問い掛ける言葉が出てきた。

 

『俺はエクスカリバーとは多少因縁がある筈だが、そんな事は初めて聞いたぞ?』

 

 そのドライグの疑問に答えたのは、当の本人であるカリスだ。

 

「それはそうだろうさ。オイラは星の意思に選ばれたエクスカリバーの守護精霊だけど、オイラの持つ色々な能力の関係上、オイラの存在を担い手以外、特に神やら悪魔やらにはけして知られちゃいけないから、徹底的にオイラの存在を隠蔽する必要がある。だから、ある意味でエクスカリバーの本体とも言える精霊なのに、あえて実際の寄り代を静謐の聖鞘としているんだ。エクスカリバーの守護精霊が、実は剣そのものには宿っていない。……なぁんて、普通は誰も思わないからさ」

 

 その意味では、むしろエクスカリバーの方が静謐の聖鞘の付属品というべきかもしれない。もちろん、実際はどちらもカリスの付属品にしかならないんだけど。

 そして、僕はドライグにエクスカリバーという聖剣の本質について説明していった。

 

「それにカリスの説明を受けて分かったけど、エクスカリバーは全ての人々が抱く希望の集合体であり、創造神である星の意思が剣の形に鍛えた真なる神造兵器、最終幻想(ラスト・ファンタズム)なんだ。だから本来、創造神より格下の存在である神や天使、悪魔、そして堕天使の力でエクスカリバーが破壊されることは決してないんだ。だけど、先代は静謐の聖鞘を失った。……ううん。継承した記憶から判断すれば、奪われたと言った方がいいかもしれない。どちらにしても、静謐の聖鞘が手元から離れたって事は、守護精霊で本体ともいえるカリスとも切り離された事になるんだ。そうなると、エクスカリバーはその光力と神秘性を大幅に損失してしまうし、使用する度に光力を消耗しても回復する術がない。たとえ剣自身の保全は鍛冶師がしたとしても、力と神秘性は減っていく一方。これじゃ、いくら最終幻想でも持たないよ。実際に破壊された時だって、カリスの見立てでは破壊されたというより殆ど自己崩壊していたらしいし」

 

 つまり、エクスカリバーは使い潰されたのだ。おそらくは十字教の関係者、即ち人間によって。そして、自分達の都合でエクスカリバーを作り変えた。一方で僕が受け継いだエクスカリバーについては、静謐の聖鞘に収めた聖剣から受け取った光力 -カリスの話では浄化に特化しているとの事- を結晶化するのがやっとというのが現状だ。

 でもだからこそ、元々持っていた七種の能力の再調整ができるので、それはおいおいやっていこうと思う。

 

「でも逆に言えば、たとえ何の神秘性もない普通の剣でも一度静謐の聖鞘に収めてしまえば、最終幻想の力を一時的とはいえ行使できるんだ。その意味でも、本体はやはり静謐の聖鞘であり、カリスなんだよ」

 

 先代は、どうもこの事実に気付いていた節があるみたいだ。そうじゃなかったら、伝承と違ってエクスカリバーよりも静謐の聖鞘を優先したりしなていないと思う。だからこそ、モルガンの姦計によって静謐の聖鞘を手元から奪われる事になってしまった。

 

『相棒の先代が気の毒に思えてくるな』

 

 ドライグは先代が静謐の聖鞘を大切にしていたにも関わらず、よりにもよって異母姉によって奪われてしまった事に同情を隠せないでいた。でも、こればかりは仕方がなかった。僕はエクスカリバーを継承した事で知らされた事実をドライグに伝える。

 

「仕方ないよ。エクスカリバーを必要以上に振るわない様にしていた先代が、それでも戦い続ける事を選択せざるを得なくなったのは、偉大過ぎる為に時代を停滞させかねない英雄の終焉とそれに伴う新たな時代への幕開けを世界が望んだからなんだ。今の僕にできるのは、先代の願いを継承して明日に繋げる事。ただ、それだけだよ」

 

 ……そう、エクスカリバーを使うのはあくまで非常時のみ。普段は静謐の聖鞘に収めておかないといけないし、だからこそ静謐の聖鞘を大切にしないといけないんだ。エクスカリバーという強大な剣を抜き身にして、僕と僕の大切な人達との平穏で幸せな日々を壊してしまわないように。

 

 僕がそう宣言すると、ドライグは口元を上げてニヤリと笑った。

 

『相棒、さっき言った事は撤回する。お前は史上最強の赤龍帝という単一の存在ではない』

 

 そして前言を撤回すると、続けざまにこんな事を言ってきた。

 

『お前は史上最強の赤龍帝であると同時に新たなる騎士の王、二代目騎士王(セカンド・ナイト・オーナー)でもある。その双方を名乗る方が、お前には相応しい』

 

 ドライグは、赤龍帝の他に二代目騎士王の名を名乗る事を許してくれた。つまり、二足の草鞋を履く事を許してくれたのだ。……それがとても嬉しかった。

 そして、ドライグの話は僕の鍛錬の内容へと移っていく。

 

『それにしても、幸いだったな。自我を取り戻した歴代の赤龍帝の中に、騎士の王の指南役として相応しい奴が一人いる。ソイツには俺も一目置いているから、しっかりと鍛えてもらえよ。なぁ相棒?』

 

 こうしたドライグの言葉を受けて、僕は少しだけ別の事を考えていた。

 

「ううん、どうせなら全ての歴代赤龍帝から教わろうって考えているんだ。たぶん、僕は今までの赤龍帝を壊して、そこから新しく作り直す事になると思う。だったら、今までの赤龍帝の全てを継承して、次に繋げる責任と義務が、僕にはあると思うんだ」

 

 僕のそんな言葉を聞いたドライグは感心半分、呆れ半分といった面持ちだった。

 

『相棒。お前は案外、欲張りな奴なんだな?』

 

 ……ドライグの言う通りだろう。でも、これだけは譲れない。

 

「そうかもね。でも、これはけして妥協したらいけない事だと思う。歴代の赤龍帝が抱いた様々な想いの積み重ねがあって、今の僕がいるんだ。だったら、その想いをしっかり受け止めないと、皆の想いはそこで途切れてしまうよ?」

 

 だから、僕は諦めない。赤龍帝である事も、二代目騎士王である事も、僕はやり遂げてみせる。

 

 僕はそう決意していた。

 

 

 

Interlude

 

 一誠とドライグ、そしてカリスの三者の会話を聞いていたアリスは、一誠の考えが自分の想像を超えていた事に驚きを隠せないでいた。

 

「イッセー。まさか、そんな事を考えていたなんて……」

 

 そして後ろを振り向き、自ら歴代の赤龍帝でも最高位として選りすぐった者達に頭を下げて頼み込む。

 

「勝手な事を言っているのは、わかってる。わたしが世界を恨み続けたせいで、殆どの赤龍帝が自分の意思を保てなかったのも。でも、お願い! 皆の力を貸して! 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が持つ本当の力の使い方を教えるだけなら、はじまりの赤龍帝であるわたしにもできる! でも、赤龍帝であると同時に二代目騎士王でもある今のイッセーには、それだけじゃ足りないの! そして、そんなイッセーを指導できるのは、ここにいる皆だけ! 赤龍帝の力を宿しながら、それに依存する事が無かった皆でないと駄目なのよ!」

 

 アリスの真摯な願いに対し、最初に応えたのは鎧甲冑を身に纏い、両手剣を携えた金髪碧眼で眉目秀麗な騎士だった。

 

「アリス嬢、どうか頭を上げて頂きたい。少なくとも、私はそのつもりだ。元々、私はアリス嬢の怨念から救われた恩義に報いる為、一誠様に剣を捧げる事を決めていた。それが騎士としてあるべき姿だと思ったからだ。しかし、一誠様があらゆる騎士達の王としても選ばれていた以上、剣の技だけでなく私の持つ騎士としての全てをお伝えしなければならないだろう」

 

 屈強な騎士が己の意思を伝え終わると、次にアッシュブロンドの髪と髭を持つ壮年の男性が自分の考えをアリスに伝えていく。

 

「アリスや、お主の気持ちはよう分かった。儂も元々そのつもりじゃったが、改めて協力を宣言してやろう。……しかし、成る程の。千年以上もの間蓄積され続けたアリスの怨念が、こうもあっさりと祓われる訳じゃな。あれだけ純粋で真っ直ぐな魂を持った者など、今までの赤龍帝には数えるほどしかおらんかったわ。だが、まさか全ての赤龍帝にアーサー王の後継者となる資格があったとはのう。そうでなければ、あ奴の指導は儂とお主達を中心として行うつもりだったのじゃがな」

 

 その壮年の男性の言葉に対し、神父服を纏った青年が同意してきた。

 

「そうですね、ロシウ老。あの少年の心根であれば、本来は私やリディアの持つ技術にこそ最も高い適性があった筈です」

 

 容姿端麗な緑髪の女性もまた、神父服を纏った青年に追従する形で壮年の言葉に同意する。

 

「私もそう思うわ、ニコラス神父。あの子なら、きっと幻想種達も心を開いてくれる筈だから」

 

 しかし、道士服を身に纏った銀髪紅眼の男性が三人の言葉に待ったを掛ける。

 

「だが、こうなった以上はその様な事を言っていられんぞ?」

 

 更に、二十代と思しき女性が道士服を纏った男性の言葉を肯定する。

 

計都(けいと)の言う通りね。あの子は本気で私達の全てを継承し、そして騎士の王としても立つつもりよ」

 

 この二人の言葉を受けて、女性と同年代か少し上と思われる男性が、黒髪と日に焼けた浅黒い肌をした、筋骨逞しく厳つい顔の無頼漢に問いかける。

 

「エルシャ。だったら、やるべき事は一つだ。……なぁ、ベルセルク?」

 

 問いかけられた彼は、その場にいる全員の意思を代表する形で自らの意志を言葉にした。

 

「YAHAA! ベルザードの言う通りだぜ! 俺達の手で、あの坊主を赤龍帝として徹底的に鍛え上げる! その上で強くなった坊主と真っ向から戦えるなら、もう何も言う事はねぇな! ……だから、もう心配すんなよ。お嬢ちゃん」

 

 その言葉を聞いたアリスは、自分の怨念によって自我を奪われてしまっていた彼等がその事に対して何ら不平不満を口にすることなく、むしろ一誠の指導に協力する事を快諾してくれた事にただただ感謝することしかできなかった。

 

「……ありがとう、皆」

 

Interlude end

 

 

 

 僕はその後、夜寝ている間に歴代の赤龍帝に師事して様々な事を学んでいった。

 剣術や体術を始めとする武術、黒魔術や白魔術、ルーン魔術や精霊魔法等の人間の魔術、心霊医療や悪霊浄化などの悪魔祓い(エクソシスト)の技術、幻想種の知識と契約方法、神話における様々な知識、中には仙術や道術の基礎を習得している者もいたし、数代前の赤龍帝は表の世界で大学教授にまで上り詰めていたらしく、自身の知識との擦り合わせも兼ねて色々と議論を交わしていった。それと同時に、カリスによって選定された事で継承した先代の記憶と技術を自らの糧にしながら、それらを自分の物へと昇華していく。

 やがて、仙術の一つで霊魂に実体を持たせる陽身の術を修得すると、歴代の赤龍帝を実体化させて模擬戦を行う事で得られた知識や技術を実践し、より自分に合った物へと修正・改良を施していった。

 こうして、僕は歴代赤龍帝と先代の騎士王の技術や知識を少しずつ習得していき、そこから更に発展させていった。その最中、僕は様々な冒険と出会いを重ねていき、大切な事を学んでいく事になる。

 

 ……まるで、それが二天龍を宿す者としての宿命とでも言わんばかりに。

 




ドライグとカリスの顔合わせの回でした。

……実はここからがまた長いのです。新章は「兵藤一誠の軌跡」。
ここまでのプロローグの三話を入れて十万字以上という、原作開始前にどれだけ文字数取っているんだという話になってしまいます。しかも修正加筆が必須なので、実際にはもっと文字数が必要となるでしょう。
ですが、これを入れないと原作開始時点の一誠の状態が理解できなくなるのもまた事実。

原作開始まで暫しの間、お付き合い願います。
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