今回、一誠が「魔王」になります。
追記
活動報告に今後の更新に関する重大なお知らせがございます。
ご確認をお願いします。
2018.11.22 大幅修正
Side:ソーナ・シトリー
私は姉で魔王でもあるセラフォルー・レヴィアタンの付き添いとして、シトリー家の現当主である父と共にリアスとライザー・フェニックスによるレーティングゲームの非公式の対戦を見ていた。それで現在の所、フェニックス眷属の
本来のレーティングゲームであれば既に勝敗は決しており、後はどう詰め切るかと言ったところだった。何せ、通常であれば「不死」の特性を持つフェニックスの王を
……でも、私の目前に広がる光景がその全てを否定していた。
1000 m以上と言っておきながら、実際には念を入れたのか3000 mの上空で繰り広げられる、レーティングゲームの本戦でも早々お目にかかれない程の超高速の格闘戦。そして一誠君が仕掛ける格闘戦に対して、ライザーは時に躱して反撃、時に炎の魔力と風の魔力を合わせた防壁を用いて防御といった通常の対処を行っていた。私の知る限り、今までのライザーであれば躱したり防御したりなどせずに攻撃だけをしていた筈。でも、今の彼は一誠君と同じ土俵で戦っているとしか思えない。すると、どう見ても楽しげなライザーの口からその理由が語られた。
「ハハハ! やはりダイレクト・アタックは強烈だな、一誠! 何せ俺の魂に直接攻撃を加えて来るから、「不死」を利用した攻撃の無効化がお前には通用しない! だから、こうやって正々堂々の真っ向勝負ができるというものだがな!」
……魂への直接攻撃?
ライザーの発言に疑問を抱く私を他所に、少し笑みを浮かべた一誠君がライザーに向かって反論し始めた。
「良くも言う! フェニックスが司るのは炎と風! それを活用して炎の熱で身体能力を高め、風の流れで動きを加速し、更に「不死」の特性で肉体への負担を無効化している奴の台詞じゃないだろう! 普通なら回復が追い付かずに自滅する、正に禁術レベルの強化法だぞ!」
特性を利用した禁術レベルの身体能力強化?
またも信じられない言葉が飛び出した事で、私は困惑してしまった。だが、一番驚いたのはこの次のライザーのセリフだった。
「その禁術レベルの強化法を施した上級悪魔に素で対抗できるお前が言っても、説得力がまるでないな!」
何せ、普通なら最上級悪魔にすら届き得る相手に対し、一誠君は素で対抗できているのだから。
……しかし、これは本当に本戦デビューはおろかそもそも転生してからまだ一月程度しか経っていない眷属と、本戦デビューこそしているもののまだ十回程度しか対戦していない若手悪魔が行う戦いなのだろうか?
私が二人の戦いを見て疑問に思っていると、二人はお互いに下がる事で間合いを取った。そこでライザーは右手に膨大な量の炎の魔力を集めると、私の中にある常識では考えられないスピードで一気に凝縮する。すると、その炎は巨大な不死鳥を象り始めた。
「カイザーフェニックス!」
そして、ライザーによって生み出された巨大な不死鳥が一誠君目掛けて放たれる。……この威力、私が万全の状態から全魔力を込めた一撃を放ってもおそらくは一蹴されて終わりだろう。
「――――。エアリアルクライ!」
一方、高速神言を用いた一誠君がライザーの方に伸ばした右手からは、超振動の烈風が圧縮された状態で繰り出される。
「チィ! 少々分が悪いか!」
そのライザーの言葉通り、一誠君の放った烈風がライザーの不死鳥を打ち砕きそのままライザーの元へと向かっていく。……この時点で、私では魔力の扱いでも一誠君とは勝負にならない事が確定してしまった。
「流石に風の禁呪相手だと、今の俺では逸らすので手一杯だな」
ライザーはそう言うと、左手に風の魔力を集め始める。
「フェニックスウイング!」
……技の名前と思しきものを言った次の瞬間、ライザーの左腕は既に振り上げられた後だった。私の眼では左腕を振り抜いた瞬間が全く見えなかったのだ。すると、一誠君が放った超振動の烈風が完全に逸らされて更に上空へと向かっていく。
「
一誠君は自分の攻撃を受け流されても、大して気にも留めていない様だ。……それにしても、教えたとは? 私が疑問に思っていると、ライザーが先程のフェニックスウイングという技について語り始める。
「本来は、あらゆる遠距離攻撃をそのまま相手に返すという防御の奥義だったな。今でもリアスの魔力弾程度なら余裕で返せるんだが、流石にお前の禁呪を相手にはまだ無理だったよ。何より面制圧を始めとする広範囲の攻撃に弱いのが、フェニックスウイングの欠点だな」
これで未完成? あの超振動の烈風を完璧に逸らしただけでも、十分凄い事のはずなのに?
「念の為に3000 mまで上がっておいて良かったよ。最初に考えていた1000 mで戦っていたら、多分距離が足りなかった」
「そうだな。格闘戦で発生した衝撃波だけでも、結構な破壊力がある。俺と同じ「不死」を持つレイヴェル以外にはちょっとキツイな。ユーベルーナに全力で防御結界を展開させる必要があったぞ」
もはや私の理解を超えてしまっているからなのか、二人の言っている事がよく分からなかった。……というよりは、分かりたくなかったというべきかもしれない。でも、現実は非情だった。二人の口から、その詳細が語られてしまったのだから。
「雲が出ていれば、解り易かったんだけどね」
「今頃は俺達の周りだけ、雲一つない爽快な空が広がっていたんだろうな。……異相空間だから、満天の星といかないのが残念な所だが」
……戦闘の余波だけで、そこまでなるものなの?
余りに非常識な一誠君とライザーの言動に、私は頭を抱えたくなってしまった。
「僕達は僕達で、このままここで戦うとして」
「どうやら下も、かなりの激戦になっているようだな。まぁそうでなくては、俺達が上空に出た意味がないがな」
そのような二人の言葉を聞いて、私はリアス達に目を移した。
「朱乃は雷による全体攻撃をそのまま徹底! 向こうの動きを制限して! 炎の魔力を得手とするユーベルーナには
最初に目に入ったのは、自身も激闘を繰り広げながらも、同時に以前からは想像もできない程の的確な指示を飛ばしてチーム戦を支配しているリアスだった。リアスは途中でハッとした素振りを見せると、アルジェントさんの使い魔である
「ラッセー! 右斜め上に全力のブレスを放ちなさい! 貴方のご主人様が、もう一人の
ラッセーが無事にアルジェントさんを守り切ったのを確認すると、リアスはホッと安堵の息を吐く。リアスと一騎討ちをしているレイヴェル・フェニックスは、リアスの表情を見て自分の思惑通りにはいっていない事を悟った。
「参りましたわね。リアス様に私との戦いに専念させようと思いましたけど、どうやら
そこで、背中から展開した炎の翼から質より数を優先させた炎の羽の弾丸をリアスのいる方向とは全く異なる所へと放つ。すると、双子に飛びかかろうとしていた塔城さんの目の前に炎の羽が何枚も着弾し、それ以上前に進めなくなってしまった。それを見たライザーの
「全くですね。お陰でこちらは完全に後手に回ってしまいましたか。では、ここで一端仕切り直しましょう。……全員下がりなさい、ファイアウォール!」
そして、彼女はリアス達との間に巨大な炎の壁を展開する事でそれを見事成し遂げた。一方、炎の壁が消えるまで仕切り直しを強制されたリアス達は、アルジェントさんの回復を受けながら現時点で得られた情報を共有する為の報告会を開く。……最初に口を開いたのは、朱乃だった。
「部長、申し訳ありません。一度私が相討ち寸前まで追い込んだのですが、フェニックスの涙を使われてしまいました。しかも、回復後はそれまでとは別人のように激しく攻め立てられた上に私の攻撃は尽く対処されてしまって、全く何もさせてもらえませんでしたわ。……悔しいですけど、本気を出した
一度女王を追い詰めた筈が、実は単に自らの情報を引きずり出されただけだったという朱乃は、リアスに対してかなり申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
「でもその英断がなかったら、今頃は僕と小猫ちゃんも危なかったですよ。あの女王、他の眷属とは明らかに格が違います。確かに炎の魔力の扱いが得意というデータはありましたけど、まさかここまで変幻自在とは。あれで爆弾女王なんて、呼び名の方が不足していますよ……」
木場君もデータとの余りに大きな相違に戸惑っている様だ。私も同じ立場なら、きっと困惑を隠せないだろう。
「……それに、あのライザーの妹も只者じゃないです。大技も小技も活用して、全体に影響を与える様に攻撃を仕掛けてきますから、私も出足を挫かれたり、もう一歩が踏み込めなかったりして、全く攻め切れていません」
塔城さんに至っては、完全に攻撃を押さえられてしまっていた。
「全体指揮をユーベルーナに委譲した上で、自分は私と戦いながら全体の援護の為に行動できる視野の広さ。……いえ、風の魔力を使って戦場全体を感知しているのね。だから、乱戦状態にも関わらず、広範囲かつ精密な攻撃ができるんだわ。彼女は本来、戦闘に参加する気はなかったみたいだけど、本当に助かったわね。もし最初から彼女に動かれていたら、相当に危ない状況に陥っていたわ」
それらの意見を聞いた上で、リアスは覚醒したばかりのグレモリー家本来の特性である「探知」を使って相手の情報を収集する。……この能力は、今後のレーティングゲームで間違いなく使用禁止の対象となるだろう。今のリアスの前では、あらゆる作戦と戦略、策略がその意味を失うからだ。
「あの、部長さん。上空のイッセーさんはどうなっていますか?」
ここでアルジェントさんが一誠君達の現状を確認してきたので、リアスは溜息混じりで答えを返す。
「さっきも言ったけど、完全に別次元よ。今の私達では、総出でライザーと戦っても勝ち目がないわ。加えてここで一人でも撃破されたら、この均衡は崩れてしまう。そうなったら、もう取り返しがつかなくなる。だから、ここはイッセーがライザーに勝つまで徹底的に粘るわよ。その為にも、相手を倒す事よりも自分と味方を生かす事を優先しなさい。……いいわね?」
「「「「はい!」」」」
この状況ではっきりと攻撃よりも防御と生存を優先するという指示をリアスが出した事に私は少なからず驚いた。……確かに今のライザーの強さを考えるとリアス達にはそれ以外に勝利の手段がない。でも、今までのリアスならその決断をするまでにかなり時間がかかっていた上にきっと不甲斐なさに憤っていた筈。それどころか、むしろ自分達の相手を倒す事を優先していたかもしれない。それが全く躊躇いもせず、勝利の為の最善手を打てるようになっていた。きっと、自分の本当の力に目覚めた事で、視野が凄く広がったのだろう。
……そして、そこまで導いたのは、間違いなく一誠君。
そう確信した私は、一誠君と共に在る時間の長いリアスの事を凄く羨ましく思った。そして、羨ましさと同時に別の感情も抱いてしまう。
それは、今まで生きて来た中で、リアスやお姉様に対して抱いて来たモノよりも遥かに大きなモノ。能力に対するコンプレックスとは明らかに異なる、激しい心の痛みを伴う浅ましい感情。
今、私が幼馴染の親友に対して抱いている感情。……それは、明らかに女としての嫉妬だった。
Side end
ライザーとの戦闘を始めてから、およそ一時間。
時に両者共に殴り合い、時に強力な炎と魔力弾の弾幕をぶつけ合い、時に不死鳥と大魔術を撃ち合った。そうやってお互いの持ち得る攻撃を繰り出していった。しかし、お互いに魔力が減少していくだけで、中々有効打を与え切れない。そして、制限時間は刻々と近付いて来ていた。
「ライザー、提案がある」
僕はライザーにある提案を持ち掛けた
「何となく想像はつくが、念の為だ。何だ?」
ライザーも何となく解っているだろうが、一応確認してきた。だから、僕もそれに応じて提案する。
「次で、決めないか?」
ライザーも僕がこの提案をした理由を察したらしく、納得の表情と共に頷きながら受け入れた。
「そうだな。これ以上だらだら続けても、千日手だ。下もその傾向になりつつある以上、このままでは制限時間内に決着はつかないだろう。そうなれば、ルールによってリアスの勝利だ。だが、それで世間は納得すると思うか?」
ライザーの言いたい事は僕も理解できる。だから、溜息混じりで答えを返した。
「おそらく、納得はしないだろうね。
「今の俺が聞いても、随分と嫌な世界だな」
僕の答えを聞いたライザーも溜息を吐いた。
「だから、我が君への妄言を一切誰にも口にさせない為にも」
「見せてやるか、俺達の全力を」
そうしてお互いの意志が同じ方向を向いているのを確認した僕達は、お互いに切り札を切る。
……さぁ、決着の時だ。
Side:リアス・グレモリー
その瞬間、私は全てを理解した。
「アーシア!」
「はい!」
「全員退きなさい! 来るわよ!」
そして、全力で来るべきものに備えさせる。それは向こうも同様だった。
「ユーベルーナ!」
「承知しています。総員、レイヴェル様の元へ!」
「……私とユーベルーナだけで耐え凌げるかしら?」
ただし、向こうには一抹の不安があるみたいだった。
Side end
「集え、幾多の戦乱の中で輝きし将星達の残照よ」
僕はこの異相空間に漂う魔力の残渣を集め始める。それによって、僕の目の前には色々な魔力光を持つ巨大な魔力球が形成されていく。そして一定の大きさになれば圧縮して更に集めるといった工程を何度も繰り返す。
「我が身に宿る大いなる炎よ、清浄なる風と踊りて天へと至れ」
ライザーは両腕を軽く横に広げて掌を上に向けた状態から、炎の魔力に風の魔力を送りこんで増幅させる。すると、両掌から次第に強大な炎の魔力が溢れ出し、やがてライザーの頭上を超える炎のアーチを形成した。
「その集いし王覇の力、父たる星、母なる大地をも制し」
「そして、生命の根源たる天壌の劫火と化して」
呪文を詠唱しながら、お互いに持ち得る力を限界まで高めていく。
「「約束されし勝利を齎せ!」」
そして、お互いの切り札を発動させる為の全工程を終了した。
Side:リアス・グレモリー
目覚めたばかりの特性によって、私は今のままでは悲劇が起こる事を確信した。
「不味いわ! レイヴェル・フェニックス、貴女達もこちらに来なさい! 貴女以外はグレイフィアの転送すら間に合わずに、全員死んでしまうわよ!」
どうやら彼女もそれは薄々解っていた様で、即座に戦闘中止と私達との合流の指示を出す。それと同時に、ユーベルーナに対しては自分と共に私の補助をするように命令した。
「はい! 全員、戦闘行為を一時中止、そのままリアス様の元へ! ユーベルーナは私と共にリアス様の補助を!」
「解りました!」
戦闘行為を中断した彼女達は私達の元へと駆け寄ってくる。全ては、この極限の状況を生きて乗り切る為に。
……そして。
「スターライト、ブレイカァァァァッ!」
「コズミック、ノヴァ!」
星をも砕く極光の砲撃と、天をも焼き尽くす紅蓮の劫火が、真っ向から衝突した。
……来る!
「探知」で衝突の瞬間を察知した私は、全ての魔力を「滅び」の魔力に変換して破滅の盾を形成し、私達の周りを包み込むように展開する。
「破滅の盾、出力最大!」
「……来ますわ!」
レイヴェル・フェニックスの声と共に、凄まじい威力の衝撃派が破滅の盾と衝突する。その余りの衝撃の重さに、私は歯を食いしばって耐え凌いでいた。
「グッウゥゥゥゥ! 重い! なんて威力の衝撃波なの! さっき使った「探知」で解っていたけど、全力の破滅の盾じゃなかったら耐え切れなかったわよ!」
そんな私の様子を見ていたアーシアは、十日間の合宿で修得した魔力強化の魔術による補助を提案してきた。
「部長さん、手伝います! 魔力強化でいいですね!」
……今の状況で魔力を強化してくれるのは、正直ありがたかった。私は即座にアーシアの提案を承諾する。
「えぇ、それでいいわ! アーシア、お願い!」
そうして私が必死になって強烈な衝撃波を防いでいる中、小猫が呆然とした様子で現状を語っていく。
「何なんですか、これ? ただ攻撃が衝突した余波だけで、駒王学園のレプリカが崩壊どころか粉砕するなんて……」
一方、朱乃は今回私が覚醒していなかった場合の末路を口にする。
「上空3000 mからですら、ここまでの余波が届いてしまうのですか。イッセー君が部長を覚醒させていなかったら、この時点で全滅でしたわね」
そして、祐斗は今回、この状況を作り出したイッセーとライザーの今後の評価について言及していた。
「……これで、イッセー君とライザー氏の評価が一気に変わるだろうね」
そんな中、ライザーの女王であるユーベルーナが魔力の供給の申し出をしてきた。
「リアス様、私とレイヴェル様も魔力を供給致します」
……確かに、今のままでは魔力が少々心許なかった。だから、私は彼女の申し出を受け入れる。
「助かるわ。ユーベルーナ、レイヴェル」
私の許可を以て私に魔力を供給し始めたレイヴェル・フェニックスは、ここで今回の対戦の決着が着くと断言した。
「これで、このゲームの決着が着きますわね。お互いにそのつもりで、この様な大技を繰り出していますから」
Side end
Interlude
レーティングゲーム観覧席において、グレモリー卿は一つの決断を下していた。
「……サーゼクス。予定を大幅に繰り上げるぞ」
この父親の発言に対して、サーゼクスも同じ事を考えていたので即座に同意する。……アレを下級程度に押し留めるのは、単に反乱の種火を放置する様な行為でしかないと。
「えぇ。私の名前で兵藤君の中級悪魔への昇格を推薦します。この対戦の記録映像を見せれば、上層部も納得せざるを得ないでしょう。あの力は、もはや下級悪魔などに置いておけるものではありません」
その言葉を聞いたグレモリー卿は大激突を続けている一誠とライザーを見やり、二人の強さがどの辺りにあるかを推し量っていた。
「ライザー殿もそうだが、力量だけで言えば最低でも最上級、下手をすると魔王級だぞ?」
しかし、父親の考えをサーゼクスが否定する。
「いえ。兵藤君については間違いなく魔王級でしょう。お忘れですか、父上? 彼はこの対戦において、神をも滅ぼし得るという本来の力を全く使ってはいないのですよ?」
息子の指摘を受けたグレモリー卿は、一誠が今回の対戦で一貫して自らの
「……何という事だ。では、彼は」
余りの驚愕から思わず零れたグレモリー卿の言葉を耳聡く聞いたサーゼクスは、その続きを淡々と繋いでいった。
「はい。
サーゼクスの言葉が自ら思い至ったものと同じである事を確認したグレモリー卿は、この瞬間から別の意味で注目し始めた少年が最愛の娘の目にどう映っているのかを尋ねてみた。
「赤龍帝に媚びて我儘を通した、などとリアスが言われないようにする為か。見事な慧眼だ。彼はこの場にいる誰よりも、リアスの未来を見据えていたのだな。……なぁ、サーゼクス。リアスは彼を、兵藤君の事をどう思っているのだろうな?」
その父親の意図を感じ取ったサーゼクスは、少々呆れながらも己の存念を語った。
「……レイヴェル嬢とのやり取りを見る限り、脈はあるかと」
Interlude end
Side:ソーナ・シトリー
一誠君とライザーの最後の大技同士の激突を見た観客は皆、完全に口を閉ざしてしまった。
……それはそうだろう。下馬評ではライザーの絶対有利とされていた今回のゲーム。それが蓋を開けてみれば、一誠君の大胆にして緻密な計算によって敵の王と他の眷属達を分断し、唯一王と戦える自身の元に誘き出した上に、主であるリアスの本来の力を覚醒させて戦力比を完全に覆してきた。しかも一騎討ちを自ら担当した一誠君は、魂への直接攻撃によってフェニックスの「不死」を完全に無効化してしまったのだ。そして、もはやランキング上位者によるマスターズリーグやランキングトップテンのみで行われるチャンピオンズリーグでしかお目にかかれない様な領域の戦いをライザーと共に繰り広げた果てに、この極限の大激突だ。激突時の衝撃波だけで駒王学園が粉砕されるなど、もはや悪夢でしかなかった。父も完全に放心している。
やがて、決着の時が来た。
中間地点で犇き合っていた極光の砲撃が紅蓮の劫火を次第に圧していき、ついにはライザーを呑み込んでしまった。極光がライザーを呑み込んでから数秒後、自然落下で地面に叩きつけられるライザーの姿があった。ライザーは「不死」の特性があるので肉体は再生していくものの、体が全く動かないらしい。暫くして、十一枚の羽を生やした一誠君がライザーの側に降りてきた。そして、ライザーに確認を取る。
「ライザー、まだやれるか?」
「意識はまだ保ってはいるが、残った魔力を全て再生に注いでいるから体はもう動かないな。それにしても、スターライトブレイカーと言ったか。この異相空間内に残っていた俺とリアスの眷属達が使用した魔力の残渣を蒐集・収束させての砲撃魔法か。まさか以前の模擬戦で使った龍拳に続き、フェニックスを打倒する為の条件、「神をも超える一撃」を赤龍帝の力に頼らない形で繰り出して来るとはな。だが、この対戦を締め括るに相応しい一撃だったぜ。一誠、俺の完敗だ。……これでは、いつかの焼き直しだな」
ライザーはもはや戦えない事を自己宣告し、最後は苦笑しながらも自らの敗北を認めた。それを受けて、
「ライザー・フェニックス様の
こうして、このレーティングゲームはリアスの勝利に終わった。
「だが、一誠」
しかし、自由に動かない体に鞭打ち、震えながらも利き手を差し出すライザー。
「……楽しかったなぁ」
そのライザーから差し出された利き手に対して力強い握手で応える一誠君。
「あぁ。僕も楽しかったよ、ライザー」
この二人の表情は、全力を出し切った事でお互いの健闘を讃え合う誇り高き戦士達だけができる、とても清々しい笑顔だった。
Side end
いかがだったでしょうか?
今回一誠が締めに使った「あの魔法」ですが、以前平行世界に飛ばされたリヒトを迎えに行ったはやてが使用者本人の許可を得て夜天の書に登録しており、それをはやてから教わった上で「オラに元気を分けてくれ!」の要素を加味しています。
なので、様々な色の魔力が集まった結果、あらゆる色の光を放つ極光の状態になっている訳です。
その威力?
ライザーと戦い始めてからお互いにバカスカ大技撃ちまくってますし、下でも相当にドンパチしていたのです。
……後は、実際に食らったライザーのセリフからお察し下さい。
では、次の話でお会いしましょう。