赤き覇を超えて   作:h995

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レーティングゲーム終了後の一幕です。本当はこの次の話と合わせて昨日投稿の予定でした。

一誠の過去の詳細がここで明かされますが、かなりキツイ内容なのでご注意ください。

追記
2018.11.23 修正


第十話 僕の妹

 グレモリー家とフェニックス家の婚約を巡るレーティングゲームの対戦はリアス部長率いるグレモリー眷属の勝利に終わり、リアス部長とライザーの婚約は解消されることになった。対戦が終わった後、体が動かせる様になったライザーはリアス部長に対する今までの態度を誠心誠意謝った。

 

「これからのリアスの幸福を願っている。元婚約者の誼で、せめてそれぐらいは許して欲しい」

 

 ライザーはそう言うと、眷属達と共にフェニックス邸へと帰っていった。リアス部長は今まで見た事のなかったライザーの態度に、最初は完全に目を白黒させていた。しかし「探知」を使ったのか、途中から納得した表情を見せた。

 

「……馬鹿ね。もう少し早くその顔を見せてくれていたら、もっと真剣に結婚について考えてあげたのに。まぁイッセーと出会わなければ、貴方も変われなかったんでしょうけどね」

 

 そう零していたリアス部長の表情がとても優しかったのが、凄く印象的だった。

 

 こうして、グレモリー家とフェニックス家の婚約騒動は、その陰で蠢いていた家崩しの陰謀と共に終焉を迎えた。そして、僕はそのまま自宅へと帰って来たのだが……。

 

「なぁ、アンちゃん。わたしは思うんや。いい加減、可愛い妹に何か言わなアカン事があるんやないかって」

 

 ……玄関の前で待っていたのは、既に己を中心とした半径500 mに渡り強力な魔力弾で埋め尽くすというオリジナルの広範囲殲滅魔法であるグリューヘン・メテオール(Glühen Meteor)を待機状態にし、魔力全開で腕組みして仁王立ちする夜天の王だった。その側には、どうやら一足先に帰っていたらしいリヒトが奥さんであるリインと共にはやての両脇を固めている。しかもご丁寧に、二人を堂々と出せる様に封時結界付きだ。

 

 ……展開したのは、僕が家に辿り着いた直後か。前兆が全くないなんて、はやてもだいぶ腕を上げたな。

 

 僕は一人、現実逃避していた。

 

 はやての有無を言わせぬ威圧に屈した僕は、眷属への転生に至った経緯をはやて達に説明していった。

 

「……アンちゃんが人間をやめてしもうたんは、そんな経緯があったんか」

 

 僕の説明を聞いて、はやてはようやく納得してくれた様だった。

 

「はやて、勘違いだけはしないで欲しい。あの時、もし僕が人間をやめて眷属にならなかったら、今頃僕は父さんと母さんを人質に取られたまま、捨て駒として使い潰されていた。それを寸での所で救ってくれたのが、リアス部長とソーナ会長なんだ。だから、はやて……」

 

 僕ははやてにリアス部長とソーナ会長に対する態度を改めて欲しいと頼もうとしたが、はやては納得のいかないといった表情を見せており、やがて僕に一つの質問をしてきた。

 

「なぁ、アンちゃん。一つだけ、訊いてもえぇか?」

 

「あぁ、構わないよ」

 

 僕は了承の意を伝えたが、これが間違いだった。……何故なら。

 

「アンちゃん、どうしてそんなにあっさりと諦めて、悪魔の言いなりになってしもうたん?」

 

 これこそが、一番訊かれたくなかった事だからだ。はやては僕に問いかけた後、あの時に取り得た手段について言及してきた。

 

「アンちゃんは、お父ちゃんが下っ端悪魔共に包囲されてしもうたから、わたし達が駆け付けても手が出せなくなるってことで言いなりになった言うたけど、それはちょっと違うんやない? だって、アンちゃんも知っとる筈やで。わたしが対象を絞って封時結界に取り込めるの。そやから、あん時わたし達が駆け付けてから下っ端悪魔共を封時結界に引きずり込んでしまえば、後はわたし達がソイツらをボコれば問題解決。アンちゃんが言いなりにならんでも別に問題なかった筈なんや」

 

 ……実は、その通りだった。それが、あの場面における最善手だった。尤も、あくまであの場面において「のみ」の話だが。

 

「そやから、少し時間を稼げばそれでよかった筈のアンちゃんが何で自分から諦める様な事をしたんか、それがどうしても納得いかへんかったんや。……なぁ、アンちゃん。あの時、ホンマの所は一体何を考えてそんなことをしたんや?」

 

 だが、流石に小学生のはやてにはまだ難し過ぎた様で、僕が本当の事を話すまではけして退かないという構えを見せている。……しょうがない。少々難しい話をするか。そう思って、僕が口を開こうとしたその時だった。

 

「主兄殿、私からも一つお尋ねしたい」

 

 普段なら主であるはやてを立てて口を挟まない筈のリヒトが、ここで口を挟んできた。

 

「主兄殿は、既に「童貞を棄てて」おりますな?」

 

 そのリヒトの発言内容に、その場にいたリインは吃驚仰天している。

 

「リ、リヒト! 突然何を言い出すのですか! はやてがいるのですよ!」

 

 確かに、年端のいかないはやてのいる場で話す様な内容ではないだろう。ただし、リヒトが口にした「童貞を棄てる」とは、リインが受け取った様な本来の意味ではない。そしてリヒトも、僕なら意味を違えず受け取れると判断したのだろう。

 

 ……実際、僕は既に「童貞を棄てて」いるのだがら。

 

 また、リヒトがこんな事を問いかけてきたのは、きっと僕から感じ取っていたからなのだろう。

 

 僕の体に染み付いた、何千何万もの人間の血の臭いを。

 

 観念した僕は、全てを告白する事にした。

 

「リヒト、お前の言う通りだ。確かに、僕には人殺しの経験がある。しかも、刑法において傷害致死罪でも業務上過失致死罪でもなく、はっきりと殺人罪が適応されるものだ」

 

 僕の突然の告白に、はやてとリインの二人は絶句していた。その二人を尻目にして、リヒトは己の存念を語り始めた。

 

「やはり、そうでしたか。王の器とは、即ち己以外の命を背負い、そして背負った命の取捨選択を己が意志で行える決意と覚悟によって作られるものであると私は考えております。その為、王の器というものはけして生まれた時から持ち得るものではなく、多くの者の前に立ち、各々の意思と向き合い、そして傷つく事を恐れずにぶつかる事で長い時間をかけて少しずつ作り上げていくもの。ですが、主兄殿は我等と出会った時には、既に数百年の時を生きてきた私でさえも目を見張る程の優れた王の器を備えておられた。それ程の器をその若さで作り上げるには絶対的に時間が足りぬ以上、もはや命のやり取りを伴った経験を重ねぬ限りは不可能。……ならば、主兄殿には人殺しの経験がある。そう思ったのです」

 

 ……流石は、夜天の書に記されている特定ランク以上の魔法や知識に関しては、主である夜天の王に対する閲覧許可の是非を判断できる権限を持たされているだけあって、人物鑑定眼は並々ならないものがある。

 僕がリヒトの慧眼に感心している中、話について行けなくなったはやてが僕にどういう事なのかを尋ねてきた。

 

「なぁ、アンちゃん。一体、どういうことなんや? わたし、ちっとも理解できへん」

 

 確かにそうだろう。そもそも何故僕がすんなり諦めて悪魔の言いなりになったのかを尋ねていたのに、気が付けば僕には人殺しの経験があるという話になっていたのだから。……しかし、今回においては、僕に人殺しの有無を確認してきたリヒトの方が正しかった。それこそが、あの時全てを受け入れる覚悟をした根幹にあるものだったから。

 

「そうだね。この際だから、全て話してしまおうか。僕が赤き龍の帝王と騎士達の王を継承する事になってから、はやて達と出逢うまでに積み重ねてきた様々なものを。これを聞くと、はやては間違いなく僕を嫌いになるだろうけどね」

 

 そして、僕は語り始めた。はやて達と出逢うまでに重ねた、兵藤一誠という一人の愚かな人間の血塗られた軌跡を。

 

「……これが、はやて達と出逢うまでに僕が重ねてきた行いの全てだ。この後は、一緒に行動してきたはやて達も知っての通りだよ」

 

 全てを語り終えた僕は、どんな反応が返って来ても甘んじて受け入れる事を覚悟していた。途中まではいいだろう。自分の事でなかったら、何処の少年向けの冒険活劇だと言わんばかりの内容だから。はやても、その時は目を凄く輝かせながら笑顔で僕の話を聞いていた。

 ……しかし、内容がゼテギネアの事に及んだ時点で、その顔から笑顔が消えた。だが、無理もない。何せ、野望が争いを生む大戦乱の中で、血で血を洗う最前線を駆け抜けた者達による余りにも血生臭い物語なのだから。何より、その中で僕が担った役どころである、流言策の失敗で五千人もの罪なき者達をむざむざと虐殺させ、その後も最前線に立って二千人以上の人間をこの手で殺め、己が考案した軍略と策謀で味方を何千何万と死なせ、それに数倍する敵を葬ってきた解放軍の冷血軍師など、平和な現代社会で生活して一般的な感性を持つ小学生の女の子に受け入れられるはずがないのだから。

 

「それで、あっさりと諦めて悪魔の言いなりになった理由だけど、僕の事が知られてしまった以上、たとえあの場を切り抜けても悪魔達は諦める事無く僕を狙い続けることになる。面子の問題もあるしね。でも、それだけじゃない。あの時、僕を神器保有者(セイクリッド・ギア・ホルダー)と狙いをつけて襲ってきた堕天使達もまた、撃退できるだけの実力を見せた僕を引き続き狙ってくる事になるだろう。そうなった場合、やがて僕だけでなくはやてや礼司さんに瑞貴、そして礼司さんが運営している孤児院の子供達の事も向こうに知られる事になり、それ以降は絶えず命を狙われ続ける生活となってしまう。僕や礼司さん、瑞貴あたりならそれに耐えられるけど、はやてを始めとする子供達が命の危険に絶えず晒されるという恐怖にそういつまでも耐えられるとは思えない」

 

 僕はまず、あの場を切り抜けた場合に考えられた展望について説明した。……たとえあの場だけを切り抜けられても、その後は終わりのない戦いの日々となってしまう事。そして、どんなに力が強くても、どんなに凄い魔法を使えても、心まではけして守り切れないという事を。

 

「だけど、ここで僕が大人しく悪魔の言いなりになっておけば、自力で撃退してしまったはやてはともかく、礼司さんと孤児院については目が行かなくなるし、父さんや母さんも僕を縛る為の鎖として身の安全は確保される。はやてについても、僕が言いなりになっている間はおそらく手を出されないだろうし、僕が居なくなった後でもリインとリヒトがいるから、父さんと母さんを守り切れるはず。だから、ここで僕の人生を棒に振っても、皆に被害は及ばない。……それが、悪魔に対する絶対服従という判断に至った直接的な理由だ」

 

 その上で、悪魔に対する絶対服従はその場だけでなく今後も踏まえた上での選択だった事をはやて達に伝える。……だが、それだけではなかったのだ。

 

「でも、だからと言って、自分の命をあれ程簡単に投げ出せてしまったのは、きっと心の何処かで因果応報だと思ってしまったからだろうね」

 

 今なら分かる。あの時、僕は逃げ出してしまったのだと。

 

「僕は僕の愚かさで五千人もの罪なき人達を死に至らしめた。その後も前線で躊躇いなく敵を殺してきたし、解放軍の軍師を任されてからは、敵を少しでも多く殺し、そして少しでも味方を生き残らせる、いや少ない数で味方に死んでもらう為の戦略を考案してその通りに行動してもらった。時には、耳にするだけでもおぞましい謀略を仕掛けた名家への報復として、それに匹敵する程に汚らわしい策略を仕掛けて一族ごと根絶した事もある。それだけの行いを、僕はゼテギネアでの戦乱の中で重ねてきた。だから、僕はきっとまともな死に方などできないだろうと覚悟していたんだ。……因果は必ず巡ってくる。それが世の理だから」

 

 命という名の責任を果たすまでは、自分の播いた種の成長を見届けるまでは、けして死ぬわけにはいかなかったのに。

 

「そしてあの日、父さんと母さんが密かに悪魔達に取り囲まれたと知った時。……とうとう僕の番が巡ってきた。だから全てを粛々と受け入れよう。そう、思ってしまったんだ」

 

 これで、楽になれる。……そう、思ってしまった。そんな資格など、僕にはなかった筈なのに。

 

 そして、僕が語り終えてからはやてが取った次の行動。

 

「アンちゃん。……歯ぁ食いしばれぇ!」

 

 それは、全力全開のビンタだった。

 

 僕の頬とはやての掌が激しくぶつかる事で、無音の封時結界に一つの音が鳴り響いた。

 

「はぁ~、スッとした。なんや、もやもやしとったモンがこれで全部のうなったで」

 

 はやては凄くスッキリした様な表情を浮かべていた。そして、僕の方を向くと顔を額がぶつかりそうな距離まで寄せてくる。

 

「なぁ、アンちゃん。もしかして、わたしが人をたくさん殺した外道や言うて、アンちゃんの事を否定するって思うたんか?」

 

 はやては、明らかに怒っていた。ただし、それは僕のゼテギネアにおける行いに対してではなかった。

 

「アンちゃん、それは幾らなんでもわたしを見縊り過ぎや! アンちゃんは忘れとるかもしれへんけど、これでもわたしは両親がのうなってからアンちゃん達に出逢うまで、ずっと独り暮らししとったんやで! そやから、わたしはもうとっくに知っとるんや! 世界ちゅうもんは何処までも優しくて綺麗なモンやけど、同時に何処までも厳しくて汚いモンでもある事を! それに、アンちゃんから世界の裏側の事を教えてもろうた時から、夜天の王としてリインとリヒトの主になった時から、わたしはもう決意も覚悟もしとるんや! いつかは自分の手を汚さなあかんのも、それでも決して優しさを捨てたらあかんのも!」

 

 はやてが怒っていたのは、僕がはやての事を信じ切れていなかった事。

 

「せやけどな、それ以上に許せんのは、アンちゃんがあの時、生きる事を諦めてしもうた事や! 何でや! 何であの時、もっと生きたい思うてくれんかったの! アンちゃんが死んだら、お父ちゃんも、お母ちゃんも、礼司さん達も、レオ君も、孤児院の皆も、そしてわたしも、皆が悲しむんやで! 人をいっぱい死なせてしもうた事で罪悪感がいっぱいなのも、わたしなんかじゃ想像できへんくらいに余りに重たいモン背負うてしもうたのも分かるけど、それでも自分をもっと大事にしてや!」

 

 そして、僕が簡単に命を投げ捨ててしまった事だった。

 

 はやては自分の怒りを僕にぶつけ終わると、僕の額に自分の額をそっとくっつけた後、今度は優しい声で語り始めた。

 

「あんなぁ、アンちゃん。わたし、アンちゃんにとっても感謝しとるんや。だってわたし、アンちゃんと出逢ってからずっとえぇこと尽くめなんやもん」

 

 それは、僕に対する感謝の言葉だった。

 

「お父さんとお母さんがお星様になってしもうてから一人ぼっちやったわたしに、新しいお父ちゃんとお母ちゃんに逢わせてくれたんはアンちゃんや。それに、今では大親友になったなのちゃんと出逢う切っ掛けになったんもアンちゃんや。足が動かんなって車椅子で生活しとったわたしを歩けるようにしてくれたんもアンちゃん。そして、闇の書に溜まり込んどった怨念のせいで辛い目におうとったリインやリヒトを助け出して、新しい名前を付けたんもアンちゃんなんやで?」

 

 続いて、僕がはやてに対して行ってきた事だった。

 

「……ほら。わたしに対してだけでも、アンちゃんがやった事はこんなにも優しい事ばかりや。それに瑞貴さん達にも、孤児院の皆にも優しい事をいろんな形でいっぱいしとる。そんなアンちゃんを外道いうんなら、わたしは恩知らずなだけの唯の人でなしや。だから、アンちゃんはもっと自信を持ってもえぇと思う。こんなに可愛い妹が言う事なんや、聞き入れてくれてもえぇんとちゃうか?」

 

 そして、僕に対する激励の言葉だった。

 

 ……情けないな。五歳も年下の義妹に叱られた上に心配された挙句、励まされるなんて。

 

 僕は内心自嘲していた。だが、はやてのお陰で思い出した事がある。命という名の責任とは、何も死んだ人間に対するものだけではない事だ。人は生きている限り、何処かで誰かと繋がっている。だったら、今生きている人間に対しても何かを行う事で責任は生じて来る。ゼテギネアで背負い続けてきた命の重みに押し潰されてしまって、僕はそれを忘れていた様な気がするのだ。

 それに、自分の播いた種の成長を見守るというのは、自分の行いがどの様な結果を生み出したのかを見届ける事だと思っていたが、どうもそれだけではなかったらしい。僕の行いで影響を受けた人達がどの様な行動を取り、そしてそれがどの様な形で自分に返ってくるのかを見届ける事でもあった様だ。

 そして、ゼテギネアで僕が学んだ筈の事を思い出させてくれ、また新しい視点を与えてくれたのは、僕の自慢の妹だった。……気が付いたら、僕ははやてを抱き締めていた。

 

「アンちゃん?」

 

「僕は、はやての兄であることを誇りに思う。ありがとう、はやて。僕の妹になってくれて」

 

 ……もう、僕にはこれ以外に言うべき言葉が思い浮かばなかった。

 

「ようやっと、いつものアンちゃんに戻ってくれたなぁ。うん。アンちゃんがわたしの自慢のアンちゃんであるように、わたしもアンちゃんの自慢の妹になる。だから、わたしの事をしっかり見守ってや?」

 

 はやても抱き返してきて、自分の想いを僕に伝えてきてくれた。……本当に、良く出来た義妹だった。

 

「あぁ、僕ははやてを見守るよ。いつか、はやてが僕の力を必要としなくなって、一人で世界に羽ばたける様になる日まで」

 

 だから、僕は兄としての誓いを立てた。……ともすれば過保護にすら取られかねない程に強い愛情を妹レイヴェルに注いでいるライザーの気持ちが分かった様な気がした。

 そうして暫く抱き合ってから離れたが、流石にお互い少し気恥ずかしかった。

 

「……何や。こんなんやったの初めてやから、気恥ずかしゅうてかなわんなぁ」

 

 はやては少々顔を赤くして、照れていた。

 

「それを言ったら、僕もだよ。しかも小学生でも低学年ならともかく、最高学年の女の子を相手にだからね。ここまで女の子と抱き合ったのって、イリナ以外では初めてかな?」

 

 僕もかなり照れ臭くて、気が付いたら失言していた。

 

「……へぇ。アンちゃん、イリナお姉ちゃんとそないなことしてたんか。なぁなぁ、その辺りの事、可愛い妹に教えてくれへんか?」

 

 はやては僕の失言を耳聡く聞きつけ、すっかり元の調子で問い詰めて来る。だから、僕はこう返す。

 

「教えてもいいけど、父さんと母さんのやり取りを見ている時の様に、口の中が甘くなる覚悟はあるのか?」

 

「……ごちそうさまや。それだけで訊く気が失せてしもうた。いつものアンちゃんには、やっぱり敵わんなぁ」

 

 どうやら、はやての撃退に成功したらしい。流石は仲良し夫婦、効果は抜群だった。

 

 気が付いたら、もう完全にいつものやり取りになっていた。……ありがとう、はやて。

 




いかがだったでしょうか?

……書いている私自身、どうしてこうなったのかよく解りません。
本当ははやてに泣きじゃくらせる筈が、気が付けば一誠にビンタを張った上でのお説教。
その後は予定通りだったのですが、一体どうして?

お陰ではやてに三角形がくっつく事に。

では、引き続き次の話をお楽しみ下さい。
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