本章における最大のフライングかつ独自設定が出ますので、苦手な方はご注意ください。
なお、現在活動報告にてアンケートを実施中です。
ご希望の方は、奮ってご参加下さい。
追記
2018.11.25 修正
Side:木場祐斗
僕は命を賭したイッセー君の尽力で天に召されていた「家族」と再会し、その想いを知る事ができた。その際、「家族」から僕達を救おうと尽力してくれた恩人の一人がそのイッセー君である事を伝えられた。そして、僕がこれから生きていく上での新たな指標として、宣誓の成就と不断の報恩を掲げる
この時点で、僕はもう前へと進んでいくのに十分な物を貰っていた。でも、イッセー君はどうやらそれだけでは収まらなかったらしい。……その始まりは、イッセー君の質問だった。
「祐斗、
イッセー君に僕の
「何だい?」
すると、イッセー君は何とも首を傾げたくなる事を訊いてきた。
「神器を発動して魔剣を作り出す時、どんな風にイメージしているんだ?」
イメージの作り上げ方なんてあまり気にする様な事でもないとは思ったけど、取りあえずは真面目に答えた。
「そうだね。僕の場合、グレモリー家に残っていた僕以前の保持者による魔剣創造の使用記録とか、実際にある魔剣を参考にしてイメージを固めているよ。まぁ、そういった記録のない僕オリジナルの物については、試行錯誤を重ねた上で最終的にしっくりきたイメージを使って創造しているってところかな? そうやって一度作り上げてしまえば、後は特に何も考えずに使いたい魔剣を創造できる様になるんだ。でも、何でそんな事を?」
……でも、実はそれこそが魔剣創造の根幹に関わる事だという事を、僕はまざまざと思い知らされた。イッセー君は僕の答えに対して納得する様に頷くと、僕に改めて質問してくる。
「やっぱりか。祐斗、魔剣創造について疑問に思った事はないか?」
その質問の意味について理解できなかった僕は、逆にイッセー君にどういう事なのかを質問した。
「どういう事だい?」
しかし、この僕の質問に対するイッセー君の答えに、僕はハッとさせられてしまった。
「魔剣創造は、保持者のイメージから魔剣を創造する能力の筈。もし魔剣創造があくまで所持者のイメージだけで魔剣を創造するのであれば、発動の度にその魔剣を一からイメージしないといけない筈なんだ。だから、たとえ同じ魔剣でも、本来なら作る度にどこか違う物にならないといけない。それに祐斗の場合、大量の魔剣を自分の周辺に創造する事で範囲攻撃ができるけど、本来なら一本一本のイメージがどうしても曖昧になって魔剣を創造するのが困難になるから、まず不可能だと思うんだ。祐斗も、まさか形とか堅さとかそういった魔剣を構成する要素をを一本一本全てイメージしている訳じゃないだろう? だけど、実際には使用する度に全く同じ魔剣が創り出されるし、大量の魔剣を一度に創造する事ができている。そこにちょっとした疑問があるんだ」
この考え方は、僕の脳裏に今まで一度も掠りもしなかったからだ。
「そう言われると、確かにその通りだね。でも、それは……」
僕は単に無意識下でイメージが残っていて、それを神器が汲み取っているんじゃないのかと思ったけど、イッセー君がこの後に語った新解釈は今までの魔剣創造に関する常識を根底から覆すものだった。
「僕の考えが正しければ、魔剣創造は単に保持者のイメージに従って魔剣を創り出すだけの神器じゃない。おそらく、創造した魔剣が今まで作った事のない全く新しい物であった場合、魔剣創造はその情報を新たな記憶として登録している筈だ。そして、神器に一度記憶されると、保持者の意志に沿う形でその情報に基づいて創造しているんじゃないのかな? だからこそ、人間の想像力ではまず不可能な「全く同じ魔剣」や「大量の魔剣」が作り出せているんだと思う。それらを踏まえると、一度作り上げる必要があるという意味では
……白状しよう。このイッセー君の新解釈を聞いた時、僕は何かがストンと落ちた様な感じを受けた。まるで、それこそが正解だと言わんばかりに。そして、イッセー君の真骨頂はここからだった。
「ここでこうは考えられないか? 魔剣創造は今まで作り上げてきた全ての魔剣の情報を記憶しているという事は、
僕は、目の前にいる無二の親友が何故ここまで強くなる事ができたのか、はっきりと理解できた。
「そこで、祐斗にこれからやってもらいたいのは、魔剣創造の本体を発現させる事だ。おそらく、全ての魔剣の情報を記憶している本体が剣と繋がりのある形状を取って存在している筈なんだ。……今からやろうとしている事に前例はないし、前提が間違っていれば全くの無意味である事は僕も解っている。でも、可能性がゼロじゃない以上、チャレンジする価値は十分にある筈だ。それをやって駄目だったら、それはそれで大いに結構。僕の考えが間違っている事がはっきりするから、それとは違う方向からまたアプローチして、新しい方法を考えればいいんだよ」
彼はどんなことにでも可能性を見出すことのできる叡智と、その可能性を少しでも未来に繋げていこうとする確固たる強い意志がある。だから、僕達よりずっと高い所まで上り詰める事ができたのだ、と。
「それで、祐斗。……いけそうか?」
説明を終えたイッセー君が僕に確認を取ってくる。……幸い、イッセー君が魔剣創造の新解釈を教えてくれた時点で、本体に対して一つのイメージがある。後は、それを引っ張り出してくるだけだ。
僕は一誠君の確認に対して、深く頷いてみせた。
「うん。イメージはバッチリだから、多分いける。それじゃ、早速やってみるよ」
僕はそう言うと、瞳を閉じて自分の内面に意識を向ける。そして、今まではただ魔剣の形をイメージするだけだったのを一変し、僕が今まで作り上げてきた魔剣が何かと全て繋がっている光景をイメージする。すると、確かにあった。
僕が今まで作り上げてきた全ての魔剣と繋がっている、一本の鞘が。
……思った通りだった。魔剣創造の本体が全ての魔剣を繋いでいる物であると言われた時、僕はイッセー君をエクスカリバーの担い手として選んだのはエクスカリバーの鞘である事を思い出していた。実際には鞘に宿っていた守護精霊が選んだ訳なんだけど、要は剣には必ず鞘があるという事だ。そして、鞘には剣を「収める」というイメージがある。だったら、ある意味神器に記憶された全ての魔剣を「収めている」と見なす事ができる魔剣創造の本体が剣を「収める」鞘であってもおかしくはないだろう。そして、それが正しかった事は目の前の光景が証明してくれている。
僕は、全ての魔剣と繋がった鞘を手に取った。
Side end
祐斗が瞳を閉じてから数分後、突如前に突き出された左手から激しい閃光が放たれた。僕はさっと腕を目の前にかざして閃光をやり過ごすと、十秒程して閃光は収まっていった。閃光が弱まるのを確認した僕は、早速かざしていた腕を下げて祐斗の状態を確認する。
すると、祐斗は誇らしげな表情をして、左手に持った一本の鞘を僕に見せてくれた。
「イッセー君、上手くいったよ。これが、僕が今まで作り上げてきた全ての魔剣と繋がっている魔剣創造の本体。全ての魔剣を「収める」ことのできる魔鞘だ」
その鞘は銀の装飾で漆黒に彩られていたが、そのオーラは魔剣を収めるに相応しく禍々しいものを感じる。
「確かにその様だな。これで第一段階は終了だ。それで次は……」
僕は試しに同じ魔剣を何本も作ってもらい、それらを本体である魔鞘の中に凝縮する事で全ての魔剣を凝縮する為の試金石にしようと思い、それを提案しようとした。しかし、その前にその場にいたロシウ老師によって待ったが掛けられた。
「一誠よ、少し待て。折角、魔剣創造の本体が今この場にあるのじゃ。この際、思い切って改良しようとは思わんのか?」
少し呆気にとられた僕は、ロシウ老師が何を言いたいのかを問い掛けてみた。
「どういうことでしょう?」
すると、ロシウ老師は驚くべき事を言い出してきた。
「フム。実はな、一誠。お主から魔剣創造の新解釈を聞いておる内に、儂の方でも少し考えた事があるのじゃ。そもそも魔剣創造という神器など、聖書の神は作っておらんのではないか、とな」
このロシウ老師の考えを聞いた瞬間、僕はハッとした。
「そうか!そもそも何故聖書の神が魔法の力だけでなく「魔」に属する力を宿した魔剣を創造する神器を作ったのか疑問だったんですが、コレで納得しました! 魔剣創造とは、機能不全による
僕が至った答えに対し、ロシウ老師は満足そうに頷きながら、何故その考えに至ったのかを説いていく。
「そういう事じゃ。おそらく聖剣創造とは神や天使の力である光力を以て剣をを作り出すから、創り出された物が聖剣となっておるのじゃろう。じゃが、ここで剣を作り出す力が何らかのバグによって光力とは異なる力になってしまったとしたら、どうじゃ?」
このロシウ老師の問い掛けに答えたのは、魔剣創造の所持者である祐斗だった。
「確かに老師の仰る通りです。魔法力や「魔」に属する力を以て作られる剣は、当然ながら魔剣になります。しかも、一般的に魔剣創造で作られた魔剣が聖剣創造で作られた聖剣より劣るとされる理由もこれで説明できます。本来なら光力で構成される物を魔法の力ならともかく反属性である「魔」の力で構成してしまうのであれば、魔剣創造で作られた魔剣はどうしても聖剣創造で作られた聖剣に一歩劣ってしまうでしょう」
そう答えた祐斗もまた、ロシウ老師の考えについて納得した様だった。そして、納得の意を示した後でハッとした様な表情を浮かべた。
「ちょっと待って下さい。まさかとは思いますが……」
祐斗が恐る恐ると言った感じでロシウ老師に確認を取ろうとすると、ロシウ老師はニヤリといった表情を浮かべた。
「今、お主が考えておる事で正解じゃよ。それにこの際じゃ。聖剣に選ばれなかったとして、お主達をゴミの様に切り捨てた連中に趣向を凝らした意趣返しをしてみたいとは思わんか?」
……意趣返し。
この言葉が出てきた時点で、僕はロシウ老師の考えを理解できた。しかし、懸念材料が一つある。
「確かにその可能性は十分ありますが、それでは祐斗が……」
そう、祐斗が自分の神器で作った剣を扱えなくなる可能性があるのだ。祐斗が今、悪魔であるが故に。
しかし、それについては問題なかったようだ。ロシウ老師がその問題解決案を含めた指示を出してきた。
「そっちの方は心配無用じゃよ。瑞貴達という前例もおるしの。では、一誠。カリスとニコラスを、
……ロシウ老師はかなりノリノリだった。
そしてロシウ老師の考えが全て理解できた僕は、ロシウ老師の指示に従った。
「解りました」
そして、カリスとニコラス神父の二人を呼び出した。
Side:木場祐斗
イッセー君がカリス君(エクスカリバーの守護精霊だ。イッセー君に呼ばれて出てきた早々、僕に対して涙ながらに謝ってきた。そんな彼の様子を見て、聖剣計画によって辛い思いをしたのは何も自分達だけではない事を改めて実感した)とアーシアさんの古式の
……そして、その結果がこれだった。僕はもう笑うしかなかった。
「アハハハ……」
イッセー君も流石に驚きと戸惑いを隠せないでいる。
「あの、ロシウ老師にニコラス神父。流石にこれは、僕も想定外なんですが。カリス、一体どういう事なんだ?」
イッセー君に尋ねられたカリス君と言えば、何だか申し訳なさそうに説明し始めた。
「ゴメン、イッセー。正直言って、オイラもこうなるとは夢にも思わなかったよ。オイラはただ、ニコラスが本体の魔鞘に聖なる儀式で洗礼を施して魔剣創造から元の聖剣創造に回帰させる事で創造できるようになった聖剣を扱えるように、祐斗に聖霊の加護を与えただけだったんだ。でも、祐斗が「家族」の願いを受け取ったことで憎悪と罪悪感を超えて聖剣を受け入れていたから、神器本体の魔鞘が祐斗の意志に追従する形で聖なる力を拒絶しなかった結果、「聖」と「魔」が反発せずに共存しちゃったんだと思う。そのお陰で今の祐斗の神器は世界の理から完全に外れているし、言ってみれば
ロシウ老師もカリスの説明を聞いて、納得しつつもかなり困惑していた。
「確かに、カリスの言う通りじゃな。しかし、何じゃな。一誠よ、お主が転生の際に「始める」と嘯いた、新たなる理。どうやら本当に始まってしもうたようじゃぞ?」
そして
「私も主のお力と悪魔の力が対消滅しない様、細心の注意を払って剣に洗礼を与えていたのですが、まさか主より授けられた力が悪魔の力と共存するとは思ってもみませんでした。もしかすると、世界は天使と悪魔が共存する事を望んでいるのかもしれませんね」
二人の話を聞き終えたイッセー君は、僕に確認を取って来る。
「それでどうする、祐斗? 完全に「聖」と「魔」が完全に共存しているから、元に戻すのはかなり難しいけど、元の魔剣創造を望むなら僕とカリスで何とか頑張ってみるよ」
でも、僕の答えは決まっていた。
「……いや、せっかくだしこのままでいいよ。僕の家族の想いも込められた結果だと考えると、むしろ凄く嬉しいしね」
僕の答えを受け取ったイッセー君は、同時にある提案をしてきた。
「解った。祐斗がそう言うならこのままでいこう。それにせっかくだから、カリスが言うところの「覚醒」した魔剣創造に新しい名前をつけたらどうかな?」
すると、ロシウ老師がここで「覚醒」した魔剣創造の能力について解説してきた。
「名を付ける前に、まずは神器の能力について説明しておかねばならんじゃろう。試しに幾つか剣を創ってもらったが、その結果として、まず魔剣だけでなく聖剣をも創れる様になった事じゃ。いってみれば魔剣創造でありながら、聖剣創造でもあると言った所じゃな。そもそも聖剣創造への原点回帰が目的じゃったのに、状況によって使い分けが可能になっただけでも嬉しい誤算じゃよ。じゃが、それだけではないぞ。更に同じ魔剣でも、以前とは比べ物にならぬ程に強力な魔剣を創れる様にもなっておる。どうも「聖」の力と共存した事で、元からあった「魔」の力がより洗練された様じゃな。もはやオリジナルと同等の強度を得ておるわ。そして最大の特徴じゃが、「聖」と「魔」が共存したいわば聖魔剣さえも創り出す事が可能となっておる。その出力と強度はそれこそオリジナルはともかく、複製品程度ならエクスカリバーをも打倒可能じゃろうて。もはや、武具創造系としては最上と言ってもよい領域に至ったようじゃな。……これで間違いは無いかの、カリス?」
そう言ってから、ロシウ老師は専門家のカリス君に確認を取ると、カリス君は追加事項として本体の鞘の機能と注意事項について触れてきた。
「ウン、それで間違いは無いよ。それと本体の魔鞘についてだけど、実は創造した剣を一分間収める事で他の剣が創造できなくなる代わりに出力や強度を十分間だけ十倍に強化する機能があるんだ。更に、本体を発現している時は能力を使用した時の負担が大幅に軽減されるから、最終目標である剣の王を作る時には非常に有効に働くんじゃないかな? それと、絶対に忘れちゃいけないのは、本体の魔鞘を絶対に誰かに奪われたり破壊されたら駄目だって事。もしそうなったら、通常の神器の場合と同様に保持者である祐斗が死ぬ事になるよ。それに、本体の魔鞘が祐斗から3 m以上離れるだけで奪われた事になるから、使う時には特に気をつけてほしいんだ」
……この注意事項を聞くまでは本体の魔鞘を常に発現するつもりだったけど、リスクがかなり大きいから使い所をしっかりと見極めないといけないだろう。僕は大事な事を忠告してくれたカリス君にお礼を言った。
「カリス君。忠告、感謝するよ。お陰で凄い能力を持っている分、リスクも大きい事が分かったから、魔鞘の使い所はしっかりと見極める事にするよ」
そこで、ニコラス神父が自ら進み出て提案をしてきた。。
「では一誠。私から一つよろしいですか? 木場君の神器の本体である魔鞘は、木場君が今まで重ねてきた絆によって鍛えられた事で聖なる力を受け入れ、聖魔の力が共存する聖魔剣を生み出すにまで至りました。ならば、対極の力が和合した剣を鍛造する神器という事で「和剣鍛造」ソード・フォージというのはどうでしょう?」
その名前に、イッセー君とロシウ老師、そしてカリス君が揃って賛成してきた。
「はい、良いお名前だと思います」
「うむ。神器の特徴と能力を端的に現しておるから、儂にも異論はないな」
「オイラも賛成!」
勿論僕にも異論はない。
「そうですね。僕も気に入りました。ニコラス神父さえよければ、その名前を使わせて頂いてもよろしいでしょうか?」
僕が名前の使用許可を求めると、ニコラス神父は快諾してくれた。そして、僕に対して深々と頭を下げて僕達に謝罪してきた。
「もちろん。むしろ、こちらからお礼を言わせて下さい。そして木場君。私の後輩が貴方達に対して行った愚行の数々、心からお詫び致します。主の教えとは、けして主や教えそのものの為に他者を傷つけ、また虐げる事を良しとするものではないのですから」
ニコラス神父の心からの謝罪を受けて、僕は何故この方が「聖帝」と呼ばれているのかを解った様な気がした。そして、イッセー君の他者に対する真摯な姿勢には、この方の教えが生きているのだと理解した。
「ニコラス神父。……残念です。貴方の様な方がいらしてくれていたら、僕達はきっと違った道を歩んでいた事でしょう。それから、貴方が僕達に謝る必要はありません。悪いのは僕達を弄んだ者達であって、貴方ではないのですから」
僕達を弄んだ十字教関係者を心底憎いとは思うけど、この方を恨むのは明らかに筋違いだ。家族の本当の想いを知る事ができた今なら、素直にそう思えた。
「そうですか……。木場君、心から感謝致します」
ニコラス神父は一度頭を上げて僕の方を見ると、今度は感謝の意味で頭を静かに下げていた。
……本当に思う。
何故、この様な方が十字教教会にはいないのかと。この方なら、悪魔を癒してしまったアーシアさんをむしろ種族すら超越する慈愛を持つ真なる聖女とする事で、異端とすること無く護ろうと動いていたのは間違いない。
……いや、それはたぶん違う。
話を聞く限りでは、奇跡の力を救済の手段に使う事を否定して、あくまで人の為せる力での救済を求めており、自身が殺される事態になってもその信念に従って強力な神器である
或いは、イッセー君と同様に僕達を助けに行き、そこで瑞貴さん達を引き取ってくれた武藤神父なら同じ行動をとってくれるかもしれないけど、残念ながらその前後に破門一歩手前という待遇で左遷されている。貴重な人材を悉く中央から放逐しないと組織を存続できないという末期症状と思われる現状を鑑みると、十字教教会は組織としてもう永くないのかもしれない。
……これ以上変な方向に考えが進む前に話を変えよう思った僕は、
「しかし、ロシウ老師やカリス君の話しを聞いて思ったけど、これは相当に強力だね。それこそ
すると、イッセー君が真っ先に反応してきた。
「僕はむしろ、汎用性と応用性が極めて高い点で赤龍帝の籠手や崩壊前のオリジナルのエクスカリバーすら総合的に凌駕していると思うよ。だから祐斗、当分は和剣鍛造の能力を隠した方がいい。和剣鍛造の存在が広まってしまったら、今のままでは皆が危険だ」
そのイッセー君の赤龍帝の籠手や紛い物とはいえ七本のエクスカリバーすらも凌駕するという発言に、僕は息を呑んだ。イッセー君はライザー氏とユーベルーナさんが揃って、全てを見通す神の頭脳を持つと称賛した男だ。そしてそれは、魔剣創造の新解釈の正しさを以て証明されている。
その彼がここまで言うのだ。和剣鍛造は間違いなく、それだけの力と可能性を秘めているのだろう。それを踏まえた上でのイッセー君の提案に、僕は暫く考えた後でその意味を理解できた。
「確かにそうだね。このままだとイッセー君や僕、それに瑞貴さんはともかく、巻き添えを食らう部長達や会長達が余りに危険だ。だから当面は、魔剣だけを創る様にするよ。そうすれば、相手は勝手に魔剣創造だと勘違いしてくれるからね」
僕が賛同の意を示したことで、イッセー君は更に皆にも黙っておく事も付け加えて来た。
「後、皆には悪いけど、和剣鍛造の事は当分教えられないな。変に隠そうとされるよりは、今はいっそ何も知らない方がいいし、何より甘えになってもいけない」
そのイッセー君の意図に、僕も賛成せざるを得なかった。皆が自力で降りかかる災厄を退けられるようになるまで、今は雌伏の時だった。
「確かに以前ライザー氏が指摘した事が、イッセー君だけでなく僕に対しても言える様な状態になっているか。その意味ではちょっと心苦しいけど、皆が自衛できる力を付けるまでは仕方がないね。ただ、流石に部長と会長、後は聖剣計画の関係者である瑞貴さんには伝えておいた方がいいかな?」
そうした僕の懸念を聞いて、イッセー君も同意してくれた。また、その際に報告の仕方についても提示された。
「それもそうか。流石にお二人に黙っているのは越権行為になるし、瑞貴なら甘えになる心配もない。それにお二人を通して、サーゼクス様達にお伝えしてもらう必要もある。今日は休みにしてもらったから、明日にでも伝えよう。僕がソーナ会長と瑞貴に伝えるから、祐斗は自分の口でリアス部長に伝えてくれ」
確かに、イッセー君はグレモリー眷属とシトリー眷属のNo.2。特に会長には、直接の関係を持つイッセー君が伝えた方がいいだろう。僕は承知の旨を伝えた後、別れの挨拶をイッセー君と交わした。
「解ったよ。それじゃ、また明日」
「あぁ、また明日」
そうして、僕はイッセー君の家から直接自分のマンションに帰っていった。
こうして僕は、僕にとって最高の「力」を手に入れた。
カリス君とニコラス神父によって付与された聖なる力と共存したことで、魔剣創造が原点である聖剣創造を超えて覚醒した和剣鍛造。
イッセー君曰く、知れ渡れば覚醒した神器という全く新しい分類として認定されるかもしれないこの神器と、やがて生み出す事になる剣の王を携えて、僕は僕の騎士道を往こう。
イッセー君が命懸けで伝えてくれた、家族の願いである「幸せな明日」のために。
Side end
いかがだったでしょうか?
魔剣創造ですが、おそらくはモチーフであろう無限の剣製の特色が更に濃くなってしまいました。しかも、新しい名前までついています。
……反対意見が多そうですが、この話ではこれで押し切ります。
では、また次の話でお会いしましょう。