Side:リアス・グレモリー
「……という事だ」
シトリー卿からイッセーが学園の案内を外れる経緯を説明された後、今度はお兄様から何故その様な事になったのかについて説明をされたけど、知らなかった者達は私を含めてただ驚く事しかできなかった。
何故なら、魔王直々の命として眷属としての主である私やソーナにすら守秘義務が課せられた一週間に渡る冥界での活動とは、コカビエル討伐の報奨としてお兄様から許可を頂いた上で行われた上層部の方々との面会であったのだから。
……ただ、まさかお兄様と同じ魔王であるセラフォルー様にすら知らせていなかった事については少々やり過ぎだとは思ったのだけど、イッセーが面会相手に選んだ方達の名前を聞いた事で、それはやり過ぎでも何でもない事を理解せざるを得なかった。
「イッセー君は年代が比較的私達に近い革新派だけでなく、高齢の者が多い保守派との面会をも希望していた。この辺りは、物事を多方面から捉えようとするイッセー君らしいと言えるだろう。ただイッセー君が面会を希望した者達は、いずれもしっかりとした根拠を基に持論を展開していた一廉の人物だった。そのお陰で、私はイッセー君を通じて革新派と保守派の重要人物からそれぞれ貴重な意見を得る事ができた。特に保守派である先代プールソン卿が懸念している転生悪魔に関する潜在的な問題点とその根拠については、正に目から鱗だったよ」
いくら魔王であるお兄様の許可があるとはいえ、いってみればただの眷属悪魔でしかないイッセーが書籍にもその名が記載される程の功績を残している冥界の重要人物と面会しているなんて、誰かに知られていい事じゃないからだ。
「それに、最後の面会相手であるネビロス総監察官までもがイッセー君を気に入って頂けた事も私にとってはいい意味での誤算だったよ」
そしてトドメとなったのが、その面会相手の最後の一人。これが頭に超のつく大物だった。魔王の指南役でもある為にお兄様やセラフォルー様ですら一定の配慮を必要とする、正に冥界の生きた伝説。
エギトフ・ネビロス総監察官。
そしてわざわざ休暇を利用して人間界を訪れ、現在は奥様を伴ってイッセーと話をしている方でもあった。
こうしてお兄様の話を聞き終えた紫藤さんは、この場においては唯一全てを知っていたであろうアウラちゃんに改めて確認を取る。
「ねぇ、アウラちゃん。アウラちゃんはこの事を知ってたのよね?」
すると、アウラちゃんはかなり気不味そうに返事をした。
「……ウン。その時はずっとパパの精神世界にいたから、パパが偉い人達とどんなお話しをしてたのか、あたしも知ってるの。でも、これだけはママにも絶対に言ったら駄目だって、パパから強く言われてたから……」
このアウラちゃんからの返事は納得のいくものだった。今やすっかり子煩悩なお父さんとなったイッセーが、幼いアウラちゃんにも機密保持を徹底させている時点で、事がどれだけ重大であったのかが容易に窺い知れる。
「ウン、それは解ってるよ。そんな事を名目上は天界の監視役になっている私に教えちゃったら、それこそ大問題だもの。でも、こんな大きな話になるんだったら、私とパパは席を外すべきだったわね」
それに、紫藤さんも自分の立場がどういったものかを理解しているので、イッセーの判断とそれに従ったアウラちゃんを責める様な真似はしなかった。むしろ、知ってはいけない事を知ってしまったと後悔する様な素振りを見せている。しかし、お兄様はこの事を天界に伝えても構わないと言ってのけた。
「いや、紫藤イリナ君。この件については、直属の上司であるミカエルに報告してもらって結構だよ。向こうも、今回の会談の主要人物の一人と言えるイッセー君の情報が少しでも欲しいだろうからね。それに腹の内をコソコソ探られて不愉快な思いをさせられるくらいなら、いっそ向こうが欲しがっているものをさっさと渡して満足してもらった方が色々と話が速く進むんだよ。……そう、色々とね」
そう言って、お兄様は不敵な笑みを浮かべた。魔王であるお兄様が一体何を見据えているのか、正直に言って今の私では全く解らない。それこそ、「探知」でも使わない限りは。
……ただ、これだけは言える。イッセーは、本気だ。本気で誰も考えようともしなかった聖魔和合を成立させようと考え、そして既に挑み始めている。
はっきりとそう断定した私は、イッセーの背中が一気に遠くなった様な気がした。でもだからと言って、今の私はその程度で諦める様な軟な女ではない。イッセーが遠くなったのなら、もっと自分を色々な意味で磨いて、その背中に少しずつでも近付いていけばいいだけの事。その程度の事すらできない様では、天龍帝の「后」など夢のまた夢。私はもう何度も繰り返している決意と覚悟を、今一度新たに固め直した。
そうしてふと周りを見渡すと、イッセーに寄り添う決意と覚悟を既に固めている紫藤さんとソーナ、それにイッセーの親友である祐斗に匙君、そしてイッセーを兄の様に慕う薫君とカノンさんもまた、決意と覚悟を固めた様な表情を浮かべている。この場にはいないけど、イッセーが独立した後で眷属となる事が内定していると言ってもいい武藤君とコノル君も間違いなく同様の表情を浮かべていた事だろう。そして、ソーナの
「さて、総監察官がわざわざ奥方を伴ってこちらに来られているのなら、例の話をイッセー君に持ちかけるおつもりなのかな?」
お兄様から気になる言葉が飛び出したのは、私達が決意と覚悟を新たにした、正にその時だった。
「例の話?」
お兄様の言葉が気になったのだろう、セラフォルー様がお兄様に問い掛けてきた。すると、お兄様はセラフォルー様の質問に対して話の内容をぼかす形で返事をする。
「あぁ。事が事だけにこの場で話すのはまず無理だが、セラフォルーには後で詳細を教えよう。それに、総監察官からこの話を聞かされた当初は、私も余りにも突飛過ぎると思ったのだが、今ではこれ以上の妙手はないという考えに至っている。さて、どういう結果になるのやら……」
お兄様の言い方から考えると、どうやらイッセーに関してかなり大きな話が持ち上がっている様だった。でも、それが一体どういったものなのか、私には想像すらつかない。ただ、こんな私でも解った事がある。
それは、冥界が、世界が、ひょっとすると時代さえも、イッセーを中心にして動き始めたという事。……私は今、時代の一大変換点に立ち会っているのかもしれなかった。
「皆様、この様な所に集まっておられたのですね?」
そうして話が一段落ついた所で、この場にやってきたレイヴェルが私達に声を掛けてきた。その後ろにはライザーの予想通りにレイヴェルから学園内を案内されていたであろうフェニックス卿もいる。そして、そのレイヴェルの隣には両親を伴ったイッセーの姿もあった。きっと、ネビロス総監察官とのお話が終わった後でレイヴェルとフェニックス卿、そして両親と合流したのだろう。
「あっ、パパ!」
すると、イッセーを見つけたアウラちゃんはイッセーに呼びかけると、イッセーに向かって笑顔で真っ直ぐに駆け寄り始めた。
「アウラちゃん、待って!」
それを見た紫藤さんが、慌ててアウラちゃんの後を追っていく。……不味い。イッセーの両親は何も知らない一般人だ。アウラちゃんの事なんて当然知らないから、きっと大騒ぎになってしまう。そう思ったのだけど。
「よっと。……ちゃんといい子にしてたかな、アウラ?」
駆け寄ってきたアウラちゃんをイッセーがしっかりと抱き上げると、アウラちゃんにいい子にしていたのかを確認してきた。その姿は正に父親そのもので実に堂々としている。アウラちゃんはそんな「パパ」に対して、実に元気良く答えを返した。
「ウン! パパの言った通りにママとずっと一緒にいたよ! あっ、でも何ではやてお姉ちゃんの所に行ってる筈のお爺ちゃんとお婆ちゃんがパパと一緒にいるの?」
アウラちゃんがイッセーの両親に何故ここにいるのかを尋ねると、お二人は何ら動じる事なく答えを返す。
「そのはやてちゃんの授業参観が終わったからお家に帰ろうとしたんだけど、その前に一誠に声を掛けておこうって、お爺ちゃんが言い出したからよ。アウラちゃん」
「そうしたら、お父さんに学園を案内していたレイヴェルちゃんと行き合わせて、そこにタイミング良く一誠もやってきたから一緒にここまで歩いて来たんだよ。それにしても、まさかアウラちゃんが外に出てきているなんてなぁ。でも、やっぱりアウラちゃんみたいな子はお日様の下でニコニコ笑っているのが一番だな!」
イッセーの両親はアウラちゃんに対して、祖父母として極普通に対応している。
……そんな極普通の光景に対して、何かがおかしいと思うのは、果たして私だけなんだろうか?
そこへ、アウラちゃんに少し遅れて紫藤さんが駆け寄ると、アウラちゃんを窘め始めた。
「もう、アウラちゃん。いくら大好きなパパが来たからって、いきなり走り出したら駄目でしょ。もしここが道路で、アウラちゃんが飛び出した時に車が来ていたらどうするの?」
この紫藤さんの言葉に、アウラちゃんは駆け出した時には「パパ」しか見えてなかった事に自分で気づいてしまい、シュンとなってしまう。
「……ゴメンなさい、ママ」
アウラちゃんが素直に謝ると、紫藤さんは真剣だった表情を優しいものへと変えてアウラちゃんを諭していた。
「解ってくれたら、それでいいの。次からは気をつけてね?」
この紫藤さんの念押しに、アウラちゃんは笑顔で返事する。
「ウン!」
……何なの、この紫藤さんの溢れんばかりの母性は? おまけに、イッセーのご両親もそれが当たり前であるかの様に全く動じていない。その結果、イッセーと紫藤さん、アウラちゃん、それにイッセーの両親による親子三世代の心温まる光景が、アウラちゃんを抱き上げているイッセーを中心にして何ら違和感なく出来上がってしまった。
そしてその光景を目の当たりにして、私達はもちろん名家の現当主であるお父様やシトリーの小父様、更には魔王であるお兄様やセラフォルー様ですら唖然となってしまった。……例外は。
「さっきの公開授業の前に一誠から両親について話を聞かされて、お会いするのを楽しみにしていたんですが想像以上に面白い方達の様です。……その分では、父上とレイヴェルも?」
どうも公開授業の前にイッセーと話をしたらしいライザー。
「あぁ、ここに来る道中で一誠君から話を聞いたよ。尤も、ご両親に話したのはあくまで自分に関する事だけで、私達の事はいわば裏側の関係者である事だけらしいがな」
「それでお父様はもちろん、私も改めて自己紹介をさせて頂きました。ですけど、お二人とも極普通に私達の事を受け入れてしまわれて、かえって私達の方が驚いてしまいましたわ。……それにしてもイリナさん、かなりやりますわね。私もうかうかしてはいられませんわ」
そして、ここに来るまでにイッセーから話を聞かされていたと思われるフェニックス卿とレイヴェルだった。
……何だか、フェニックス家にかなり遅れを取っている様な気がする。
そんな事を私が考えている中で、イッセーのお父様がある事に気づいてイッセーに問い掛けた。
「んっ? なぁ一誠、今こうしてアウラちゃんを堂々と外に出しているって事は……」
そこで、イッセーは自分のお父様の問い掛けた内容について肯定する。
「そうだよ、父さん。僕の上司の方やその親御さんだったりもするけど、今この場にいる人達は全員がその方面の関係者なんだ」
すると、イッセーのお母様がイッセーのお父様に私達への挨拶を促してきた。
「あらまぁ、そうだったの。それじゃ父さん、皆様にご挨拶しなきゃ」
イッセーのお母様に促されたイッセーのお父様は、早速私達に自己紹介をし始める。
「おぉ、それもそうだな! ……息子が大変お世話になっております。私が兵藤一誠の父です。そしてこちらが私の家内、つまり一誠の母親です」
そして、それに続く形でイッセーのお母様も自己紹介をしてきた。
「一誠の母です。どうか今後とも、息子の一誠をよろしくお願いします」
そう言って、イッセーの両親は二人揃って頭を下げる。息子であるイッセーの関係者に対する両親の対応は、はっきり言えばとても普通なものだった。……普通なんだけど、この場合はそれこそがとてもおかしい。そして、その思いは何も私だけではなかった。
「失礼ですが、兵藤さん。もしや、ご子息から……?」
私達を代表する形で、イッセーの両親とは一度お会いしているお兄様が確認を取ると、イッセーのお父様はお兄様が言外に含めた意味を理解してそれを肯定した。
「えぇ、その通りですよ。サーゼクスさん。一誠は、今まで私達に隠していた事を全て教えてくれました。……尤も、どうやら教えてくれたのはあくまで自分の事だけで、フェニックスさんやレイヴェルちゃん、それにサーゼクスさん達も
少し恥ずかしげにそう語る、イッセーのお父様。
……お兄様から、以前お会いした時にグレイフィア、というよりも「お義姉様」についてご助言を頂いたとは聞いていた。あくまで会社の経営者の跡取り息子に対してのものだったけど、お兄様は凄く嬉しそうにその時の事を語っていた。
何十倍も永く生きていて、その分グレイフィアとも夫婦として永く過ごしている筈なのに、解っているつもりだったグレイフィアの愛情が実は何物にも代えがたい貴重なものである事を教えられてしまうなんてね、と。
そして、イッセーのお父様の返答を聞いたお兄様がまず行ったのは、自己紹介のやり直しだった。
「そうでしたか。それでは、こちらの自己紹介をやり直さなければなりませんね。私の名前は、サーゼクス・ルシファー。現在は悪魔のトップである魔王を務めています。その為に家を出て独立し、魔王の名であるルシファー姓を名乗っていますが、先日お会いした時に名乗ったグレモリー姓は実家のものでして、以前は確かにサーゼクス・グレモリーだったのですよ」
しかし、魔王である事を明かしたお兄様に対するイッセーのお父様の反応は「なんと、そうでしたか。これはまたご丁寧に」と言って頭を下げるだけという、何と言うか、やっぱり普通の反応だった。このある意味あっさりとしたイッセーのお父様の反応を見て、お兄様の方が驚いてしまった。
「あまり驚いてはおられない様ですが……」
お兄様がそう尋ねると、イッセーのお父様は自分の感じた事を正直に話し始める。
「何と言うか、魔王と言えば如何にも強くて
……幾らなんでも、それはちょっと違う様な……?
イッセーのお父様の言葉を聞いた私はそう思ったのだけど、お兄様はそうではなかった様で大笑いを始めてしまった。
「ハッハッハッハッ! 今や魔王は世襲制ではなくなり、その地位に相応しい力を持つ者を上層部が選任する! それを踏まえると、確かに今の魔王のあり方は兵藤さんの仰る通りだ! いやぁ、兵藤さん! 貴方は本質を衝くのが中々に上手い!」
お兄様はイッセーのお父様にそう言うと、今度はお父様に挨拶を返す様に促してくる。
「父上、何を呆けておられるのですか。あちらがご挨拶をなさってこられたのですから、こちらもお返ししないと」
お兄様から促された事で正気に返ったお父様は襟を正す仕草をした後で、イッセーの両親への挨拶を始めた。
「……あっ。あぁ、確かにサーゼクスの言う通りだな。挨拶が遅れて失礼しました、兵藤君のお父さん。私が、サーゼクスとリアスの父です」
「いえいえ、お気になさらず。今後とも、よろしくお願いします」
そして、お父様がイッセーの両親と挨拶を交わしたのを皮切りに、次々とイッセーのご両親への挨拶が行われていく。まずは、シトリーの小父さまから。
「先日は、この道楽娘の件でご子息がお世話になりました。私が、支取蒼那の父です」
「……あぁ。この駒王学園の高等部で生徒会長を務めている、あの。一誠から頼りになる人だと聞いていますし、こちらこそ一誠が日頃からお嬢さんのお世話になっている様で……」
それに続く形でセラフォルー様。
「お父様。それ、一体どういう意味なんですか? ……ゴホン。気を取り直してっと。初めまして☆ 私、魔王のセラフォルー・レヴィアタンです☆ ソーナちゃんのお姉ちゃんですけど、私もサーゼクスちゃんと同じで、今は家を出て独立してます☆」
「あら、そうなんですか。それは凄いですわねぇ。……悪魔って、こんなに若い人が何人も総理大臣をしているのねぇ」
更に、フェニックス家の中ではまだ顔を合わせていなかったライザーも挨拶をしていった。
「俺はレイヴェルの兄で、ライザー・フェニックスと申します。一誠には先日の件で色々と世話になりましたし、今では家族ぐるみでいい付き合いをさせて頂いています。既に父がお伝えしていると思いますが、レイヴェルが大変お世話になっているそうで、俺からも兄として改めてお礼を申し上げます」
「いえいえ。フェニックスさんにも先程申しましたが、こちらも好きでやっている事ですから、お礼は結構です。それにレイヴェルちゃんについては、失礼ながらまるで娘が増えた様でこちらも楽しく過ごさせて頂いていますよ」
そして最後に、紫藤さんの父親がイッセーのお父様に話しかけてきた。
「電話ではつい先日お話ししたばかりですが、こうしてお互い直に顔を合わせるのは随分と久しぶりですな、兵藤さん」
すると、イッセーのお父様が特に親しげに話しかけてきた。今挨拶を交わした中では唯一の既知なので、無理もないだろう。
「あぁ、紫藤さん! お元気そうで何よりです!」
すると、紫藤さんの父親はホームステイに関する感謝をイッセーのお父様に伝える。
「先日はイリナのホームステイを受け入れて下さって、誠に有難うございました。お陰で、イリナの授業を見学するという貴重な経験ができました。その時の様子は、これにしっかりと収めてあります。もちろん、一誠君についてもバッチリ映っていますよ」
紫藤さんの父親がバッグに収めていたデジカメを取り出してそう語るのを聞いた私は、「私もそれを見てみたい」なんて事をつい考えてしまったけど、それはイッセーのお母様も同じだったらしい。
「まぁ! それはありがとうございます、紫藤さん! 父さん、それなら後で見せて頂きましょうか?」
イッセーのお母様がイッセーのお父様にそう呼びかけると、イッセーのお父様から意外な申し出がなされた。
「それもそうだな、母さん。……しかし、こうして大勢で立ち話をするのも何ですし、紫藤さんやフェニックスさんから我が家へお越しになる旨を伺ってますから、狭いですが我が家で皆さんもいかがですか?」
このイッセーのお父様からのご招待を受け、真っ先に乗ったのはお父様とお兄様だった。
「おぉ、それはありがたい!」
「父上、ここはご厚意に甘えましょう。兵藤さん、またお世話になります」
また、お父様とお兄様に続く様にシトリーの小父様もご招待に
「実は、私も道楽娘の件でお世話になったお礼と今後のご挨拶の為にお宅へ伺う予定だったのです。ですから、ご迷惑でなければぜひお願いしたい!」
ここで、シトリーの小父様が「道楽娘」と連呼した事に対して、セラフォルー様は憤慨し始めた。
「もう、お父様! さっきから道楽娘、道楽娘って、あんまりじゃない! 私、そこまで酷い事を言われる様な事はしてません!」
……迷惑を掛けているという自覚がここまで乏しい台詞を聞いたのは、ひょっとするとこれが初めてかもしれない。きっと私と同じ事を思ったであろうシトリーの小父様は、セラフォルー様に対して遠慮なく以前の振る舞いについて顧みる様に言い放つ。
「その台詞は、以前の普段の装いがどの様なものだったのかを思い出してから言うのだな、セラフォルー。さて、お前はどうする?」
シトリーの小父様から意志を確認されたセラフォルー様は態度を一変させて同行する旨を伝える。
「もちろん、私も行きます☆ だって、本物の魔法少女に逢えるんだから☆」
……確かに、魔法少女に憧れているというセラフォルー様にとって、はやてちゃんは正に魔法少女そのものだと言っても何らおかしくはない。それだけに果たして無事でいられるのか、私ははやてちゃんの先行きが非常に不安になってきた。結局、全員が招待に与る事にしたので、イッセーのお父様はお父様達を連れて帰られる事になった。
「それじゃあ、一誠。俺達は先に帰っているからな。皆さん、それでは我が家へ参りましょうか」
イッセーのお父様はイッセーに先に帰る事を伝えると、お父様達に呼びかけてからこの場を去っていった。お父様達もイッセーのお父様の後に続いて歩いて行く。どうやら、歩きながらも会話を交わしているらしく、今はイッセーのお父様が「お酒はイケる口ですか?」とお父様達に尋ねているみたいだ。かなり踏み込んだ、ある意味馴れ馴れしいとも言えるイッセーのお父様の態度に対して、お父様達は何ら不快感を抱いていない。……こうして初対面の相手とも良好な関係を築いていく辺り、やっぱりイッセーのお父様なのかもしれない。
一方、イッセーのお母様はアウラちゃんとお別れの挨拶を交わしていた。
「じゃあ、アウラちゃん。またお家でね」
「ウン、またね! お爺ちゃん、お婆ちゃん!」
そう言ってお互いに手を振りながら別れるという何とも微笑ましいやり取りを見て、散々揺さぶられた心が癒されたのはきっと私だけじゃないと思う。
こうして、兵藤家の主催で兵藤家・紫藤家・グレモリー家・シトリー家・フェニックス家の五家による顔合わせがイッセーの家で実施される事になった。因みに、この場に残ったメンバーの内、五家の子供であるイッセーと紫藤さん、私、ソーナ、そしてレイヴェルも出席する。
……そして、私達はそこで更なる
Side end
いかがだったでしょうか?
兵藤夫妻には一般人代表として色々と頑張ってもらいました。
では、また次の話でお会いしましょう。