Kenshi~偽史~聖王の娘   作:おもちぴん様

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誕生〜旅立ち

 ここは地球とは違う惑星。

過去の戦争により世界は荒廃し、人々は僅かな住める土地を求め、また争っていた。

 

 この世界には3つの巨大な勢力が存在する。

貴族の治める都市間の連合により広大な北東の砂漠と南西の肥沃な大地に勢力を構える都市連合、通称UC。

中央からやや南西の荒れた土地に勢力を構える戦闘民族シェクの王国。

そして、この世界で最も肥沃な中央からやや北東に勢力を構える、宗教国家ホーリーネーション。

 

 この物語は、ホーリーネーションの聖王フェニックスLXII(62)世の娘が

自身の生い立ちによる宿命と世界と戦う物語。

 

 

 

◆15年前ブリスターヒル

 

 

 

「生まれたぞ!」

「おお!目出度い!」

「性別は……"女子"か……。」

「男子であれば跡継ぎになれたものの。」

「ふむ、では次の子が生まれるまで男として育てては?」

「分かった。聖王には私から言っておく。」

「ヴァルテナ様、よろしくお願いします。」

 

 その日、ホーリーネーション首都のブリスターヒルで一人の赤子が産声を上げた。

彼、いや彼女は聖王フェニックス62世の子。

幸か不幸か、決められた将来を約束された者である。

 

 後に第2帝国首魁キャットロンを倒すことになる彼女の誕生は祝福されながらも、

少しの失望が含まれたものであった。

 

 

 

◆現代─オクランの盾

 

 

 

「"御坊"、行儀が悪いですぞ。」

「ヴァルじい、もう聖典の勉強は飽きた。機械の話をして。」

「しっ!誰が聞いているか分からん、全くこの子は。」

 

 御坊と呼ばれた子はフェニックスが子、フーニ。

彼女はヴァルじい──上級審問官のヴァルテナの下で勉学に戦闘技術、この世界で生きる術を学んでいた。

 

 ヴァルテナは上級審問官でありながら、教義で禁止されている"ハイテク"技術に精通していた。

彼の考え方はホーリーネーションの中では異端である。

異端でありながら彼はホーリーネーションで働く事を選んだ。

外から来た彼が高位の位置にいるのは偏に彼の実力と言えよう。

 

「御坊、いやお嬢様、あなたは天才だ。次の聖王になれればホーリーネーションは更に発展しましょう。」

「"なれれば"ね。風の噂に聞いたけど、弟が出来たんでしょ?」

「ええ、しかも教育係は保守派のセタ殿。最近はワシの派閥に押され気味でしたので、これを気に何か仕掛けてくると。」

「……早く出ていけってことね。」

「天才過ぎるのも考えものですな。明日ここを発ってもらいますぞ。護衛は選んでおります。」

「今までありがとね。本当の父親と思ってた。」

「ワシも本当の娘と思っていました。」

 

 二人は抱擁を交わし、そして、互いに武器を取った。

これから最後の授業が行われる。

 

 二人の使う武器は長柄武器のポールアーム。

この世界でポピュラーな武器である。

リーチを活かした攻撃、柄を使った防御、攻守に隙がない武器だ。

 

 ホーリーネーションでは、教義から"鉈"が尊ばれている。

過去、スケルトンに対し反乱を起こした際に武器となった為であろう。

 

 しかし、ヴァルテナとフーニの持つエモノは長柄武器だ。

この武器は鉈とは違い、対人間、動物、スケルトン、どれを取っても有用である。

ヴァルテナが彼女に何をさせたいのかは定かではないが、死んでほしくないことは確実だ。

 

「では行きますぞ!」

「来いヴァルじい!」

 

 ヴァルテナはこの世界では老齢に近づいているとはいえ、

何度もUCの攻撃からオクランの盾を守った強者である。

あの怪物アイゴアと相対し、五体満足で生還もしている。

 

 そのヴァルテナがフーニに対して攻めあぐねていた。

刃引きした修練用の武器で殺傷能力は無いことも関係はしていたが、

彼女は確かに強かった。

 

「腕を上げましたな。」

「今なら聖王だって倒せるよ。」

「ふふ、頼もしいですなっ!」

 

 ガンガンと武器同士がぶつかる音が聞こえる。

それは次第に早くなり、やがて大きな音がしてぶつかる音は止んだ。

 

 床に倒れているのはヴァルテナ。

齢15にしてフーニはホーリーネーション最高戦力の一人、上級審問官を越えた。

最後の授業が終わった二人は軽口を交わし合う。

 

「これなら護衛はいらぬかな?」

「一人旅は退屈だからね。仲間はいた方が良いよ。」

「それもそうじゃな。」

 

 ──翌日、グリーンランダーの男がヴァルテナの下を訪ねた。

彼の名はグリフィン、ホーリーネーションの元兵士である。

実力はフーニの方が上である。

しかし彼の様に他の国と女に偏見のない者となると数は多くない。

それが元兵士ともなるとかなり数は限られる。

 

「よろしくね、グリフィンさん。私はフーニ。」

「よろしく頼む。まずはどこに行く?」

「東へ。まずはストートに。」

 

 二人は2,3言交わし、すぐにオクランの盾を発った。

 

 フーニは知らない。

故も知らぬUC兵の捕虜が自分の身代わりとして殺されたことを。

それを命じたヴァルテナは、最後まで彼女にとっては良い父親であった。

為政者、指揮官としての顔を見せずに、彼は彼女に対し15年間偽り続けた。

 

 フーニとグリフィンの二人は砂漠を東へと進む。

彼女の旅は始まったばかり。

二人の行く末に"オクランの光があらんことを"。

 

 

◆設定◆

名前:フーニ

性齢:15歳 女

備考:フェニックス62世の娘。認知はされているが女のため子育ては放棄され、ヴァルテナに育てられる。

   能力値は戦闘系が80後半、他はそこそこ。

 

名前:ヴァルテナ

性齢:不明(4,50代と思われる) 男

備考:フーニの育て親。ゲーム中だと異端とかそんなことは無いし武器もパラディンクロス(鉈)。

   ホーリーネーションで禁じられた品質の武器を持ってるので拡大解釈して改革派に。

   フーニ以外に対しては冷酷で隙を見せない。

 

名前:フェニックスLXII(62)世

性齢:不明(4,50代と思われる) 男

備考:教義的には選ばれた子供がフェニックスになりますが、

   この話では途中で世襲制になったという設定にしました。

 

名前:セタ

性齢:不明(4,50代と思われる) 男

備考:ゲーム中だと保守派というかよくいるホーリーネーションの民。

   武器が教義通りゴミカス品質なので保守派という拡大解釈をした。

 

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