ようこそ超能力者のいる教室へ 作:鴨の加茂
やれやれ。
やっと3年生に進級してこの力ともおさらば出来ると考えていた所でこんなトラブルに巻き込まれるとはな…。
ん?
(何なのよこのガキ、年上の私の言う事をとっとと聞きなさいよ!)
これは今すれ違ったバスの中か。
成程、お婆さんが座れていないのを見て学生に声を掛けたら反撃されたと言った所か?だがしかし分が悪い事この上無いな。
その学生は確かに傲慢な態度で我儘だが文句を言われても殆ど思考せずに相手の嫌がる言葉を選んでいる。途中で参戦した同じく学生の少女もお婆さんを席に座らせる事より周りから好感度を集める事が目的のようだし無理だろうな。
(怖…関わりたくねぇー)(あれ、今日の入学式何時からだっけ?)(何あれ、誰か席譲ってあげてよ)(あの金髪の男早く席譲れよ)
誰かが席を譲れば状況が解決する?違うな。話の中心に居ない者ほど他人がやればいいと言うものだ。
(動く必要がないと、そう判断していたからだ。さっきの少年の態度や言動には、やや引っかかるところもあるが、概ね間違ってはいないんじゃないかと結論づけていた。今の老人たちは、確かに日本を支えて来た紛れもない功労者だろう。しかし俺たち若者は、その日本をこれから支えるための貴重な人材だ。年々進む高齢化社会を踏まえれば、その価値は以前よりも高まっていると言える。)
確かに一理はある。だが思い出して欲しい事がある、これはバスの席を譲る譲らないの話しだ。
(興味無いわね、それにあの老婆に席を譲る意味も無いわ。早く終わらないかしら)
中にはこの様な人間もいるのだ。だが、金髪男に『プリティーガール』と呼ばれた少女の狙いは概ね達成されたのだろう。勇気を出した少女の姿を見てか、金髪男にバスの乗客全員が席を譲れる立場にあると言われ同じ土俵まで引き摺り下ろされたからか1人、手を挙げバスの中での騒動は終わりを迎える。
やれやれ、この一連の流れでひとつ、1番不安な事がある。金髪男にプリティーガール、変に思考の長い学生にキッパリと興味が無いと切り捨てたこの4人の服装が同じなのだ。何と同じかだって?もちろん僕の制服とだ。
さて、朝から中々の物を見させられたがやっと学校に着いた。天然石を連結加工した作りの門が僕を待ち構えている。東京都高度育成高等学校。日本政府が作り上げた、未来を支えていく若者を教育する、それを目的とした学校。今日から僕が通うことになる場所らしい。
「お?相棒か?相棒じゃねーか。ラーメン行こうぜ」
今日は入学式だ。初日からサボるつもりか?燃…堂?
………は?燃堂だと?