世界と友と渡り人   作:テムテムLvMAX

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世界を渡り歩き因縁を増やす様はまさにディケイドォォォ!

まぁ緩くお楽しみください、時系列とかガバガバですので。


本編
プロローグ&最古の叙事詩の始まり


 カルデア、人類最後の砦では人理滅却の憂いを跳ね除け人類を救った英雄を率いし英雄はのんびりといくばくかの休日を楽しんでいた。

 

 英雄を率いし英雄、藤丸立香は召喚陣の前にいた。これから英雄を呼ぼうというのか。今は休暇の最中、それを見受けたカルデアの職員は止めに入ったが『閃いた!』と楽しげに笑う彼にいかなる言葉も通じることはないと諦めて、共に召喚を見ることにした。

 

 

「これとこれと……これ!」

 

「藤丸さん、それは?」

 

「『麻婆豆腐』『ジャンヌの着古した部屋着』『コヤンスカヤの毛』『孔明のタバコ』だ!」

 

 

 これを聞いていた職員は不定の狂気に陥った、彼はなんて無垢で愚かで突拍子もないのだろうか! あぁ神よ混沌とは藤丸立香のことなんですね。ある種の悟りを得た職員は異常なまでの天啓に耐えきれず倒れ伏した。それを不思議そうに見つめる彼は召喚を続行した。

 

 召喚陣の真ん中にアイテムを置き、魔力の塊である聖晶石を投げ入れる。

 魔力を得た召喚陣は激しく光を放ち、廻り、媒体を溶かして虚空へ消し去る。そして現れたのは……鎧を身につけた騎士風の優男、ただし武器の類は一切身につけておらず身軽な印象を受けた。どこにでもいそうな顔付きであるがその目は極限まで磨いた鏡のように透き通っている、その目に映る己すらくっきり見えよう。

 

 

「えークラスはセイバー? 真の名は『イブァーブ・ガデル』だ。こと『技術』には自信があるぜ、マスター」

 

「来た! 『不帯剣の剣士』ずっと! 憧れてました!!!」

 

「お、おぉ俺の二つ名か……久しく聞いてなかったぜ、なぁマスターもっとここの話を聞かせてくれ! めっちゃ面白そうじゃねぇか! それに俺をよく召喚できたな!」

 

「良いよ良いよ! 代わりにガデルさんの話も聞かせて!」

 

「おうよ!」

 

 

 イブァーブ・ガデルと藤丸立香は食堂へと場所を移し、カルデアのオカン手製のスイーツを食べながら話をすることにした。

 

 イブァーブが語った。己が何を成して英雄になりここへ来たのか、何に苦労して何が嬉しかったのか、人と話す機会を得た彼はついつい話し過ぎてしまった。気付けばもう時刻は深夜を指しており己がマスターは船を漕いでいた。

 

 

「おっといけねぇ、長話が過ぎたな」

 

「マスターもう眠る時間だろう……っ!」

 

「げっアルトリウス!」

 

「違うわ馬鹿者! アルトリアだと何度言えば分かるっ! この痴れ者が!」

 

「なんでそんな厳しいの!? 俺そこまで悪い事したっけ!?」

 

 

 イブァーブが藤丸立香を抱きかかえ部屋へ送ろうとしていたところにかの騎士王は現れた、イブァーブを見つけた瞬間から凄まじい殺気を放ちその腰に掛けた聖剣へ手を伸ばす。

 

 

「怖いなぁ、マスター起きちゃうよ?」

 

「マスターが起きる前にその面に一太刀浴びせるくらい出来る」

 

「おーこわ」

 

 

 その殺気を受けてイブァーブは平然としているので更に騎士王は数段濃い殺気を出す。流石に古今東西の英雄が集うカルデアでここまでしていてはゾロゾロよって来る、あの英雄王が、征服王が、ギリシャの大英雄が、アサシンの開祖が、邪竜を討ちし英雄が。もうその他諸々が集まった。

 

 

「おやおやまぁまぁ……『不帯剣の剣士』様じゃあありませんか?」

 

「あ、よりみっちゃん!?」

 

「では、約束通り殺して差し上げますね、あの日の約束通り」

 

「え? そんな物騒な約束だっけあれ!?」

 

 

 因縁の仲、とでも言うのだろうが源頼光とアルトリア・ペンドラゴンに喧嘩を売られる存在というのは、時代的にも国というくくりでもおかしな話だ。

 

 しかし集まった英雄達はそれを不思議とは思わなかった、異常が日常のカルデアで慣れたということもあるが、それ以前に彼の逸話はマスターである藤丸立香から存分に聞いていたからだ。

 

 

「頼光殿、そなたもアレに因縁が?」

 

「えぇ、とっても深い因縁がありましてね」

 

「「「「我々もだ!」」」」

 

「あーうん、皆知ってる顔だぁ……」

 

 

 古今東西の英雄から一身に殺気を浴びせられる存在、イブァーブ・ガデルは一体何者だろうか、その正体は……最初から真実を知るのは理解を促すものではない、不可思議な彼の伝承を紐解くことから始めよう。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 イブァーブ・ガデルの存在は最古の物語であるギルガメッシュ叙事詩まで遡ることができる、初めに彼は特別な人間ではなかった。主だった登場人物であるギルガメッシュやエルキドゥに比べれば天と地の差が、いや天界と冥界のドン底ぐらいの差があった。

 

 いつからか彼はウルクの民として生きギルガメッシュの恩恵に預かって来た、それはそうだ、ただの人間が王のもとに集うことは必定、おかしな事はない。

 

 

「王様より強くなりてぇ! どれだけ時間が掛かってもいい! この身一つでギルガメッシュ王を超えてみたい!」

 

 

 青年だったガデルは身の程知らずにもギルガメッシュを超えたいと願った、そんなもの例え神とて叶えられるものではない。最高傑作、それがギルガメッシュを表す言葉でありそれだけに神々すら恐れる人類の味方。

 

 それを知ってか知らずか無邪気にも力を求めた、ウルクの守護神に毎日祈った、力をつけるにはどうしたら良いのかと、ひたすら祈った。ウルクで祈りが届かないならとあらゆる都市に赴きあらゆる神に祈りを捧げた。

 

 

『無理である』

 

 

 突然に下された神託、どの神か分からないが嬉しさに胸がいっぱいになる、しかし同時に残酷な現実を突き付けられた。祈りを捧げた神殿に咽び泣く声が響く、彼の涙は今後の彼の伝承においてこれが最初で最後だった。

 泣きじゃくった彼は神にまた祈った、それは無謀で阿呆でギルガメッシュすら呆れ果てる祈りだった。

 

 

「私に困難をお授けください、一日に一つの困難を。かの王に並び立てると判断したならそのお姿をお見せください」

 

 

 まさに呆れ返るほどの馬鹿な願い、神々とて乗ってやろうと言う者は少なかった、こんな願いは叶えたところでギルガメッシュに容易く打ち砕かれるのみだ。

 それでも、二千を超える神々が存在するメソポタミア文明は彼の願いを叶えようとする物好きは確かにいた

 

 

『良いではないか、見事苦難を乗り越えてみよ』

 

『我らの試練を超えた暁には眼前にて拝謁を許そう』

 

『アレを超えたいと言うその方の願い、大変結構、我が知恵を集め貸してやろう』

 

 

 そのトンチキな願いを叶えようとした神は、戦の神ザババ、金星の神イシュタル、知識の神エンキの三柱。なんてことはない暇潰し、力があるゆえの人生のつまらなさを解消するための駒、精々その程度の認識だった。

 

 上位者特有の余裕とはいざ知らずイブァーブは喜んだ、そしてその日から彼の困難の日々が始まったのだ。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 カルデアの戦闘シミュレーションルームにぎっちり英霊たちが集まっていた、今回の騒動の引き金イブァーブ・ガデルとメソポタミア組の語らいを見るためだった。食堂でも良かったが単純に狭過ぎてオカンに追い出された、さすエミ。

 

 

「よもやよもや……よく我の前に顔を出せたものだなガデル」

 

 

 ギルガメッシュが用意した豪華絢爛なテーブルと椅子に座り対面する両者、そのギルガメッシュの脇にエルキドゥは立ち、ガデルの後ろにはイシュタルが踏ん反り返っていたがギルガメッシュに睨まれ部屋の隅まで逃げていった。エレシュキガルは「どっちも怖いのだわ!」と離れて観戦。

 

 

「まぁ怒りなさんな、俺はただ王様より強くなりてぇってお願いしただけだからさ? ね? 許して?」

 

「戯けが……っ! 貴様の起こした騒動が我がウルクにまで及んだ! 結果的に良かったものの身の程知らずな願いのせいで文明そのものが風前の灯となり果てる所だったのだっ!」

 

「おーっとなにも言い返せねぇ、すんません」

 

「大体! 何故我に! 我が友に! 話をしなかったのだ! 相談の一つでも受けられないと思うたか!」

 

「まぁ一人で何とかなりそうだったし……ね?」

 

「ギリィ……」

 

「ぎゃぁぁぁっ! 宝具が飛んでくるぅ!? エルくん助けて!」

 

「ギル、ステイステイ、僕が足止めするから」

 

「鎖ぃ! 裏切り者ぉ!? アバハババ!?」

 

 

 一旦呼吸を整えズタボロになった部屋を片付けてから話の続きを始めた、まぁギルガメッシュの一方的な問い詰め、尋問と言ったほうがいいのかと思われる。

 

 

「我が懇切丁寧に説明してやろうか、貴様の悪事を! この場でな!」

 

「やらかしちゃったことは謝る! ここにはアルトリアとかよりみっちゃんがいる! やめてくれ!」

 

「いーや! しかと聞け! 古今の英雄たちよ! コヤツの悪事をな! あまりにも多い故、トップ3を紹介してやろう! 存分に貶めてやるぞ! 光栄に思え!」

 

「いぃぃやぁぁ!?」

 

 

 苦悶の表情を浮かべるガデルと愉悦に染まるギルガメッシュの対比は恐ろしく滑稽に見えた、これから語るのは英雄王ギルガメッシュ、その唯一無二の友エルキドゥ、そして『不帯剣の剣士』イブァーブ・ガデルの三人にまつわるお話。

 

 

 

 

 




第一部終了的な雰囲気出てますがそこらへんはボカして下さい、本編にはそこまで関係ないので。
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