世界と友と渡り人   作:テムテムLvMAX

8 / 10
冥界を荒らす馬鹿者がいるらしい、ザオリク確定してるけど。


2023/02/20加筆修正しました


ギルガメッシュ叙事詩におけるイブァーブ・ガデルその6

「はぁ、やっぱり辛いよ……辛すぎるよ、んスゥ~〜〜〜〜〜〜ハァ」

 

「吸うな吸うな」

 

「意外です、あのエルキドゥさんがここまでその……甘えてるなんて」

 

「えーと誰ちゃんだっけ?」

 

「あっ、マシュ・キリエライトです! 先輩の憧れの人に会えて光栄です」

 

「ふむ、善き哉善きごふあっ!?」

 

 

 大きな盾を構えて見せたマシュは自分が藤丸立香のサーヴァントであると胸をはって見せた。何処がとは言わないがグッと強調されていて男性としては眼福眼福。

 即座にエルキドゥに粛清されたのはジークフリートにドラゴンをぶつけるよりも明らかであった。

 

 

「この阿呆の代わりに話をしてやるが次はアルトリアも気になっているどうやって生き返ったか、というところだな」

 

「その前に冥界の面白いところ紹介させて! なぁエレ様! あそこいいところだよね!」

 

「冥界に娯楽施設おっ建てる貴方のせいでね? まぁ悪い気はしないけど」

 

「えっ冥界で一体何が……うむむ、マーリン助けて下さい」

 

「え、無理です、諦めて? (提案)」

 

 

 

 ◆

 

 

 

 泥の巨人討伐、それは瞬く間に国中に広まっていった。巨人の名前はエルキドゥ、ギルガメッシュに不満を持ち挑み負けた性別不明の化物。しかし安心するがいい、勇敢なるギルガメッシュ王はそれを打ち負かし友とした。

 

 国民は意外にもそんな説明であの大災害とも言える被害を許した、暴君にひと泡吹かせたエルキドゥに賛同するものもいれば、それを負かしたギルガメッシュを評価する動きもある、ウルクの人々は強かで精神的にも肉体的にも頑丈だったようだ。

 

 この『大喧嘩』を切掛にギルガメッシュは非常に安定した政治を始めた、まるで別人じゃないのかと誰もが言ったが、やがてそれはエルキドゥのお陰なのだと民は噂を広めていった。その噂の出処は果たして何処だったのだろうか、一説には怪しげでテンションが高くて羽振りのいいキンキラキンの誰かさんがウルクを練り歩いて吹聴したとも言われているが。

 

 ここまでエルキドゥとギルガメッシュの話はウルクに広く伝わったが、ガデルの名は一切広まる事はなかった。ガデルには毒殺の疑いがかけられていたので当然といえば当然なのだが、それ抜きにしても追及を恐れた不埒な家臣たちはガデルごと毒殺事件をもみ消してしまいたかったようだ。

 まぁこのあと毒殺を企んだ馬鹿共はもれなく追放刑に処され、どこぞで魔獣の餌にでもなっている頃だ。

 

 ガデルの公的な記録は全くゼロだ、しかし個人的な粘土板にはガデルの生き様はしっかり残っている、ギルガメッシュが宝物庫にて保管し後世にその存在を伝えた、これがこの世界の『ギルガメッシュ叙事詩』の原本ということになる。

 エルキドゥはガデルの肉体も異様な程厳重に保管し腐敗を防ぐ魔術をいくつも重ねた、いつかきっと生き返らせると固く誓い毎夜毎夜にそばを離れず眠るのだ。

 

 そしてガデル本人はというと。

 

 

『1050年地下労働である』

 

「な、長すぎ〜っ!」

 

 

 エレシュキガルから無慈悲な審判を下されていた。

『冥界の女主人』エレシュキガル、イシュタルと対になる死を司る偉大な女神。日々増える人の魂にあくせくしながら頑張るメソポタミアでは珍しい優しく真面目な神でもある。その傍らには冥界の首相、エレシュキガルの右腕ナムタルが必死こいて粘土板整理してた。周りのガルラ霊も同様だった。冥界はブラックだ。

 

 

「ま、死んじゃったもんは仕方ねぇな。バリバリ働きますか!」

 

 

 生前と変わらぬ働きでガデルは頑張った、もう辞めろ、止まれと同僚達やガルラ霊達が止めても余裕の一言で突っぱねて宣言通り余裕綽々で仕事を終わらせる。彼は特別働き者だった。まぁブラックな冥界に馴染んでいるとも言えるだろう。

 

 

「魂じゃ生きてる感じがしないですねぇ、ガルラっち」

 

「死んでいるゆえに、生の実感はないだろう」

 

「あ、そうだった」

 

 

 同僚であり監視係のエレシュキガル配下のガルラ霊と少し仲良くなった、どうやらガルラ霊のお眼鏡に叶う事が出来たようだ。ガデル的には友達が増えたぐらいにしか思っていない様子だが。

 

 

「ガルラっちよぉ、冥界ってな~んもないよね」

 

「死の世界に存在するものは、死、のみ。乾いた大地と闇が死の国である」

 

「殺風景で逆に落ち着かないよね〜」

 

「やがてそれは感じなくなる」

 

 

 ガルラ霊が言うように暗く果ての見えない地の底でも慣れて何も感じなくなる、やがて心は薄れ、人は自我を失っていく、そうやって緩く消滅していくのだ。冥界は死者が安らぐ場所ではない、また罰を受けるものでもない、ただ死んだら来る所というだけだった。

 

 

「俺さ、ガルラっち、ちょーっとやりたいことがあるんだわ」

 

「許された行動権限内でなら問題はない、ここで何ができるのか疑問だが」

 

「マジ? 話が早くて助かるよ」

 

 

 割りと緩い冥界ルールに則りガデルは自分の家を建築し、冥界の地面を掘り起こして粘土を焼いて器とツボを作った。火と水は魔術で都合出来ている、魔力に関しては死後の世界だ、寝てるだけで回復する程に満ち溢れている。

 そこを起点にガンガン自分の生活環境を作り上げ遂には一軒家庭付き竈あり井戸ありの物件が爆誕した。

 

 

「うん善き哉!」

 

「これは一体?ガデル、説明しろ」

 

「おんやぁガルラっち家も知らないの?」

 

「我らはエレシュキガル様の触覚である、現にエレシュキガル様のお言葉を頂戴している『これはなんだ?』とな」

 

「ガッツリ説明しろと、そう言うことですね、良いでしょう。これはいわば終の住処ですよ、死後に建てるのはもう終のってレベルじゃあ無いんでしょうけど。」

 

「あれば安らぐか?」

 

「野ざらしで安心するやつは居ませんよ?」

 

「それもそうか、しかし一人でここまで仕上げるとは余程手際が良いのだな」

 

 

 冥界に木材と言う贅沢な素材はないので全部土から作り上げたが、火を使えることで焼いて強度を増すことができている。見た目にも悪くなく現段階の文明基準でモダンな雰囲気すら感じる。

 

 

「もちろんでさぁ! なんたって俺はウルク一の建築士の異名ももらってますので!」

 

「以前はウルク一の服飾デザイナーだと聞いたが?」

 

「なんでも出来ますよ? 技術で解決出来ることならね! 俺は手先が器用なんでね!」

 

 

 まぁ一番成長したい戦闘技術はまだまだからっきしだ、と笑っていた。ガデルはどこでもガデルだった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「とまぁ、こんな感じでガデルは冥界で楽しく暮らしていたとか。依り代の私が言うのも何だけどコイツ自由すぎでしょ?」

 

「エルキドゥ! ステイ! あーっ! ケツが3つになったぁ!?」

 

「あの二人は捨て置いて、話の続きだな、ここがやつの悪行第三位『フンババ討伐』なわけだ。ウルク復興の為に杉が必要でな、序にフンババを倒せばその魂と交換でガデルを生き返らせるのではと考えた、なぁエレシュキガルよ」

 

「まぁ冥界の法の裏をつくギリギリセーフのやり方よ、真似しないでね?」

 

「ちなみにイシュタル様もこんな感じで復活したらしいっすよ」

 

「生き返らなくて良かったのに」

 

「辛辣だねぇエルキドゥ」

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 地上ではウルクとガデルの為に死亡確定のフンババさんが戦々恐々日々を過ごすなか、冥界では目覚ましい活躍を見せた魂がいるとか。

 

 

「はいそこ、精度が甘いよ精度がー! キッチリ測れるまで時間は気にしなくていいから! んでそっち! フリーハンド無理ならしっかり線かけよ! 慣れてから無茶しろ! おいそこ何を芸術作品作ってんだオラァ! 独創性は今らいらねぇんだよ!」

 

「ガデルよ、少し落ち着いて」

 

「ガルラ霊! 監督するならケツを叩いてやれ! 間違ってたら指摘してやれ! いけ!」

 

「わ、わかった!」

 

 

 ガデルは暇していた魂とガルラ霊を集めエレシュキガルの許可を取り付けての一大プロジェクトをブチ上げた、名付けて『冥界都市整備計画』だ。殺風景すぎる冥界に住みよい環境と死者の暇潰し、そして死後の世界という印象の改善に一役買うプロジェクトである。

 

 

「ほれ働け働け働け! 働いた分だけエレシュキガル様からの覚えが良くなるぞー! ブァハハハハ!」

 

「正直、エンキやザババ、あのイシュタルが目を付けた人間だから癖があるのだとは思っていたけどこれ程とは……私の目も腐り落ちたのだろうな、いや実際に冥界の雰囲気は良くなっているし、死者たちもガルラ霊たちも満足している、下手に文句は言えないな」

 

「さぁ! 労働の素晴らしさを分からせてやるぜ!」

 

「あのままでは流石に不味いか、労働の世界になってしまう」

 

 

 後日エレシュキガルに休日を作られて文句を言い出す魂が居たとか居ないとか……

 

 エレシュキガルもガデルに少し引かれる部分があった、最近音沙汰のない天の神々もかなり面白がったに違いないと。そう、思いつつ彼を働かないように捻じ伏せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ざっくり主要メンバー紹介


ガデル

労働=訓練、強くなるために必要なこと、目指せギルガメッシュ!技術を高めていけばいずれギルガメッシュに追いつけると思っている、手先が器用で覚えたものは再現可能。多分ダ・ヴィンチちゃんがひっくり返るものを手作業で自作できる。
その内フンババを生贄に冥界から召喚される人。

ギルガメッシュ

友達少ない人、至高故のぼっち。最近友達出来て嬉しい。今は死んだ馬鹿を生き返らせるのに必死。慢心してたら友達死んだので慢心しません

エルキドゥ

ガデルの一番を自負する、それは恋心だよ、友愛じゃないよと教えられるのはカルデアに来てから。現在ヤンヤンパワー充填中。カルデアに召喚されてからはデレデレパワー充填中。溜まったらエヌマ・エリシュで発散。

エレシュキガル

冥界の女主人、ガデルが暇潰ししてて面白そうなのでゴーサイン出した人。冥界ボッチ歴長すぎて孤独耐性がついている。寂しくないもん!

イシュタル

やらかしちゃう人、そろそろグガランナでドーン!姉妹揃って落ち着けよ?

ザババ

ガデルの師匠、イガリマの人。シンフォギアは関係無い。

エンキ

ガデルの師匠。入れ知恵の人。エルキドゥの名前元だとか。ギルガメッシュとガデルにエルキドゥがやられてくやちい。けどガデルが強くなっててうれちい。


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