神魔征服世界 カンピオーネ ~人が神を越える刻~ 作:もちゃもちゃの玉ねぎ
「そうか、カドックは無事か。」
カドックが無事と聞いてホッと胸を撫で下ろす。
『あぁ、既に私の異聞帯で保護しているよ。』
「侮りすぎたなカルデアを。」
クリプターはカルデアを甘く見ていた節があった。それが顕著に出た結果だと朔は嘆いた。
『そうかもしれないね。だが、もう油断は誰の心にも無いだろう。』
キリシュタリアが朔の言葉を肯定する。そしてもうカルデアを軽んじる者は誰もいないと断定する言葉を口にする。
「だろうな。これでまだ油断している者がいるのならそれは俺の友では無い。」
『手厳しいな。』
キリシュタリアが笑みを零す。
『もっと話していたかったが、少し立て込んでいるからこれで失礼するよ。』
「あぁ、また。」
そうして通信は切れた。
「ミレアス、権能の肩慣らしだ。奴を呼べ。」
いつの間にか後ろにいたミレアスに朔が話しかける。
「はっ」
そう言ってミレアスは部屋を後にした。
♦♦♦
それから少し時間が立ち朔の居城にある闘技場にミレアスと赤毛の美丈夫が現れた。
「お呼びか、マスター。」
朔に力強くも悠然とした声色で男が問いかける。
「肩慣らしだ、来い。」
朔が男に言う。
「了解した。」
男が槍を構え朔と相対する。両者共に常人では近寄ることすら出来無いほどの威圧感を纏っている。
「ハッ!!」
男が目にも止まらぬ速さで朔に突進し、槍を突き出す。朔はそれを軽々しく避け、掌底を突き出す。男もそれを軽々しく避けて反撃する。
「やはり強いなマスター。」
息も上がっていないというのにそんなことを言う男。
「お前も誇っていいぞ。俺相手にここまでやれる奴はそういない。」
朔は不敵に笑いながら言う。
「そうか、だがせめて一撃くらい入れさせて貰うぞ!!」
再び男が走り出す。一閃、目にも止まらぬ速さで槍を突き出す。朔が避けたと同時に槍を横薙ぎして朔の首を狙う。しかし朔は後ろに跳んでそれを避けた。
「チッ今のでダメか。」
男が舌打ちする。
「使うぞ権能を」
朔が聖句をの唱え始める。
『戦士よ剣を持て、戦士よ武を誇れ、戦場に轟くは雷の轟音、我が剣に宿るは不屈、我が剣が纏うは天雷!』
朔の手に武甕槌が持っていたような剣が現れる。
「さぁ、ここからが本番だぞ?」
朔が剣を構える。
「全く人使いが荒いマスターに呼び出されたものよ。」
冷や汗を掻きながら苦笑いで男が言う。
「ランサー、あれを使って良いぞ。」
朔が言ったアレという言葉に合点が言ったのかランサーと呼ばれた男は不敵に笑みを浮かべる。
「了解した。マスター」
そういうとランサーは持っていた槍を手放した。すると虚空から穂が五つに別れた槍が現れる。
「これ程の槍を与えてくれたマスターには感謝しかないな。」
ランサーが槍を構えながらそんなことを呟く。
「なに、臣下に武器を与えるのは王の役目だろう?さぁ第二幕だ。」
再び2人から威圧感が吹き荒れる。先程よりも強く城が揺れている。
雷速で動き、雷を纏った剣でランサーに襲いかかる。ランサーも新たな槍を使い攻撃を捌きながら反撃の隙を伺っている。しかし徐々にランサーは追い詰められていき体に切り傷が現れはじめる。
「ぐっ!?」
ランサーが苦悶の声をあげる。それもそのはずこの剣で傷をつけた場所からは強力な雷が体に流れるのだ。
「その剣、私の身体に傷をつけるとは、、」
激痛が身体を蝕んだことより自分の身体に傷が出来たことに驚きを隠せないでいた。
「そういえばお前の身体は通常の武器では傷すら付けられないんだったか」
朔がランサーが驚いた理由を言い当てる。
「えぇ。私の宝具、名を《
「なるほどな、なら道理だろう。この剣が纏っているのは正真正銘神すら殺す雷だ。」
「なるほど、ならば我が身体に傷をつけられたのも道理という訳か。」
ランサーが納得するように頷く。
「では最後の確認だ。こっちもこの剣の最大出力をだす。だからお前もその槍の真名を解放しろ。」
「了解した。」
お互いがお互いを見据えて武器を構える。
「天雷よ、我が敵を穿て」
「真名解放、《
お互い最大の威力の攻撃を繰り出す。
地を焼け払うような雷が敵を焼き払わんと現れる。ランサーの槍も極光を纏った5つの槍が朔に襲いかかる。2つが丁度中心で直撃する。その瞬間大爆発が起こり闘技場が崩壊した。
煙が晴れたそこには傷1つない朔の姿とボロボロになった姿のランサーがいた。
「…押し負けた、か、」
息も絶え絶えの姿でランサーが呟く。
「神や神殺しでは無いお前が俺とここまでやれたことは十分に賞賛すべきことだ。誇って良いぞ。」
朔がランサーに近づきそんな言葉を口にする。
「お褒めに預かり光栄だ。しかし戦士としては傷すらつけれんとは屈辱以外の何ものでもない。」
ランサーが朔の言葉に感謝しつつも悔しげに言葉を吐く。
「そういうものか。しかし驚かされたぞ。その槍を既にそこまで使いこなせるようになっているとは。」
「この槍は我が友にしてライバルの父の槍。まだ完璧に使いこなせているとは言えないが必ず我がものとして見せよう。マスター」
「あぁ、期待しているぞ我が槍よ。」
満足げに朔が言葉を口にする。
♦♦♦
少し時間が飛び北欧異聞帯では世界を焼き滅ぼさんとする巨人王スルトが産まれ落ち、人々を絶望に叩き落としていた。
巨人王スルト。
星を燃やし尽くし、世界を終わらせる存在。
北欧の異聞帯においてあらゆる神々を殺し、3000年もの間封印されていた終末装置。
フェンリルを喰らったことで氷をも自らの力とし、更には空想樹を取り込み霊基を拡張させた彼は、まさしくこの世界に終末をもたらす者であった。
しかし、そんな圧倒的なスルトの前に立ちはだかる者達がいた。
彼らは今までいくつもの逆境を乗り越え、覆してきた存在。この世界において勝利を約束された『主人公』。
決して諦めず現実に立ち向かうその姿はあらゆる英霊を惹き付け、孤立した戦況を何度も変えてきた。事実、今カルデアの隣には敵であったはずの存在が並び立っている。
王であるスカサハ=スカディを筆頭とした異聞帯のサーヴァント。クリプターであるオフェリア・ファムルソローネ。カルデア────藤丸立香、マシュ・キリエライトを中心とする────と敵であった彼女たちは今では共闘しているのだ。スルトというより大きな共通の脅威を前に。
だが、そんな彼らも一切の犠牲を払わずに進んできた訳ではない。ここまでの道のりには多くの助けと犠牲があった。今回の異聞帯でもそれは変わらない
「ナポレオン…………」
先程まで男が立っていた場所を見つめ、藤丸立香は呟く。
可能性の男。人々の願いを叶える者。愛する人の為に命を懸けたナポレオンは、自らの霊基を犠牲にオフェリアの呪いを解き、スルトにダメージを与えた。
そんな男の行動はオフェリアの迷いを打ち消した。
「魔眼と、魔術回路の接続を……解除!魔眼は……力を失い……!要石としての機能も、同時に、消え失せる!」
オフェリア・ファムルソローネの魔眼はスルトをこの世に繋ぎ止める要石の役割を果たしている。故に魔眼を破壊さえすればスルトとの契約は破棄され、スルトはこの世界に留まる術を失うのだ。
だが、魔眼は脳に強く結びつく。慎重な処置もなく破壊すれば溢れる魔力が彼女の脳を襲うだろう。
それでも、彼女は止めなかった。激しい痛みも、恐怖も、止まる理由にはならなかった。
「そんなことは必要ないぞ、オフェリア。」
オフェリアの耳にここにいるはずの無い男の声が聞こえる。
「_____え?」
唖然としたオフェリアが困惑した表情で声をだす。
「すまない。遅れてしまった。」
「どうして、ここに」
いるはずのない男がいることに驚愕と歓喜が混ざったような声でオフェリアが問う。
「なに、神がいる場所に俺は現れる、それだけだ。」
照れくさいのかそっぽを向いて朔が答える。
『ヒトか…………。知っているぞ、祠洞朔。忌々しい……………………
貴様をオフェリアの中で見た。オフェリアの貴様に対する想いを見た。貴様は特別だ。世界を燃やし尽くすとき、貴様は俺の手で殺すと決めていた。ヒト如きが俺の前に現れたことを後悔するがいい!』
スルトが朔に対して並々ならぬ憎悪を募らせているというのが声色で分かる。
『塵すら残さず消し飛べ!』
その言葉と同時にスルトが宝具を振り抜く。
そして、限界まで引き絞られた腕は爆発的なスピードで振り下ろされた。
僕という個人に向けられるには余りに大きな攻撃。サーヴァントとなった今でも人間を殺すには有り余る力が放たれた。
瞬間、轟音が轟く。
そして煙が晴れると、そこには純白の翼を生やし、無傷の朔が立っていた。
「そんな、、嘘。」
その場に居た者、見ていた者その全てが驚愕で顔を歪めている。
『なぜ貴様立っている!?間違いなく我が宝具は貴様に直撃したはずだ!!』
攻撃した張本神であるスルトですら驚きの余り声を上げる。
「一々騒ぐな、図体の割に脳みそは小さいらしい。」
純白の翼を携えた朔がスルトを挑発する。
『キサマ、キサマキサマキサマァァアアア!!!』
スルトが怒りの余り叫ぶ。
その瞬間朔が飛び立ちスルトの顔面を殴る。スルトはその衝撃のあまり、吹っ飛んだ。
「この程度か、終末装置だと言うから期待していたと言うのに、口ほどにも無いな。」
朔の顔に浮かぶのは失望、スルトへの興味は失せかけていた。
その顔を見たスルトは思った。なぜ自分がその表情を向けられている?何故強者であるはずの自分がひ弱な人間如きのパンチで吹き飛ばされている?なぜ、自分は人間に見下ろされている?
『オ、オオオォオオおおおおおオオオ!!』
激昂。スルトの頭の中は激しい怒り、それのみに支配されていた。
忌々しい、オフェリアに纒わり付く蟲が俺を見下すだと!?
それはナポレオンに対する苛立ちなど及ばないほどの怒り。その叫びは大気を震わせた。
「な……、信じられないスピードで再生してる!もう動き出すなんて!」
『どうやら膨大な魔力を全て再生に回しているらしい。すぐに立ち上がってくるぞ。どうする?ミスター・祠洞』
カルデアのマスター、藤丸立香の言葉に反応したのはかの名探偵、シャーロック・ホームズ。レオナルド・ダ・ヴィンチと並ぶシャドウボーダーの頭脳だ。
「…ルーラーか、案ずるなよ。あの程度の攻撃、俺からすれば児戯に過ぎん。何度やられようが傷すらつかん。」
有り得ない事を言う朔に対してそれを聞いていた者達は唖然とする。自分達が恐れていた攻撃を『児戯』と彼は言ったのだ。
『…殺す、キサマだけは殺してやるぞぉおおお!!!』
激昂したスルトは朔に向かって走り出す。
「下がっていろ。セイバー必ず守れよ」
オフェリアや立香達に後ろにいるよう促す。シグルドには主人とその友を守るように鋭い眼光と共に言う。
『戦士よ剣を持て、戦士よ武を誇れ、戦場に轟くは雷の轟音、我が剣に宿るは不屈、我が剣が纏うは天雷!』
聖句を唱え《天雷纏剣》を発動させる。既に唱えていた《至天の聖守護》とあわせ2つの権能を行使する。
『なんだいこれは!?さっきから有り得ないほど高かった朔くんの霊基の出力がまた跳ね上がった!!』
ダ・ヴィンチが驚きのあまり大声をだす。
「来いスルト、軽く揉んでやる。」
朔が挑発するように手招きをする。
『死ねぇええええ!!!
星よ終われ。灰燼に帰せ!《
スルト最大の攻撃が朔を襲う。繰り出されるは星が生み出した神造兵装。命あるものであれば神をも殺す終末装置。星を燃やし尽くす炎の剣が今、振り下ろされた。
その瞬間、朔は翼を丸めて卵のようになる。これは彼の防御形態のようなものであり、この翼《至天の聖守護》は如何なる攻撃からも身を守ることが出来る絶壁の盾なのである。
故に朔はスルト最大の攻撃を無傷で乗り切る。
『…何故だ、何故キサマは無傷でそこに立っている?!』
スルトは既に脳がキャパオーバーを起こしかけていた。それもそうだろう神すら殺す自らの最大の攻撃が人間如きを仕留めきれないのだ。彼のプライドはズタズタに引き裂かれたと言っても過言では無い。
「次はこっちの番だ。」
そういうと朔はスルトに向かって突っ込む。彼の持つ剣は天雷を吹き出し、敵を切り刻むのを今か今かと待ち望んでいる。
スルトの腕を切り刻みながら朔は走り続ける。スルトはあまりの痛みに悲鳴をあげ、どうにか振り落とそうと試みる。しかしあまりの速さに身体を捉えきれず無惨にも片腕を切り飛ばされた。
『グワァァァァァァアアアア!!!!!』
「すっすごい。」
立香が思わず声をだす。
『カルデアに居た頃から彼は戦闘は圧倒的な数値を叩き出していた。他にも3人人間離れした数値を叩き出していた子達がいるんだけど彼はそれすらも凌駕する数値を出していた。でもまさか、これ程とはね。』
ダ・ヴィンチですら驚愕でいつものおちゃらけた声ではない。
そうこうしている間に朔がスルトの頭まで登りきり、剣を一閃、
スルトを切り裂く。
「真っ二つだ。」
その言葉通りスルトの身体は縦に亀裂が入り完全に2つに両断された。
『ばかな、ばかな、ばかな!この俺が!ヒト如きに!』
だが、両断されてもなおその再生能力によって傷を塞ごうとするスルト。
「終わりだ。」
朔が再び剣を構える
「天雷、最大出力解放」
その言葉と同時に剣から雷が吹き荒れる。
「冥土の土産だ。最後に教えてやろう。何故お前が俺に手も足も出ないのか、それは俺が神殺しだから。お前今、自分も神殺しだと思っただろ。違うんだよ、お前の言う神殺しと俺の言う神殺しは俺はなこの世界の産まれじゃない。」
その言葉にスルトだけでなく、カルデアの面々、オフェリア、スカサハ・スカディですら驚愕する。
「俺の世界にはなまつろわぬ神という存在がいてな、そいつらは戯れに都市を破壊する、文明を破壊する。太陽神ならば大旱魃、風神なら大嵐。そういう厄災、人ではどうしようもない天災、それを殺し、その権能を簒奪する者、それをカンピオーネという。俺はそういう存在だ。だから、諦めて死ね。」
朔は剣を振り抜いた。
轟音の後、世界を滅ぼさんとした炎の巨人王は完全に消滅した。
さぁ真名当てクイズだ!簡単かな
なんでテストってこの世にあるんですかね、スルトさん滅ぼしてください