「お兄ちゃん!お風呂入ってきて!」
「りょ〜か〜い」
風呂に入る まひろ。
シャワーを浴びながら自分の姿を見る。
「ハァー、このカラダにも違和感を感じなくなってきたなぁー」
一通り済ませたまひろは風呂を上がる。
「今日の着替えは……ん?」
そこに置かれていたのは学生服だった。
「みはり のやつ、俺をまたきせかえ人形にするつもりだな?全く、どこでこんな"コスプレグッズ"を買ったのか……」
トボトボとリビングへと向かうと
「お兄ちゃ〜ん、似合ってるじゃなあ〜い」
「こんな"コスプレグッズ"どこで買ったんだ?結構仕立てもいいし……えっ?!名前も入ってるぞ?高かったんじゃないか?」
「何を言ってるのお兄ちゃん。それはお兄ちゃんのよ」
「ん?どういうことだ」
「来週からそれを着て学校にいくのよ」
「へっ?学校?」
「寮に入ることになるから荷物の用意しておいてね!あっ、でもいかがわしい物は持って行けないからね!」
「えっ?」
「あっ、それとそれと……」
「ちょっと待った!!」
「どうしたのお兄ちゃん」
「俺の服?来週から着ていく?寮?ど、どういうことなんだ!みはり!」
「お兄ちゃんだらけてばっかりじゃない?」
「うっ」
「だから学校に行ってもらうことにしたの」
「みはり〜、見捨てないでくれ〜」
「なによ、見捨てるんじゃないわ。それに目的はお兄ちゃんには生活のスキルを1から学び直してもらうことなの」
「う、嘘だよな?」
「ホントよ」
「うわーん。みはりぃ!」
(うっ、可愛い……。でもここは厳しくいかないと!)
「だめよお兄ちゃん。いつまでもそのままでいいと思ってるの?」
「それはそうだけど……」
「何を言っても私の意志は変わらないからね!」
「鬼!悪魔!自宅警備員虐待〜ッ!俺は行かないぞ!」
「ダメよ!入学手続きは済んでるんだから」
(な、何者なんだこの妹は……!)
「大丈夫大丈夫、ちゃんと設定は考えてるんだから」
みはりは小悪魔っぽく微笑んだ。
時は進み一週間後
「うう、怖い……。しかも二度目の中学だなんて……」
「大丈夫よお兄ちゃん。これから薔薇色の学園生活が待ってるわ!」
制服を着た まひろ の隣には入寮時の付き添いとしてついてきた みはり がいた。
「まひろちゃん、私は今からは寮母さんとお話をしてくるからちょっとここで待ってて。担任の先生が迎えに来ると思うからお話しててね」
「わ、わかった」
まひろが寮の入口で佇んでいると背の高い女性が近づいてきた。
(きれいな人だなぁ)
「こんにちは、緒山さん。私が担任の霧崎です。よろしくね」
「は、はひ!よ、よろしくお願いします!」
「そんなに緊張しなくていいのよ」
「だ、大丈夫です」
「今日は少し学校の案内をして、明日からクラスのみんなと授業に加わってもらいます。あ、これはお姉さんから聞いてるかな?」
「き、聞いてます」
「よし、じゃあ学校の設備の案内をするわね。まず食堂は……」
(俺はいま美女との学園デートをしている……!あ、でも俺は今は女の子か……)
まひろは現を抜かしてそんなことを考えているうちに一時間が過ぎた。
「設備の紹介はこれで終わりです。あとは……」
そう言って霧崎は まひろ の耳元に近づく
さながらASMRであった。
(えっ?ど、ど、ど、どういうこと?)
ショートするまひろ
「ここの突き当りに守衛室があるから寮に連れて行ってもらってください。大丈夫、話は通してます。」
霧崎はまひろからはなれて
「では、私は次の時間授業がありますので」
小走りで去っていった。
放心状態から回復した まひろ は気づいた。
「あ、何も話聞いてなかった!しゅ、守衛室?!ど、何処だろう?!」
まひろ は道に迷ってしまった。
しばらく走り回ったが余計に分からなくなるだけだった。
まひろ はついに木陰にしゃがみこんでしまった。
ウルウルと泣きそうな顔をするまひろ。
「う〜、俺は何もできないポンコツだぁ〜」
「その言葉、おやめなさい!」
誰かの影が近づいてくる。
「えっ?」
「自分を卑下するような言葉は使うなもんじゃありません!自分に自信を持ちなさい!」
「ひゃ、ひゃい!」
そこに現れたのは少しウェーブのかかった髪を持つ、まひろと同じ制服を着た学生だった。