「何がありましたの?そんなことを言うなんて…」
「い、いやぁ〜、自分の不甲斐なさに嫌気が差したというかぁ〜 」
「なにかわたしにお手伝いできることはございませんか?」
「今、オレ……いや私は道に迷ってしまって……。なにせ初めて来たもんで……」
「あら、そうでしたの。でも大丈夫ですわ。皆失敗はするものですわ」
(うっ、気を利かせたフォロー……、身にしみるぅ……!)
まひろ はさらにモジモジする。
「……どこに行きたいのです?」
「あっ、えっと、守衛室です」
「あら、守衛室なら反対方向ですわ」
「えっ」
「何をするために守衛室に行かれますの?」
「寮に連れて帰ってもらうために守衛室に……」
「あら、私も寮に用がありましたの!私がご案内しますわ!恥ずかしながら教科書を少し忘れてしまって……」
ホッ
まひろは胸を撫で下ろした。
「さあ、ついてきてください!」
「は、はい!お願いします!」
(うわぁ、すごく自信に満ち溢れたこの感じ……。オレにはないものだな……)
まひろ は案内してくれる少女に安心感を覚えていた。
寮につくと みはり が待っていた。
「あら?まひろちゃん、その方は?」
「そ、その〜、わ、私が道に迷っていると道を教えてくれて……。」
「あら、ありがとうございます」
そう言いながら みはり は まひろ をニヤニヤとした表情で見る。
「礼などいりませんわ。当たり前のことをしただけですわ」
「まひろちゃん!ちゃんとお礼は言ったの?」
「あ、ありがとうございますした!」
「いいのです。あなたは まひろさんというのですね。私は近衛レイナと申しますわ。以後お見知り置きを」
そう言ってレイナは優雅に一礼し、次また授業がありますので、とだけ言って小走りで去っていった。
(こ、これがお姉様ってやつか……)
まひろ はレイナに謎の憧れを抱いていた。
(これならちょっと学校も楽しみだなぁ……って。お、オレ……。お嬢様に毒されてないか……?)
「良かったね〜お兄ちゃん。ウフフ、それにしても迷子だなんて……プププッ……」
まひろ をからかう みはり。
はじめはムスッとしていた まひろ であったが、言い返し文句を思いついたようで次第にニヤニヤしながら言った。
「レイナさんなら間違いなくそんなことを言わないな」
「なっ、何よお兄ちゃん」
「レイナさんを見習うんだな "みはりお姉ちゃん"」
「なッ……」
唖然とする みはり。
「さっ、寮に入るぞ。みはり、案内よろしく〜」
スタスタと寮の入口に入る まひろ。
(お、お兄ちゃんが学校を嫌がってない……?く、悔しいけど良い傾向かもしれないわ!)
「待ちなさい!お兄ちゃん!」
みはり も まひろ を追いかけ寮の中に入るのであった。
守衛さん「あれ……?誰も来ないな……」