『私はこの忌まわしき大地に召喚された。
サーヴァント、ジェフリー・アマーストとして。
聖杯とは願いを叶える願望器であり、私が願ったのは『私と言う
願いを叶えた世界とは言え、客観的に見て私のサーヴァントとしての力は弱い。
ここは用意周到に、そして泰然自若に揺るがない意志を持って私のやりたい事を成そうではないか。』
『手始めに私は、帰宅途中のニューメキシコの製薬会社社長を襲い、とある交渉を持ちかけた。
私が目指すのはインディアンの殲滅。
それに協力してさえくれれば、私が社長の目標である政界進出の手助けをしようと。
結局遠縁を探れば、インディアンにルーツを持つ男。
俗物に変わりはないな。
製薬会社の研究室を使用して始めたのは、まず私の宝具による感染力の高いウイルスの作成だ。
この日記での宝具名の記述は控えるが、私の宝具は触れた布に絶対感染の天然痘を付着させるもの。
触れば何処からであろうと感染し、とてつもない速度で進行する。
これをウイルス兵器として使おうと思う。
......しかし、ただ感染して死ぬだけでは芸がない。
ここから発展させることが最も重要な点だ。』
『ウイルス作成の一方で、我が同胞として動く兵士達。
名付けるのならば、パクストン・ボーイズを集めることとした。
ターゲットは基本的にKKKの思想を持つ者や原住民に怒りなどを抱く人間たち。
こう言う時に重要なのは指導者が向かい勧誘することであり、指導者が直々に自らの元へ現れ、己の事を仲間として迎え入れようとする姿。
製薬会社の社長はこの行動に何のつもりかと聞いてきたが、一回協力させて仕舞えば少し脅せば何も言えまい。
既に一蓮托生なのだから。』
『武器を仕入れ、訓練を積ませる。
あの時とは違い今回は仕掛ける側だ、準備はいくら積んでもいい。
......懐かしき栄光の日々を思い出す。
しかし無能は何処にでもいる。
新人1人が先走り、ついに追い詰められ自爆テロに走ったのだ。
奴が名前を出さなかったことが唯一の安心点だが、ウイルスも完璧な感性ではないと言うのに国に警戒させる様な動きをとらせてしまったのは手痛いミスだ。
だが、ただでは起き上がらん。
自爆テロに巻き込まれて爆散した国のエージェントに変装し、忍び込んでは情報を奪う事に成功。
容易いものよ。
加えて、何やら特殊な女を捕らえた。
試しにウイルスにその女の血液を入れてみれば、なんとこれが大当たり。
完成度がグンと上がり、結果的に前進したと言えよう。』
『長い事書けていなかったが、漸く戻って来れたので記入する。
端的に起きた出来事を書くならば、カルデアのマスターやテスカトリポカ神、そしてECTFの男が現れ、日本の女は彼らの元に行った。
テスカトリポカ神からこちらの情報が漏れる事はないが、早々に手を打たなければならないだろう。
奴らさえ退ければ......
......しかし、人理はあの様な少年に任せなければならないほどギリギリだと言うのか。
鼻で笑える、というものだ。
負ければ恥だな。
だが...... だが。
多少なり心地よさと呼べるものがあった。
これは雑念の様なものだ、この日記に置いていく。』
やり直しは結局、あの特異点だけのこと。
この日記を見る限りそうなのだろう。
ならば、アマーストが主人公では無くなりやり直しの権限を失ったのはいつだったのだろうか。
それは誰もわからない。