『1431年、オルレアン。
初のコフィンを経由したレイシフトは無事に成功。
この年はかのジャンヌダルクが処刑された年であるが、フランス兵から話を聞く限りではそのジャンヌダルクが復活して竜を率いていると言う。
この特異点における異常というのはソレなのだろうとその時点で結論が出た。
霊脈地を探す中で件のジャンヌダルクと遭遇するが、話を聞くと恐らく竜種を蔓延らせ、オルレアンにて大虐殺を行ったのはまた別のジャンヌダルクだろうと。
白いジャンヌと協力体制を敷いてすぐに黒いジャンヌと邂逅。
崩壊した町にて4騎のサーヴァントと交戦する、が。』
「......ふぅ。」
「おっ、ワイバーンの肉もイケるな!
ほら、焼けたぜマスター!」
『シャルルマーニュ、そして先日半ば事故の様に召喚された
少々の後、森にて聖女マルタと戦闘になるが、徒党を組んでさえいなければ正面から戦って負けることは無い。
彼女が最後に残した言葉を元に竜殺し、ジークフリートを仲間に引き入れ、追ってきたランスロットを撃破。
ジークフリートにかけられた呪いを解くために聖人であるゲオルギウスを探す事になるが、その折に清姫とエリザベートを引き入れる。
しかしマリー・アントワネットを失い、今に至る。
翌日にはオルレアンへ攻め込む事となるがどうだろう、敵には未だファヴニールや未確認の戦力が多い。
ここにいる味方のサーヴァントに信頼はおいているが、不安が消えるわけではない。
......それはそうと、こうして戦っているうちに爪やら人形? モニュメント? という素材達も多く集まってきた。
ドクターに相談してみれば、それらを使う事でシャルルマーニュ達を強化することも可能だろうと。
これはかなり嬉しい事だ。
勝手に呼び出して戦わせるだけの自分にできるお返しなど、こうして彼らを強力にしていくしかない。
シャルルマーニュに伝えたが、『もっと役に立てるな!』と喜んでいた。
そういえばアーキタイプ:アースにはまだ伝えていない。
霊基再臨がどんな感覚かはわからないが...... もし気持ちの悪いものだったら申し訳ない。
食事を終えたら伝えようか。
おやすみなさい。』
日記を書き終わり、油が滴り外側がカリカリの衣の様になったワイバーンの肉を手元に収めた。
串に突き刺さったワイバーンの喉肉に小さく歯を立てればそのカリカリの外側が割れ、肉汁が飛び出す。
......熱い、火傷した。
少々苛立ちながら食いちぎった肉を噛み締めれば、久々に食べた肉特有の旨みが口内へ迸る。
自分が年相応の感覚を持っていたのなら、ほぼ無言でこの肉を喰らい尽くしていた事だろう。
マシュの持ってきていた塩の味付けがこれまた良い。
......ふう、と一息をつき、刺さった物の消えた串を焚き火の中へと放り投げる。
すでにシャルルマーニュや他のサーヴァント達は周りの見張りへと向かっており、焚き火周りにいるのはもう自分とアーキタイプ:アースの2人だけだ。
ちょうど良いかと思い、月を見上げる彼女の前へと歩き出した。
こちらに気づいたようで、白いドレスを揺らして視線を平行まで下ろす。
「......どうかしましたか?
敵襲、ではない様ですが。」
いかんせん最初に契約したサーヴァントがシャルルマーニュであったため、アーキタイプ:アースのこの冷たさには少しだけ近寄り難さを感じてしまう。
......いや、サーヴァントとは本来ただの使い魔だと説明を受けた。
これぐらいの距離感が適切なのだろうが。
少し萎縮しながら、この特異点から帰還した後に霊基再臨というものをする、という事を伝える。
すると彼女は一瞬表情を変えたかと思うと、小さく微笑んだ。
笑う様な事があったか?
疑問に思う自分をよそに立っていた丸太の上から降り、流し目でこちらを見ながらその疑問の答えを呟く。
「その手に持っている物で、ですか?」
疑問符で渡された会話のボール。
それにそうだけど、とまたも疑問符で返す。
「......どうやら私の召喚者でありながら、自身のサーヴァントの状態を把握していない様ですね。
わかりました。 今回限り、私の霊基状態の説明をしましょう。」
頭にハテナを浮かべたまま、どうぞよろしくお願いしますと畏まる。
別に意識して遜った言い方をしているわけではなく、何というか、本能?
本能でそうしなければならないと思うからそうしている。
焚き火を挟み、胸に手を当てた彼女が口を開く。
「まずカルデアに召喚されたサーヴァントは、皆一様にその力を落とします。
人の尺度、貴方が興味を持つ様なもので言えば、ゲームのレベル。
始まりを1、上限を50。
理解しましたね?」
はいと返事を返したが、レベルという物がいまいち。
そういうものに触れてこなかったのもあるだろうが。
「そのレベル1の霊基を魔力リソースで強化すれば、上限の50へと到達する。
その上限を超えて霊基を強化する為の方法、それが霊基再臨。
例えるならばあの騎士...... 名をシャルルマーニュ、と言いましたか。
彼は今上限の50へと到達し、その手に持つピースを使用すれば彼の霊基は一つ上の位へと上がり、高みへと登るでしょう。」
理解はした。
しかし、それとアーキタイプ:アースの話になんの関連性が?
これで強化できるのならこの話をする必要はなかったと思うが......
「......話の途中で結論を急がない様に。
私の召喚者であるなら、礼節を持ちなさい。
戻しますが、この強化には大まかな限度があります。
大きく4回であり、その回数を重ねるたびに
......察しが良ければ、わかるでしょう?」
つまるところ彼女を強化するためにはこの人形の様なピースだけでは足りず、また別の物を持ってこなければならないと。
しかしそれはおかしくはないだろうか?
召喚して、特異点Fを駆け抜けて、今ここにいるシャルルマーニュがレベル50で。
このピースだけで強化できるのなら、先日召喚したばかりのアーキタイプ:アースもレベル50を超えていないはず。
「だから『自身のサーヴァントの状態を把握していない』と言ったでしょう?
私の霊基は既に第三。
2回の霊基再臨を終えた姿でこの場にいる以上、その素材群では私に4回目の再臨をもたらす事は出来ない。
......理解しましたね。」
驚いた。
空いた口が塞がらないというが、本当にその様な状態。
しかしそれでも疑問は止まらない。
そもそもカルデアに召喚されるサーヴァントが皆レベル1となって現れるのならば、何故彼女だけがそれほどの霊基で現れたのか?
もはやここからは好奇心の領域だ。
「......言うなれば、この身体はひと時の
原型の私でもなければ最新でもなく、このカルデアでのみ見られる姿。
二つの姿を経由せずにこの姿で現界したということは...... 貴方がこの私とだけ、どこかの過去か未来で縁を結んだ、という事なのでしょう。」
月が雲の中から顔を出し、月光をさらに強めた。
その光がもっとも集まる下で、彼女はまた微笑んだ。
「今回は不問とします。
......貴方に多くは望みません。召喚者としての矜持を忘れぬように。
細やかに、気を回せということです。
わかりましたね。」
はい、と気の抜けた返事を返し、焚き火の前にふらふらと座る。
......終ぞ、この会話で聞くことはなかったが。
彼女はどんな英雄なのだろうか?
今朝調べてみたが、アーキタイプ:アースなんて語群にヒットする資料はなかった。
いつか彼女本人から聞くことになるのだろうか。
......すごく遠いことになりそう。
「? まだ何か?」
1分で考えたことだけど。
アーキタイプ:アースでは長い、『アースさん』ではだめだろうか?
ああ睨まれた。
ごめんなさい、ダメならダメで大丈夫です。
「......構いません。」
あ、やった。
『アーキタイプ:アース 日記
※追記
結構優しい。』
再臨に関する話は筆者が適当を書いただけですので、話半分に。
感想、評価などよろしくお願いします。