なんとか呪専の食堂にゲートを作り、そこから入ってきた甚爾は小首を呆れた。
「誘拐されたぁ? 無個性と呪霊に何やってんだあいつ」
食堂のおばちゃんに食事をもらいながら、説明を聞く。
そして、心配で待機していた者達に手伝いを頼んだ。
「ったく、直哉のやつ、しゃーねーな。教師だろあいつ」
そんなことを言いながらも、ゲートから入ってきた鏡に人体をくっつけたようなものが、食堂のガラスに手を当てた。
なお、ゲートからは釘崎と恵、直毘人もゾロゾロと来る。先生が心配だからと、加茂憲紀も来てくれていた。
並行世界の御三家、仲がいいのである。五条悟と夏油傑も来ている。
並行世界に興味があるのは向こうも同じなのだ。
真希は鏡を介して、あらゆるものを映し出す事ができる。
最近の若者らしく、中々にチートな能力者である。
食堂の窓いっぱいに直哉が写った。
えちちである。
えっちな薬を使われ、前後不覚にされてえっちなことをさせられているえちちな18禁な姿である。
即座に恵は釘崎の目を塞いだ。
真希は犯罪捜査にもよく駆り出されているのでそういうのを見てしまった経験がないではないが、知ってる教師がそうなってるのはインパクトがあった。
しかも、良家の箱入りの相伝の術式を継承した可愛い末っ子である。
お父様のお言葉。
「殺す」
「直先生は皆に慕われてるんだよ。それっぽい特級呪霊が暴れているみたいなんだ。どうか助けておくれよ」
食堂のおばちゃんは懇願する。
言われるまでもなかった。
個性勢、出陣である。
一方その頃、五条悟はついに封印されてしまっていた。
その為、一斉突入開始である。
裏切っていると悟らせず犠牲者を出さぬため、メカ丸の腕が問われる。
メカ丸の作戦は、呪術師が格下の呪詛師、呪霊とのみエンカウントするようにすること。
どうしても無理な所へは、悠が同行し、小さくして捉える。
漏瑚に同行して、宿儺の器の元に同行した。
「悠っ お前っ……! その虫籠の中の人を解放しろ!!」
「呪霊をだしぬけると考えているなら、間違いだぞ。直のことは諦めろ」
悠仁が言葉を失い、直毘人が忠告する。
「漏瑚。手を出すな。俺がやるし俺が喰う」
「やれやれ。宿儺の器は食べるでないぞ」
「ほんと人気やな、並行世界の自分。なんや羨ましいわ。でも、呪霊に寝返ったからには殺すで」
戦いが始まった。
そこに、メカ丸から待望の知らせが入る。
「悠仁! 直が救出されたぞ! これから逃亡に移る!」
「「「!!」」」
黒い霧が現れる。
「真依先輩!!」
「真依だと?」
現れたのは、服を纏った黒霧と、甚爾!!
「OFA!!!」
「甚爾くんやぁ!!!」
悠と直哉は歓声を上げる。
「今まで頑張ったな。もういいぞ」
「真人達と敵対しないよう縛ってる。俺ごと倒して。後はメカ丸が情報をくれる」
「特級呪霊じゃねーか、それ……。まあ、準備はしてるけど」
ため息を吐いて、遊雲を出す甚爾。
悠仁は虫籠を開けて、大きくして囚われた人達を解放する。
「呪力の欠片もない。怖くはないな」
甚爾の体が一回り大きくなる。
「じゃ、いくぞ」
漏瑚と悠仁を。
甚爾はお空の果てまでぶっ飛ばした。
圧倒的暴力。呪霊には呪力の攻撃しか効かないが、それはなんの効果を及ぼさないという意味ではない。
呪力を持たずとも、消滅させられずとも、殴り飛ばす事はできるのだ。
「時間稼ぎだ、お前ら下がれ。真依、特級呪霊を集めて悟に吹っ飛ばさせるぞ」
「あいあいっ 任せて」
「じゃあ、ひとまず呪力持ち以外を眠らせて、それ以外は惹きつけて一網打尽にするわ。よく見てなさいよー棘くん」
「しゃけ!」
棘は厳重に耳を塞ぐ。
そして、死人の出るレベルの歌を歌う女、伊地知に用意させた巨大水槽の岩場の上、尻尾を機嫌良さそうにぴちぴちさせて、歌った。
生歌、それも人魚形態の全力の歌である。
その歌は、渋谷中に響き渡った。
「五条 悟がいた!? 封印されたはずじゃあ!」
「並行世界の五条 悟じゃないか?」
「違う! だって! だって二人組だ!! 五条悟が2人!!!」
「どういうことだ、封印されたというのは偽りか!?」
「ううーん、いい眺め。何せ個性がないからね! 目がすっごい楽! じゃあ行こっか憲紀」
「はい、手早く済ませましょう」
「まずは封印されたっていう僕の確保かな」
進んでいくと、女の子2人から縋り付かれた。
「夏油様っっっ!!!」
「知り合い? 傑」
「そんなわけないだろ。泣かないで、どうしたのかな?」
「夏油さま、五条悟、夏油様を助けてください!」
「脳無にされた私だね。大丈夫。ちゃんと安らかに眠らせてあげるよ。憲紀がね」
「私ですか」
「しょうがないだろう。私の個性、そういうのなんだから」
夏油傑の個性は「絆」。
絆を結んだ相手とのテレパシーと双方向の強化である。ただし、強化を受け取る人間が個性因子を持っていないと著しく威力が落ちる。
夏油傑から人間である五条悟が引き離されかけた理由である。
なので、加茂が五条悟に化けて、擬似的に絆の強化を受け取る必要があったんですね。
そんなわけで、掃討がサクサク進んでいた。
呪力はさほどないが、鉄火場は個性持ちの方が慣れている。
その上、五条悟が2人いるのだ。攻撃力の点でも問題はない。
その後も、一度でも見た相手を映し出す真希の力とメカ丸の術式で、メロンパン討伐に成功したのだった。
さほど立たないうちに、獄門疆を前に一同が揃う。
「伊地知」
「ヒィぃぃぃ! 無理です! 無理です! 無理です!!」
「弔。やれ」
「弔のちょっといいとこ見てみたい!」
「弔! 弔! 弔! 弔!」
「はわわわわわ! そんな事言って、宿儺の指処分の時も大変なことになったじゃないですか!!」
なお無茶言ってるのは並行世界の悟ではなく歌姫である。
「伊地知。僕、君に散々巻き込まれたけど、ちゃんとその度助けてあげたよね」
「うう、はい、五条さんの為なら……」
「よしやれ」
伊地知は左手を使う。
「崩壊」
獄門疆は、崩れた。
大苦戦、のち援軍が……!
ってやれたらよかったんですけど、筆力足りずにすみません。
あとじゅじゅ組活躍させられなくてごめんなさい。
次回エピローグです。多分。
この中に読みたい話はありますか?
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直哉が人間の振りで五条を庇う話(幼少期)
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直哉がヴィランを父と呼んだ事件
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虎杖がドールハウスで遊ぶ話
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五条さん学生時代(単発)
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五条さん学生時代(連載)