自分がブルアカのストーリーモードを気まぐれで進めない限りは基本日常回ということで。
四ノ本宴路は、幼い頃から漫画が好きな少年であった。
両親がサブカルチャーにどっぷり浸かっていた所謂オタクという人種だったというのもあり、漫画には当たり前のように触れてきたこともあって、漫画…ひいてはあらゆる本が好きになり、小学校の休み時間ではグラウンドに遊びに行くよりも、図書室で本を読む方が好きであった。
彼が「その本」を認識したのは、割とすぐであった。
所狭しと漫画が並んでいる中に、買った覚えのない本が紛れ込んでいれば、誰でも気になるものだ。
最初は落丁本かと思って捨てていたが、すぐに気付くことになる。それが、確定で起こる未来を記す予言書であることを………。
本に描かれていたのは、主人公「エンジ」とその日常。
自分と同じキャラの名に親近感を覚えていった宴路だったが、漫画に描かれていたことが次々と当たる上に、前日には描かれていなかったコマが次の日には描かれているということが多々起こった。
校長先生が持病で倒れたこと。隣のクラスの給食缶がひっくり返ったこと。テストの範囲から何日の何時に図書室に行けば望みの本が借りられる、という予知まで。
1000ピースパズルを完成させるかのようにすべてをぴったり当てた本を前に、宴路は確信した。
―――これは、本物の予言書だ!
それを理解した宴路は、この本にエジプト神話の本の神「トト」の名をつけ、この予知を利用して人助けができないかと考えるようになっていった。
だが、「トト神」の予言書が彼の思っている以上に危険な存在であった。このことを知ったのは、宴路が中学生になった頃だった。
それは、予言に従ってちょっとした善行をした日の、放課後のことであった。
ちょうど彼の同級生に、性格の悪いいじめっ子がいたのだが、不運なことに宴路がターゲットにされ、ボコボコにされた挙句に「トト神」を奪われたことがあった。彼はどうにかして「トト神」を奪い返そうと躍起になったが……本は奪われた翌日の昼頃、唐突に返って来た。
不思議に思った宴路だったが、戻ってきた「トト神」の、最新の内容を見て、血の気が引いたのである。
『エンジはイジメっ子に遭遇! ボッコボコにされて、本を奪われてしまいました』
『エンジをボコボコにしていったイジメっ子たちは大ラッキー! 本を奪ってスカッとしましたが…』
『その翌日に、電柱に首が突き刺さって
ばかな、と思った。
ボコボコにした3人と宴路は、特段仲が良かったわけではない。むしろ、暴力を振るわれたから嫌いな部類の人間であった。しかし、だからといって死んでもいい、などと思っているわけではない。
しかも、彼が記憶している中で、ここまで明確に「死んだ」と書かれた、物騒な予言は見たことがなかった。
彼は走った。気味が悪い程に的中する「トト神」の予知が、今度ばかりは外れていて欲しい、と切に願いながら。
やがて、住宅街の一角にできた、警察官も混じった人だかりが見ているものの正体が分かった時、彼は戦慄した。
予言通りに、電柱に突き刺さって息絶えていたかつてのイジメっ子達を見て、胃の中身を吐き出さなかった自身を褒めてやりたいくらいであった。
―――彼は、この事件に学ぶ。
自身の「トト神」の予言書は、誰かを助けるためだけに使うべき能力だ。
この能力を悪用なんてしたら、命がいくつあっても足りない。
誰かの為だけじゃない。自分の為にも、「トト神」の予言は、正しく使っていこう、と。
◇◇◇◇◇
「ウイ、大丈夫か?」
「うぅぅ……せん、せい?」
「おう。派手にすっ転んだモンだから、心配したんだぜ。俺もシミコも」
トリニティ総合学園、図書館内、古書館にて。
四ノ本宴路は、ひとりの女子生徒の看病を行っていた。
キヴォトスの連邦生徒会所属部活動・シャーレに所属されてからというもの、宴路は各学園を巡って挨拶に向かっていた。
今日はキヴォトス内でも有名なマンモス校のひとつ・トリニティ総合学園の
司書の円堂シミコに案内された古書館で図書委員長の古関ウイに出会う宴路。だが「トト神」に興味を持ってから、ウイの受難は始まった。
『先生、これは…!?』
『俺の大事な本だ。半身……といっても良いんじゃあないかな。ちょっとおっかないけど』
『半身、ですか? おっかないとはどういう意味―――ほわぁぁぁっ!!?』
『え』
宴路の本…「トト神」の予言が現れた瞬間を見てしまったウイは、ひっくり返った結果強かに全身を打って、先程まで気絶していたのである。
「え………!!! すっ、すみませんすみません! 私…!」
「気にすんな。怪我がないのが一番だ」
「そ、そうですか………………あ、あの」
「何だ?」
「先生が持っていた本について詳しく教えてくれますか?」
その問いに、笑顔になった宴路。
さっきまで全身を打ち付けて気絶していたとは思えない程の本への愛着に、逆に感服したのである。
生徒への質問に答えるのも先生の矜持と言わんばかりに、ウイには「トト神」の基本的な情報を教えていく。
その詳細を聞いたウイは、始めは興味津々に聞いていたが、話が進むにつれて冷汗が流れ始め、ついには埴輪のような顔付きで、うわごとのように呟いていった。
「み……未来を、予言…!? しかも、確実に起こる………!?」
「そ、そんなに驚くことか?」
「本気で言ってるんですか…? この…トト神、でしたっけ。
公に知れたら確実にキヴォトスがひっくり返るレベルの禁書ですよこの子!!!」
「えっ?」
「私だって信じたくありません……ですがこの子、先生がここに来て私がひっくり返って気絶することも言い当てているじゃあないですか!」
「なに?………あ、ホントだ」
ウイが持つ「トト神」のページには、宴路が古書館に訪れること、ウイがトト神を持った瞬間にひっくり返って全身を打った事、それが原因で気絶していたことまで………先程起こった事が、一度見たら忘れられないというレベルの独特で奇妙なタッチの漫画調で描かれていた。
「…これさ、あんまり言わない方が良い感じ?」
「当然です……幸い、パッと見ただけでは普通の漫画本と変わりません。ですから、あまり…というか絶対口外しない方が良いかと」
「うーん。そんなヤツには見えねぇなぁ。トト神とは20年来の付き合いだけど」
「20年も付き合いがあるのに、予言は一度も外れた事は?」
「ないな」
「…その時点でもうおかしいんですよ。自覚してください」
「わかったわかった。ホントに信頼できるヤツにしか言わないことにするよ。詳しい事は」
「…とりあえずは、その認識でお願いします。私も、その子のことは極力黙っていますので」
ウイに「トト神」のことは絶対に誰にも話すなと釘を刺される宴路。
だが彼は「時と場合によっては、信頼できる人間に詳細を話しても仕方ない」と思っているのだから、割と適当な男である。
「ところで、先生」
「何だ?」
「その漫画の、独特なタッチは……」
「あぁー…出会った時からこんな感じだったんだよな。
俺の姿はここまでキモくないから描き直せって何度言っても直してくれないから諦めた」
「……そ、そう、ですか」
「慣れればなんともないぞ」
「………」
ちょこっとどころではなく独特過ぎる「トト神」の画風について、ウイと以心伝心した宴路は、モモトークを交換したのちに、シャーレへと帰っていった。
先生/四ノ本宴路
スタンド「トト神」の使い手。スタンドに対する情報の機密意識は、4部の学生たちに一番近い。別に意図して隠しているわけじゃないけど、必要じゃないから言わない程度。必要になったら生徒であろうと説明するつもりでいる。「トト神」の絵柄については、「キモいし直して欲しいけど、20年言い続けて直らないならもうダメかも」とほぼ諦めの姿勢を取っている。
得意料理は焼きそば。趣味はコミック本集め。あとソシャゲも結構好きで、某ひっぱりハンティングと某雲母ファンタジアは確実にやるタイプ。
古関ウイ
新たにシャーレに就任した先生の持つ特殊能力がぶっ飛びすぎていて、意識が月までぶっ飛びかけた図書委員長。いちおう「トト神」も本の形をしているため「この子」とカウントしているが、絶対当たる未来を教える予言の書という前代未聞な能力が恐ろしすぎて、宴路に他言無用を勧めている。「トト神」の絵柄については生徒の中では一番早いレベルで「この子の個性」と受け入れることができそう。
円堂シミコ
10連募集で爆死した時に7割の確率でいる子。
若葉ヒナタ
アホの子候補。というか復刻した「どたばたシスター」のストーリーを見る限りでは、良い子だけどアホの子でもある感じだった。
歌住サクラコ
カーマ・スートラを読まされそうになった人。性への耐性が低そうなので、夏目漱石の『それから(※人妻不倫もの)』と『門(※略奪婚もの)』、あと『こゝろ(※三角関係もの)』も朗読して欲しいなぁ…
狐坂ワカモ
この世界線でもしっかり先生に惚れてるし「あなた様♡」って呼んでくれる。
才羽モモイ
双子の簡単に当たってくれる方。
才羽ミドリ
双子のなかなか引けない方。
春原ココナ
2番目にうちのシャーレに来てくれた☆3。某ぴく支部の18禁絵で知ったココナちゃん。ちなみに1番目はホシノ。
音瀬コタマ
いつか宴路の「トト神」の謎を盗聴しそう。