輝く青春簿と不死者の書   作:伝説の超三毛猫

3 / 3
そろそろアビドス編入ってもいいもんかなぁ
まぁ詰め込みすぎてもアレだしダイジェスト風に行くかも知れないけど


宴路の「トト神」 その③

「悪かったって、アカネ。謝るから、そんな機嫌を損ねないでくれないか」

「いいえ。ご主人様に満足頂けなかったのはメイドの不始末でございます故に」

 

 連邦生徒会部活動・シャーレの事務所にて。

 天井が綺麗に吹き飛び、風通しが良くなったそこで、眼鏡をかけたメイドに謝り倒す一人の男がいた。

 彼の名は四ノ本宴路。つい数日前に、連邦生徒会によってとある組織……連邦捜査部「シャーレ」に配属されることとなった、キヴォトスの外部から来た人間である。

 

「違うんだって! ただ…俺にはちょっと、未来予知の能力があってだな…」

「ええ。アスナ先輩からお聞きしております」

「だったら…」

「出会いのインパクトを良くしようとした私の工夫が、ご主人様にはご満足頂けなかっただけですので」

「気にしてんじゃあねーかッ! ほんとに悪かったよ……」

 

 眼鏡をかけたメイド…アカネの意地悪のような言動に、宴路はひたすら謝ることしか出来ない。

 しかし、それがどこか滑稽に見えたのか、アカネはふふっと笑ってから、温和な笑顔を宴路に向けた。

 

「冗談でございます。ようやく、先生の取り乱した姿が見られました」

「そんなん見て何の得があんだよ…」

「四ノ本先生は、キヴォトスに来てから目に見えて動揺する、といった報告がなかったものでございますから」

「そうか? 俺だって、驚く時は驚くぜ」

「そうは思えません。現にシャーレの天井を爆破しても、ご主人様は眉一つ動かさなかったではありませんか。

 やはり、先程仰った予知能力とも関係がおありで?」

「あぁ……よく当たるのさ」

 

 宴路の「トト神」はよく当たるどころか絶対100%の未来を予言する。

 アカネがやってくる事や、その訪問方法さえも、その日の朝には、もう既に描かれていたのだ。

 その結果天井を爆破してメイドが降ってくるタイミングを警戒しながら待っている大人という謎の構図が出来上がった。

 なので予言通りアカネが降ってきても、さほど驚かなかったということである。

 

「そうでしたか。それでは改めまして。

 C&Cコールサイン03(ゼロスリー)室笠(むろかさ)アカネ。

 只今より、ご主人様への奉仕を始めます」

「お、おう……じゃあ早速だけど、吹っ飛んだ天井の掃除、任せてもいいか?」

「お任せください。掃除は得意なんですよ」

「待て待て待て何故そこで爆弾を出す!?」

 

 いくら掃除といえど、そこまで綺麗さっぱり掃除しろとは言ってない。

 シャーレが跡地になる前に、宴路は大慌てでアカネを引き止めた。そこでようやくイタズラが成功した子供のような笑みを浮かべるアカネである。

 

 ひとまず、爆破した天井を片付けるべく、アカネと協力した宴路。

 片付けが一通り終わると、宴路は()()()()()()をソファに座らせる。

 

「お掃除楽しかったねー!」

「迷惑をかけてごめんね、先生」

「お手伝い、ありがとうございました。ご主人様」

「…あの、なんか増えてないか? アスナは兎も角、もう一人は…」

 

 掃除中に気づいた、メイドの増員。

 アスナはとある縁で知り合っていたのでおいといて、もう一人の褐色肌のメイドに問う。

 

「C&Cコールサイン02(ゼロツー)角楯(かくだて)カリン。これからよろしくね、四ノ本先生」

「あぁ、よろしく……」

「…………? どうしたの?」

「ご主人様って言わないんだね…」

「そ、それはアカネとアスナ先輩だけ…!」

 

 宴路のメイドの呼び方の問いに赤面しながら戸惑うカリン。それに「え〜、遠慮しなくていーのにー!」「恥ずかしがらないで良いのですよ」と誂うアスナとアカネを見た宴路は、一発でカリンの立ち位置を理解した。

 

「ところでご主人様」

「どうしたアスナ」

「何か隠してる? 予知能力のことで」

「…どうしてそう思ったんだ?」

「えー、なんとなく」

「なんとなくかぁ……そうか。

 二人と気をつけて帰るんだぞ」

 

 はーいと返事して、アカネとカリンと共に帰っていくアスナ。

 その後ろ姿を見ながら、今朝の予言を思い出す。

 

『今日のエンジの天気は、晴れのちメイド、そしてキツネだ!』

『何故なら、天井が爆発したかと思ったら、メイドさんが降ってくるからッ!』

『エンジはその後、メイドさんたちをシャーレの部員に認定しました! ワーイ!』

 

 直感で予知能力……トト神について触れてきた彼女に、ウイとできない約束をしちゃったかもなぁと少し後悔する宴路。

 予言には、アスナが宴路の予知能力について聞いてくる事など書いていなかったのだ。

 このことは、宴路が20数年の人生で見つけた「トト神」の穴である。書いてある事は必ず起こる……だが、()()()()()()()()もまた、()()()()()()()()のだ。

 これに加えて、他に「トト神」の()を知っている宴路は、「トト神」の予言を信じはしても、()()()はしないようになったのである。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 メイドの少女達が帰った後。

 夕陽が差し込む時間帯になったのか、西日がやや暑く感じてきた頃。

 静かになったシャーレで、宴路は「シャーレの奇妙な冒険」こと「トト神」の過去の予言を振り返るように読みながら、ひとりごちた。

 

「相変わらず、不親切な予言書だ……そうは思わないか?」

 

 返事を返すものはいない。

 だが、宴路はそこに誰かがいるかのように話しかけた。

 

「……今なら誰もいない。出てきても良いんじゃあないか?」

「流石ですわ、宴路先生♡」

 

 すると…羽のような軽い音を立てて、狐面で顔を隠した和服姿の少女が降り立った。

 彼女の名は狐坂(こさか)ワカモ。「七囚人」のひとりであり、矯正局から脱走してきた……言ってしまえば脱獄犯である。

 危険な生徒と言われるワカモを前にしても、微動だにしない宴路は、穏やかな笑顔を見せた。

 

「久しぶり……だろうか? 俺の命やここの備品は差し出せないが…おやつならあるぞ」

「よ、よろしいのですか!? 頂いても!?」

「あぁ。といっても……今日食べるにはちょっと遅いがね」

 

 頬を抑えて上ずった声になるワカモ。

 彼女に菓子をいくつか見繕いながら、宴路は問うた。

 

「…今日は、いつから俺のことを見てたんだい?」

「今朝からずっと見ておりました! あなた様の寝顔、素敵でしたよ♡」

「そこからかぁ………」

「でも、気付いておられなかったんですか? 先程も、あなた様から声をかけてくださったのに」

「確信に変わったのはついさっきだよ。本を見直した時だ」

 

 衝撃的な告白に修復されたばかりの天井を見上げながら考える。

 文字通り起きる前から見られていたということは、予言を確認した部分も見られていた可能性が高い。

 己の「トト神」の姿くらいは、彼女に知られているだろう。そう判断した。

 

『今日の天気は晴れのちメイド、そしてキツネ』……そう出ていたからな。

 最初は意味が分からなかったが、こうしてワカモと面と向かってみると、なるほどと思うモンだ。」

「……それが、あなた様の『予知能力』ですか?」

「そうだ」

 

 宴路は、自身の能力について、そこまで徹底して秘密主義をとっていない。

 必要ないだろうと思っていたし、まず「確実にくる未来の予言」という能力が、持たざる一般人からみるとかなり胡散臭かったからだ。

 不確定なものを確定させる能力が知られたところで信じる者はほぼいなかったし、本気にする人間は現れることはなかった。

 「言っても冗談にしか受け取られないだろう」……その思いが少なからずあった宴路は、必要以上に隠し事をしなかったのである。せいぜい、詳しく聞かれたら答える程度だった。

 「トト神」の本をワカモにひらひらと見せながら、宴路は続ける。

 

「この本―――「トト神」に描かれたことは絶対に起こる……コイツを見つけたのが20年くらい前だし、それからずっと持ち歩いているが、今まで外れたことがない」

「それはまた……」

「デタラメな本だろ? だから信じるかどうかはワカモに任せる」

「信じます」

「即答か…」

 

 ノータイムのワカモの肯定に面食らう。

 確かに、自身の予知能力を信じて貰えたことは数える程しかなかったが……

 

「あなた様が直接話してくださったことですから…私は信じますとも♡」

 

 そう言うワカモの表情は、狐の面に遮られて見る事ができない。

 だから、どんな顔をしているのかも分からない。

 

「…大丈夫かよ。不安になってきたぜ。いつか騙されそうでさ」

「宴路先生に私を心配していただけるなんて……♡

 ふふふっ、ですがご心配にはおよびません……私の心、身体、その全ては、あなた様のもの……あなた様の本を信じるのも、他でもないあなた様のお言葉であるからこそ、ですから♡」

「さ、さいですか…」

 

 しかし、ワカモが宴路の「トト神」を信じる理由などただ一つ。

 宴路のことを愛しているから。そして、愛されたいから。

 初めて出会ったその日から、ワカモは宴路に心奪われたのだ。

 だから、彼のために全てを尽くす。

 それが狐坂ワカモ、18歳。彼女はただ、恋する乙女なだけである。

 

「あ…そ、そうだ。良かったらシャーレに入らないか?」

「!!? よ、宜しいのですか!? しかし、私を入れてしまったら…」

「バレなけりゃいいんだし、後でどうにでもなるさ」

 

 ちなみにこの後、ワカモはシャーレに入部したあと、宴路から貰った菓子を大事そうに包んで帰っていった。

 

 




先生/四ノ本宴路
トト神の予言書の特質(行為と結果しか書かれない、後出しアリ、歪んだ解釈での予言実現アリ、書かれていないことは何でも起こる)を知っている先生。だが、基本的にトト神が宴路の目的・意志をある程度反映するものの予言内容はまったく干渉できないため、日常ではほぼ翻弄されている。だが、いざという時は予言を頼りに行動して、いくつもの難局を切り拓いている。

室笠アカネ
シャーレの天井爆破からの「貴方が私のご主人様ですか?」というサプライズが(トト神に予言されて)まったくうまく行かなかったためにちょっと拗ねたメイドさん。宴路の慌てようをすぐに見れたので、この場は良しとした。

角楯カリン
アスナに連れてこられた、C&Cのメイドのまともな子。作者はこの子もぴく支部の18禁絵で知った。

一之瀬アスナ
アカネの爆破した天井掃除になんか後輩を連れてきながら参上し、掃除を担当したメイド。宴路とはアカネと会う前に面識があり、なんだかんだ話していたが、シャーレで会うことはなかったので今回で初めてシャーレ部員になる。

狐坂ワカモ
この世界でも同様に先生=四ノ本宴路に一目惚れしている。今朝から(も?)ずっと監視していたため、宴路の予知能力=本=「トト神」であることをある程度は実際に見て察していた。




おまけ…書きそうな展開(予言)
1・『アビドスの借金を何とかするために、皆は意見を出し合います。セリカはマルチ商法、ホシノはバスジャック、シロコは銀行強盗、ノノミはスクールアイドル!ちなみに、実行されるのは銀行強盗です。やったね!』
アビドスの会議のアレ。宴路はもちろん「やったねじゃねぇーよ!」とアイドルを推すが、のちにマジで銀行強盗をやるので予言は的中する。

2・『ウォォォオオン! ???の放った弾丸がエンジの脳天をブチ抜いたーーーッ!!』
元ネタはホル・ホースが承太郎を始末しようとした時に出た予言。実際に宴路には命中せず、『漫画に書かれたエンジの額』を貫通して???????に命中する。

3・『ラーメン屋でラーメンを食べていると、四人の女の子が入ってきます。カイザーPMCに雇われた便利屋です。仲良くなっておきましょう!』
便利屋68とアビドスの初対面。ノノミやセリカだけでなく宴路も積極的に話を持ちかける。特にアルを口説きにかかるので、アビドス侵攻時のアルの胃が死ぬ。

4・『??から、トリニティの裏切り者の名前を聞きました。でもそれを信じてはいけません。何故なら??、彼女こそが裏切り者だからです』
秒でトト神に見破られてネタバラシをされる。ただ、トト神は「行動の予言」は絶対するけど、「プロフィールや思考の予言」ってするか否かかなり怪しい。程度によってはエデン条約編が崩壊する。

5・『???の胸を揉みーの…ヤッターッ!カイザーのオートマタが全て故障!兵士はそれに巻き込まれて全滅だーーーッ! 超ラッキー!』
持ち主の宴路でさえ理解不能な予言。でも実行したらピタゴラスイッチ並みの連鎖が繋がって実現する。ちなみに被害者(笑)は未定。

6・トト神、オーバーヘブン化。名前は未定。能力はガチート。これが採用された場合、「らせん階段〜秘密の皇帝」の、キリスト教的な考察もされていた14の言葉がエジプト神話仕様に変更される。その代償に??が??でなくなるかも…?

7・『今だッ! ???が????の鼻に指を突っ込むと……パンパカパーン! 無事に条約の調印式が終わりましたとさ!!』
持ち主の宴路でさえ理解不能な予言その2。元ネタは「ポルナレフの鼻に指を突っ込むとジョースター一行が血まみれになる」の予言。指を突っ込む実行係の被害者(笑)と鼻に指を突っ込まれる被害者(笑)は未定。少なくとも「何が…やりたいの?」「(私が聞きたいよ!!!)」というやり取りは入れたい。後半の文面は大いに変わる予定。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。