一週間間隔投稿を崩してしまい申し訳ございません。少し文章と展開に行き詰まり、趣味の方に逃げながら考えてしまっていました。
具体的にはValorantとかブルアカとかマイクラとかお菓子作りとか東京タワーとか……
今後はこのようなことがないように時間を配分して小説と趣味の時間を使っていきます。
いつも評価・感想を下さる皆様ありがとうございます!
皆様の応援がいつも励みになっています。ここからはオリジナル展開・設定が増えていくかもしれませんのでよろしくお願いします。
いつもの如く、感想・評価お待ちしてます。
それではほんへをどうぞ。
一日の授業が終わり、立香は自らが寝泊まりするホテルへと帰る支度をしていた。
向こう一週間はホテルから学校まで往復を繰り返す必要があるためだ。
ただし、立香の泊まっているホテルは都内でも有数の高層ビル上階にあるホテルで、往復だけでもかなりの手間がかかる位置にあった。
荷物は盗難被害などの観点から置いていくことが難しい。
なので当然ではあるが、一回一回持ち帰る必要性がある。
それに元からあまり置き勉というものが好きではない立香は毎回荷物を持ち帰るつもりでいた。
整理が終わり、スーツケースと鞄を手にしてクラスを出ようとする立香。
そのもとに、近づいてくる人影があった。
「あ、いたいた、立香くん」
水色の髪に、赤色の瞳。
プロポーションも抜群の美少女で、頭脳明晰で尚且つ家庭的、しかも強い。側から見たら完璧超人にしか見えない、IS学園最強の生徒会長がそこに立っていた。
どうやら少し走ってきたらしく、息が切れ切れである。呼吸の声が煽情的に聞こえ、立香は顔に出ないが少しグッとくるナニかを感じ取っていた。
「楯無さん。あなた、生徒会じゃないんですか?」
「今回はその生徒会の仕事で来たのよ〜。はい、これ」
彼女が手渡してきたのは、鍵だった。
訝しむように楯無を見つめる立香。視線に気づいた楯無は少し首を傾げてから、手をポンと叩いて、得心のいったような表情で話し始めた。
「この鍵はね、立香くんの部屋の鍵よ。学園の寮の鍵ね」
「え?用意が間に合わないとかなんとか、って話じゃなかったんですか?」
「織斑先生と山田先生の尽力によってなんとか部屋が使えるようになったのよ。でもね、
鍵を一瞬見つめ、ぽかん、とした表情を一瞬浮かべた後に立香は、突然告げられた衝撃の事実を理解し終えると少し困惑しながら聞いた。
「え、俺一夏と同室じゃないんですか?」
「ええ。まあ、こう言ったらアレだけどリスク管理ね。同室だった時二人揃って連れ去られちゃったら大変だから……」
申し訳なさそうな声で語る楯無。
彼女とて彼のつよさの一端は垣間見ている。彼が強いことは十分承知だった。
しかし織斑先生の決定と、それから
「ってことで、改めてその鍵についている番号の部屋に行ってちょうだい。初対面で事故ったりしないように気をつけなさいね?」
「は、はあ。そこは善処しますけど……」
その返事を聞いた楯無は満足そうに頷くと、ニコニコした様子で何処かへ去っていった。去り際に右目でウィンクをしながら。
疾風のようだったなと思い、去り際に残していったウィンクの可愛さに悶絶し(サーヴァントたちもやっていたのに何故か彼女のそれに惹かれてしまう)、立香は荷物を再び手に取って寮へと向かっていった。
しかしこの時の立香と楯無はお互いに知らなかった。
楯無は、自分の渡した鍵の部屋には疎遠になっている妹がその部屋にいるという事実。
そして立香の方は、鍵を開けた先で起こる一連の出来事の中で────
────運命の相手に出会うことを、未だ誰も知らなかった。
荷物を無感動に引きながら、部屋へと向かう。
道中で好奇の目線に幾度となく捕まりながら、居心地の悪いそんな廊下を歩いていく。
ホテルの人にどう説明しようか。あとカルデアの人にも。
いろいろ考えなければならないことがあるが、ひとまず真っ先に考えなければならないことは、同じ部屋で暮らすことになる相手との初対面の会話内容だった。
まさか男女で同室になるなんて思いもしていなかった。本当に。
マイルームに招いたり勝手に入られてきたりでそういうシチュエーションになったことはある。だか最終的には皆部屋から出されたりするので、二人きりになる経験は今回で数回目だ。
だがその数回と決定的に違うこと。
それは、長年連れ添ってきた相手ではなく、初対面の人間であると言うこと。
二人きりになった相手は皆、長い時を共に過ごしてきた相手だ。俺にとっての
と、そんなことを考えながら歩いていると、いつの間にか目的地に着いていたようだった。
途中でドアが爆発するような、強烈な音が聞こえた気もするが、あれは聞き間違えに違いない。そのような認識にしておこう。
すぅ、っと一呼吸。
緊張する。このドアの向こうには、しばらくの間ルームメイトになる女子が待っているのだ。失礼のないように、真摯に向き合わなくては。
ドアを四回ノックする。こん、こん、こん、こん。
ちなみに三回は家族、友人、恋人などの日常的に接する親しい人へのノックだ。二回はトイレの中に人がいるかの確認。正式な国際ルールに基づいたノックだから、心象を損ねることはないだろう。
10秒待つ。反応がない。
20秒待つ。反応がない。
1分待つ。ここでもう一度ノックしてみた。やはり反応はなかった。
さて、どうするべきだろうか。
鍵は手元にある。これを使って部屋に入ってしまっても良いのだが、もしルームメイトがシャワーでも浴びていたらどうしよう、と思うと入る気になかなかならなかった。事故であっても、やはり初対面の人間に痴態を見せるのは恥ずかしいものだから。
……もう少し、待ってみることにしようか。手元の時計で30分経ったら、部屋に入ろう。
そういえば、購買には食材が売っていた。
自炊はいい文明だ。食費を抑えられるし、美味しい料理を食べれば皆自然と笑顔になる。エミヤママからの受け売りだから間違いない。
そうと決まれば購買に行くとしよう。荷物の盗難が怖いが……ロックをかけて、地面に固定しておけば誰も取れないだろう。防犯対策バッチリなダヴィンチちゃんに感謝しながら、エコバッグを手に持ち購買へと向かうことにする。
歩く途中で、割と多くの女子生徒とすれ違った。集団であったり、個人であったり、初日にして割と個人の性格的なものが出ていて面白いなと感じる。
にしても本当に広い。廊下も清潔だし、目立つ汚れや埃は全くない。
人が横並びになって5、6人ほど同時に歩いてもゆとりがある。ここならレムレムしてしまっても人の迷惑にはならないだろう。するつもりは毛頭ないが。
馬鹿げたことを考えながら歩けば、いつの間にやら購買だった。
店に入ってみれば、もはやスーパーなのでは?と疑問が浮かぶほどに品揃えが多い。とにかく多い。
国籍の入り混じるIS学園だからこその品揃えを横目にしつつ、今日の献立を考える。
本格的に始まった学園生活を祝って豪華に行くか、それとも普通にいただくか。とりあえず米を研いで、明日の朝食と昼食に使いたいから白米を買う。それと押麦。
押麦は食感のプラスアルファだ。米だけでは単調だからアクセントとして少し入れる。割と美味しいからおすすめ。
あとは献立。明日の弁当にも使いたいし、あとは見ず知らずのルームメイトのために、万人受けする料理がいい。ううむ。
というか俺は相手の国籍も知らないから、作る料理も限られる。が、今回はあえて和食で行こうと思った。
理由は単純。何故かわからないが、ルームメイトが日本人であるという直感が働いたからだ。こう、ビビッと来た、という感じで。
明日に繋げられるもので考えたが、無性に肉じゃがが食べたくなったので肉じゃがを作ることにした。付け合わせには胡麻和えと、味噌汁と、卵焼き。あと明日の朝食用のきんぴらごぼうと焼き鮭の材料。
献立が決まったらあとは即行動。カゴの中に鶏肉、じゃがいも、にんじん、玉葱、炒りごまにほうれん草、味噌と油揚げに豆腐。卵と牛蒡に冷凍された鮭を買う。忘れずに各種調味料も買い、そういえば料理酒って使えないじゃんと思って、少し落ち込んでしまったのは別の話だ。
レジで会計してみれば割と値が張らなかった。かなりの安上がりで済んだので財布の中身もニコニコである。
まあ、いざという時のために黒色のカードを実は持っているのだが、それは今は置いておこう。
エコバッグに買った食材を丁寧につめて、部屋の前へ戻る。
スーツケースと鞄は取られておらず、また防犯装置に履歴もなかったので何も起きなかったのだろう。よかったよかった。
買い物に割と時間をかけたせいで時間もいい感じになっている。ノックを四回叩いてもう一度部屋主の確認をしてみた。
……誰も出てこない。合鍵を使って入らさせていただくとしよう。
ガチャ、と錠前を回して開けてみると、部屋は真っ暗だった。音もしない。
荷物を開けた形跡だけが残っており、全てきれいに整頓されているから、どうやら部屋の主はどこかに行っているらしい。
部屋の左にあるベッドに荷物が置かれているし、俺は右のベッドに荷物を置かせてもらう。
キッチンに先ほど買ってきた食材を詰めたビニール袋を持って歩いて行くと、割と大きな冷蔵庫と種類豊富な食器の数々があった。
調味料はある程度揃っていた。特に苦労して持ってきたわけでもないが、何か泣きたい気分になってしまった。
調理器具を手に取ってみれば、かなり手に馴染んで使いやすい。新品であるのに何故使いやすいのだろうと思っていると、鍋底に
まな板とキッチンの台の上に食材と調味料を並べて、腕を捲り、手を洗う。
黒色単色のエプロンを身につける、これももちろんエミヤママからのプレゼントである。
準備を整えた俺は、まな板の上に乗った食材たちを一瞥し、告げた。
「行くぞ────美味しく調理される準備は十分か」
午後7時。
夕食のために食堂に人が詰めかけるこの時間帯に、少女は一人寮へと帰る道を歩いていた。
食事をする気にもなれなかったのだ。
憂鬱で仕方がなかった。怒りを発散する方法を知らなかった。
ただ、やり場のないこの激情をぶつける訳にもいかず、それは彼女の心に陰鬱な陰を落としていた。
とにかく疲れた。
今は早く部屋に戻って、それからシャワーを浴びて寝て、後のことは今はどうだってよかった。
ただ、今は頭を空っぽにしたかった。
鍵を錠前に入れて回す。
しかしガチャ、という音はならない。すんなりドアが回って、簡単に入ることができた。
そういえば相部屋だったっけ、と思い返して入ってみると、鼻腔をくすぐるいい匂いが部屋に満ちていた。
一瞬困惑して、ここが本当に己の部屋であるか疑問に思ってしまう。
しかし今いる位置から見えるスーツケースが自分のものであると言うことが、この部屋が自分が一度入った部屋と相違ないものである、と確かに証明していた。
そこで次の疑問が浮かんだ。では、ルームメイトは誰なのだろうか。
好奇心が湧いた。少しの恐怖もあったが、空腹時に嗅ぐ美味しそうな匂いの前には無力だ。
小声でお邪魔します、と呟き部屋に入る。自分の部屋なのにどうしてこんなこと言っているんだろう、という疑問からは目を逸らした。
部屋に入って少し歩くと、四人ほどが同時に食事のできそうな食卓が置かれている。すでに箸が用意されており、机の上もきれいに整頓されている。
そこから横を少しみてみれば、匂いの中心地──キッチンがすぐに目に入った。
キッチンには、男の子がいた。
黒いエプロンを身につけて、ニコニコとした様子で料理をする、男の子がいた。
「──よし、こんなもんでいいかな。後はルームメイトが帰ってくるのを待つ、だけ…………」
「…………あっ」
彼と目線が合う。その、ぱっちりと開かれた蒼空の瞳があまりにも眩しくて、格好良くて、言葉にできない闇を秘めていて。少し恥ずかしくなって、目線を逸らしてしまう。
テレビで嫌になるほど見た──それ以上に、嫌になるほど名前を聞かされた、私にとっての仇敵ある一人目ではない。
彼──二人目の男性操縦者の藤丸立香は、私のことを見つめながら、少し困ったように笑っていた。
「……ええと、なんて言うかな。まず初めに、キッチンを勝手に使っててゴメンね」
「……あっ。ええと、別に気にしてない、よ?」
初手謝罪から始まるとは思っていなかったので返答に詰まってしまう。
相変わらず私は視線を逸らしたままで藤丸くんと話す。
「それならよかった。とりあえず料理ができたから、一緒に食べながら話をしてもいい?」
彼は笑いながら鍋を指さして、それから着席を促した。
その料理を見るとなぜか無性に食べたくなる自分がいる。何故なのだろうか、と考えてみてもその理由がわからない。
とりあえず食べることにした私は、小さく頷いて彼の配膳を手伝うことにした。
配膳している最中でも、彼は私によく話しかけてくれた。
趣味とか、クラスとか、なんて呼べばいいだとか。いろいろ聞かれたけど、私はあまり彼の質問に答えることができなかった。緊張してあまり良いコミュニケーションは取れなかった、と思う。
そんな中でも藤丸君はずっとニコニコしながら私と喋っていた。疑問にも思ったけど、楽しそうに質問してくる藤丸君を目にすると質問する気もなくなってしまった。
「それじゃあ、頂きます」
「……頂きます」
手を合わせてから献立をよく見てみると、彼の料理の上手さがよくわかる、気がする。
肉じゃがにはつゆの色がよく染み渡っており、一口食べてみるとやさしいだしの味がゆっくりと舌に広がっていく。
いつもは小食の私でもなぜかたくさん食べられる。とても美味しい。
ふっくらと炊けた白米を口に運んで、それから三角食べですべての料理をバランス良く食べる。
すべての料理が互いに個性を損なわないように独立して際立っていて、とにかくおいしい。一口一口を味わいながら食べていると、対面の彼がまたニコニコと笑った。
「……私の顔に、何かついてる?」
「ん?ああ、いや。おいしそうに食べてくれるなあって」
「……美味しい、から」
「……そっか」
それならよかったんだ、ってひとりごちた彼の耳は少し赤くなっていた。
「じゃあ改めて。藤丸立香です」
「更識簪。……苗字で呼ばれるのは嫌だから、簪って呼んで」
目の前の彼女――更識簪は、少し微笑みながら告げた。
なんていうか小動物っぽいな、なんて思ってしまった俺は悪くないと思いたい。
それよりも気になったのは、苗字で呼ばれるのが嫌いという言葉。
初対面の時に見てパッと気づいたが、彼女は会長――楯無さんに似ている。
いや、似ているというよりも、会長の苗字も"更識"だったので多分俺が思っている通りだと思う。
でも俺はそれについて特に聞くつもりは今はなかった。知り合ったばかりの相手にそれを聞くことはさすがの俺でも荷が重かった。
だから俺は、会長のことには触れないままで彼女に接することにする。
「うん。よろしく、簪」
「よろしく、……藤丸、くん?」
「立香でいいよ。呼びにくかったら藤丸くんでもいいけど」
名前呼びを提案すると、彼女は少しだけ頬を染めながら立香と呼んでくれた。
なんというか、すごく庇護欲が掻き立てられるようなそんな雰囲気。カルデアにいる子供サーヴァントたちとはまた違うような可愛らしさがあって非常にいいと思った。
それからはシャワールームを使う時の取り決めや、料理はどうするか、着替えの時のルールは?など、割と色々な内容の決め事を二人で話し合って決めた。
お互いが嫌な気持ちを抱かずに過ごしていくための第一歩は、恙なく踏み出せたと思える1日だった。
ベッドに沈む体。
天井を見上げてみると、そこは前いたホテルでも、カルデアでもない、未開の地。
これから起こることはわからない。前までの旅のように刺激のある出来事の数々がやってくるかもしれないし、逆に何もない日常が常に続く平凡があるのかもしれない。
それがどうなるかは考えたくもなかった。というより、考えることもないし考える必要もない。今ある一瞬を大事にしたい、と、IS学園のベッドに潜って改めてそう思った自分は、少し不思議な人間なのかもしれない。
目を閉じる。今日あったことを思い返す。
一人目との出会い。先生との出会い。参考書を捨てていた一夏。セシリアさんと、一夏とのクラス代表をかけた戦い。
そして、ルームメイトとの出会い。
今日はとにかくと色々なことがあった。
楽しかった。また明日も、このような日々は続いてくれる。
ああ。
今日は、なかなかいい夢が見れそうだ。
視界が黒で覆われる。体がゆっくりと沈んでいき、脱力し切って眠りにつく。
その直前に、ふわりと花の香りがしたような気がした。
視界が、揺れた。
どかん、ドカン、と爆発音。
「緊急事態発生。緊急事態発生。中央発電所、及び中央管制室で火災が発生しました。
中央区画の隔壁は90秒後に閉鎖されます。職員は速やかに第二ゲートから退避してください。繰り返します。中央発電所、及び中央──」
視点が瞬く間に切り替わる。疑問を持つことは許さない、と言わんばかりの勢いで。
「動力部の停止を確認。発電量が不足しています。
予備電源への切り替えに異常があります。職員は手動で切り替えてください。
隔壁閉鎖まであと40秒、中央区画に残っている職員は速やかに──」
そこには、地獄が広がっていた。
倒れ伏す人。瓦礫の山。警告音のサイレンは鳴り止まず、視界は赤色で彩られている。
「システム、レイシフト最終段階に移行します。
座標、西暦2004年1月30日。日本、冬木。
ラプラスによる転移保護成立。特異点への因子追加枠確保。
アンサモンプログラムセット。マスターは最終調整へと入ってください。」
状況がよくわからない。さっきから、ここで何が起きている。
レイシフト?特異点?アンサモンプログラム、マスター?何一つとして全容が掴めない。
ただ明らかなのは、この場所が地獄に近い場所で、明らかな異常事態に襲われているということだけだった。
「観測スタッフに警告。カルデアスの状態が変化しました。シバによる近未来観測データを書き換えます。
近未来百年までの地球において、
人類の痕跡は 発見 できません。
人類の生存は 確認 できません。
人類の未来は 保証 できません。」
視界の端に映っていた地球が、真っ赤に燃えた。
無情なアナウンスと共に、知った。知って、しまった。
今この瞬間に、地球は一度滅びたのだと、認識せざるを得なかった。
唖然としながら、誰かの映像記録のようなそれに魅入ってしまう。
「中央隔壁、封鎖します。館内洗浄開始まで、あと180秒です」
視界に人が二人見えた。
顔はぼやけてよく見えないが、動ける方の……男?女?は、瓦礫の山に埋まっている人を助けようと必死になっている。
もう助かることなんてないというのに、目の前の人は、誰かを助けようと躍起だ。
「コフィン内マスターのバイタル、基準値に達していません。
レイシフト定員に達していません。該当マスターを検索中……発見しました。
適応番号48、藤丸立香をマスターとして再設定します」
「アンサモンプログラム、スタート。霊子変換を開始します」
二人は何かを悟ってか、手を握りあった。
その姿は何かに祈りを捧げるかのように、美しい姿で。光の柱が立ち上がり、無機質なアナウンス音が場を満たす。
「レイシフト開始まで、あと3」
「2」
「1」
「全工程、完了。ファーストオーダー、実証を開始します」
そして、再び視界が飛んで、目の前を見た。
────まちが、燃えている。
(──えっ?)
転がるしたいのやま。
鼻を劈くむせかえる死臭。
パチパチと火は音を立て、黒い煙が空を突き破る。
青空は、赤々と輝いて、その赤は黒と混ざって赤黒く変化していく。
(ここは、どこ?)
呆然とした思考で一歩踏み出せば、どこからともなく金属音が鳴り響く。
からんからん、と乾いた音。目の前で、骸骨が倒れていた。
「────!」
叫ぼうと思っても、声が出なかった。
こうして物事は考えられるのに、どうして何もいうことができない?
疑問が積もると同時に、人影が飛び込んできた。
白髪の女性。プロポーションも整っていて一般的に美少女と呼べるような人。
ヒステリックを起こしながら誰かに叫び続けている。叫んでいる相手の顔は、ボヤがかかったかのように見えなくて、不気味だった。
突然シーンが暗転して、目の前にはあまりにも不気味な空洞がひろがっていた。
西洋甲冑を着た黒騎士。目はバイザーで覆われ、西洋剣を構えて悠然と立つその姿はまるで御伽噺の騎士のようにしか見えない。
相対するのは、先ほどもいた白色の少女。それから、先ほどはボヤがかかって見えなかった菫色の大楯を持つ女の子。依然として、菫色の子の隣にはボヤがかかって何も見えていなかった。
他にも、青色の髪の毛を生やした大杖を持つ男もいた。赤色の目を鋭く向けるその先には黒騎士がいて、彼らと彼女は敵対しているとすぐにわかった。
暗転した極光が、菫色の少女を襲った。
私は、ただその子が無事であることを祈ることしかできなかった。
思ってしまった。あれを食らった彼女らは、きっと無事ではない。まともに立つこともできなくて、このままやられてしまうのだと思った。
でも違った。
彼女らは立っていた。
ただ一つの大楯を標として、それに従うように、ただ立っていた。
黒騎士は倒れた。
最後に彼女は告げた。グランドオーダー、と。
今まで生きてきて、聞いたことも見たこともない言葉だった。
それは果たして何だろうか。考えようとした、その刹那。
空間が、割れた。
目の前には地球があった。
──真っ赤に染まった、地球があった。
地球は本当に、滅びていた。
人理焼却。それによって巻き起こされた、擬似地球の炎上。
100年後の地球をシミュレートしている擬似地球──カルデアスの炎上により、人類の未来は一瞬にして消えた。
それを知って、絶望した。
私たちは、死んでしまったのだ。一夜のうちに、何も知ることなく、ただ死だけが突然に訪れたのだ。
信じられるわけがなかった。信じたくもなかった。
特異点と呼ばれていたこの場所が消えていく。
急速に崩れていくその中で、菫色の少女と手を取り合い落ちていくヒト。
彼女らの顔に、絶望や諦めは一切なかった。
なぜ?という疑問と同時に、さらに視点が変わっていく。
夢のような、映像記録のような、現実のような空間に未だ戸惑いながら、続きを見るために目を凝らした。
ということで#6、我らがヒロイン・大天使簪ちゃんの登場でした。
作者の推しは更識姉妹です。
切り方が中途半端だな、って思った方はすみません。これ以上書くと10000文字を超えてしまい、読むのが辛いと思いましてここで切らせていただきます。
さて、今回のお話はいろいろとありました。説明会とかファーストコンタクトとか、あとは謎の夢(のようなもの?)など、さまざまですね。
あの夢はいったいだれがやったんだー(すっとぼけ)
ということでここからはいつもの感想返しです。
>vsセシリア楽しみです
すまない、まだなんだ。本当にすまない。
>コヤンスカヤ関連
これに関してが多かった印象。扱いはある程度決まったので、今後は幕間の物語とかで裏話的な感じで紹介していきたいですね。
>セシリア嬢の更生
これには明確なわけがございます。原作よりも早く、セシリアは父親の偉大さに気づいている上、父親と母親の死亡理由が原作と異なっていることが関係しています。
ヒントは、藤丸くんの独白文にあります。まだ全く情報開示してないので気付けたらすごいと思います。
でも決闘の件は書きたかった。セシリアと立香が正しい手段を踏んで決闘の約束を交わすシーンがプロットにはありましたが、うまく書けなかったので泣く泣くカットになりました(裏話)。
>ORTちゃん
やっぱりORTちゃん出したい、出したくない?きのこさん、実装待ってます。なるべく可愛い感じでお願いします。
IS世界のORTが目覚める時は来るのか。予定は未定です。
>飛行のルーン
……そんなんあったんだ(まだ第二部すら行ってない弱者)
でも確かにシグルドとかスカディ様飛行……ってか浮いてる時あるし、そりゃあって当然ではありますね。あまりにも無知でした、申し訳ない。
こんな感じで感想ピックアップは終わりです。
今回のお話の感想もお待ちしております。
次回はこの夢(?)を終わらせて、それからセシリア戦にいきたい……
ということで、ご読了ありがとうございました。
↓ここからテンプレ
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