「う……ううん? アレ? 確か俺何か変な光に飲み込まれて……」
何か耳鳴りがする。
「おおっ! 召喚成功か!」
「オイ春樹! 起きろ!」
「いったいなんだって……てっなんだコレ!?」
目に飛び込んできたのは巨大な壁画だった。縦横十メートルはありそうなその壁画には、後光を背負い長い金髪を靡かせうっすらと微笑む中性的な顔立ちの人物が描かれていた。
背景には草原や湖、山々が描かれ、それらを包み込むかのように、その人物は両手を広げている。美しい壁画だ。素晴らしい壁画だ。だがしかし、春樹はなぜか禍々しさを感じて無意識に目を逸らした。
「オイ、ハジメ! こりゃどーなってんだ!?」
と親友に問いかけるがただ分からないと返した。辺りを見渡すとクラスメイトや愛子先生がいることがわかった。さらに何がよく分からない事を話す奴らがいた。いくらなんでもおかしい。まさか原作突入か!? 今までの日常生活が大変で忘れてたわ! どうやら俺たちは、大きな広間に居るらしい。丁寧に磨かれた石造りの柱がある。素材は大理石か? 美しい光沢を放つ滑らかな白い石造りの建築物のようで、これまた美しい彫刻が彫られた巨大な柱に支えられ、天井はドーム状になっている。前世で読んだ通り大聖堂という言葉が自然と湧き上がるような荘厳な雰囲気の広間だ。
俺達はその最奥にある台座のような場所の上にいるようだ。周囲より位置が高い。周りには呆然と周囲を見渡すクラスメイト達。どうやら、あの時、教室にいた生徒は全員この状況に巻き込まれてしまったみたいだ。
ただ祈りを捧げるように跪き、両手を胸の前で組んだ格好で俺たちを囲む連中がいる。
彼等は一様に白地に金の刺繍がなされた法衣のようなものを纏い、傍らに錫杖のような物を置いている。その錫杖は先端が扇状に広がっており、円環の代わりに円盤が数枚吊り下げられていた。
その内の一人、法衣集団の中でも特に豪奢で煌やかな衣装を纏い、高さ三十センチ位ありそうなこれまた細かい意匠の凝らされた烏帽子のような物を被っている七十代くらいの老人が進み出てきた。老人にしては雰囲気が違う。まるで前世でやった柔道の大会で戦った強豪校の大将が纏っていた。明らかにヤバい感じがする。
「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」
お前が教皇でたまるか! 春樹は内心そう思った。
〜〜〜〜〜〜〜〜
ハイ。今多分トータスに居ます。ヤバい、能力何だろう。最悪魔王覚醒まで持つと良いな。
まだかな? 何か愛子先生がみんなまとめてるし。こんな状況でも思春期男子の飽くなき探究心と欲望は健在みたいだよ。クラス男子の大半がメイドさん達を凝視してやがる。まぁ、それを見た女子達の視線は、まるでゴミを見るような絶対零度の冷たさなんですけど……コレ男子生徒の内何人か変な性癖に変わらない? 大丈夫? え? 俺? んなもん前世に置いて来ましたが何か?
何かハジメが白崎さん見て固まってやがる……なんでぇ? アッ……コレ……ハジメ……駄目みたいですね(諦め)。アッ飲み物ありがとうございます。 おっと? そろそろ始まるみたいだな。
全員に飲み物が行き渡るのを確認するとイシュタルが話し始めた。
「さて、あなた方においてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され」
そう言って始めたイシュタルの話はテンプレで春樹にとっては予想どうりで、どうしようもないくらい勝手なものだった。
要約するとこう
まず、この世界はトータスと呼ばれている。そして、トータスには大きく分けて三つの種族がある。人間族、魔人族、亜人族の3種族。
この内、人間族と魔人族が何百年も戦争を続けている。
魔人族は、数は人間に及ばないものの個人の持つ力が大きいらしく、その力の差に人間族は数で対抗していたそうだ。戦力は拮抗し大規模な戦争はここ数十年起きていないらしいが、最近、異常事態が多発しているという。
それが、魔人族による魔物の使役。
魔物とは、通常の野生動物が魔力を取り入れ変質した異形のこと、と言われているらしい。この世界の人々も正確な魔物の生体は分かっていない。それぞれ強力な種族固有の魔法が使えるらしく強力で凶悪な害獣とのこと。
今まで本能のままに活動する彼等を使役できる者はほとんど居なかった。使役できても、せいぜい一、二匹程度だという。その常識が覆されたのである。
これの意味するところは、人間族側の〝数〟というアドバンテージが崩れたということ。つまり、人間族は滅びの危機を迎えている。
「あなた方を召喚したのは〝エヒト様〟です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という〝救い〟を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、〝エヒト様〟の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」
イシュタルはどこか恍惚とした表情を浮かべている。おそらく神託を聞いた時のことでも思い出しているのだろう。
イシュタルによれば人間族の九割以上が創世神エヒトを崇める聖教教会の信徒らしく、度々降りる神託を聞いた者は例外なく聖教教会の高位の地位につくらしい。
ハイハイ、神の意思(笑)ね。ただの人間が神ねぇ……バカバカしい。あんなのただの(ユエの)体目当てのNTR野郎だろ。内心そんな事を考えていると、突然立ち上がり猛然と抗議する人が現れた。我らが愛子先生だ。
「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」
ぷりぷりと怒る愛子先生。彼女は今年二十五歳になる社会科の教師で非常に人気がある。彼女の可愛さは、普段疲れきった俺の心がキレイになる程だ。
〝愛ちゃん〟と愛称で呼ばれ親しまれているのだが、本人はそう呼ばれると直ぐに怒る。なんでも威厳ある教師を目指しているのだとか。すまないがそれはもう無理だ。諦めてくれ。
今回も理不尽な召喚理由に怒り、ウガーと立ち上がったのだ。「ああ、また愛ちゃんが頑張ってる……」と、ほんわかした気持ちでイシュタルに食ってかかる愛子先生を眺めていた生徒達(俺除く)だったが、次のイシュタルの言葉に凍りついた。
「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」
知 っ て た
場に静寂が満ちる。重く冷たい空気が全身に押しかかっているみたいだ。俺を除く誰もが何を言われたのか分からないという表情でイシュタルを見やる。
「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」
愛子先生が叫ぶ。
「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」
「そ、そんな……」
愛子先生が脱力したようにストンと椅子に腰を落とす。
ホンマあの自称神(笑)さぁ……
周りの生徒達も口々に騒ぎ始めた。
「うそだろ? 帰れないってなんだよ!」
「いやよ! なんでもいいから帰してよ!」
「戦争なんて冗談じゃねぇ! ふざけんなよ!」
「なんで、なんで、なんで……」
パニックになる生徒達。
ハジメも平気じゃないっぽい。しかし、ハジメはオタクであるが故にこういう展開の創作物は何度も読んでいるやろ。俺は正直心配してない。
なみに、最悪なのは召喚者を奴隷扱いするパターンだったり消耗品扱いするパターンやったり。
誰もが狼狽える中、イシュタルは特に口を挟むでもなく静かにその様子を眺めていた。
だが、なんとなくその目の奥に侮蔑が込められているような気がする。今までの言動から考えると「エヒト様に選ばれておいてなぜ喜べないのか」とでも思ってるのかもしれん。あんな奴に選ばれてもなぁ。
未だパニックが収まらない中、光輝が立ち上がりテーブルをバンッと叩いた。その音にビクッとなり注目する生徒達。光輝は全員の注目が集まったのを確認するとおもむろに話し始めた。
「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」
「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」
「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」
「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」
「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」
ギュッと握り拳を作りそう宣言する光輝。無駄に歯がキラリと光る。あーもう無理。俺にはもうコントロール不能。GG
同時に、彼のカリスマは遺憾なく効果を発揮した。絶望の表情だった生徒達が活気と冷静さを取り戻し始めたのだ。光輝を見る目はキラキラと輝いており、まさに希望を見つけたという表情だ。女子生徒の半数以上は熱っぽい視線を送っている。
畜生! こんな希望があってたまるか。
「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」
辞めろ脳筋!!
「龍太郎……」
「今のところ、それしかないわよね。……気に食わないけど……私もやるわ」
嘘でしょ八重樫さん!? お前正気か!?
「雫……」
「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」
ヤメロォここからが地獄なんだぞ!!
「香織……」
いつものメンバーが光輝に賛同する。後は当然の流れというようにクラスメイト達が賛同していく。こういうのが日本人の悪い癖だ。愛子先生はオロオロと「ダメですよ~」と涙目で訴えているが光輝の作った流れの前では無力だ。
結局、全員で戦争に参加することになってしまった。おそらく、クラスメイト達は本当の意味で戦争をするということがどういうことか理解してない。崩れそうな精神を守るための一種の現実逃避とも言える。まぁやるんなら本気でいこうかぁ!その方が楽しいだろぉ!!!(ヤケクソ)
たかが状況説明するだけに丸々1話使う小説があるらしい。
第二次世界大戦の軍艦で登場してほしい艦艇
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キングジョージⅤ世級戦艦
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金剛型戦艦
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ペンシルベニア級戦艦
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シャルンホルスト級戦艦
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ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦
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リシュリュー級戦艦
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扶桑型戦艦
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ネルソン級戦艦
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アメリカ駆逐艦
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アメリカ巡洋艦
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日本駆逐艦
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日本巡洋艦
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イギリス駆逐艦
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イギリス巡洋艦
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フランス巡洋艦
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ドイツ駆逐艦
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ドイツ巡洋艦