転生というものを自分が体験することになるとは思わなかったが、新たに生まれ変わって生きていけることは悪いことではない筈だ。
それでも今生の両親に名付けられたゲドという自分の名前は、もうちょっとどうにかならなかったのかと思わなくもない。
いやゲドって、実際どうなんだ本当に。
フルネームだとゲド・ライッシュになるんだが、何処かで聞いたことあるような名前だよな。
そんなことを思っていたらダンジョンがあるオラリオという場所が存在することを知り、神が地上に下りてきていることも知った。
オラリオでダンジョンというとダンまちかと納得したと同時に、ダンまちに登場していたゲド・ライッシュという存在についても少し思い出す。
ゲド・ライッシュはリリルカがベルのヒロインになる為の踏み台みたいな存在だったような気がするという感じで、ふわっとした記憶しか思い出していないが、無いよりはマシだ。
ダンまちの原作知識が漫画版のダンまちをチラッと読んだことがある程度だから仕方ないか。
オラリオに行ってみたい気持ちはあるが、もう少し身体が大きくなってからにしておこう。
それまでは冒険者だったらしい今生の両親に色々と話を聞いておくのも悪くはないか。
という訳でモンスターについての情報を教えてもらったり、剣の振り方も指導してもらうことができたのは良い経験だ。
現在は農家をやっている今生の両親の手伝いも積極的にやっておくことにした。
今生の両親と一緒に農作業をやったりもしながら身体を鍛えていくと、前世よりもがっしりとした身体になった。
身長がしっかりと伸びるまで身体を鍛えるのは我慢していたが、充分に身長が伸びてからは、ひたすら鍛える日々だったな。
しかし転生してゲド・ライッシュになってからやたらと運が良いのは、どういうことなんだろうか。
転生特典とかそういう感じのアレなのかはわからないが、運が良いことは悪いことではないと思っておくかね。
冒険者になるなら運が良いことは悪いことではないだろうしな。
そろそろ冒険者になる為にオラリオに向かうことを今生の両親に伝えておくと、快く送り出してくれることになった。
かつて両親が使っていた武器で、まだ使えそうな長剣と短剣を餞別として貰って装備していると、まるで冒険者になったような気分になるが、冒険者になるのはこれからだ。
外套を羽織って旅の準備を整えてから出発しようと思ったところで、知り合いの商人の人が偶然馬車で村に現れた。
どうやらちょうどオラリオに向かうところだったようで、商人の人が村で購入した農作物を馬車に積み込む手伝いをするなら、ついでにオラリオにまで乗せていってくれるらしい。
当然のように手伝いをしておき、オラリオに向かう馬車に乗り込んだ俺は、馬車に揺られながら道のりを進んでいく。
到着したオラリオの入り口で神の恩恵を受けていないかチェックを受けてから、馬車に乗せてくれた商人の人の手伝いをしておくと、お礼として2000ヴァリスほどを「オラリオでも頑張りな」という言葉と一緒に貰った。
手伝いをしたのは正解だったな。
こうしてオラリオに来たら、ダンジョンに入ってみたいところではあるが、まずは神の恩恵を受ける為に、ファミリアに入るのが先になるか。
とはいえまともなファミリアじゃないと嫌になりそうだから、ファミリアを選ぶのは慎重にしないといけない。
大手のファミリアじゃなくて良いから、まともな神様のファミリアが見つかるといいんだがな。
そう思ってファミリアを探している内に行き着いたミアハ・ファミリア。
どうやらミアハ・ファミリアには借金があるみたいだが、その借金は眷族の為の借金であるようで、神ミアハが眷族を大切にしていることは間違いない。
ここにしようと決めて、神ミアハに眷族にしてもらえるように頼んでみると「このファミリアには、かなりの額の借金があるが本当に良いのか?」と確かめるように聞いてきた神ミアハ。
「問題ありませんよ神ミアハ、借金があろうと貴方のファミリアが良いと俺は思いました」
神に嘘は通じないので、俺は嘘偽りのない本心からの言葉をしっかりと伝えておく。
「決意は固いようだな」と諦めた様子の神ミアハは「わかった、ファミリアにきみを受け入れよう」と俺をミアハ・ファミリアに受け入れてくれた。
神ミアハの自室で恩恵を刻まれることになり、上半身裸でベッドに横になって背中を晒した状態になると神ミアハが俺の背に神の血を垂らす。
刻まれた恩恵によりLv1となった俺には魔法が発現していたようで、それは速攻魔法であり「リトルフィート」という名前の魔法だったらしい。
「リトルフィート」と言うと発動して「大きさよ戻れ」と言った瞬間に解除されるようだ。
ダンジョンで実際に試してみるとゴブリンの大きさを縮めることができた。
それ以外にも長剣や短剣の大きさを縮めることもできたが、縮小したものを元に戻すのは一瞬で可能だということも理解できたのは悪いことではない。
夢中になってダンジョンを探索していると魔石とドロップアイテムで鞄が一杯になっていたので、ギルドで換金してもらってから、ミアハ・ファミリアのホームに戻って稼いだヴァリスを置いておく。
再びダンジョンに向かうが神ミアハにマインドポーションを渡されていたので、マインドダウンになることなく魔法を何回も使うことができて、魔法の扱いにも慣れてきた。
モンスターに使えば、小さくすることで相手の戦闘力を弱めることができる。
武器を小さくすれば奇襲攻撃することができるし、持ち運びが便利になることは確かだ。
小さくしたものを元に戻す時に、どれを元に戻すかを選べることもわかった。
色々と魔法の検証をしながらダンジョンに潜っていると再び鞄が魔石とドロップアイテムで一杯になったので、ギルドで換金。
ホームに帰ってヴァリスを部屋に置いておき、神ミアハにステイタスの更新を頼んでみる。
かなり俺のステイタスがアップしていたようで、神ミアハは驚いていた。
トータルで400オーバーほどステイタスが伸びていたらしい。
そのステイタスについて何かを言おうとして口を開いてから何も言わずに閉じた神ミアハは、どうやら俺に隠し事があるようだ。
俺のステイタスを写した紙に不自然な空白があるのは、何か俺にスキルがあるということなのかもしれない。
まあ、神ミアハが今は黙っていると決めたのなら、いずれ話してくれるまで待つとしよう。
とりあえず今日は疲れたので、また明日もダンジョンで頑張っていこうか。
地上に下りてきた神の1柱である神ミアハは悩んでいた。
それは、昨日から新しく眷族となったゲド・ライッシュという存在についてだ。
恩恵を与えたばかりのLv1で魔法を発現していたことは、黙っているよりかは本人に教えておいた方が良いと判断してゲドに教えたが、もう1つのスキルに関しては黙っていた方が良いと神ミアハは判断していた。
ゲドが持つ異世界転生者という名前のスキルは、早熟する効果だけではなく、神威や魅了を無効化する効果もあるらしい。
それを知った神ミアハは、眷族となったゲドを守る為にも勝手にステイタスが見れないように、ゲドの背中のステイタスにしっかりとロックをかけておいたようだ。
ゲド・ライッシュという人間が転生者であることを知ってしまった神ミアハだが、そのことを吹聴するような神ではない。
眷族となったゲド・ライッシュが悪い人間ではないことも良くわかっていた神ミアハは、私が他の神から眷族を守らねばと決意を固くしていた。
ゲド本人にスキルを伝えるかどうかについては、まだ止めておこうと決めた神ミアハは、ゲドのステイタスの伸びが異常なことについては、どうやって誤魔化そうかと頭を悩ませていく。
もう成長期ということで、ごり押しするしかないと思っていた神ミアハ。
後日、成長期だと言われたゲドは温かい視線で神ミアハを見ていたらしい。
リトルフィート
出典、ジョジョの奇妙な冒険第5部より、敵キャラであるホルマジオの能力
超能力が形を持ったスタンドという力であり、ホルマジオのリトルフィートは大きさを小さくすることができる能力である
自分を小さくして隠れ潜んだり、相手を小さくして弱体化させたりもできる