転生したらゲド・ライッシュだった   作:色々残念

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思いついたので更新します


第11話、助けを求める誰かの声が聞こえたのなら

新しい長剣である「渦鋼」の代金も椿に支払い、再び下層に向かう為の準備をしていく。

 

各種ポーションを自作するついでにミアハ・ファミリアの店舗で売る為のポーションとエナジーポーションも作成。

 

俺がダンジョンに向かっている間に品切れにならない程度には大量に作っておいたポーションとエナジーポーション。

 

武器と防具の手入れも行い、異常がないか、しっかりと確認しながら手入れをしていった。

 

次はダンジョン内で食べる食料も用意しておき、バスケットに入ったそれをリトルフィートで縮小して鞄にしまう。

 

ダンジョンに向かう為の準備を終わらせて、椿との待ち合わせ場所に行くと、既に椿は待っていたようだ。

 

椿と一緒にダンジョンへ入り、上層から中層の終わりまで一気に駆け抜けていく。

 

到着した下層に繋がる階段を下りると、水場がある下層の地形が見えてきた。

 

25階層にある水場から現れるモンスターを相手に「渦鋼」を振るうと、容易く斬り裂くことが可能であり、どうやら「一角」よりも斬れ味は上であるらしい。

 

素晴らしい長剣である「渦鋼」を作ってくれた椿には、深く感謝をしておくとしよう。

 

デヴィルモスキートを両断し、ライト・クオーツが放ってくるレーザーのような攻撃を避けると、迅速に接近し、ライト・クオーツを「渦鋼」で斬り裂いた。

 

先に進んで26階層に辿り着いたところで、襲いかかってきたマーマンの群れを相手に「渦鋼」を構える。

 

水中のリザードマンとも呼ばれるマーマン達は、天然武器のメイスを装備しているようだ。

 

振るわれるマーマン達のメイスを避けていきながら、マーマン達の頭部に「渦鋼」による突きを叩き込む。

 

すんなりと頭蓋骨を貫通し、マーマン達の脳にまで到達する「渦鋼」の刃。

 

絶命して倒れていったマーマン達から魔石とドロップアイテムを回収しておく。

 

更に現れる下層のモンスター達を相手に、俺と椿は戦いを続けていった。

 

ある程度モンスターを倒し終えたと思っていたら水場から更に現れたモンスターが1体。

 

それは希少種のレアモンスターであるマーメイドであり、出会う確率自体が少ないモンスターだ。

 

襲いかかってくるマーメイドを相手に振るった「渦鋼」で首を斬り落とし、マーメイドを倒した後に魔石とドロップアイテムであるマーメイドの生き血を回収する。

 

マーメイドの生き血は空き瓶に入れて保管しておくことにした。

 

とても貴重なものが手に入ったのは、発展アビリティの幸運のおかげかもしれない。

 

それから27階層まで進んだが、アンフィス・バエナの姿はなく、どうやら下層まで進出が可能なファミリアによって倒されていたようである。

 

階層主は再び現れるまでの期間があるようだが、アンフィス・バエナの場合は倒されてから1ヶ月で再出現するそうだ。

 

とりあえず今日の探索中は、下層にアンフィス・バエナが出現することはないだろう。

 

27階層で現れたイグアスの群れが突撃してきたところで、身体能力と動体視力と反射神経を「龍の手」のスキルで2倍にして、構えた「渦鋼」を縦横無尽に振るい、全てのイグアスを斬った。

 

先に進もうとすると真正面から勢いよく転がってくるクリスタロス・アーチンというトゲが生えた大きな球体。

 

本当にモンスターなのかと疑いたくなるような見た目だが、モンスターであるらしく、避けた此方を追尾してくるクリスタロス・アーチン。

 

「竜鱗鎧化」のスキルを用いて形成された装甲で、転がってきたクリスタロス・アーチンを受け止めた俺は、真正面から「渦鋼」を振り下ろす。

 

力任せに断つのではなく、刃筋を合わせてクリスタロス・アーチンを斬ると、真っ二つに斬り裂かれたクリスタロス・アーチンが、もう動くことはない。

 

クリスタロス・アーチンから魔石とドロップアイテムを拾い上げると、リトルフィートで小さくして鞄にしまっておき、鞄からデュアルポーションとエナジーポーションを取り出した。

 

スキルや魔法を多用したことで消耗した体力と精神力を回復する為に、デュアルポーションとエナジーポーションを飲んでいると「少しいいか」と話しかけてきた椿。

 

「どうした椿」

 

「さきほどクリスタロス・アーチンをゲドが受け止めた際に、ゲドの身体を、スケイルメイルのようなものが覆っていたようだが」

 

「俺のスキルの「竜鱗鎧化」を使うとああなるんだよ」

 

「手前の前で、もう1度そのスキルを使ってみてくれんか」

 

そう頼んできた椿は鍛冶師として「竜鱗鎧化」で形成された装甲に興味があったのだろう。

 

いつも椿には世話になっているので、椿に頼まれたのなら断る理由はない。

 

「これでいいかな」

 

俺が椿の前で「竜鱗鎧化」のスキルを使ってみせると、近付いてきた椿が、形成された鱗のような装甲を触ってきた。

 

「ほほう、これはかなりの強度を持っておるようだな。しかし材質が何で、できておるのか全くわからんぞ。何なのだこれは」

 

「竜鱗鎧化」で形成された装甲を触って強度を確かめている椿は、とても楽しげであり、夢中になって装甲を撫で回している。

 

ヘファイストス・ファミリアの団長である椿から見ても、俺の「竜鱗鎧化」で形成された装甲は、今まで見たことのない珍しいものであるらしい。

 

「試しに1枚剥がしてみても構わんかゲド」

 

続けて言ってきた椿は、この「竜鱗鎧化」で形成された鱗のような装甲を剥がしてみたいようだ。

 

「別に構わないけど装甲を剥がせるかは、わからないぞ」

 

装甲を剥がしてみたいという椿からの頼みを、俺は断ることなく了承してみたが、椿が「竜鱗鎧化」の装甲を剥がせるかどうかはわからないな。

 

「ふんっ!ぬうっ!」

 

渾身の力を込めて「竜鱗鎧化」で形成された装甲を剥がそうとする椿だが、鱗のような装甲は全く剥がれない。

 

「ぬああああっ!」

 

下層で戦っている時よりも必死になって装甲を剥がそうとしていた椿が、とても頑張っていたことは確かだ。

 

「はぁはぁ、駄目か、全く剥がれんぞ」

 

しばらく剥がれるか試してみた椿は、少し息を切らしていて、下層での戦いよりも疲れている。

 

Lv5でも剥がすことができない「竜鱗鎧化」の装甲が凄いということは理解できた。

 

ちょっと疲れていた椿にエナジーポーションを渡しておき、飲むように促していると再び現れるモンスター達。

 

「竜鱗鎧化」を解除して「渦鋼」を構えた俺は、下層のモンスター達を斬り伏せていく。

 

下層を探索しながらモンスター達と戦いながら先へと進んでいき、30階層で現れたブラッドサウルスを倒して魔石とドロップアイテムを回収。

 

ひたすら下層で戦うことになったが、各種ポーションは豊富にあるので問題なく戦えていた。

 

今日のところは、これまでだと判断した椿に従い、エナジーポーションを定期的に飲んで疲労を回復させながら上の階層に戻る。

 

上の階層に戻る道のりを、1度も止まることなく進んだ。

 

到着した18階層の草原で、リトルフィートで小さくしていたテント2つを元の大きさに戻すと、1つを椿に提供して、もう1つを自分用として使う。

 

小さくして鞄に入れておいた食料が入っているバスケットも元の大きさに戻しておき、椿の分も忘れずに渡す。

 

「相変わらずゲドのサンドイッチは、美味いぞ」

 

笑顔でサンドイッチを食べていく椿は、直ぐにサンドイッチを食べ終えてしまった。

 

「そこまで美味しそうに食べてもらえたなら、悪い気はしないな」

 

作った側として思ったことを素直に言っておく俺の肩を、椿が豪快に叩いてくる。

 

「うむ、美味かったぞゲド。いつも用意してもらえて手前は助かっておる。感謝しておるぞ」

 

なんてことを言いながら俺の肩を叩き続ける椿。

 

若干椿の叩く力が強いような気がして、耐久が上がりそうだと思ったりもしたが、椿に悪気はないようなので、されるがままになっておいた。

 

きっとこれが、椿の感謝の気持ちなのだろう。

 

そんなことがあったりもしたが、椿とパーティを組んだことに後悔はない。

 

「それでは手前も仕事をするとしよう。その「渦鋼」の手入れは手前に任せておけゲド」

 

俺が背負っている「渦鋼」を指差して言った椿に、鞘ごと「渦鋼」を渡しておく。

 

鍛冶師として「渦鋼」の手入れを行う椿を見ていると、真剣な表情で椿は剣身を確認していた。

 

「うむ、やはりゲドは剣士としての腕が良いな。剣にかかる負担が最小限になるように、丁寧に使われておる」

 

頷いてそう言うと、剣の手入れを終わらせた椿が「渦鋼」を俺に手渡す。

 

「ありがとう椿」

 

受け取った「渦鋼」は、そろそろテントで眠るので、背に戻さずに手に持っておき、手入れをしてくれた椿に感謝をしておいた。

 

その後、テントで眠ることにした俺と椿は、それぞれ別のテントに入って就寝。

 

翌日、テントをリトルフィートで小さくして鞄にしまうと、18階層から更に上に向かう。

 

手早くダンジョンを出て、魔石をギルドで換金した後に、マーメイドの生き血以外のドロップアイテムを椿に全て渡した。

 

それぞれのホームに戻ることになった俺と椿。

 

椿のことを探していたらしいヘファイストス・ファミリアの団員が「団長に依頼が来てます」と呼びに来た。

 

椿は、これから忙しくなるようなのでパーティは、しばらく組めなくなるだろう。

 

別れ際に椿が、背負っていた1本の剣を渡してくる。

 

どうやらその青い剣は魔剣であるようで、魔剣の名は「氷河」であり、氷結させる魔法を放つことができるらしい。

 

椿が作成した魔剣であることは間違いないようだが、何故これを渡されたのか困惑している俺に椿が言った。

 

「手前の勘だが、ゲドに渡しておいた方が良いような気がしてな。元は階層主のアンフィス・バエナと遭遇した際に、足止めする為に用意していた魔剣だが、常に持ち歩いておけゲド」

 

真剣な表情でそう言う椿は、魔剣が必要になるような事態が来ると思っているようだ。

 

勘というものは、当たることもあれば、当たらないこともある。

 

しかし今回の椿の勘は当たりそうな気がしたので、ありがたく魔剣は受け取っておくことにした。

 

「その魔剣は売り物ではないのでな、代金はいらんぞゲド」

 

魔剣の代金は、どうしようかと思っていたが、今回は支払わなくても良いそうだ。

 

「無事に帰ってこい、手前が言うのは、それだけだ」

 

立ち去っていく椿が言い残した言葉通りに、何があっても無事に帰ってくるとしよう。

 

神ミアハにステイタスの更新をしてもらうと、ステイタスの上昇値が相変わらず凄いことになっていて、既にSにまで到達しているものもあるらしい。

 

下層での戦いによる経験値は、かなり高いのかもしれないが、その分だけ危険でもある。

 

パーティを組んでいない今の状態で下層に向かうことは、自殺行為だと誰でも思う筈だ。

 

そんなことはしないようにしようと決めていた。

 

そう決めていたんだが、翌日、中層に向かった俺は、何故か下層に向かう入り口に近付いてしまう。

 

自分でも何で近付いてしまっているのか不思議なくらいだが、自然と足が向かっていたらしい。

 

踵を返して帰ろうかと考えていた俺の耳に、下層から助けを求める声が届く。

 

「竜の手」のスキルで聴力を2倍にすると、よりはっきりと助けを求める声が聞こえた。

 

下層に向かうのは明らかに自殺行為だと理解していても、俺の足は下層を駆け下りてしまう。

 

助けを求める誰かの声が聞こえたのなら、それを聞かなかったことにはできないからだろうな。

 

崩落で塞がっていた下層へと入る入り口。

 

リトルフィートで塞いでいた全てを小さくして道を開く。

 

開いた道の先で、重傷である眼鏡をかけた女性を抱えている犬人の女性が居た。

 

それ以外にも負傷者は多数。

 

恐らくは1つのファミリアが壊滅に近い状態に追い込まれていた。

 

そして、3つ首のアンフィス・バエナという確実に異常な個体の階層主の姿もある。

 

とりあえず、まずは負傷者達の治療から行う必要がありそうだ。

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