転生したらゲド・ライッシュだった   作:色々残念

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思いついたので更新します
ムードメーカーをスキルにするか魔法にするか悩みましたが、こんな形になりました



第13話、ムードメーカー

疲れた身体でダンジョンを抜けてミアハ・ファミリアのホームに戻ってきたが、今日は接客ができそうにないので先に休むことを神ミアハに伝えておく。

 

「うむ、しっかり休めゲド」

 

「そうしますよ神ミアハ」

 

短く会話を交わして、自室に戻った俺は装備を外して普段着に着替えると、ベッドに倒れ込んで泥のように眠った。

 

翌日の朝、朝食を作ろうかとキッチンに向かってみると、既にナァーザが朝食を作っている真っ最中であり、皿の用意を手伝おうとすると「ゲドは休んでて良いよ」と言ってきたナァーザ。

 

「ゲドは座っていなさい、私がやるのでな」と席に座っているように言われたので、神ミアハが皿の用意をしていく姿を座って見ていると、朝食が用意されていった。

 

朝食を食べ終えたところで皿洗いをしようかと思っていたら「それも私がやろう、ゲドは部屋でゆっくり休んでいなさい」と言った神ミアハは手早く皿を片付ける。

 

やけに神ミアハとナァーザが優しいあたり、俺がとても疲れていたことを気にしてくれていたのかもしれない。

 

とりあえず今日はありがたく部屋で休ませてもらうとしようか。

 

ゆっくりと部屋で休んでいると疲れはだいぶ取れてきたので、動いても問題はなさそうだ。

 

神ミアハの自室を訪れて、ステイタスの更新をしてもらうと、やはりランクアップが可能になっていたらしい。

 

異常な個体の亜種といえるアンフィス・バエナと、多数の負傷者を助けた後に戦って勝ったことは偉業だったということなのだろう。

 

選べる発展アビリティは、剣士、頑強、神秘の3つであり、レアアビリティである神秘が特に気になった。

 

という訳で神秘を選び、ランクアップした俺は、Lv4ということになる。

 

そしてLv4になった俺には新たな魔法も発現していたようだ。

 

魔法の名前は「ムードメーカー」であり、詠唱の1つは「心理之王、御調子者、調子者、道化の星よ、運命を変える奇跡をここに」というものだった。

 

どうやら詠唱を途中で変えると効果が変わるという特殊な魔法であるらしい。

 

詠唱の後に、魔法の名前を言うと発動するみたいだが、この「ムードメーカー」が名前を言っただけで発動する速攻魔法じゃなくて良かったと思う。

 

「ムードメーカー」と言っただけで発動してしまうような速攻魔法だったら、会話する度に「ムードメーカー」と言わないように気をつけなくてはいけなくなっていたことは確かだ。

 

それはとても面倒だから嫌だな。

 

「ムードメーカー」が詠唱のある魔法で本当に良かった。

 

この「ムードメーカー」という魔法の効果の1つは、1人1人に1日1回だけ使える運命の改変というものである。

 

1人1人に1日1回だけということは、誰か1人に使った後でも他の人になら1回使えるということになる筈だな。

 

精神力を回復できる手段さえあれば、大勢の人の運命を変えることが可能になるだろう。

 

「ムードメーカー」は運命の改変という凄まじい効果がある魔法でもあるが、使い所を間違えないようにしなければいけない。

 

悪用をするつもりはないが、必要な時だけ使うようにしておいた方が良さそうだ。

 

運命改変以外の他の効果は、思考加速、不測操作、空間操作、多重結界であるようで、魔法詠唱を途中で変えればそれぞれの効果が発動するらしい。

 

共通しているのは「心理之王、御調子者、調子者」という前半の詠唱だけであり、その後に「箒星よ、歩みを速めよ」で思考加速。

 

「恒温の星よ、その熱を燃やせ」で不測操作。

 

「流れる星よ、空を開け」で空間操作。

 

「眩い星よ、重なりあえ」で多重結界が発動するようだ。

 

新たな魔法について思うことは沢山あるが身体の調子は問題ないので、椿に魔剣を渡してくれた礼を言いにいくことにした俺は、鞄にアンフィス・バエナのドロップアイテムを入れると、普段着のまま椿の工房に向かう。

 

工房では、ちょうど1つの鍛冶仕事を終わらせた椿が休憩しているところだった。

 

「ゲドか、どうしたのだ」

 

「魔剣が役に立ったから、礼を言いに来たんだ。おかげで死ぬことなく無事に帰ってこれた。ありがとう椿」

 

「うむ、手前の打った魔剣が役立ったならそれで良い。こうしてゲドが無事に帰ってきたなら問題は何もないぞ」

 

そう言って嬉しそうに笑った椿は俺が無事に帰ってきたことを喜んでくれていたようだ。

 

そんな椿にだからこそ、俺からの礼として渡しておきたいと思ったアンフィス・バエナのドロップアイテム。

 

「これを受け取ってくれ椿」

 

鞄から取り出して椿に差し出したアンフィス・バエナの竜肝。

 

燃焼材として優れているアンフィス・バエナの竜肝は、鍛冶師にとっては悪いものではない。

 

「これは、アンフィス・バエナの竜肝か。ゲドは戦ったのだなアンフィス・バエナと」

 

「ああ、椿に渡された魔剣があったから戦うことができた」

 

「アンフィス・バエナに勝ったということは、ランクアップが可能になったのではないか」

 

「もうLv4にはランクアップしているが、これで下層の探索が楽になりそうな気がするな」

 

「うむ、それはそうなるであろうな。Lv3でもあれだけ戦えていたゲドであればLv4になったのなら、より安定して戦えるようになる筈だぞ」

 

「ランクアップするまでが大体1ヶ月程度なんだが、それだけ色々なことが短期間に凝縮されているような気がするのは、気のせいでは無さそうだ」

 

「確かにゲドがLv4にランクアップするまで半年も経過しておらんからな。しかしそれだけの偉業は確実に達成しておるから不思議ではないと手前は思うぞ」

 

俺の異常なまでの速度のランクアップに驚いてはいるようだが、納得していた椿。

 

以前パーティを椿と組んでいた時に、間違いなく強い黒いグリーンドラゴンと俺が戦う所を実際に見ていたからこそ、すんなりと椿は納得できたのだろう。

 

「それじゃあ、俺はランクアップの報告でギルドに向かうんでな、今日はこれで失礼するぞ椿」

 

「うむ、アンフィス・バエナの竜肝はありがたく貰っておくぞ。それと手前は鍛冶師の仕事が幾つかあるのでな、悪いがしばらくパーティは組めんぞゲド」

 

「椿の本職は職人だからな、そちらを優先するのが当たり前なんだから仕方ないと思っておくさ」

 

申し訳なさそうな椿に、そう伝えておき、椿の工房を後にした俺はギルドに向かった。

 

Lv4にランクアップしたということをギルドの担当アドバイザーの人に伝えておくと、驚くよりも納得していた担当の人。

 

「そろそろきみがランクアップするんじゃないかなと思ってたところだよ」と言ったギルドの担当アドバイザーの人は、いつも通りに何処か遠くを見るような目をしている。

 

「それで、何をしたのかな」

 

エナジーポーション片手に聞いてきたギルドの担当アドバイザーの人は、直ぐに飲めるようにエナジーポーションを事前に準備していたようだ。

 

「3つ首で異常な個体だったアンフィス・バエナの亜種からの攻撃を避けながら大勢の負傷者を助けた後に、その亜種のアンフィス・バエナを1人で倒しました」

 

俺はギルドの担当アドバイザーの人に、一切嘘をつくことなく正直に答えておく。

 

俺の答えを聞いたギルドの担当アドバイザーの人は、一気にエナジーポーションを飲み干すと、深々とため息を吐いた。

 

「どうしてそんなのと遭遇するのと言いたいところだけど、きみだからなあ」

 

そう言いながら諦めたかのような顔をしたギルドの担当アドバイザーの人。

 

「うん、まあ、それだけのことをしたならランクアップするのは当然だね」

 

続けて言ったギルドの担当アドバイザーの人は、ランクアップしたことについては当然だと思ってくれたらしい。

 

「Lv4では、まだ深層には行けませんが、一応念の為に深層のモンスターについて教えてくれませんか」

 

「きみになら教えておいても無駄にはならなそうだから、教えるのは問題ないよ」

 

頼んでみると、快く深層のモンスターについて教えてくれたギルドの担当アドバイザーの人に感謝をしておき、ギルドを去った俺は、ミアハ・ファミリアのホームへと戻る。

 

ミアハ・ファミリアのホームである店舗では忙しそうにしていた神ミアハとナァーザの姿があった。

 

どうやら今日は客が多いらしい。

 

神ミアハとナァーザだけでは大変そうなので俺も手伝っておくとしよう。

 

接客、品出し、在庫確認に、ポーション作成、手伝えることを全て行っておくと、大勢の客がポーションやエナジーポーションを購入して帰っていく。

 

だいぶ人の波が落ち着いたところで、作成したエナジーポーションを明らかに疲れている神ミアハとナァーザに渡しておいた。

 

一気にエナジーポーションを飲み干して一息ついていた神ミアハとナァーザ。

 

エナジーポーションを売り出すようになってから、冒険者以外の客もよく来るようになり、賑わうことになったミアハ・ファミリアのホームの店舗。

 

借金も無くなったことで売り上げをかなり貯金することができているミアハ・ファミリアは、だいぶ安定して稼げている医療系ファミリアである筈だ。

 

それでも新たに入団希望者が現れないのは、ミアハ・ファミリアには借金のイメージがまだあるからかもしれない。

 

そんなイメージがあったとしてもこのミアハ・ファミリアに入団したいと純粋な気持ちで思ってくれる人が現れたのなら、俺は歓迎しておこう。

 

まあ、そんな人は、そう簡単には現れないような気がするがな。

 

ミアハ・ファミリアの店舗での仕事を終わらせて、全員で夕食を食べた後、部屋に戻った俺は発展アビリティの神秘を用いたマジックアイテム作成を試してみることにする。

 

薬品系のアイテムは「創薬師」のスキルを使えば簡単に作成できるので、役立ちそうなマジックアイテムを作成することにした。

 

試行錯誤を繰り返したが、なかなか思うようなマジックアイテムは作成できていない。

 

マジックアイテム作成は、そう簡単な道のりではないようだ。

 

神秘も万能という訳ではなく、幾つか段階を踏んで、マジックアイテム作成が可能になるということだろう。

 

神秘を用いたマジックアイテム作成を教えてくれるような人に、そう都合よく出会えるかどうかはわからない。

 

まあ、マジックアイテム作成は特に急いでいる訳ではないから、暇な時に少しずつ進めていくとしようか。




ムードメーカー
出典、転生したらスライムだった件、ガビル
心理之王と書いてムードメーカーと読むガビルのスキル
知覚速度を早める思考加速、運命を改変する運命改変、気分が高揚している時に攻撃力を上昇させる不測操作、1度行ったことがある場所に空間転移で自由に移動ができる空間操作、様々な効果の結界を重ね合わせてあらゆる攻撃に備えることが可能な多重結界という5つの能力があるようだ
その中でも運命改変は、1日1人には1回だけという制限があるが運命を改変することが可能であり、自身の死の運命などを改変して無かったことにすることができる
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