転生したらゲド・ライッシュだった   作:色々残念

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思いついたので更新します




第15話、アスフィ・アル・アンドロメダ

アスフィさんに教わりながら魔道具を作成していくと、しっかりとした魔道具を作ることができた。

 

やはり何もわからない中で手探りに進めるよりも、ちゃんとした作り方を教えてもらえる方が上手くいくことは確かだ。

 

目標としている魔道具は完成していないが、動力に魔石を使用する冷蔵庫のような魔道具を作ることができたので、ポーションの素材の保管に使用してみると、素材を長持ちさせることが可能になったらしい。

 

アスフィさんによる魔道具作りの指導は週に5回とかなりの回数であるが、教わる度に技術が向上していくことがわかる。

 

指導を受ける度に1歩1歩、目標とする魔道具の完成に近付いていることは間違いない。

 

魔道具の作成に使う為、ダンジョン内に素材の採取に向かう時もあり、その時はアスフィさんとパーティを組むことになった。

 

近距離では短剣を使用し、中距離では様々な効果の薬品を投げて戦うアスフィさん。

 

その動きは明らかにLv3の動きではない。

 

ギルドに報告しているLv3というレベルよりも強いアスフィさんが、間違いなくLv4であるとわかる。

 

そのことを指摘してみると「レベルを低く偽装しているのは主神からの指示です」とアスフィさんは答えた。

 

神ヘルメスが何を考えているかはわからないが、何か理由があるのだろう。

 

とりあえず俺はアスフィさんがレベルを低く偽装していることはギルドに黙っておく。

 

世話になっている相手に不義理なことをするつもりはない。

 

魔道具作成者でありながら、実際はLv4の冒険者でもあるアスフィさんの主神である神ヘルメスは、今現在オラリオには居ないようだ。

 

ファミリアのことは団長のアスフィさんに任せきりで、オラリオの外を放浪している神ヘルメス。

 

奔放な神ヘルメスのせいで、アスフィさんやヘルメス・ファミリアの面々はステイタスの更新がしばらくできていないらしい。

 

そんな神ヘルメスに対する愚痴のようなことを吐き出してくれる程度にはアスフィさんと仲良くなれたとは思う。

 

とはいえ神ヘルメスが信頼できる神であるとは限らないので、文句を言いながらも神ヘルメスには眷族として従うであろうアスフィさんの前では、運命改変や空間操作を使わないようにしておいた。

 

そうした方が良いと俺の勘が言っていたからでもあるが、この判断が正しかったのは間違いない。

 

アスフィさんが近況を報告する手紙を神ヘルメスに送ってから2週間後、オラリオに戻ってきた神ヘルメスを連れてミアハ・ファミリアのホームにまでやってきたアスフィさん。

 

明らかに疲れたような顔をしていたアスフィさんは、神ヘルメスに振り回されていたのかもしれないが、頑張ってくださいとしか言えないな。

 

俺がそんなことを思っていると神ヘルメスが話しかけてきた。

 

「きみがゲド・ライッシュだね。俺はヘルメス。可愛い俺の眷族達が助かったのはきみのおかげだ。主神として礼を言わせてもらうよ、ありがとう」

 

被っていた帽子を外して真面目な顔でそう言った神ヘルメスだったが、値踏みするような視線は隠せていない。

 

接触してきた神ヘルメスの目的が何なのかはわからないが、この神とはあまり関わらない方が良いということは理解できた。

 

「感謝は受け取りました。ご用件は、それだけですか神ヘルメス」

 

「ミアハ・ファミリアは、かなりの借金があった筈だが、きみが全て返済したそうじゃないか。どんな手を使ったのかな」

 

笑みを浮かべながら聞いてくる神ヘルメスは、ミアハ・ファミリアの借金が全額返済されたことについて、ある程度の情報を掴んでいたみたいだが、全てを知っている訳ではないようだ。

 

だからこそ、俺に対して直接探りを入れてきたのだろう。

 

「運が良かっただけですよ」

 

全てを正直に教える必要はないと判断して、俺は嘘を言わずにそれだけ答えておく。

 

「運が良かったか、なるほど、嘘は言っていないようだね」

 

笑みを更に深める神ヘルメスは、俺から視線を外すことはない。

 

にやけた顔を隠そうともしていない神ヘルメスは、とても楽しそうだ。

 

そんな神ヘルメスの後頭部にアスフィさんの拳が叩き込まれた。

 

後ろからの一撃に思わず倒れそうになった神ヘルメスを俺は一応支えておいたが、アスフィさんは普通に容赦なく言い放つ。

 

「邪魔ですから今日はもう帰ってくださいヘルメス様!私がゲドくんに魔道具作りを教える時間が無くなってしまいます!」

 

眷族であるアスフィさんに、そう言われた神ヘルメスは後頭部を擦りながら、にやけ面を引っ込めると真剣な顔で言った。

 

「そうか、アスフィにもようやく春が来たか」

 

「もう一発!」

 

真剣な顔でふざけたことを言った神ヘルメスの顔面を、固く握り締めた拳で容赦なく殴ったアスフィさん。

 

ぶん殴られた神ヘルメスが普通に吹っ飛んだあたり、結構な威力が込められていたらしい。

 

とりあえず吹っ飛んだ神ヘルメスを回収しておいた俺は、念の為に神ヘルメスにポーションを渡しておく。

 

ポーションを飲んだ後、流石にこれ以上アスフィさんに殴られたくなかったのか素直に帰っていった神ヘルメス。

 

「あの神が言ったことは気にしないでくださいねゲドくん。さあ、今日も魔道具の作成を頑張りましょう」

 

神ヘルメスに見せた怒りの顔から一変して、穏やかな顔で言ってきたアスフィさんは、いつもより指導が優しかった。

 

やけに指導が優しい理由は、ファミリアの主神である神ヘルメスが迷惑をかけたと思っていたからかもしれない。

 

そこまで気にしなくても良かったんだが、アスフィさんは気にしてしまったのだろうな。

 

まあ、優しいとしてもしっかりと指導はしてもらえているので、問題はないと思う。

 

今日もアスフィさんに教わりながら魔道具を作成していくと、完成した作品は、水を凍らせることが可能な魔道具。

 

簡単に氷を作ることが可能なこの魔道具は、暑い日にはとても便利になる。

 

そして、水を凍らせることができるなら、水場があるダンジョンでの戦いを有利にすることも可能な筈だ。

 

発想次第で様々な使い方が思い浮かぶ魔道具だった。

 

俺が目標とする魔道具には程遠い魔道具ではあるが、徐々に近付けてはいるので、この調子で進んでいくとしよう。

 

最近はアスフィさんとパーティを組んでいることを、ギルドの担当アドバイザーの人にも伝えておくと「今度はヘルメス・ファミリアの団長と組んでるんだね」と遠い目をしていたな。

 

「まあ、Lv3のアスフィさんが一緒なら、きみはLv4だし下層にも行っていいと思うよ」

 

担当アドバイザーの人は、アスフィさんとパーティを組んでいるなら下層に向かっても問題ないと許可を出してくれた。

 

許可も出たので、魔道具の材料採取の為にアスフィさんと下層にまで向かう。

 

アスフィさんは神ヘルメスにステイタスの更新をしてもらったらしく、動きが段違いになっていて以前とは別人のようだ。

 

下層のモンスターとも危うげなく戦えているアスフィさんは、ギルドに報告してはいないようだがLv4でも上位の実力者となったのかもしれない。

 

そして俺もLv4になっているので、スキルを使わずとも下層のモンスターと普通に戦えるようになっていた。

 

下層での材料採集を終えて、エナジーポーションを飲みながら休まずに進み、ダンジョンを出ると直ぐに魔道具の作成に移っていく。

 

そんな日々を過ごしながらもミアハ・ファミリアのホームの店舗で仕事を手伝っていき、ポーションやエナジーポーションを作成していった。

 

材料採取が目的だとしても下層の探索を行っているので、更にステイタスが伸びていると判断した俺は、忙しくてしばらく更新していなかったステイタスを神ミアハに更新してもらう。

 

Lv4

 力:G221→D510

耐久:H134→E499

器用:F382→B726

敏捷:G295→C667

魔力:C673→A851

 

更新していなかったステイタスは全体的に伸びており、魔力はAにまで到達していたみたいだ。

 

少し低い力と耐久を伸ばせるように頑張ってみるのも悪くはない。

 

次に下層に向かった時は、力と耐久を伸ばせるように立ち回ってみるとしよう。

 

教わりながらの魔道具作成は毎週毎週続いていき、少しずつ目標へと前進していく日々。

 

雪を生み出す魔道具を作成することに成功したが、目標とする魔道具の完成には、まだまだ遠い。

 

ダンジョンで材料採取をしては魔道具を作成していくと、部屋が魔道具で一杯になってきていた。

 

とはいえ貴重な魔道具でもあるので処分する訳にもいかないのが困り所だ。

 

リトルフィートで小さくしておき纏めてはあるが、それでも部屋が手狭になってきている。

 

どうしようかと思っていたところに、アスフィさんが「この魔道具達はヘルメス・ファミリアで引き取りましょうか」と言った。

 

「助かりますがいいんですか」

 

「ええ、此方としても面白い魔道具が沢山手に入ることは悪いことではありませんから」

 

笑顔でそう言っていたアスフィさんは、俺が作成した魔道具に興味を持っているようだ。

 

小さくした魔道具達をヘルメス・ファミリアにまで運んでから、元の大きさにまで戻しておく。

 

「それではこれが代金です」

 

なんてことを言いながらヴァリスを俺に渡そうとしてきたアスフィさん。

 

「売り物を作った覚えはありませんが」

 

「では、運び賃ということで受け取ってくださいゲドくん」

 

「それにしては明らかに多いような気がしますよ」

 

「感謝の気持ちということで受け取ってください」

 

ヴァリスが入った袋を持ちながら徐々に距離を詰めてくるアスフィさんの距離が物凄く近かった。

 

「わかりました。受け取りますから離れてください。近いです」

 

俺が袋を受け取ると素直に離れていったアスフィさん。

 

目的を達成する為なら手段を選ばなくなってきているような気がするアスフィさんは、少し変わってきているのかもしれないな。

 

「それじゃあ今日は、これで失礼しますねアスフィさん」

 

「明日、ミアハ・ファミリアにまで向かいますので、また魔道具を作成しましょうねゲドくん」

 

いつもと変わらない笑顔で言ったアスフィさんは、明日もミアハ・ファミリアに来るみたいだ。

 

週5回の魔道具作成の指導は変わらず続くようである。

 

アスフィさんは意外と教育熱心だったが、俺にとっては悪いことではない。

 

目標とする魔道具の完成まで、頑張っていこう。

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