転生したらゲド・ライッシュだった   作:色々残念

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思いついたので更新します


第16話、ペルーダ

週5回の魔道具作成の指導は相変わらず続いていて、今日も魔道具の材料を採取する為に、アスフィさんと一緒に下層に来ていた。

 

29階層まで下りて材料を採取していると地中から巨大な大蛇のようなモンスターが現れたが、襲いかかってくることもなく身悶えている。

 

このモンスターは、ラムトンという渾名で呼ばれる深層の希少種のモンスターであり、正式名称はワーム・ウェールという名前であるようだ。

 

ワーム・ウェールは上の階層にまで地中を潜行して上がってくる珍しいモンスターであるようで、下層で出会った冒険者達が襲われることもあるらしい。

 

故に凶兆であるラムトンと呼ばれるようになったワーム・ウェールというモンスターは凄まじく巨大なモンスターだと言えるだろう。

 

ワーム・ウェールの強さはLv4相当であるそうだが、身体がとても大きいワーム・ウェールが身悶えているだけで周囲の被害は凄まじいものとなっていく。

 

周囲の地形が滅茶苦茶になり、上の階層に続いている出入り口の階段が、ワーム・ウェールが身悶えて暴れていることで起こった天井の崩落で塞がれてしまった。

 

何故ワーム・ウェールが身悶えて暴れているのか不思議に思っていた俺とアスフィさん。

 

距離を取ってワーム・ウェールを観察してみると腹部が妙に膨らんでいることがわかる。

 

ワーム・ウェールが呑み込んだ何かが体内に居て、その何かによってワーム・ウェールは身悶えて暴れているのかもしれない。

 

そう判断した俺とアスフィさんの考えは正しかったようだ。

 

身悶えていたワーム・ウェールの身体を突き破りながら、凄まじい速度で大量に飛び出してきた槍のような針。

 

かなりの速度で飛んでくる槍のような針に対してアスフィさんは反応できていない。

 

瞬時にアスフィさんの前に出た俺は「断ち切る力」を発動して、槍のような針を防ぐ。

 

断ち切られた空間が太い針を止めていたが、針の先端から滴る毒らしき液体が地面に垂れると、肉が焼けるような音を立てて地面を溶かした。

 

ダンジョンの壁面や地面と天井には針が突き刺さっており、突き刺さった場所が毒々しい色に変色して溶ける程の凄まじい猛毒が、針にはあるらしい。

 

猛毒の針を持つ深層のモンスターで思い浮かぶモンスターが1体居るが、針が異常に大き過ぎることから推測すると、明らかに通常の個体ではなさそうだ。

 

完全に絶命しているワーム・ウェールの身体を内側から引き裂き、ワーム・ウェールの内部からモンスターが姿を現す。

 

蛇に似ている細長い身体に4本の足をして、背中には針鼠のように針が無数にあるそのモンスターの名はペルーダ。

 

蜥蜴のような外見ではあるが竜種のペルーダは、猛毒の針を持ち、灼熱の火炎を吐く危険な竜だと、ギルドの担当アドバイザーの人から俺は教えられていた。

 

しかし伝え聞いていたペルーダとは違うところが幾つかあるな。

 

このペルーダは皮膚の色が濃緑ではなく黒であり、身体や針も大きいことから異常な個体であることは間違いない。

 

そして動きがとても素早く、積極的に攻撃を行ってくるこのペルーダは、常に此方に近付いてくる。

 

この状態で空間操作を使った空間転移を行えば、ペルーダまで一緒に連れていってしまうことは確実だった。

 

地上にまでペルーダを連れていってしまえば、大惨事が起こってしまう。

 

冒険者以外の人々にも被害があるかもしれない。

 

そう思ってしまえば空間操作を使う気にはなれなかった。

 

空間操作を使わずに生きて帰る為には、この異常な個体のペルーダを倒さなければいけないことは確かだ。

 

針に反応できていなかったアスフィさんを守りながら戦っていき、詠唱を始めていく。

 

「心理之王、御調子者、調子者」

 

詠唱を行いながら「渦鋼」を振るって黒いペルーダを斬り裂こうとしたが、堅く黒い皮膚に阻まれて刃が通ることはなかった。

 

「眩い星よ、重なりあえ」

 

凄まじい強度がある黒いペルーダの皮膚に「渦鋼」の刃を通すことは難しいと判断し、ペルーダの攻撃からアスフィさんを守る為の準備を続けて行う。

 

「ムードメーカー」

 

詠唱が完了したことで発動した多重結界がアスフィさんの周囲を包み込む。

 

多重結界を使用している間は「ムードメーカー」の他の効果は使えず、精神力を絶えず消費するが、これでアスフィさんの守りは大丈夫だ。

 

黒いペルーダから放射された灼熱の火炎を俺は「断ち切る力」を使うことで空間を断ち切って防いでおく。

 

アスフィさんのことは多重結界がしっかりと守っていたので問題はない。

 

俺は「断ち切る力」を使った状態で、デュアルポーションとエナジーポーションを飲み、消費した精神力と体力を回復しておく。

 

「断ち切る力」のスキルを解除する前に「竜鱗鎧化」を使用して装甲を形成して纏うと、更に「龍の手」を用いて装甲の強度を2倍に上げておいた。

 

空間が断ち切られていた間は阻まれていたペルーダからの攻撃。

 

それが直撃すると強度を2倍にした装甲の上からでも、強い衝撃が身体に届く。

 

此方も負けじと「渦鋼」で目を狙って攻撃していくが、この黒いペルーダは知能も高いらしく、直撃の瞬間に瞼を閉じて目を狙った攻撃を防ぐ黒いペルーダ。

 

視界を閉じていても此方の位置を正確に把握している黒いペルーダは、槍のような大量の針を凄まじい速度で此方に放つ。

 

連続で装甲に叩き込まれた槍のような針の射出によって、遂に破壊された「竜鱗鎧化」の装甲。

 

直ぐに自己修復が始まったことで猛毒の針は身体にまでは届いていないが、かなりの強度を持つ「竜鱗鎧化」の装甲が破壊されたことには驚きを隠せない。

 

黒いペルーダが射出する槍のような針は、凄まじい威力を持っているみたいだ。

 

槍のような針自体の強度や鋭さが高いと知った俺は、黒いペルーダに攻撃を通す手段を思いつく。

 

「スティール」

 

左手を向けて唱えるのは速攻窃盗魔法。

 

奪う対象は黒いペルーダ。

 

唱えた「スティール」は成功し、俺の左手には奪った黒いペルーダの針が1本。

 

右手に持っていた「渦鋼」を鞘に納めた俺が両手で構えたのは、先ほど「スティール」で奪ったばかりのペルーダの針。

 

その針を槍として用いて俺が放つ突きは、黒いペルーダの皮膚を貫くことが可能だった。

 

宿す猛毒は効果が無いとしても充分に武器として使えるこの針を使えば、ペルーダに攻撃を通すことはできるだろう。

 

瞬時に突きを放ち、ペルーダにダメージを与えていく。

 

槍のような針を槍として扱ってみることが簡単に出来た俺には、どうやら剣だけではなく槍の才能も有ったようである。

 

「龍の手」のスキルで、槍のような針の強度と鋭さ、腕力と踏み込みの脚力、身体能力と突きの威力を2倍に高めた俺は、渾身の突きを繰り出した。

 

黒いペルーダの皮膚を貫いた槍のような針は、確実に黒いペルーダの魔石を砕く。

 

弱点である魔石を砕かれたことで死亡し、ゆっくりと消滅していく黒いペルーダの肉体。

 

残されたのは、ドロップアイテムである黒いペルーダの皮だけであった。

 

結構な大きさがある黒いペルーダの皮を回収し、魔法で小さくして鞄にしまっておく。

 

ようやく黒いペルーダを倒せたと思ったところで疲れが限界に来たのか、ダンジョンの地面に背中から倒れ込んでしまう俺の身体。

 

精神力がガリガリと削られていく多重結界も解除しておくと、此方に近付いてきたアスフィさん。

 

「怪我はなさそうですねアスフィさん。無事で良かった」

 

「ゲドくんが守ってくれたおかげで助かりました。私1人だったなら死んでいたでしょうね」

 

「間違いなくあのアンフィス・バエナよりも格上のモンスターでしたからね。俺もLv4になっていなかったら、死んでいたかもしれません」

 

「剣が通じない相手を、相手の武器で倒してしまうとは思ってもいませんでしたよ」

 

「充分な強度と鋭さがあるなら武器として使えるんじゃないかと思って実際に使ってみたら、意外といけましたね」

 

「危機的状況でも柔軟な発想が大事ということでしょうか」

 

「まあ、なんとか倒せて良かったですよ」

 

疲れた身体を動かして立ち上がった俺は、崩落で塞がれている出入り口で「リトルフィート」を連続で唱えていく。

 

出入り口を塞いでいたものは全て縮小され、簡単に片付けることが可能になった。

 

小さくなった瓦礫を手早く片付けておき、離れた場所に放り投げてから元に戻す。

 

これで他のファミリアが来たとしても通行には問題がない筈だ。

 

「じゃあ、そろそろ帰りましょうかアスフィさん」

 

「そうしましょうゲドくん」

 

俺はアスフィさんと一緒にダンジョンを出ると、直ぐにミアハ・ファミリアに戻る。

 

流石に今日のアスフィさんとの魔道具作成は、お休みということになるらしい。

 

疲れた顔で帰ってきた俺を見た神ミアハは、何かがあったことを直ぐに悟ったようで、俺を無理に働かせようとはしなかった。

 

翌日になり、神ミアハにステイタスの更新を頼んでみると、やはりランクアップできるようになっていたようだ。

 

あの黒いペルーダとの戦いは、偉業だったということだろう。

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