ランクアップが可能になったことで知ることができた発展アビリティは、剣士、頑強、精癒の3つとなった。
今回は精神力の回復速度を早める精癒にしておくことにしたが、ランクアップする前にステイタスを更に上げておこうと思った俺は、アスフィさんと一緒に下層へと向かっていく。
到着した下層で魔道具の材料を採取していると凄まじい数の怪物達の宴が起こり、大量発生したモンスター達。
中には強化種達も混じっていて、アスフィさんが危険だと判断した俺は多重結界を発動。
多重結界でアスフィさんを守りながら、下層のモンスター達と戦っていった。
ブルークラブの群れを「渦鋼」で真っ二つに両断していき、マーマンの強化種が横に振るったメイスを潜り抜けて接近すると、正確に魔石を狙った「渦鋼」による突きをマーマンの強化種の胸部に叩き込む。
マーマンの強化種の胸に突き刺した「渦鋼」を引き抜くより早く、此方に勢いよく突撃してきたクリスタルタートルの強化種。
そのクリスタルタートルの頭を下から蹴り上げて強制的に上を向かせてやり、素早く引き抜いた「渦鋼」で頭部をかち割っておく。
デヴィルモスキートを斬り裂き、連続で突っ込んでくるイグアスの群れを全員2分割にした。
絶え間無く現れるレイダーフィッシュを十字に斬り裂き、アクア・サーペンの首を斬り落とす。
ライトクオーツの強化種が放つ強力なレーザーを全て避けながら近付き、上段に構えた「渦鋼」を振り下ろして魔石ごと水晶の身体を幹竹割りにする。
クリスタロス・アーチンの群れが転がりながら大量に押し寄せてくるが、残らず横一文字に斬り裂いておいた。
強化種も含めた凄まじい数のモンスターを全て倒しきった俺は、充分な経験値を稼げたと判断。
ダンジョンから地上に戻った俺とアスフィさんは、それぞれのホームへと帰っていく。
今回も帰還後の魔道具作成は、お休みである。
精神的に疲れていたアスフィさんには、しっかりと休んでもらいたいところだ。
帰ってきたミアハ・ファミリアのホーム。
神ミアハにステイタスの更新をしてもらう為に、手早く移動した神ミアハの自室で、俺は神ミアハに背中を晒した。
更新されたステイタスは全てがSSSにまで到達していたので、これなら充分だと判断した俺は、そのまま神ミアハにランクアップもさせてもらうことにする。
Lv4→Lv5
力:SSS1421→I0
耐久:SSS1489→I0
器用:SSS1542→I0
敏捷:SSS1467→I0
魔力:SSS1553→I0
幸運:D
耐異常:E
神秘:F
精癒:I
《魔法》
【リトルフィート】速攻縮小魔法
【スティール】速攻窃盗魔法
【ムードメーカー】詠唱変化魔法
詠唱前半
「心理之王、御調子者、調子者」
詠唱後半
「箒星よ、歩みを速めよ」思考加速
「道化の星よ、運命を変える奇跡をここに」運命改変
「恒温の星よ、その熱を燃やせ」不測操作
「流れる星よ、空を開け」空間操作
「眩い星よ、重なりあえ」多重結界
《スキル》
【龍の手】
・あらゆるものを倍加する
【創薬師】
・薬品作成時、発展アビリティ創薬と薬師の一時発現
・作成した薬品の品質向上
【竜鱗鎧化】
・体表に魔素を吸収して自己修復する装甲を形成する
・耐久に応じて強度上昇
【断ち切る力】
・周囲の空間を断ち切る
・攻撃には使用できない
【竜撃会心】
・弱点となる部位に攻撃が当たった時、特大ダメージを与える
ランクアップした新たなステイタスは、こうなったようだ。
そしてランクアップしてLv5になった俺には「竜撃会心」という新しいスキルが発現していた。
「竜撃会心」と書いて「ハイパーオラゴニックアタック」と読むスキルは、弱点となる部位に攻撃が当たった場合に特大ダメージを与えるスキルであるらしい。
上手く使えば戦いを有利にすることが可能なスキルだろう。
しかし多種多様なモンスターが相手の場合、弱点を見極めることも必要になりそうだ。
モンスターの弱点を見極める為にも、よく観察することを忘れないようにしないといけないな。
翌日、Lv5になったことについて報告する為にギルドに向かうと「きみがLv4になってから3ヶ月が経過したけど、またランクアップの報告かな」と言ってきたギルドの担当アドバイザーの人。
俺が「そうですよ」と言うと「うん、やっぱりね、そうだと思ったよ」とギルドの担当アドバイザーの人は頷いていた。
「それで今回きみは、何をしたのかな」
「下層に現れたワーム・ウェールの体内から出現した黒いペルーダを、アスフィさんを守りながら倒しました」
「ワーム・ウェール自体が珍しいのに、体内から異常個体のペルーダまで現れるなんて、どういう確率があればそんなことが起こるんだろうね」
不思議そうに首を傾げたギルドの担当アドバイザーの人は、俺が嘘を言うことはないと理解しているが、通常とは異なるモンスターと遭遇する確率が高いことを不思議に思っているらしい。
「毎回毎回遭遇する確率がおかしいと自分でも思いますよ」
ランクアップの偉業が毎回、通常とは異なるモンスターを倒したことによるものである俺も、この遭遇率を不思議に思っていたことは確かだ。
Lv1の時は強化種のインファントドラゴン3体。
Lv2の時は異常個体の黒いグリーンドラゴン。
Lv3の時は3つ首がある亜種のアンフィス・バエナ。
Lv4の時は異常個体の黒いペルーダ。
この遭遇率は確かにおかしいのかもしれない。
そして通常とは異なるモンスターは全てが竜種であったが、やはり俺は竜と縁があるのだろうか。
今後も通常とは異なる竜種と遭遇する確率が高そうな気がするな。
何が起こっても対処できるようにダンジョンに入る前の準備は怠らないようにしておこう。
それはそれとしてギルドの担当アドバイザーの人には聞いておきたいことがあった。
「パーティを組んでいるなら深層に向かっても大丈夫ですか?」
「パーティメンバーがアスフィさんだけじゃなくて、椿さんも加わるなら大丈夫だと思うよ、きみもLv5になったからね」
その3人でパーティを組むなら深層でも大丈夫だと言ってくれたギルドの担当アドバイザーの人。
「まあ、できるならもう1人くらい頼れる人がきみのパーティに加わってくれたら、私は更に安心できるかな」
続けて言ったギルドの担当アドバイザーの人は、此方を心配してくれているみたいだ。
深層に向かっても問題がないパーティメンバーが、もう1人見つかるかはわからない。
それでも一応探してみようかと思う程度には、ギルドの担当アドバイザーの人を安心させてあげたい気持ちはあった。
まあ、深層探索は急いでいる訳ではないから気長に探してみるとしよう。
ギルドでの用事を済ませた俺はミアハ・ファミリアのホームへと戻っていく。
ミアハ・ファミリアのホームでもある店舗で俺が手伝いを行っていると、ようやく全ての鍛冶仕事を終わらせたらしく、久しぶりに椿が店舗に現れた。
「こうして会うのは久しぶりであるなゲド。少しは手前の工房に顔を出してくれても良かったのではないか」
「椿が忙しそうだったから邪魔をしてはいけないかと思ってな」
「次からは少しくらい顔を出してくれんか。手前は忘れられてしまったのかと思ったぞ」
「今度からはそうするよ」
「うむ、そうしてくれ」
深く深く頷いていた椿は鍛冶仕事で忙しかったとしても、少しくらいは工房に顔を出してほしかったみたいだ。
鍛冶仕事に専念していても他人との交流まで断っている訳ではないらしい。
これからは鍛冶仕事をしている椿の工房にも、こまめに顔を出すとしよう。
「ああ、そういえば椿に頼みたい仕事があったな。ちょっと待っていてくれ椿」
椿には少し待っていてもらって、俺は自室に置いてある黒いペルーダの皮を持ってくる。
「これを防具に加工してもらいたいんだが」
俺がそう言いながら黒いペルーダの皮を椿に見せてみると椿は興味津々な様子で、黒いペルーダの皮を見ていた。
「ほほう、これは色違いのペルーダの皮であるようだが、強度は段違いであるな」
黒いペルーダの皮を触りながら強度を確かめていた椿は、とても楽しげに笑う。
「椿に作ってもらった「渦鋼」の刃でも通らない強度があるのは間違いないぞ」
「ふむ、ならばゲドはどうやってこのペルーダを倒したのだ?」
「この黒いペルーダの槍のような針を奪って、槍として使うことで倒したんだが」
「なるほど、敵の武器を奪って倒したか。それにしてもペルーダと遭遇したということは深層に向かったのかゲドは」
「いや下層で遭遇した。ワーム・ウェールがこのペルーダを呑み込んでいたようで、ワーム・ウェールが出現したと思ったら内側からこのペルーダが現れたんだ」
自分でも、どんな確率なんだと言いたくなるような出来事が起こったことを椿にも説明しておく。
「うむ、訳がわからんとしか言えんことになっておるな。普通は有り得んぞそんなことは」
凄まじい確率の出来事が起こったことを聞いて驚いていた椿。
信じられないような出来事でも実際に起こったことだと椿は信じてくれたようだ。
椿とそんな会話をしているとアスフィさんもミアハ・ファミリアのホームへとやって来る。
「さあ、ゲドくん今日も頑張りましょうね」と言いながら笑顔で店舗に入ってきたアスフィさんだったが、椿のことを見るなり笑顔が真顔になった。
「貴女は、ヘファイストス・ファミリア団長の椿・コルブランドですね」
「お主は、ヘルメス・ファミリア団長のアスフィ・アル・アンドロメダだな」
何故か俺を挟んだ状態で互いを見ている2人。
若干空気もピリピリしているような気がするのは、気のせいではないだろう。
「ゲドくんとは、随分とゲドと親しいようだが、どんな関係だ」
「そちらこそ、ゲドくんをゲドと親しげに呼び捨てにして随分と仲が良さそうですが、どのような関係ですか」
気になっていることを聞いているのだとしても険悪になりそうな雰囲気を察した俺は、椿とアスフィさんとのそれぞれの関係を2人に説明していく。
椿のことは専属鍛冶師兼パーティメンバーと説明し、アスフィさんのことは魔道具作成の先生兼パーティメンバーと説明した俺。
それで何とか納得してもらうことはできたが、何故あんなにも緊迫した空気になったのかは、今は気にしない方が良さそうだ。
モテ期でも来たか、とふざける余裕もない。
実際どうなのかは、全くわからないし、ただの勘違いだったら恥ずかしいから、それについては黙っておこう。
人間関係は難しいな。
ハイパーオラゴニックアタック
出典、モンスターストライク、オラゴン
赤いトンガリ頭をした人型で2頭身のドラゴンであるオラゴンのストライクショットが、ハイパーオラゴニックアタック
ストライクショットとは、モンスターストライクに登場するほぼ全てのモンスターが持っているスキルのこと
ハイパーオラゴニックアタックの効果は、敵の弱点にヒットした際に特大ダメージを与えるというもの