転生したらゲド・ライッシュだった   作:色々残念

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思いついたので更新します


第23話、ウダイオスの白剣

白いウダイオスが両手に1つずつ持つ巨大な白剣を振り下ろし、衝撃波を連続で放つ。

 

発生地点から扇状に広がっていく衝撃波を回避したオッタルさんとフィンさんに、今度は白い剣山を生み出して攻撃するウダイオス。

 

階層主であるウダイオスが視界の範囲内なら何処にでも剣山を生み出すことができるとは知っていたが、白い剣山がダンジョンの地面から生える速度は速い。

 

ダンジョンの地面から生えた白い剣山を避けながらウダイオスに接近した2人は、ウダイオスに攻撃していった。

 

オッタルさんの大剣を受けたウダイオスの肋骨が1本斬り落とされて、フィンさんの槍による突きを受けた肋骨が1本砕ける。

 

積極的にウダイオスに攻撃を加えるオッタルさんとフィンさんを集中して狙っているウダイオスは、此方の相手は生み出したスパルトイ達に任せているようだ。

 

額から角を生やした大量のスパルトイにアスフィさんの魔道具から連続で放たれる改良爆炸薬。

 

骸骨兵士といった外見のスパルトイ達が爆炸薬の爆炎に包まれて破壊されていき、凄まじく数を減らしていった。

 

それでもウダイオスから無尽蔵に生み出されるスパルトイは直ぐ様補充され、再び大量のスパルトイが此方に近付こうとしてくる。

 

ウダイオスを倒さない限り、スパルトイが無限に補充され続けることは確かだ。

 

アスフィさんの爆炸薬にも限りがあるので、無くなる前にウダイオスを倒さなければいけない。

 

アミッドのことも守りながら戦う必要があるが、守る手段はあるので問題はないだろう。

 

「心理之王、御調子者、調子者」

 

アミッドを守る為に魔法を発動することを決めた俺は魔法の詠唱を行っていく。

 

「眩い星よ、重なりあえ」

 

この魔法は後半の詠唱を変えることにより魔法の効果も変わる魔法であり、今回使うのは多重結界の効果。

 

「ムードメーカー」

 

発動した多重結界は人間だけが入れるように設定してあり、モンスターは入ることはできない。

 

白い剣山を生やせないようにダンジョンの地面も結界が覆っているので、多重結界内を攻撃することはウダイオスにも不可能だ。

 

アミッド以外も多重結界に匿えるように結界の範囲内は、6メートルの半球状にしてあるのでパーティメンバー全員が入れるスペースはある。

 

とりあえずアミッドとアスフィさんに椿は多重結界内で待機してもらうことにして、遊撃を行うことにした俺は「龍の手」と「竜鱗鎧化」を発動した状態で、ウダイオスに接近。

 

身体能力と脚力を「龍の手」で2倍にして駆けていく俺にダンジョンの地面から生えた白い剣山が迫るが、スキル「竜鱗鎧化」によって俺の身体に形成された装甲を破れる程の威力が白い剣山には無いと判断し、突き進む。

 

脚部すらも覆うように形成された装甲を貫けなかった白い剣山を足場代わりにした俺は、跳躍力も「龍の手」で2倍にして跳躍し、瞬時に白いウダイオスに迫ると「渦鋼」でウダイオスの頭部を真っ二つに斬り裂いた。

 

通常のモンスターであるなら頭部を真っ二つに斬り裂かれれば終わりだが、異常個体の白いウダイオスは通常のモンスターとは違っていたようで、瞬く間に再生していったウダイオスの頭部。

 

ウダイオスは左右の手に1本ずつ持った白剣を交差させるように振るい、2本の白剣の中央に挟み込んだ俺を渾身の力で断ち斬ろうとしてきた。

 

装甲が軋んでいたことから「龍の手」で「竜鱗鎧化」の装甲の強度を2倍に上げていなければ身体を断ち斬られていたことは間違いない。

 

白いウダイオスの攻撃が俺だけに集中している今が好機だと判断したオッタルさんとフィンさんは白いウダイオスに連撃を叩き込んでいく。

 

大剣による斬撃と槍による槍撃を連続で叩き込まれたウダイオスの身体が半壊していたが、白剣を握る両腕の強度が特に高いようで両腕だけは破壊されていなかった。

 

更に続けて攻撃を叩き込もうとしていたオッタルさんとフィンさんに向けて白いウダイオスは左右の白剣を振るう。

 

オッタルさんとフィンさんはウダイオスの白剣を後方に跳んで回避し、続けてダンジョンの地面から生やされた白い剣山を避ける為に素早く横に跳躍した。

 

連撃で半壊していたウダイオスの身体が再生されて元に戻ると、再び大量に生み出されていくスパルトイ達。

 

「一旦下がってください!」

 

アスフィさんの言葉に従ったオッタルさんとフィンさんに俺は一旦下がり、多重結界の近くまで移動する。

 

多重結界から魔道具の筒先だけを出した状態で爆炸薬を連続で射出したアスフィさんによって、スパルトイ達は数を減らす。

 

スパルトイをアスフィさんが排除している間の時間を使い、多重結界内でオッタルさんとフィンさんにもエナジーポーションを渡しておいた。

 

疲労を完全に回復した状態でウダイオスとの戦いに戻っていくオッタルさんとフィンさん。

 

俺はエナジーポーションだけではなくマジックポーションも飲んでおき、消費した精神力を回復しておく。

 

とはいえ多重結界を発動している最中は常に精神力を消費していくので、定期的にマジックポーションを飲む必要がある。

 

それでも多重結界を維持しておかなければアミッドが危険であることは間違いなかった。

 

アミッドを守る為にも、白いウダイオスを倒すまで多重結界の発動を止めるつもりはない。

 

一定以上破壊されると身体を再生する白いウダイオスを倒すには魔石を砕くしかないだろう。

 

オッタルさんとフィンさんを手招きして呼び、ちょっと思いついた作戦を2人に説明してみると了承した2人。

 

左右から回り込むように白いウダイオスへと接近していくオッタルさんとフィンさん。

 

「渦鋼」を背の鞘に納めて、両手を空けておいた俺は白いウダイオスに素早く近付いていく。

 

真正面から突撃していった俺をめがけて白剣を振り下ろそうとした白いウダイオスに対して俺は左手を向けて魔法を唱える。

 

「スティール」

 

発動した速攻窃盗魔法。

 

相手の持ち物を奪う魔法である「スティール」によりウダイオスの持っていた白剣が1本、俺の左手に移動していた。

 

ウダイオスサイズの白剣は流石に柄が大きくて左手から余っていたが、確かに左手に握られていたウダイオスの白剣。

 

白いウダイオスの右手に握られていた白剣は既に俺が握っていて、右側への攻撃が弱体化していた白いウダイオスにフィンさんが槍で攻める。

 

続けて俺は右手を白いウダイオスに向けて魔法を唱えた。

 

「スティール」

 

再び発動する速攻窃盗魔法。

 

今度は俺の右手に握られることになったウダイオスのもう1本の白剣。

 

オッタルさんの大剣を防いでいた左手の白剣を俺に奪われた白いウダイオスは、無防備にオッタルさんの大剣を身体に受けることになったようだ。

 

左右から猛攻を受けて破壊されていく白いウダイオスの身体は、完全にボロボロになっていた。

 

猛攻によって砕けた胸骨から覗いた白いウダイオスの大きな魔石へ、俺が両手に持つ白剣を投げつけると、命中した瞬間に「竜撃会心」が発動。

 

弱点となる部位に攻撃が当たった瞬間、特大ダメージを与える「竜撃会心」によって盛大に砕け散った白いウダイオスの魔石。

 

魔石を砕かれたことで消滅していった白いウダイオスが残したものは、2本の白剣だけだった。

 

明らかなレアドロップアイテムであるウダイオスの白剣をどうするかで少し全員で話し合うことになったが、最終的には俺とオッタルさんに1本ずつ譲渡されることになったウダイオスの白剣。

 

その後、順調に階層を上がっていき、18階層で休んでからダンジョンを出ると魔石やドロップアイテムをギルドで換金し、全員にヴァリスを分配していく。

 

カドモスの泉水は1瓶をアミッドに渡しておき、残りの瓶を全員に1本ずつ渡しておいた。

 

泉水を医療系ファミリアに売りにいくのか、自分達のファミリアで使うのかは自由ということなる。

 

一応ミアハ・ファミリアの分として用意しておいたカドモスの泉水が1瓶あるからナァーザも文句はない筈だ。

 

一緒にダンジョンに潜ったパーティメンバーの全員がそれぞれのファミリアに戻る前に、俺に近付いてくる。

 

「その白剣を素材として預けてくれるなら、手前がお主に新たな剣を作ろう」

 

椿がウダイオスの白剣で新しい剣を作ってくれるようなので、俺は椿にウダイオスの白剣を預けておくことにした。

 

「オッタルさんは、どうするんですかその白剣」

 

オッタルさんが背負っているウダイオスの白剣を見ながら俺が問いかけてみると、答えは直ぐに返ってくる。

 

「この白剣の加工はゴブニュ・ファミリアに頼むつもりだ」

 

どうやらオッタルさんはゴブニュ・ファミリアに頼んで、ウダイオスの白剣で大剣を作ってもらうつもりであるらしい。

 

「そうですか、ああ、そういえば燻製肉が余ってたんで持っていきますかオッタルさん」

 

「良いのか」

 

とりあえずオッタルさんに余った燻製肉を全て渡しておくと猪耳をピンと立たせて嬉しそうに燻製肉を受け取っていたオッタルさん。

 

「感謝する」

 

感謝の言葉を言っていたオッタルさんの口元が僅かに笑みを浮かべていたのは、きっと見間違いではないだろう。

 

期待するように此方を見ていたアミッドにも余ったビスケットを全て渡しておくと、物凄く喜んでいた。

 

「ありがとうございます師匠!」

 

テンション高めにそう言ったアミッドは、とても嬉しそうな笑顔でビスケットが入った箱を抱えて立ち去っていく。

 

「新しい魔道具が役立ったのも貴方のおかげです、また今度魔道具についてお話ししましょうね」

 

にっこりと微笑みながらそれだけ言うと満足気に去っていったアスフィさん。

 

最後に残ったフィンさんが笑顔で言った。

 

「面白いパーティだったね。組めて楽しかったよ」

 

「それなら良かったと思います」

 

「きみが居たから集まったパーティメンバーだったんだろうね。僕は、そんな気がするよ」

 

「そうなんですかね」

 

「きっとそうさ」

 

笑みを深めたフィンさんが、俺の背を軽く叩く。

 

「指揮をしていたのは僕でも、あのパーティのリーダーは、確かにきみだったよ。またいつか、きみとパーティを組んでみたいね」

 

「まあ、予定が合ったらになると思いますから、それで良ければお願いしますね」

 

「そうだね、予定が合う日を楽しみにしているよ。まあ、胃薬とかを買いに行くから顔を合わせる機会は多そうだけどね」

 

「その時は店員として接客しますよ」

 

「それじゃあ、また今度、客として買いに行くよ」

 

会話を終わらせて去っていったフィンさんの足取りは軽い。

 

俺もミアハ・ファミリアに帰ることにして、ホームへと続く道を歩いていった。

 

特に何事も無く到着したミアハ・ファミリアのホーム。

 

帰ってきたミアハ・ファミリアで神ミアハとナァーザが出迎えてくれる。

 

「うむ、今回も無事に帰ってきたようだな」

 

俺に怪我が無いことを確認して、嬉しそうに頷いていた神ミアハ。

 

「まあ、ダンジョン帰りで疲れてるだろうし、今日は休んでていいからね」

 

ナァーザは特に心配はしていなかったみたいだが、気遣ってくれているようだ。

 

そんなナァーザに土産としてカドモスの泉水を渡しておくと物凄く驚いていたな。

 

1日しっかりと身体を休めてから、翌日のミアハ・ファミリアの仕事を手伝った後に、1人でダンジョンに向かって稼いでいく。

 

椿が作る新たな剣の代金を支払う為には、かなりのヴァリスが必要だと考えたからだ。

 

ひたすら下層でモンスターを倒してヴァリスを稼ぐ日々を過ごしていると、布で包まれた大きなものを持った椿がミアハ・ファミリアを訪れた。

 

布で包まれているものが完成した剣であることは間違いない。

 

「剣が完成したぞ!」

 

剣を包んでいた布を外した椿が見せてきた剣は、ウダイオスの白剣よりは小さい白い大剣。

 

「この剣の名は「白断」だ。お主なら使いこなせるだろう」

 

手渡された「白断」を持ち、試しに振るってみたが、とても素晴らしい剣であると理解できた。

 

強度も鋭さも「渦鋼」を遥かに上回る「白断」は、素材となったウダイオスの白剣が無ければ生まれていない。

 

そして椿の鍛冶師としての腕が無ければ、ここまでの剣にはならなかっただろう。

 

「ありがとう椿、良い剣だ」

 

「うむ、満足してもらえたのなら手前は嬉しいぞ」

 

俺からの感謝の言葉を聞いて、嬉しそうに笑っていた椿。

 

とりあえず稼いでおいたヴァリスと貯金しておいたヴァリスを合わせた6000万ヴァリスを椿に渡しておくことにした。

 

「白断」は、それだけの価値がある大剣だと判断したからだ。

 

「手前はお主の専属鍛冶師でもあるし、この半額でも構わんが」

 

なんてことを言ってきた椿にヴァリスを全額受け取ってもらう為に俺は言う。

 

「椿が素晴らしい剣を作ってくれたことに対する俺からの感謝の気持ちだと思って受け取ってくれ」

 

「むう、ゲドがそこまでいうなら受け取っておくとしよう」

 

なんとか6000万ヴァリスを全額受け取ってくれた椿の身体が、ふらついていたので支えておく。

 

「また徹夜したのか」

 

「うむ、一刻も早く剣を完成させたかったのでな」

 

悪びれずに笑う椿の身体は完全に疲れきっている。

 

「とりあえずこれを飲んでおくといい」

 

「すまんな」

 

特製のエナジーポーションを椿に渡しておくと、一気に飲み干した椿。

 

エナジーポーションで疲労が回復した椿は、元気を取り戻したようで、もうふらつくことはない。

 

「剣も渡して用事は済ませたのでな、手前は戻るとしよう」

 

「しっかりと眠ることも忘れないようにしておいてくれ」

 

「うむ、そうしておこう」

 

俺からの忠告に頷いた椿はヴァリスを抱えて帰っていった。

 

今の椿なら格下にヴァリスを奪われることはないだろう。

 

格上の場合は奪われてしまうかもしれないが、椿よりも格上なら自分で稼いだ方が早いことを理解しているので問題はない筈だ。

 

椿が作ってくれた白い大剣である「白断」を眺めながら思うことは、ゴブニュ・ファミリアに任せたオッタルさんの剣がどんな剣になったのかということだった。

 

きっと悪い剣ではないと思うが、どんな剣になったのかは1度見てみたい。

 

今度オッタルさんに会ったら、ちょっと頼んでみるとしよう。

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