転生したらゲド・ライッシュだった   作:色々残念

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思いついたので更新します


第27話、フレイヤ・ファミリア

「炎金の四戦士」の1人から奪った大剣は幅広であり、柄は小人族が握り易いようになっている。

 

数打ちの量産品ではなく、特注の大剣であることは間違いない。

 

小柄な小人族が使いやすいように作られている大剣は、俺にとっては少々使いにくい大剣だった。

 

それでもこの大剣は第1級冒険者が振るっても壊れない武器ではあるので、壊れるまでは手放すようなことはしない。

 

槍を振るう「女神の戦車」の攻撃を大剣で捌き、続けて攻撃してくる「炎金の四戦士」3人の攻撃を避けながら反撃を叩き込む。

 

流石に殺すつもりで反撃していないが、フレイヤ・ファミリアの幹部達には多少の怪我を負わせてしまうことになるだろう。

 

軽く汗を流した程度で終わらせる模擬戦ではないし、完全に此方を殺そうと襲いかかってくる相手に対する対処としては間違っていない筈だ。

 

肩と腰の回転に合わせて腕が自然としなるような最適な動作で放つ反撃の一撃。

 

大剣で斬る為ではなく、剣の腹を使って打撃を繰り出すその一撃は、まるでバッティングのような動きになっていた。

 

身体が1本のネジになったかのように回り、末端部位の腕から大剣へと力が伝わっていく。

 

人体の摂理に倣う、腰と肩の旋回運動は、白球ではなく「炎金の四戦士」の1人を捉える。

 

加速するフルスイングが叩き込まれた小人族の小柄な身体が吹き飛んでいき、着用している鎧がひしゃげていた。

 

大剣から伝わってきた感触としては、明らかに肋骨も砕けているだろう。

 

戦える数が減り、4人から2人となっていたとしても「炎金の四戦士」は怯むことなく此方に向かってくる。

 

攻撃に「炎金の四戦士」を巻き込もうとお構い無しな「女神の戦車」の槍による連続の突きが放たれたが、眉間に喉や心臓という急所を狙って放たれた連続突きを大剣で弾き、逸らし、受け止めておいた。

 

「女神の戦車」の槍と、奪った大剣、互いの得物が触れ合う度に火花が飛び散り、激しい金属音が幾度も響き渡っていく。

 

真っ向からのぶつかり合いとなっていたが「女神の戦車」に退くつもりは無さそうだ。

 

「女神の戦車」と戦っている最中の此方に、槍を持つ「炎金の四戦士」の1人と大鎚を持っているもう1人が左右から同時に攻撃を仕掛けてくる姿が見えたが問題はない。

 

槍を振り下ろしてきた「女神の戦車」の槍の長柄を左手で掴んだ。

 

そして左側から大鎚を振るってきた「炎金の四戦士」に向けて槍ごと「女神の戦車」を力付くで叩きつける。

 

右側から槍による突きを繰り出してきたもう1人の「炎金の四戦士」に対しては、右手に持つ大剣の刃で槍の穂先を受け止めた後に、槍を絡めとるように大剣を螺旋に動かす。

 

それから大剣を上に動かし、槍を弾き上げたら、素早く距離を詰めて大剣を振り下ろした。

 

大剣の腹で、兜に覆われた「炎金の四戦士」の1人の頭部に、渾身の打撃を叩き込む。

 

避けられることを考えず1振りに全てを込めた一撃は、かなりの威力があったようだ。

 

明らかに形状が変わって凹んでいた兜と、倒れ込んだ槍使いの「炎金の四戦士」の1人。

 

槍使いの「炎金の四戦士」が失神していることは間違いないようであり、倒れたままの状態で動くことはなかった。

 

「お前が足手まといになって此方にぶん投げられたせいで、アルフリッグまでやられたぞ。どうしてくれるんだ腐れ畜生」

 

「先にやられてるてめえ等が悪いんだろうが、雑魚共。図に乗るんじゃねぇ小人が」

 

1人になった大鎚使いの「炎金の四戦士」は「女神の戦車」と言い争いをしているみたいで、相変わらず仲が悪い。

 

話している最中に攻撃するのはどうなんだろうなと思い、静観していると今まで様子見をしていた黒妖精の「黒妖の魔剣」が此方に疾走して近付いてきて、長剣を振るってきた。

 

Lv6の「黒妖の魔剣」が振るう剣は「炎金の四戦士」よりは鋭いが、攻撃速度は「女神の戦車」方が速いので、問題なく避けることが出来ている。

 

「クククッ、我が女神が望みし一幕を飾りしは剣の舞い。女神に捧げる贄となることを感謝して散るがいい」

 

なんて台詞を吐きながら長剣を振るってくる「黒妖の魔剣」は恥ずかしくないのだろうかと思わなくもない。

 

そんなだから「黒妖の魔剣」は厨二病乙とか神達に言われてるんだろう。

 

「黒妖の魔剣」の長剣と、奪った大剣で斬り結んでいると言い争いをしていた「炎金の四戦士」と「女神の戦車」までもが攻撃に加わってきた。

 

第1級冒険者達による苛烈な攻撃を見切り、最小限の動きで避け、迅速な動きで弾き、大剣を用いて軽やかに受け止めて、流れるような動きで反撃へと移る。

 

大剣による強力な突きを「炎金の四戦士」の大鎚で受け止めさせてから、大鎚を強引に大剣の切っ先で弾き上げ、踏み込んで間合いを詰めていき、兜に覆われた顔面に大剣の柄を叩き込んだ。

 

兜に大きくめり込んだ大剣の柄は「炎金の四戦士」の顔面にまでめり込んでおり、強烈なこの一撃で気絶していた大鎚使い。

 

全ての「炎金の四戦士」を倒し、現在この場に残っているフレイヤ・ファミリアの幹部は「女神の戦車」に「黒妖の魔剣」と「白妖の魔杖」だけだった。

 

まだ此方を観察していて動くことはない白妖精である「白妖の魔杖」は、かけている眼鏡の位置を中指で直しているみたいだ。

 

もしかしたら「白妖の魔杖」は戦うつもりがないのかもしれないが、一応警戒しておくとしよう。

 

「黒妖の魔剣」と「女神の戦車」による猛攻が始まり、止まることなく続いていく。

 

斬撃と槍撃に挟まれながら、全ての攻撃を1本の大剣で受け流していくと、飛び散り舞う火花。

 

俺が空いている片手の掌を向けて「スティー」と言うと素早く距離を取った「黒妖の魔剣」と「女神の戦車」は、速攻窃盗魔法を間違いなく警戒していた。

 

元々スティールを唱えるつもりは無く、フェイントとして「スティー」まで言って隙を作る為だったが、充分な効果があったようだ。

 

速攻窃盗魔法を警戒し、此方から距離を取った「黒妖の魔剣」に瞬時に近付くと、真正面から大剣を振り下ろす。

 

長剣を横にして大剣を受け止めた「黒妖の魔剣」の腹部に、空いている片手で握った拳を容赦なく打ち込むと、腹部にめり込んだ拳によって「黒妖の魔剣」は強制的に息を吐くことになった。

 

「グフッ!」

 

Lv6の黒妖精の腹筋を容易く打ち抜いて、ダメージを与えた高威力の拳。

 

積み重ねられたステイタスが発揮された打撃は、かなりのダメージを「黒妖の魔剣」に与えていたらしい。

 

たたみかけるように下段廻し蹴りを繰り出して「黒妖の魔剣」の足を蹴る。

 

上から下に振り下ろす、蹴りの威力を逃がさない下段蹴りを喰らった「黒妖の魔剣」の顔が痛みで歪んでいた。

 

下段蹴りで軋みを上げていた「黒妖の魔剣」の足は、折れてはいなくとも深刻なダメージを受けていたことは確実だ。

 

先ほどよりも「黒妖の魔剣」の足の動きが鈍っているところを見ると、機動力を少しは奪えたかもしれない。

 

俺がそう思っていると今度は「女神の戦車」が突っ込んできて、槍を振るってきた。

 

激しい槍撃を大剣で弾き、捌いていると「黒妖の魔剣」も長剣による斬撃を繰り出してくる。

 

俺は2人のLv6冒険者からの攻撃を全て受け流しておき、再び反撃を行った。

 

大剣を振るって「黒妖の魔剣」を力付くで吹き飛ばしておき、強制的に距離を取らせておく。

 

それから放たれた槍による突きを槍の長柄を片手で掴んで止めた状態で、もう片方の手に持つ大剣の腹を「女神の戦車」の頭部に勢いよく叩き込んだ。

 

兜などは被っていない「女神の戦車」の剥き出しの頭部に叩き込んだ大剣の腹による一撃。

 

それでもまだ意識は失っていない様子の「女神の戦車」は流石はLv6だが、此方は容赦をするつもりはない。

 

槍の長柄を掴んだ片手を力強く引き、その勢いのまま「女神の戦車」の顔面に、大剣の柄を握った拳を打ち込んで振り抜く。

 

頭部に連続で攻撃を喰らった「女神の戦車」は確実に意識が飛んでいた。

 

「黒妖の魔剣」が縦横無尽に振るう長剣を大剣で弾いていきながら、合間合間に拳で「黒妖の魔剣」を打つ。

 

拳打によってダメージを受けて、徐々に鈍くなっていく「黒妖の魔剣」の動きは精彩を欠いている。

 

「黒妖の魔剣」は、それでも剣を振るうことを止めない。

 

完全に意識を失うまで動き続けて戦い続けるなら、意識を失ってもらうしかないだろう。

 

右手に逆手に持った大剣で下から斬り上げていくと、長剣で大剣を受け止めた「黒妖の魔剣」だったが、此方は更に力を込めて長剣を大剣で弾き上げた。

 

大きく長剣を弾き上げられて、がら空きとなった「黒妖の魔剣」の顔面に、打ち込むのは全力の拳。

 

固く握り締めた左拳による一撃。

 

「黒妖の魔剣」の顔面にめり込んでから振り抜かれた左拳により、完全に意識を失った「黒妖の魔剣」は倒れる。

 

これでこの場にいるフレイヤ・ファミリアの幹部で、無傷で残っているのは「白妖の魔杖」だけとなったが、戦闘態勢に移る様子が全くない。

 

「貴方は戦うつもりはないんですか?」

 

「オッタルが戻るまで、フレイヤ様を守れる幹部は私だけになってしまっているからな。それに無謀な戦いをするつもりもない。まだ貴様は全く本気を出していないだろう」

 

「必要になれば本気を出しますけど、今回は大丈夫でしたね出さなくても」

 

「ふざけた奴だ」

 

「オッタルさんが戻ってこないのは気になりますが、女神フレイヤに俺が戦っているところは充分見せられたと思いますし、そろそろ帰らせてもらいますね」

 

「貴様が帰っても問題がないかフレイヤ様に聞いてからにしろ」

 

フレイヤ・ファミリアの幹部である「白妖の魔杖」の言葉に従い、少し離れた場所から此方をじっと見ていた女神フレイヤの元に近付いて、帰ってもいいか聞いてみることにした。

 

「帰ってもいいですか」

 

「駄目よ、と言ったら貴方は残ってくれるのかしら」

 

「残りたくはないですね。明らかに殺す気で襲われましたし」

 

「貴方の魂の輝きは見れたから、帰ってもらっても構わないのだけれどね」

 

「じゃあ帰りますね、それでは失礼します」

 

踵を返して素早く立ち去ろうとする俺を、女神フレイヤが呼び止める。

 

「また、料理を作りに来てくれると嬉しいわ」

 

「今度は料理だけにしてくださいね。それを守ってもらえるならまた作りに来ますよ」

 

「楽しみに待っているわね」

 

俺からの言葉を聞いて、とても嬉しそうに女神フレイヤは微笑んでいた。

 

ちなみに後日、オッタルさんにオッタルさんが戻ってこなかった理由を聞くと、身体を張った侍女達によって武器庫の出入り口を塞がれていたからだったらしい。

 

女性に怪我をさせてしまうことは避けたいと思うオッタルさんの優しさを利用されて足止めされてしまったようだ。

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